206X年、人類は絶滅の危機に瀕していた。

 自らの享楽のために、自然を破壊し尽くし、それが故に、工場から垂れ流される排煙がのさばり、空気がどんどんと薄れると共に有害になっていった。

 今や、世界人工の6割が肺がんになっているという、末期的症状を呈していた。

 だが、そうなっても、工場を停止することは誰もできないでいた。

 巨大な利権、生活水準の維持.

 そんなくだらないもののために、人類は進んで滅び去ろうとしていた。

 そこに、救世主が現れた。

 その人物は、人類史上ともいえる天才的な科学者だった。

 全地球規模に広がる汚染された空気を新鮮なものに変えるという、空気清浄器を作ったのだ。

 科学者の作った機械は完璧だった。

 みるみるうちに汚染された空気が吸い取られ、数十年振りに新鮮な空気が蘇った。

 人々は救われた。

 しかし、その機械には欠陥があった。

 作った本人も知らなかったことだが、その機械は、汚染された空気を過去に飛ばし、代わりに過去の空気を現代へ送り込んでいた、一種のタイムマシンだったのだ。

 そのために恐竜は絶滅し、今の人類が栄える礎を築いた。

 人間は、自分たちが誕生する前の生き物まで絶滅させていたのだ。

 なんとも、恐ろしい生き物である。

 

 

 

 

 

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