U-20ホンジュラス代表の合宿でGKコーチを務めてきました。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

U-20ホンジュラス代表の合宿でGKコーチを務めてきました。


 壮絶な道のりを経て『ホンジュラスサッカー協会公認GKコーチングライセンス』を完全取得 した翌週…。

 僕は再び、首都テグシガルパへと旅立つ事となりました。

 首都で行われるU-20ホンジュラス代表の3日間の合宿に、GKコーチとして召集されたのです。※U-20ホンジュラス代表=20歳以下のホンジュラス代表。

 来年、行われる「U-20W杯ニュージーランド大会2015」に向けて、先日、発足したばかりのU-20ホンジュラス代表…。これが立ち上げから2度目の合宿。実は1度目の合宿の時点で他に別のGKコーチが居たようなのですが、監督が彼の事を気に入らなかったらしく、あえなくアウト…(さすが、ホンジュラス!こんな事、日本じゃメッタにありえない!)。そこで急遽、今回の合宿に、「臨時GKコーチ」として僕が呼ばれる事となったのです。

 あくまでも次のGKコーチが現時点で決まってなかったための応急処置かつ「暫定」のGKコーチであり、正式にU-20ホンジュラス代表のGKコーチに就任した訳ではありませんが、どういう理由であれ人生最大のであるホンジュラス代表(のU-20)にこうして招集され、生まれて初めてホンジュラス代表の公式エンブレムが胸に刻まれたユニフォームに袖を通した瞬間は…言葉では言い表せないほどの感動が込み上げてきて、鳥肌が立ちました。


※今回の合宿でルームメイトとなった、U-20ホンジュラス代表フィジカルコーチのアリエル・ブスタマンテ。何よりも驚いたのが、こう見えて彼は僕よりも年下だった事!少なくとも僕より10歳は年上に見えたのですが…(汗)。

U-20ホンジュラス代表合宿①

 

※これがホンジュラス代表の公式エンブレムです。このユニフォームに初めて袖を通した時の感動は、一生、忘れられません。

U-20ホンジュラス代表合宿③



※ウティレロ(用具係)が僕の使用するソックスに僕の名前を書いて管理していたのですが…「Johy」って(涙)。これまでも「Joni」など、至るところで名前を間違えられてきましたが(詳しくはこちら→森本高史さん執筆のサッカーダイジェスト記事『波乱万丈の流浪GK』 )、今回のは「o(オー)」しかあってないし…。これから名前も浸透させていきます!【注】僕の名前は「Yoji」です。

U-20ホンジュラス代表合宿④



レアル・ソシエダ のチームメイトである18歳ボランチ、ジョナタン・パスも合宿に召集されました。ホンジュラス人にしては珍しい、無口で真面目な選手です。

U-20ホンジュラス代表合宿②


 
 実は、このU-20ホンジュラス代表…昨年の「U-17W杯UAE大会2013 」で、ベスト16だった日本を上回る「ベスト8」に輝いた、「ホンジュラス史上最強」と言われる世代が中心となっているチーム。昨年のU-17ホンジュラス代表の選手がチームの9割近くを占めており、今回のU-20W杯でも本大会出場は最低限の義務、昨年のU-17を上回る快挙を求められています。このチームに対しての国民、そして協会の期待値は過去最高に高い。だからこそプレッシャーも、半端ではありません。

 確かに「レベル」だけで見るなら、いくら「ホンジュラス史上最強」世代と言っても全員がまだ10代であるU-20ホンジュラス代表より、普段、GKコーチを務めているホンジュラス最高峰リーグで優勝争いをするレアル・ソシエダや古巣パリーヤス・オネ のレギュラークラスの方が心技体…全てにおいて上です。

 しかし…。「代表」チームは、「重み」が全然、違う。「一国を代表して戦う」プレッシャーは、「クラブチーム」であるレアル・ソシエダやパリーヤス・オネよりも遥かに大きい。しかも僕は、ホンジュラスとは全く無関係の国である日本のGKコーチ…。たった3日間の合宿ではありましたが、ここでGKコーチを務める事の責任の大きさを強く感じました。これが「代表」というものか…。

 さらに、「代表ならでは」の難しさもありました。前述したようにGKのレベルも、まだ10代と若いU-20のGKたちは、レアル・ソシエダやパリーヤス・オネのレギュラーGKたちと比べて1ランクも2ランクも実力が落ち、改善・修正すべき課題は山ほどあるのですが、毎日じっくり練習できるクラブチームと違い、代表はとにかく「時間」がないのです。

 先日のブログ【満を持して… 】でも書いたように、力が足りないGKを高いレベルで戦えるように成長させるには、最低でも2ヶ月間(毎日じっくり練習できる時間)が必要です。2ヶ月間あれば、ある程度、実力がないGKでも、高いレベルで戦えるように押し上げれる自信はあります。ところが代表チームは、せいぜい数ヶ月に2、3回程度だけしか合宿が行われず、1回の合宿も僅か数日しか練習できません。しかも、数日間だけ練習した事を、また1、2ヵ月後に召集された時も果たしてGKはまだ覚えているのか?体に染み込んでいるのか?山ほどある課題とは反比例し、それを改善・修正する時間はほとんどないという「代表ならでは」の難しさ…。限られた時間の中で、どうやってGKを成長させていくか…。クラブチームとは異なるプランニングが要求されます(GKたちにはそれぞれの課題を具体的に合宿の中で伝え、その課題を「次の合宿までに各自の所属クラブの練習の中で意識して取り組み、できる限り改善してくれ」と話しました)。



 こうして3日間のU-20ホンジュラス代表合宿は、あっと言う間に終了しました。


 近い将来、ホンジュラスのフル代表のGKコーチに就任してW杯に出場し、日本を倒してベスト16以上に進出する …という人生最大の夢であり目標をもつ自分にとって、今回の3日間のU-20ホンジュラス代表合宿は、何ものにも変えられない貴重な経験となりました。


 ただ、僕は、これを単なる「貴重な経験」で終わらせる気は、毛頭ありません。

 
 日常生活レベルから「ありえない!」問題がたくさん噴出 している厳しい現状ですが、再びU-20からお呼びがかかるよう…その先にある前述の人生最大の夢・目標を実現できるよう…これからも今、目の前にある「やるべき事」にただただ無心で全力を尽くしていきます!!これを「貴重な経験」で終わらせず、必ずや今後、「人生最大の夢・目標を実現」します!!


※現ホンジュラス代表(フル代表)監督であるルイス・スアレスとも知り合う事ができました。スアレスはU-20の宿泊先のホテルにも訪問してくれ、選手やコーチングスタッフたちの前で講演を行ってくれました(練習試合も視察に来てくれた)。2006年のドイツW杯でエクアドルを史上初のベスト16に導き、2012年のロンドン五輪でホンジュラスを史上初のベスト8に導いた名将 の言葉には、とてつもない重みと説得力がありました。ブラジルW杯まで3ヶ月を切ったこのタイミングで知り合えた縁…。無茶苦茶な国ホンジュラスの事だから、まだまだ何が起こるか分からない…。フル代表のGKコーチが脚を怪我して離脱する可能性もある。最後の最後までブラジルW杯出場を諦めずに全力を尽くしていくぞ!!

ホンジュラス代表監督スアレスと!




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