私が映画館で映画を観始めた1970年代、朝からマダムが行列を作っていたのは決まってアラン・ドロンが主役の作品でした。榊原郁恵ちゃんは「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」という曲を歌っていましたが、「ハンサム」(もはや死語ですね)、「色男」の代名詞といえばアラン・ドロン様その人でした。来日した時のフィーバー振りもハンパなかった覚えがあります。

 

私が劇場で観賞したドロン様主演作は以下の通り(公開順、カッコ内は私が観た年)。

太陽がいっぱい(1982)

若者のすべて -ロッコと兄弟たち-(1983)

冒険者たち(1982)

ボルサリーノ(2023)

ボルサリーノ2(1975)

アラン・ドロンのゾロ(1975)

フリックストーリー(1976)

 

日本人に最も愛された、誰もが知る俳優さんの一人でした。

ご冥福をお祈りいたします。

 

ダーバンのCMも忘れられません。

D'urban c'est l'elegance de l'homme moderne.

 

この年の劇場鑑賞は14本。

リュック・ベッソン監督とのファースト・コンタクトに始まったこの年のラインナップは、色々と観直してみたい作品が並んでいる。この年のベスト・ムービーはスティーブ・マーティンの魅力が満載だった12。

楽しい楽しい大学生活が終わりを告げて社会人生活が始まったこの年以降、映画館に足を運ぶ回数が急激に減っていくのでした。

 

1987年鑑賞作品一覧:

01 サブウエイ

02 トップガン
03 ストレンジャー・ザン・パラダイス

04 ミツバチのささやき 

05 ペギー・スーの結婚 

06 ダブルボーダー

07 スタンド・バイ・ミー new!!

08 愛と青春の旅だち

09 ビバリーヒルズ・コップ2 

10 世にも不思議なアメージング・ストーリー

11 アンタッチャブル

12 愛しのロクサーヌ

13 七福星

14 あぶない刑事

 

№7
日付:1987/5/30
タイトル:スタンド・バイ・ミー | STAND BY ME
監督:Rob Reiner
劇場名:歌舞伎町シネマ1(閉館)
パンフレット:あり(\400)
評価:-

 

子供達を主人公にしたノスタルジック・ムービーにおいて、子供達の目線で描けているかが私にとってはとても大事で、大人が過去を振り返るような、当時を懐かしむような造りというだけで、当時の私(20代)は本作を評価出来ませんでした。

さて、あれから37年。今観返すとどうなのか・・・

 

2024年8月14日

NHK BSプレミアムシネマ放送(2015/1/1)分を鑑賞。日本語吹替え版の2か国語放送を、敢えて音声を英語版に切替えて、日本語字幕表示で観賞しました。こうすると吹替えの台詞がそのまま字幕に表示されるので、通常の字幕版よりも情報量が多い(台詞 > 字幕)と思ったのですが、思ったほど日本語訳に納得感を得られなかったので、翌日字幕版(NHK BSプレミアムシネマ放送(2020/1/27)分)も鑑賞。

 

以下、観ていて引っ掛かった台詞に関する和訳の比較です。

原文を踏まえたのではなく、物語の流れ的に良いと思った方の訳に〇を付けました。

台詞①
"Hey, at least now we know when the next train was due."

台詞②

"You might even write about us guys if you ever get hard-up for material."

台詞③

"Guess I'd have to be really hard up, huh?"

<字幕版(加納礼子)>

×「次の汽車はすぐだったな」(クリス)

×「俺たちの事を書くかもな」(クリス)

〇「よっぽど書くネタに困ったらね」(ゴーディ)

<吹替版(税田春介)>

〇「これで次の汽車まで安心だな」(クリス)

〇「もし書くことがなくて困ったら俺たちの事を書けばいい」(クリス)

×「僕 すぐ書く事がなくなっちゃいそうだ。ね?」(ゴーディ)

 

台詞①

迫る列車からギリギリ難を逃れたゴーディとヴァーンにクリスが掛ける言葉。直訳は「少なくとも次の電車がいつ来るかは分かった」。このままでよくない?と思いつつ、どちらか選ぶなら税田さん。

台詞②

クリスがゴーディを慰めるシーン。ここもほぼ原文通りの税田さんの訳の方がしっくりくる。

台詞③

ゴーディの返し。税田さんの訳は会話としてピンとこないので×。対して加納さんの意訳は見事。

 

最後に大人になったゴーディがワープロに打ち込んだ文章にも引っ掛かった。

"I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve.
Jesus, does anyone?"

「12歳の頃のような友達は、その後持てなかった/誰もがそうだろう」(字幕版)

「あの12歳の時のような友だちはもうできない/もう二度と・・・」(吹替版)

原文に近いのは字幕版なのですが、それでも最後の断定するニュアンスが私的にはダメでした。

これはあくまでNHKのBSで放送された際の字幕なので、劇場公開時は異なる翻訳なのですが、今回観直すにあたって日本語に書き換えられた台詞の妥当性がいつも以上に気になってしまいました。

 

 

友人の突然の訃報を受けた男が、当時の彼等との思い出を振り返る。ただ気が合うというだけで連んでいられた12歳の夏。愛すべき4人組の1泊2日の大冒険を描いた本作。周りがダメな大人ばかりの中で描かれる、子供達の程好い結束感。主人公ゴーディと親友クリスの絆。改めて名作と呼ばれる事に異論なしです。クリスを演じたリバー・フェニックスの涼やかな眼差しと存在感が、本作の魅力をグッと高めていますね。

皮肉にも彼との約束を果たす事になってしまうラストですが、それでもやっぱり私的には、リチャード・ドレイファスの当時の振り返り方が鼻に付いた。最後のシーケンス、丸々不要です。パソコンの一文も。彼らのような友達がその後出来なかったから何だっていうのさ?

本作をお気に入りの1作として、ダビングして手元に置いておこうとは思いませんでした。

 

 

 

 

キーファー・サザーランドもヤバいチンピラ役を好演

 

パンフレット
「あの時のような友だちを2度と持つことは出来ない。誰だって……」「失われた少年期へのノスタルジックなタイム・スリップ」といった言葉が並んでいた。

・ストーリー

・解説

・プロダクション・ノート

・86全米・各国批評

・ロブ・ライナー

・キャスト

・音楽

前売り半券

№32
日付:2024/8/3
タイトル:キングダム 大将軍の帰還
監督:佐藤信介
劇場名:シネプレックス平塚 screen1
パンフレット:あり(\990)
評価:5.5

 

劇場映画がシリーズ物と化して1話完結じゃなくなった最初の作品は「スターウォーズ/帝国の逆襲」あたりじゃないでしょうか。今では「それが何か問題でも?」と言わんばかりに話の途中でエンドロールが流れ始める作品が幾らでもあって、個人的にはちょっと眉を顰めてしまいます。

 

そんな感じで終わった前作の続きとして原作14~16巻を実写化し、第4作目にして最終章と銘打たれた本作。“武神”龐煖と王騎将軍との激突をはじめ、72巻まで発売中の原作の中でも非常に重要かつ心ザワつかせるエピソードが描かれている。4作目にして主人公信の影が最も薄いのは仕方のないところ。

 

人並外れた体躯の持ち主として描かれる将軍クラスと、彼等に蹴散らされる一兵卒の描写に進歩の跡が見られつつ、戦場シーンでの人馬の数不足も感じつつ、冷めた目で本作を楽しんでいる自分がいます。

結局のところ、人気漫画の劇場版に対する評価は「原作のキャラクターとストーリーをどれだけ上手に(実写版として)再現出来るか」に尽きてしまうような。「キングダム」という作品のスケールの大きさを矮小化することなく、アニメ化と比べて格段に難易度が上がる実写化をやってのけた佐藤監督の集大成的な作品となったのは間違いない。

 

キングダム(2019年)

キングダムⅡ 遥かなる大地へ(2022年)

キングダム 運命の炎(2023年)


こうやって公開時期を振り返ると、やはりコロナの影響は大きかったと感じます。

今後の主要な登場人物に配した大物俳優達が存在感を発揮しないままですが、実写版で原作を追い続ける大変さにも初めて直面した作品となってしまった気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

パンフレット

・イントロダクション
・キャラクター
・人物相関図
・ストーリー
・キャスト・インタビュー 山﨑賢人
・キャスト・コメント
・その他キャスト・プロフィール
・王毅と龐煖の因縁とは
・場陽の戦いにおける李牧の戦略
・監督インタビュー
・原泰久(原作者)インタビュー
・黒岩勉(脚本)インタビュー
・やまだ豊(音楽)インタビュー
・松橋真三(プロデューサー)インタビュー
・対談 小坂一順(VFXスーパーバイザー)×白石哲也(Compositingスーパーバイザー)×木川裕太(CGスーパーバイザー)
・下村勇二(アクション監督)インタビュー
・テーマソング
・クレジット

チラシ①

チラシ②

№31
日付:2024/7/28
タイトル:フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン | FLY ME TO THE MOON
監督:Greg Berlanti
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN9
パンフレット:あり(\880)
評価:5.5

 

本作の予告編を観て、私らの世代が最初に連想する作品が「カプリコン・1」。私は劇場未鑑賞なのですが、当時の話題作でした。改めて思います。1960年代に本当に月に行っていたの?と。

本作もそんなお話なのかと思いきや、ある意味更に奇想天外でハートフルなロマンティック・コメディ。それも1960年代を舞台にした極めてオーソドックスなラブロマンスが卒なく繰り広げられるので、どこか安心安全過ぎて観ている最中も観終わってからの読後感(?)もイマイチ盛り上がらなかった。作品の演出上仕方のない事なのかもしれませんが、そもそもそっちは“生中継”じゃなくていいよね?と突っ込みたくもなりました。

 

現役ハリウッド女優さんの中で、出演しているだけで観賞意欲が増すのがスカーレット・ヨハンソン。主演も助演もアクションもなんでもこなす彼女がちゃんと主役を張ったのは「ブラック・ウィドウ」以来。彼女の魅力は十二分に発揮されている小粋な作品ではありました。もしかすると、あとからジワジワ評価上がるかもです。

 

 

↑このシーン、笑った

 

 

 

パンフレット

・イントロダクション

・ストーリー

・キャスト・コメント(スカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタム)

・キャスト・プロフィール

・R&Bが彩るふたりの奇跡的なロマンス 長谷川町蔵(文筆家)

・プロダクション・ノート

・スタッフ

・FLY ME TO THE MOON 宇宙開発の歴史 林公代(宇宙ライター)

・世界宇宙開発史年表

・クレジット

チラシ