解雇特区は財界と多国籍企業の利益にしかならない | 真の国益を実現するブログ

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安倍政権が進めるアベノミクスの第3の矢である成長戦略は、明らかに新自由主義に基づく経済政策です。なかでも雇用規制緩和は、安倍首相が議長で関係閣僚と有識者で成長戦略を策定する「産業競争力会議」の重点テーマとなっています。日本型労使関係を根底から覆す方向を向いていることは間違いありません。1015日召集される臨時国会に「解雇特区」法案が提出されようとしています。









これは重大な問題をはらんでいます。









まず、現在の「解雇ルール」はどうなっているのか整理したいと思います。解雇に関する法的根拠は、労働契約法16条にあります。そのなかで「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と明記されています。







さらに解雇する場合は、30日前に解雇予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払う、もしくは労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けなけばならないと定められています。









では、整理解雇の場合はどうでしょうか。


これもかなり厳しい制約が課されています。「人員整理の必要性」「解雇回避努力」「人選の合理性」「従業員に対する説明協議」の4要件が求められます。







我が国は、労働者保護が優先されています。このことが気に入らないのが、日本経団連や竹中平蔵など新自由主義者、そして多国籍企業です。



「国家戦略特区」の検討を進める有識者ワーキンググループの八田達夫座長が104日に記者会見して、その内容を明らかにしました。


 そのポイントは2点に集約されます。









1、恒久的に有期雇用を続けられるようにする


現在は、有期雇用で5年以上働き続けた場合、労働者側に「無期雇用にしてもらう権利」が生まれるが、この権利を放棄させられる。







2、解雇のルールを契約で決められるようにする


解雇の条件や手続きを契約で定めておけば、法律に優先して適用される。たとえば、遅刻でクビにすることも可能となる。









 小泉政権時代に検討された規制緩和路線の延長にあるものですが、そもそも使用者と労働者間の力関係は、対等とはいえず、労働基準法や労働契約法で、労働条件などを規制しているのは、その構造的に抱える問題を是正・規制するためです。法律が『最低限の労働条件』を守ることにつながっています。



 有期雇用で働き続ければ常に、契約打ち切り・失業の不安感を抱えて働かざるを得えません。そうすると「転職する」する道を選ぶことになります。もちろん従業員は定着せず、長期的に人材を育てるという企業の意識も薄まり、働く側にとっては、いくら働いてもスキルが身につかないことになります。







解雇のルールを契約で決めるというのも、特区において契約で規定さえすれば、使用者の都合でいつでも解雇できることになります。もともと使用者と労働者では圧倒的に労働者側が不利です。


 この流れの中で、今度は民主党政権で禁止された日雇い派遣を再び復活させようとしています。 







農業分野を主に懸念の声が強いTPP(環太平洋経済連携協定)ですが、貿易と国際投資の円滑化には、雇用の自由化・流動化が不可欠と財界・多国籍企業が要求しており、解雇特区はその先取りなのです。様々な法的規制を参入障壁だから廃止せよと要求してくることは容易に想像できます。特区は、いずれ全国に広げたいのです。







実験場として大阪が名乗りを上げていますが、雇用の不安定化によって貧富の格差が今以上の極端な方向へ向かえば、怨嗟が広がり、社会から潤いが失われることは間違いありません。果たしてそれでよいのでしょうか。







参考


なめ猫♪:アメリカ・ウオール街で国際金融資本を前に地球市民宣言をした安倍総理~安倍・竹中改革路線を批判する対談動画をアップ


http://genyosya.blog16.fc2.com/blog-entry-2111.html