「あまえ、やる気あるのかっ!」

 また今日も、鬼の部長の怒鳴り声を浴びた。

 入社してから毎日なので、もう慣れっこになっている。

 俺の勤める会社は、世間で言うところのブラック企業というやつだ。

 それも、真っ黒。ブラック中のブラックだ。

 安い給料で、とことんこき使われ、休みもほとんど貰えない。

 勉強が大嫌いだった俺は、こんな会社しか入れるとこがなかったのだ。

 だが、どうやら、根性と負けん気だけはあったようだ。

 会社に入ってからわかったことだが、俺もびっくりしている。

 罵倒といってもいい部長の大声を聞きながら、いうかこいつを抜かしてやると、俺はいつも思った。そのために、俺はがむしゃらに働いた。

 誰にも文句の言い様がないほど、人の仕事を取ってまで働いた。

 気が付くと、ブラックなのに、その会社で俺は恐れられる存在になっていた。

 部長までもが、妙に遠慮している。

 それから三年、俺と部長の立場は逆転した。

 俺は、元の部長をしごきにしごいた。復讐なんてものではなく、使えなかったからだ。

 そして、部長は自殺してしまった。

 本当に使えない奴。

 部長の死を聞いたとき、俺が思ったのはそれだけだった。

 

 

 

 

 

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