№30
日付:2023/8/6
タイトル:キングダム 運命の炎
監督:佐藤信介
劇場名:シネプレックス平塚 screen8
パンフレット:あり(\880)
評価:5.5

 

自分調べでは、邦画において原作漫画の実写化にある程度成功した最初の事例は「キューティーハニー」(2004年)だと思っているのですが、漫画の世界を実写に変換する術(≒デジタル技術)を得た結果、それ以降数々の漫画の世界のキャラクター達が、原作と極めて高い親和性をもって実写版に降臨する事となった。

 

原作漫画のダイナミズムを動画の世界で如何に再現するか、その再現クオリティの高さがそのまま作品の成否に直結している昨今ですが、この点において本作も善戦しているグループにいるのは間違いない。

巨人族かと見紛うばかりの将軍達のサイズ感や、剣の一振りで半径10メートルの敵兵がぶった切られてしまうという、漫画だから許される人間離れした荒唐無稽さを実写に変換するプロセスに苦心の跡を感じつつ、頑張りと物足りなさとが交錯する中、前者が上回って観応えも感じます。


原作の世界観を借りる以上は、実写版においても守らなければならないルールというか、そのキャラクターを“舞う”とでも申しましょうか、ある種の“成りきり”が必要な気がします。この点において、呂不韋役の佐藤浩市さんはただ一人原作のキャラクターを無視して普段通りに演じた結果、「キングダム」の世界で浮きまくっているのが興味深い。

 

原作の呪縛から逃れようのないストーリー展開の中、最も涙腺が崩壊するエピソードの1つである筈の「紫夏編」は、杏さんという適役を配していながらも駆け足で原作をなぞって終わってしまったのは少々残念。

 

そしてもはや原作のエピソードを映画1本に収める事を諦め、まるで来週をお楽しみに!と言わんばかりのエンディングを迎える本作。「紫夏編」はスピンオフにでも回して、4時間くらいの長編大作「馬陽編」として公開しても良かったんじゃないの?と思えた。

 

原作の最新刊は69巻(7月19日発売)。本作はまだ10巻前後のエピソードを片付けている状況なので、どう考えても今のペースでは現スタッフ・キャストで原作のエピソードを全う出来るとは思えない。実写版としてどう大団円を迎えるのか、果たして最後まで付き合えるのか、惰性で観に行かなければならない状況だけは避けて欲しいところです。

 

ちなみに本作を、原作未読の観客はどんだけ楽しめているんだろう?と一緒に観に行った妻に訊いてみたところ、一言「面白かったよ」。それはヨカッタ。

 

 

 

 

 

 

パンフレット

・イントロダクション

・キャラクターたち

・人物相関図

・ストーリー

・キャスト・インタビュー 山﨑賢人/吉沢亮

・キャスト・コメント 橋本環奈/清野菜名

・キャスト・インタビュー 杏

・キャスト・コメント 

 山田裕貴/片岡愛之助/山本耕史/玉木宏/佐藤浩市/大沢たかお

・その他キャスト・プロフィール
・飛信隊とは?
・「馬陽の戦い」 開戦時の布陣
・監督インタビュー
・原作者インタビュー
・脚本インタビュー
・音楽インタビュー
・プロダクション・ノート
・撮影インタビュー
・衣装・甲冑デザイン インタビュー
・主題歌
・クレジット
チラシ①

チラシ②