明日、家がない。
【再び、家を失う 】の続き（？）です。
現在、レアル・ソシエダのホームタウンであるトコアの、とあるアパートに住んでいます。
昨季、所属していたパリーヤス・オネでは、約束されていた「１人暮らしできる住居」が結局シーズン中の４ヵ月半、全く準備されず、「地獄のクラブハウス」で大量の選手やサソリたちとの共同生活 を強いられるなど過酷な日々を過ごし、体重も約１０ｋｇ減少して痩せコケてしまう…という壮絶な経験をしましたが、こういう部分に関してはレアル・ソシエダはパリーヤス・オネよりもプロフェッショナルで、約束された「１人暮らしできる住居」はトコアに帰還 してから僅か３日で無事に準備されました。
※ベッド以外に特に何もない部屋ですが、そこに「１人暮らしできる住居がある」というだけで何物にも変えられない幸せを感じます。自分の家がなくて苦しい思いをしたパリーヤス・オネでの過酷な日々の事を思うと…感慨深くて涙が出そうになります。ついに、念願が叶う！！
※実はここは、昨年、レアル・ソシエダに居た時に住んでいたのと同じアパート。ただ、昨年の部屋にはTVすらなかったのに対し、今の部屋にはTVも完備！！ついに、念願の「三種の神器」を入手じゃ！！（「ALWAYS 三丁目の夕日 」の世界かよ…）
毎日、練習から帰ってくると、そこに誰にも邪魔される事がない、誰にも気兼ねする必要がない「自分だけの空間」が目の前にある…。その事に、「ああ…。本当に幸せじゃのう」としみじみ感じます。日本じゃ当たり前の事ですが、今の僕にとっては本当に特別な事…。
しかし…。
「幸せな日々」が、長続きしないのが、ホンジュラス…。
またしても「想定外のありえない問題」が発生し、せっかく、念願叶ってやっと入手した家を失ってしまう大ピンチに陥りました。
このアパートの家賃は「チームが払う」事になっているのですが、何とその家賃をチームが１ヶ月間、滞納…。最近、毎日、大家から「家賃を払え」とプレッシャーをかけられ、その度にチーム関係者に「家賃を払ってくれ」と要請していたのですが全く支払われず、これに今日、ついに大家が激怒…。
「もし、今日中に家賃の支払いが行われなければ、明日、荷物をまとめて出て行ってもらう！！Yojiが再び部屋に入れないよう、鍵も変える！！Yojiの部屋に別の人間を明日から住ませる！！」
…と、「最後通告」をされてしまいました。万事休す…。
これまでも何度言っても支払われなかった家賃…。それを今日の今日でいきなりチームに支払わせるのは、ほぼ不可能…。おまけに直近の試合でチームは痛恨の敗北を喫し、会長の機嫌が最高に悪い…。
終わった。
明日から一体、どこに住めば良いのか…？
家がなければ、サッカーどころか、生活ができない…。
どうすれば良いんだ…？
天国のおじいさん 、頼む。助けてくれ…。
正に、絶体絶命。
今回ばかりは本当に駄目かと思い覚悟を決めましたが、それでも最後まで諦めず、練習前にチーム関係者に「今すぐ家賃を支払わないと住む場所を失って大変な事になる」と事態の緊急性を必死で説明…。
それに対してチーム幹部は、やっと、「分かった。今からすぐに家賃を払いに行く」と電話でメッセージをくれたのですが、ここはホンジュラス…。そういう言葉に騙され何度も失望させられてきた経験があるので、本当に支払われるまでは信じられない…。
ドキドキしながら練習から帰り、アパートの大家に「チームから家賃は支払われたか？」と聞きます。これで支払われてなかったら、アウト。僕は家を失います。人生を左右する大家の返答は…？
「ああ。支払われたよ」
サーーーーーーーーーーーーッ！！！！！！！！
思わず卓球の福原愛ちゃんみたいに「サー！！」と雄たけびを挙げて、ガッツポーズをしましたよ！！本当に…本当に、良かった！！天国のおじいさんが、またしても助けてくれた…。ありがとう、おじいさん！！
こうして僕は何とか家を失うピンチを紙一重で脱し、無事にトコアでの１人暮らしを継続させる事ができました（現時点では…）。
普通に生活するだけでもこのようにたくさんのトラブルが起こり、全てが一筋縄ではいかないホンジュラスですが、様々な辛い経験をしてどん底まで落ちた ら、逆に何だか気持ち的に開き直り、最近は僕の原点である「笑顔」に立ち返って、前向きに楽しみながら毎日を過ごしています。
「笑顔」の時にこそ、道が拓ける。
今後、この先に、必ず「光」があると信じています…。
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【Yoji Yamano/山野陽嗣
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