寺坂信幸は、若い頃から会社を転々として、今の会社は幾つ目のことか。

彼は非情におとなしく、誰になにを言われても怒ることがなかった。

そのせいか、上司や先輩によく雑用を押し付けられた。

彼は、どんな雑用であっても、嫌な顔ひとつせず引き受けた

大抵の人間は、そんな彼を庇うより、苛めるか傍観者の立場に回る。

これまでいくつも会社を変わってきたが、彼を庇ったり守ったりしてくれる人間は、一人もいなかった。

ある時、ささいな事で、信幸がキレた。

そのキレ方は尋常ではなく、日頃彼を小馬鹿にしていた者全員が凍りついた。

信幸は言いたい放題言って、挙句に辞表を叩きつけ、その場で会社を去った。

また、やったのか?」

小学生以来の友人が、信幸と酒を酌み交わしながら、呆れたように言った。

ああ、面白かったぞ」

会社でのおどおどした雰囲気とはがらっと変わって、信幸は破顔しながら酒を呷った。おとなしい振りを演じておいて、ある時に豹変し、心底人を驚嘆せしめるのが、信幸の趣味であった。

おまえの趣味にも困ったもんだな。そんなことじゃいつまで経っても、嫁さんもらえないぞ」

別に、いいよ。俺は、これが楽しみで生きてるんだから」

友人は処置なしというように、静かに首を横に振った。

 

 

 

 

 

 

 

恋と夜景とお芝居と(現在連載中)

ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?

 

絆・猫が変えてくれた人生

会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。

無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。

その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。

小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。

 

プリティドール 

奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。

旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。

そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。

ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。

世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。

果たして、勝者は誰か?

奪われた物は誰の手に?

   

短編小説(夢

 

短編小説(ある夏の日)

 

短編小説(因果)

 

中編小説(人生は一度きり)

 

20行ショート小説集

 

僕の好きな一冊シリーズ

 

魔法の言葉集