俺は、みんなからウルフと呼ばれている。

なせかって?

強いからに決まってるじゃないか。

俺の向かうところ敵なしなのだ。

高校3年にして、この強さだ。

将来、どこまでいっちまうんだろう。

俺が本気になれば、世界征服も夢ではない。

みんな、俺の強さに、恐れをなして寄ってこない。

強いというのは、実に孤独なものだ。

俺も、人並みに生まれてくればよかったと思う。

だが、強く生まれてしまったものは仕方がない。

これも宿命と思って、今は受け入れている。

休み時間、直樹は宙に目を這わせ、物憂げな表情で呟いていた。

まったく、罪なもんだな」

妄想が膨らむにつれ、直樹の独り言は大きくなる。

またぶつぶつ言ってるぜ、あいつ」

クラスメイトが直樹を見ながら、ひそひそと囁きあっている。

まったく、いくら弱いからといって、現実逃避もたいがいにすればいいのにな」

クラスメイトのひとりが、顔をしかめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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