『もう一つの進撃の庶民』Episode 89～92

　今回は月イチでお送りしております『もう一つの進撃の庶民』の総集編でございます。（『もう一つの進撃の庶民』は言論ポータルサイト「進撃の庶民」で毎週火曜日に連載中です。）

　前回までの話はコチラ

もう一つの進撃の庶民　全話一覧

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12014531936.html

　また、「進撃の庶民」の本連載の方では、ながらく休載しておりまして皆様にはご迷惑をおかけしましたm(_ _ )m

　管理人様がディレクターズカット版の総集編を掲載してくださいましたので、過去の話を全部読むのが大変という方はこちらもどうぞ(^O^)/

（休載中はお世話になりましたm(_ _ )m）

Part１http://ameblo.jp/shingekinosyomin/entry-12151667269.html

Part２http://ameblo.jp/shingekinosyomin/entry-12153929282.html

Part３http://ameblo.jp/shingekinosyomin/entry-12156333866.html

Part４http://ameblo.jp/shingekinosyomin/entry-12158726585.html

Part５http://ameblo.jp/shingekinosyomin/entry-12161037973.html

　さて、イラスト付き人物紹介ですが、もし未イラスト化の登場人物の中でリクエストがありましたら、コメント欄に書いていただけますと、採用させていただこうかなと思います。（誰を書いて誰を書いていないのかあやふやになってきましたし(;^_^A）

　本編の方では新たにBO団も新・調査兵団に合流して戦力が増大する一方で、政府ではアーリマンが暗殺されてしまう（？）という展開になっております。今後の展開についてはまったくノープランですが、夏の国政選挙に合わせて決戦へと向かう展開にしてみようかなと考えていたりいなかったり(笑)。

　それでは、Episode89～92の４話続けて、どうぞ(^O^)/

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―地上・地下街の入り口周辺

ミリカ「よし。買い出しも終わったし、地下街に戻りますかな。」
エスカ「ミリカさん、買い出しの手伝いについてきてくれて、ありがとうございます。」
ミリカ「みんな、特訓で忙しいからね。いいってことよ。」

エスカ「あれ、あそこに誰か倒れてます！」

ヨウ「すまない……、食べ物を少し分けてくれないか…。」

Episode 89　「BO団」

　地下街への入り口の近くの森で一人の倒れている男を発見したミリカとエスカ。男は空腹で気を失いかけていたが、ミリカたちの分けた食糧によって元気を取り戻した。

ヨウ「ぶはぁ！助かったぜ。あやうく気を失いかけるところだった。」
ミリカ「それで、アンタはこんなところで何していたの？」
ヨウ「それが、数日前に仲間とはぐれちまってな。それで、探している間に道に迷ってしまって、ご覧のありさまというわけさ。」
エスカ「仲間って？」
ヨウ「おぉ、すまねぇな。俺の名前はヨウ。BO団って組織のリーダーをやってるんだ。」
ミリカ「リーダーがはぐれちゃってどうすんのさ。」
ヨウ「そいつはお恥ずかしい。」
エスカ「BO団って何の組織なんですか？」
ヨウ「簡単に言えば、今の政府の政策に反抗するレジスタンスってところかな。」
ミリカ「え？アンタたちも？」
ヨウ「と言うと、お前らもレジスタンス活動やってんのか？」
エスカ「私たちはチームAPという地下街を拠点にする反政府組織に所属しています。あ、あと新・調査兵団の方たちも今は一緒に活動していますが。」
ヨウ「あの新・調査兵団か！？すげぇな。そう言えばチームAPってのも噂で聞いたことがあるな。」
ミリカ「アタイらは今からアジトに帰るところだけど、アンタもついてくる？」
ヨウ「でも、俺は仲間を探さねぇと…。」

　その時、遠くの方でヨウの名前を呼ぶ声が聞こえた。

エスカ「あっちの方から声が…。」
ヨウ「この声は……。おーーーーい、俺はここだぞーーーっ！！！」

ホルファー「リーダー！！探しましたよ！！」
ヨウ「すまん。道に迷ってしまってな。」
ホルファー「それで、この人たちは？」
ヨウ「チームAPっていって、俺たちと同じく反政府活動をやっている人たちだそうだ。」
ミリカ「アタイはチームAPの副リーダーのミリカ。」
エスカ「私はエスカといいます。」
ホルファー「私の名はホルファー。BO団の副リーダーをやっております。この度はウチのリーダーを保護していただき感謝します。」
ミリカ「仲間と合流できたみたいだし、来る？」
ヨウ「あぁ、そうさせてもらおう。」

もう１つの反政府組織「BO団」と合流したチームAPと新・調査兵団。戦力を拡大させ、アヴィンたちに立ち向かうことはできるのか？

（つづく）

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―王宮・王の間

アヴィン「アーリマンよ、TPP交渉の方はどうだった？」
アーリマン「お喜びください。ついに合意にこぎつけることができました。」
アヴィン「ということは、あとは署名式を済ませるのみということだな。」
アーリマン「そういうことです。」
アヴィン「よくやったぞ、アーリマン。」
ガース「それで、合意内容は？」

Episode 90　「TPP決着」

アヴィン「基本的には我が国のみ大幅に壁を解放するということか。」
アーリマン「妥結を最優先させたら、こうなってしまいました。」
ヘイツォ「いえいえ、壁の撤廃は我が国にとっても大いなるメリットですぞ。のぉ、ケーダレン殿。」
ケーダレン「はい。我々財界の人間にとっては非常にビジネスをしやすい環境になります。アーリマン殿、御苦労でした。」
アヴィン「財界の重鎮のケーダレン殿に喜んでいただけたのなら、TPPが妥結したのは正解だったということだな。」
ガース「外のネオリベス対策も、王都のネオリベス軍団を使えば、問題ないでしょう。」
ヘイツォ「私はネオリベスの恐怖を利用したビジネスをさせてもらうとしましょう。」
アヴィン「（さぁ、どうする？新・調査兵団よ。もたもたしていると、N国は消滅するぞ。フハハハハ…。）」

―地下街・チームAPのアジト

ヨウ「王都はそんなことになってたのか…。」
ホルファー「第３の壁を完全閉鎖する理由が苦しいなとは思っていましたが、そういうことでしたか。」
シェイド「それにしても、同じ志を持つ仲間が増えて嬉しいよ。」
ヨウ「あぁ、俺たちもアンタらに協力させてもらうぜ。それで、俺たちはどうすればいい？」
ナッシュ「まずは、お前らにも光のバリア覚えてもらう。これができないと話にならんからな。」
ヨウ「光のバリア？」
ナッシュ「精神の状態が完全な平衡を保っているときにのみ発するオーラさ。ネオリベス化兵器のネオリベス化誘導作用は思考停止状態、つまり精神の状態が平衡を保てなくなったときにのみしか発揮されない。つまり、このオーラが発されている間はネオリベス化しないってわけさ。」
シェイド「あれって、オーラでガスとかビームを防いでるわけじゃなかったんすね。」
ナッシュ「お前にはこの前ちゃんと説明しただろ。」
シェイド「面目ない。」
ヨウ「なるほどな。こうか？」

ブワッ……　　シュン…

ヨウ「あれ？1秒しか続かなかった。こいつはかなり難しいな。」
ナッシュ「いや。最初の段階としては上出来だ。まぁ、これを長時間持続させるとなると難易度はかなり高くはなるがな。」

　ついに合意へと至ったTPP。N国は滅亡への道へと一歩ずつ歩み始めていた。一方、BO団を迎えた新・調査兵団とチームAPは力を着々と蓄えていた。

（つづく）

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―王宮・アーリマンの部屋

部下「アーリマン様、先ほどアーリマン様のファンという方が差し入れを持ってきたのですが。」
アーリマン「ふむ。これはおいしそうな饅頭ではないか。」
部下「いかがいたしましょうか。」
アーリマン「ありがたくいただくとしよう。お前も食うか？」
部下「いえ、私は結構でございます。」
アーリマン「そうか、ならばよい。下がれ。」
部下「はっ。」

Episode 91「アーリマン死す」

―王宮・会議室

アヴィン「もう会議の時間だというのに、アーリマンの奴は遅いな。」
ガース「自室にこもって何をしているのやら。」
ラショウ「私が呼んでこようか？」
アヴィン「いや。あと少しだけ待つとしよう。」

　しかし、30分経ってもアーリマンは会議室に現れなかった。

ガース「いくらなんでも遅すぎますな。」
アヴィン「そろそろ呼びに行くか。」

―王宮・アーリマンの部屋前

アヴィン「おい！アーリマン！中にいるのか？会議の時間はとうに過ぎておるぞ！」
ラショウ「アーリマン！返事をしろ！！」

ヘイツォ「返事がないようですね…。」
アヴィン「開けるぞ。」

　アヴィンたちが部屋のドアを開けた時、部屋の中央で倒れているアーリマンの姿が目に飛び込んできた。

アヴィン「アーリマン！！」

　すぐにアヴィンたちにアーリマンに駆け寄ったが、すでにアーリマンは息絶えていたのであった。

ガース「アーリマンの机の上に饅頭がありますね。これを食べていたということでしょうか。」
アヴィン「饅頭だと？」
ヘイツォ「とりあえず、毒物の混入がないか、検査に回しましょう。」
ラショウ「ようやくTPPが合意したところであったというのに…。」

―某所

ケーダレン「アーリマンのやつ、本当に消してしまってよかったので？」
ウォース「TPP交渉では大活躍してくれたけどね。もう、用済みさ。」
ジュダ「この後、アヴィンがどのような行動に出るか見ものだな。」

―王宮・王の間

ヘイツォ「やはり、先ほどの饅頭には毒物が混入されていたようで。」
アヴィン「あの饅頭はどこから？」
ガース「部下の話によれば、アーリマンのファンが差し入れたとか。」
アヴィン「ファン？今、王都には王宮の人間を除けば、ほとんど普通の人間はいないはずだが…。」
ガース「怪しいですね。」
アヴィン「（人外の者…、もしやマスターの手の者か？）」　

　毒入り饅頭を食べて死に至ったアーリマン。TPPの行方はいったいどうなる？

（つづく）

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―地下街・チームAPアジト

ナッシュ「どうやら、緊急でアヴィンが会見を始めるようだぞ。」
カレン「え？いったい何があったんですかね。」
アスキー「このタイミングでの緊急会見ですか。何かトラブルでもあったのでしょうか。」
ミツキ「あ、中継が始まります。」

Episode 92「英雄となった」

―王宮・会見場

アヴィン「本日は国民のみなさんに悲しいお知らせがあります。TPP交渉を全力でまとめあげてくれたアーリマン殿が、昨日、何者かに殺されました。」

ナッシュ「なんだって？」
アンジー「いったい、だれが？どうやって？」
シヴァ「王都の状況を考えると内部犯の可能性が高いかもしれませんが。」

アヴィン「我々は犯人を絶対に許しません。ファンを装って毒入り饅頭を差し入れたという情報ですが、こちらにつきましては全力で捜査します。」

セルフィ「毒入り饅頭を？」
マージ「そんなアホな。」
ナッシュ「アヴィンの話が信用に値するかどうかも怪しいところだが、この話が本当ならセキュリティ甘すぎるんじゃないか？」
アンジー「そんなはずはないですけど。それに、セキュリティ以前に王都に普通の人間はもうほとんどいないはずですし。」

アヴィン「アーリマンの生前の功績は計り知れません。彼の最後の大仕事となったTPP、あとは調印式を残すのみですが、亡きアーリマンの遺志をつぐためにも、必ずやTPPを実行させることをここに誓います。国民の皆様も是非、支援をよろしくお願いいたします。」

タンツァ「これで、TPP反対の声はさらに封じ込められるという寸法ですね。」
カレン「え？」
タンツァ「アーリマンがどんなひどい交渉を行っていたとしても、命を懸けてまとめあげた交渉だという事実だけが残るからね。」
ナッシュ「アーリマンは殺されたのか、政府が殺したのかは分からんが、少々まずいな。」
シヴァ「死ぬことによって、TPPをまとめた英雄となったわけですね。これではTPPの内容にかかわらず、国民の多くはTPPを支持するでしょうね。」
アンジー「国民を一つにまとめてアヴィンに立ち向かうはずが…。」
ミツキ「私たちはただの逆賊ってことかしら。」

　アーリマンの死を利用し、TPPの実行をより確実にしようとするアヴィン。新・調査兵団に活路は残されているのか。

（つづく）