男は、追い詰められていた。

五人いた仲間も次々と捕まり、今では男一人になっていた。

迷路のような路地を、男は逃げ場を探して走り回った。

男を追ってくる足音が、男の気持ちに揺さぶりをかける。

男は必至で走った。

焦るあまり、何度も躓きそうになりながら、それでも必死に走った。

弱気になってはいけない。

ともすれば挫けそうになる心を励ましながら、活路を求めて回った。

足音は、もうそこまで迫っていた。

いくつもの角を曲がり、追ってくる足音を少しでも遠ざけようとした。

男の肺が悲鳴をあげる。

挫けるな。ここで挫けてしまったら終わりだ。

捕まる恐怖だけが、男を前へ進ませている。

ある角を曲がった途端、男の顔は絶望に歪んだ。

前は行き止まりだった。

戻ろうとした時、肩を掴まれた。

「けんちゃん捕まえた」

けん坊の努力もむなしく、とうとう鬼に捕まってしまった。

「今度は、けんちゃんが鬼な」

まあ坊が、息を弾ませて嬉しそうに言った。

 

 

 

 

 

恋と夜景とお芝居と(現在連載中)

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絆・猫が変えてくれた人生

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プリティドール 

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