「狙うは、義元の首ひとつぞ」
敵陣に切り込む前に、大声で下知を下す。
今川義元を討ち取れずに、信長は、もう何度死んだことか。
義元の首さえ討てば、我は天下を取れるはずだと、信長は固く思っていた。
「者共、ここが天下の決しどころぞ」
さすが、織田軍団随一の猛将と謳われている柴田勝家である。
権六さえ破れば、天下は我が物だと、秀吉は信じていた。
せっかく光秀を破って天下に手を掛けたというのに、何度も勝家に敗北を喫している。
「まだか、まだ、秀秋めは動かないか」
家康は、焦っていた。
調略にかけた小早川秀秋が動かなければ、数で押されている自分に勝ち目はない。
これまでの調略の仕方を、幾度も反省していた。
「また、やってるな」
廊下まで漏れ聞こえる大声に、回診で回っている医者が、看護婦に苦い顔を向けた。
「彼らは、あのゲームをクリアできれば、生まれ変わって、覇王になれると思ってますから」
看護婦が、肩を竦めてみせる。
「まあ、他の患者のように、暴れるよりはましだろうが」
医者が言ったとき、「やったぞよ」、「勝ったぞ」、「でかした」と、三人の叫ぶ声が聞こえた。
二人が部屋を開けて中を覗いてみると、三人の姿はどこにもなく、三台の携帯型ゲーム機が、ぽつりと置かれてあるだけだった。
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?