もう一つの進撃の庶民 弐 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

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火曜日は、くらえもん氏による『もう一つの進撃の庶民』です!

今日は、劇場版として『もう一つの進撃の庶民』を少しでも多くの人に見てもらえるよう、やや短めに纏めました。13~24話までのディレクターズカット版ですので、制作者のくらえもん氏からは不本意な切り方をしているかもしれませんので、予めお詫び申し上げます。






『もう一つの進撃の庶民 弐』


カレン「あの・・・、ヒイロさんですよね?」
ヒイロ「そうだけど、僕に何か用かい?」
アンジー「第1部隊のアスキー副部隊長に経済のことについて知りたければヒイロさんとマージさんに聞けと言われて・・・。」
ヒイロ「そうか・・・。ここではまずいから場所を変えよう。」

ヒイロとともにアジトの外の森の中へ移動するカレン、ミツキ、アンジー、セルフィ。そして、ヒイロはカレンたちに話を始めた。

ヒイロ「すまんな。この話が部隊長の耳に入るとにらまれちまうんで。」
アンジー「単刀直入に聞きますが、国の借金って実は問題ないんじゃないですか?」
ヒイロ「ほう。そこまで知っているなら話が早い。その通りだよ。」
ヒイロ「アンジー君。誰かが借金を抱えているなら、その反対でお金を貸している人がいる。だから、誰かが貯金をするためには誰かが借金を抱えている必要があるんだ。そして、借金を抱えても問題ない存在、それはお金を造れる政府のみ。」
セルフィ「ということは、国民が貯金をするためには政府が借金を抱える必要がある。しかも、それは問題のあることではない・・・。」
ヒイロ「国民の方は借金を抱えて返せないと破産だが、政府が借金を返せなくなる可能性はゼロだからね。」

ミツキ「でも、本当に問題はないのかしら?」
ヒイロ「まぁ、問題がゼロというわけではないけど、不況で国民生活が破綻したり、壁の補修もままならないことに比べるとたいした問題じゃないよ。」

そのとき、マージがやってきた。

マージ「ヒイロ、こんなところにいたのか?」
ヒイロ「マージ!成果はどうだった?」
マージ「あぁ、予想通りだった。」
アンジー「貴方がマージさん・・・。どちらへ行かれていたんですか?」
マージ「N銀さ。部隊長達はN銀がお金を刷ってないからデフレ不況だって言ってたが……」
ヒイロ「間違いないな……」
マージ「あぁ……。ブタ積みだ!!」

 マージがN銀から持ち帰ってきたデータはN銀が発行した通貨が貸し出しに回っていないことを示すものだった。つまり、現状は貨幣発行不足の状態ではなかったのだ。

マージ「つまり、デフレの原因は需要不足ってわけだ。」
カレン「でも、こんな不況で金をホイホイとは使えないから…」
ヒイロ「そう、これを解決する方法はただ一つ。」
マージ「政府が金を使う!!」

 そのとき、休憩時間が終わりを迎えた。

マージ「訓練兵!このデータのコピーをお前らにも渡しておく。第1部隊のアスキーさんにも渡しておいてくれ。」

 そう言うと、マージとヒイロは持ち場へ戻った。
 そして、カレンたちは再びアジトへ戻り、ジェイネスの講義を受けることに・・・。

ジェイネス「…というわけで、N銀が金を刷れば、国民の期待が高まり、景気が良くなるという寸法さ!!」
ポリアンナ「なるほど!!」
レックス「ジェイネス獄長の講義は分かりやすいです。」
ベティ「まさにホワイトを討て、ですね。」
カレン「なんで、N銀が金を刷れば、景気が良くなるんだよ?」
ジェイネス「ほう。金融緩和を否定する愚か者がいるとは…。」
アンジー「N銀のテータによれば、むしろ銀行にはお金が余っていますが。」
ジェイネス「どうやら、ここには偽装転向コミン●ルンが紛れ込んでいるようですね。」

金融緩和万能論を振りかざすジェイネス。そして偽装転向コミン●ルンとはいったい!?
そして一年の時が過ぎ、カレンとミツキは第1部隊へ、アンジーとセルフィは第2部隊へ入隊する。一方その頃、ミンストンの悪政は極限まで達していた。

部下「経済状況の悪化で国民の不満が高まってきていますが。」
ミンストン「なぁ。TPPって知っているか?」
部下「確か、A帝国が進めようとしている貿易協定ですよね。」
ミンストン「TPP(トランス・ポータル・パートナーシップ)協定。この状況を打開するには開国しかない!!」

カレン「TPP?」
ナッシュ「あぁ。簡単に言えば各国を囲っている壁をぶっ壊して、お互いもっと行き来しやすくしようって話だ。」
シヴァ「部隊長とともに世界を見てきたけど、どこもネオリベスに侵食されて、経済が行き詰っていた。」
ナッシュ「そこで、A帝国がN国から富を奪うために利用しようとしているのがTPP協定ってわけだ。」
ミツキ「でも、A帝国もネオリベス・ショックのせいで、ネオリベスの怖さはしっているハズじゃ…。」
アスキー「特定のネオリベスには知能があることが報告されている。そして、彼らには他のネオリベスを操る能力があるとも言われている。」
ナッシュ「どうやら、TPPを本気で進めたがっているのは、その奇行種のようでな…。」
ヴォルフ「大変だ!ナッシュ部隊長!今すぐテレビをつけてくれ!」

ヴォルフ分隊長の知らせでテレビをつけるナッシュの目には会見を行うミンストンの姿が…。

ミンストン「これより我が国はTPPの交渉参加へ向けて関係国との協議を開始する!! 閉塞感を打破し、アジア地域の成長を取り込むのだ!!今こそ開国だ!!!」
ナッシュ「あのバカ…!!」
カレン「閉塞感の原因はてめぇらが金を使わないからだろうがよ。」
ミツキ「ライオネルが壁を壊して民衆が怒ったことで、自分が王の座についたということを忘れたのかしら。」
シヴァ「どうしましょうか、部隊長。」
ナッシュ「また、民衆の手によって王の座を降りてもらうより他はないな…。」

TPP交渉参加へ向けての準備を始めるミンストン。そして突如、N国を襲った巨大地震。

ナッシュ「ミンストンのやつはあてにならん。第一部隊は今すぐ北東ブロックへ向かうぞ!」
アスキー「TPPの方も気がかりだが、まずはこの国難をどう乗り切るか・・・」
ナッシュ「とりあえず、ネオリベスの侵入だけは阻止せねば・・・」

突如N国を襲った過去最大クラスの大地震。ミンストン政府の対応が後手に回る中、調査兵団第一部隊はネオリベス侵入阻止へ、調査兵団第二部隊は壊れた壁の修復へすぐさま向かった。
そして、壁が壊れた場所から次々とN国内へ侵入してくるネオリベス。

ナッシュ「壁の修復は第二部隊に任せて、俺たちはこいつらを片付けるぞ!!」
カレン「ネオリベスが、こんなに・・・」
ミツキ「カレン・・・あなたは私が必ず守るから」
カレン「え!?」

大地震からなんとか生き残った人々を次々と殺していくネオリベスたち。

アスキー「TPPなんかがまかり通ったら、これが日常になるってわけか・・・。」
シヴァ「地獄ですね・・・。」

そんな中、逃げ遅れた人々の中には命を諦めるものも多数いた。

一般人A「もうダメだ、ここで死のう・・・」
カーター「何言ってるんだ、ばあさん。中央に出稼ぎに行った息子が悲しむぞ!!なんとしても逃げるんだ!!」
一般人A「そうだった・・・息子のためにもワシャまだ死ねん。ありがとう。」
カーター「とにかく全力で逃げるんだ!!」

アスキー「第二部隊のカーター副部隊長!どうしてこんなところに?」
カーター「アスキー副部隊長。壁の修復はオーズ部隊長やアンジーくんがいればなんとかなりそうだが、逃げ遅れた一般市民が多数いるからね。」
アスキー「なるほど。それならば第一部隊もともに市民の避難のサポートをしよう。」

突然の大震災に地獄絵図と化す北東ブロック。

ミツキ「これで、あと1体・・・」
カレン「やるな、ミツキ、俺はまだ1体しか倒せていないのに。」

壁がなくなった場所から新たなネオリベスが、さらに10体以上押し寄せてくる。

ナッシュ「キリがないないぜ。第二部隊、早くなんとかしてくれ・・・。」
カレン「くそっ、お前ら、駆逐してやるっ!!」
ミツキ「カレン、危ない!!」

その時、カレンの背後から一体のネオリベスが大きな口を開けて襲い掛かった

カレン「な!?」

バクッ

ミツキ「・・・・!!」
ナッシュ「カレン!!」

ネオリベスに喰われたカレン。すぐさまミツキがネオリベスに飛びかかるが冷静さを欠いたミツキは逆に反撃をくらい、ダメージを受けてしまう。

ナッシュ「ミツキ、落ち着け。ここは戦場だぞ!!」
ミツキ「でも、でも、カレンが・・・。」
ナッシュ「カレンのことは諦めろ!!」

しかし、その時カレンを喰ったネオリベスの体をぶち破り、中から別のネオリベスが現れる!!

新たなネオリベス「グォーーーーッ!!」
ナッシュ「どういうわけなんだ!?」
ミツキ「カレンは!?いったいどうなったの?」

ネオリベスに喰われたカレン・・・。そして、ネオリベスの体内から現れた新たなネオリベス。
茫然としているミツキとナッシュに別のネオリベスが襲い掛かる。

ドカン!!!!!!!
ナッシュとミツキのピンチを救ったのはカレンを喰ったネオリベスの体内から現れた新たなネオリベスだった。
一方、その頃応急処置ではあるが、壁の修復に成功した第二部隊。だが、部隊長のオーズはネオリベスの襲撃により重傷を負ってしまった。
さらにネオリベスの攻撃により負傷するミツキ。しかし、ネオリベスは攻撃の手を緩めない。

シヴァ「せっかくあと一息だというのに・・・」
ナッシュ「くそ・・・ここまでか」

その時、一人の老人が突然現れ、ネオリベスをブッ飛ばした!
ドーーーーーーーン!!

エヌ老師「まだまだ修行が足りんのう、ナッシュ。」
ナッシュ「あ、あなたはエヌ老師!!」
エヌ老師「それにこやつはまだ完全なネオリベスにはなっていない。」
ナッシュ「まだ?完全なネオリベス?なってない?」
エヌ老師「まあ、見ておれ。」

エヌ老師の放つ光により体が徐々に消滅していくネオリベス。しかし、うなじの箇所に一人の影が消えずに残っていた。そして、すぐさまその陰に走り寄るナッシュたち。そこにはネオリベスに喰われたはずのカレンの姿があった。

ミツキ「おじいさん。カレンは生きてるの?」
ナッシュ「ミツキ!!エヌ老師と呼べ!!」
エヌ老師「構わんよ、ナッシュ。彼がこのまま死ぬか、目を覚ますかは彼次第じゃ。」

新たなネオリベスの正体はカレンだった。カレンは目を覚ますのか?そして、ネオリベスとはいったい?

アヴィン「なんとか緊急事態は収束できたようだな。」
ナッシュ「しかし、政府は北東ブロックの復興作業をなかなか進めようとしないようで・・・。」
アヴィン「TPPか・・・・・・。ミンストンが他国とまともに交渉できるとは思えんな。」

調査兵団アジト・医務室―

カレン「・・・・・・!!」
ミツキ「カレン!!・・・・・・よかった・・・・・・。」
カレン「俺はいったい・・・」
アンジー「覚えていないのかい?」
カレン「確かネオリベスに喰われて・・・そこからは記憶がない・・・。」

カレンが目を覚ますより少し前に帰ったエヌ老師。老師は第一部隊のメンバーに情報は多くはないものの「ネオリベス化」という現象が存在するということについて語った。

アンジー「そろそろ会議に行かなくちゃ。」
ミツキ「会議?」
アンジー「一応、部隊長代理としてね。本当はカーター副部隊長がやってくれればいいんだけど、僕の方が適任だ・・・って。」
カレン「アンジーは頭がキレるからな。それにしても新兵なのにえらい出世だな。」
アンジー「ありがとう。どうやら、近々ミンストン政権と調査兵団が直接戦うことになりそうだよ。」
カレン「マジかよ・・・。」

一方、とある山奥の山荘―

???「こんなところにいたんですか。探しましたよ。」
ヘイツォ「政府に私の居場所がなくなって困ってましてね。」
???「この国は腐っている。この国を一から変えるために、あなたの力が借りたい。」
ヘイツォ「ほう。まさか有名テレビスターのあなたが・・・。」
???「何か問題でも?」
ヘイツォ「いや。問題ないですよ。それでは、よろしくお願いします。トールさん。」
トール「こちらこそ、よろしく。」

近づくミンストンとの決戦の日。しかし、一方で再び動き出すヘイツォの影。これからのN国の運命はいかに?

ラショウ「まだ本調子ではないが、いつまでも寝ているわけにはいかんのでな。」
アンジー「ナッシュ部隊長。あの方は?」
ナッシュ「ネオリベスによって負傷し、一時戦線離脱していた調査兵団の副団長、ラショウさんだ。」

調査兵団アジト・会議室―

アヴィン「ラショウも間に合ったようだね。」
ラショウ「長い間留守にしてすまんかったの。」
アヴィン「幹部諸君に集まってもらったのは言うまでもない。ミンストンから政権の座を奪い返すべき時が来たのだ。」
ナッシュ「ちょっと、その前に私に話をさせてもらってもいいですか?」
アヴィン「何だ?ナッシュ。」
ナッシュ「この国を救う経済政策に関する報告です。」

 ナッシュはデフレ不況が需要不足によって起こるものであり、それまでの経済政策(緊縮財政・構造改革)とは逆の需要刺激策をとる必要があることをデータや過去の事例を紹介し、分かりやすく述べた。つまり、政府が借金を増やし支出を増やすこと、消費税を減税すること、壁を強化しN国民を保護することなどの重要性を伝えた。

ジェイネス「デフレが需要不足だって?笑わせるな!デフレは貨幣現象なのだ。N銀がお金を刷れば万事解決さ!」
ナッシュ「そのN銀が刷ったお金がブタ積みになっているってのも資料に載せてるはずだが?」
ジェイネス「バカめ、貴様はタイムラグという言葉を知らんようだな。」
ナッシュ「うるせえな・・・って、アヴィン団長は聞いてたんすか?」
アヴィン「Zzz・・・。おっと、すまない。ちゃんと聞いていたぞ。参考になった。」
チェリオ「団長はお疲れのようですね。」
エーツィン「決戦が近いから無理もないですかね。」

 幹部会議で行われたナッシュの名演説。しかし、調査兵団内の空気には微妙な温度差が。一方、テレビスター・トールも王の座を狙う準備を進めるのだった。

トール「ファンのみんな!俺は腐ったこの国を一から作り直すために芸能界を引退することに決めた!」
ファン「キャーーーーー」
ファン「古臭い壁なんかぶち壊してしまえーーー」
トール「覚悟のあるものは俺についてこい!新たな組織『一新の会』の旗揚げだ!」

調査兵団・第1部隊詰所―

カレン「部隊長、副部隊長。会議お疲れ様でした。」
ナッシュ「カレン、目を覚ましたか。よかった・・・。しかし、会議の方は・・・。」
シヴァ「そう言えば、ナッシュ部隊長。トールって人知ってますか?」
ナッシュ「あの芸能人のか?」
シヴァ「どうやら、ヘイツォとつるんで王座を狙っているらしいんですよ。」

調査兵団・第3部隊詰所―

ベティ「部隊長に獄長、お疲れ様です。」
クリスマス「うむ、御苦労。いよいよN銀との決戦の時だ。」
ポリアンナ「ホワイトを討て、ですね。」

調査兵団・第2部隊詰所―

セルフィ「アンジー、お疲れだったね。どうだった?」
アンジー「緊張して、ほとんど喋れなかったよ・・・。」
カーター「最初はそんなものだよ。アンジー部隊長代理。」
アンジー「なんか慣れないですね(笑)。それにしても『一新の会』の動きが気になりますね。」

調査兵団・第4部隊詰所―

ムゲロ「これで、いよいよC国とK国をぶっ潰せますね。」
チェリオ「うむ。我々はアヴィン団長を信じてついて行こう。」
コリン「アヴィン団長なら、きっとN国を救ってくれる。」
エーツィン「全力でアヴィン団長をお守りするのだ。」

 着々と王座奪回の準備を進める『調査兵団』と『一新の会』。一方、混乱の極みに陥ったミンストンは起死回生の策を練っていた。

アヴィン「全員、準備はできたか?」
調査兵たち「ハイッ!!!!」
アヴィン「それでは出陣だ。それぞれ持ち場へ向かえ!!」

 ミンストンは自分が王座を追われる危険を察知し、王宮にて急遽会見を開くことに。

ミンストン「えー。まず、TPPに関してですが、交渉参加に向けての協議を開始することを決定しました。それから、社会保障の財源が不足しているため、消費税の増税を・・・景気を見ながら来年判断することにいたしました。」

ざわ・・・ざわ・・・

王宮へ続く道―

トール「王宮に用があるんだが、そこをどいてくれないかい?」
ナッシュ「残念ながら、そいつは無理な相談だ。」
アンジー「あなたたちをここで止めるのが僕らの役目。」
トール「お前ら、何者?」
カレン「調査兵団だ!!」

王宮・会見場―

ミンストン「えーと。それから・・・。」
アヴィン「待て、ミンストン。そこまでだ!」

 アヴィンを先頭に会見場に乱入した調査兵団は会見を妨害。そこで、アヴィンはそこに集まった記者たちへミンストンの悪政の数々を訴える。

ミンストン「ぐぬぬ。そうまで言うなら、勝負だ!私と貴様、どちらが王にふさわしいか、国民投票で決着だ!!!」

 その時、N国全体に衝撃的なニュースが走った。ミンストンとアヴィンのどちらが王にふさわしいかを決める選挙が行われることとなったのだ。 
( つづく・・・。)





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