「おまえ、俺と一緒に、世界を征服しないか」
そう声を掛けられて、アニキに連れて来られた場所は、通天閣の展望台だった。真夜中の入り口は閉まっていたが、アニキが秘密の入り口を知っていて、ここまで上ってきたのだ。
「世界を取るって、新世界のことですか?」
俺は、よほど情けない顔をしていたに違いない。
「心配するなって、こんな小さな世界を取ったって、面白くもねえだろ」
アニキはそう言って、俺の肩をバンバンと叩いた。
アニキがビリケンさんの台座のどこやらを触ると、驚くことにビリケンさんの目が光り、身軽な動作で台座から飛び降り、「ドコヘマイリマショウ?」と声を出した。
「世界征服だ」
ビリケンが頷くと、通天閣が、轟音と共に空に舞い上がった。
どうやら通天閣は宇宙船で、ビリケンさんは、その操縦装置みたいだ。
だが、通天閣は、いつまで経っても水平飛行に移らず、とうとう大気圏を抜けてしまった。
「あまえ、世界征服だと言ったろ」
「エ、セカイガキュウクツダトオッシャイマセンデシタカ?」
どうやら、アニキは宇宙人で、この乗り物も、アニキのものだっとみえる。
それにしても、なんとお粗末な。
まあいい、俺も宇宙警察に追われて、地球くんだりまで逃れてきたものの、そろそろ退屈していたところだ。
アニキと一緒に、もう一度宇宙で暴れてやるのも、悪くはないか。
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
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その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
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