1930年代~1950年代のアメリカの地 で『怒りの葡萄』や『エデンの東』の原作が映画化もされ、
世間の注目を浴びた作家、ジョン・スタインベックの短編 のひとつに
『朝めし』という物語がある。
日本語訳を読んでみても、あっさりとしていて、なんのことはない「朝ごはんの話」なんだけど
そこには、今日という一日のスタート、“人間の旅立ち”についてが書かれている。
そして、どんな道をゆくにも、
たとえ スキヤキの匂いが漂う空を見あげて歩こうとも 、
大地を歩く時は靴を必要とする人間。
この世に創られ、産まれ、育ち、やがては誰もが死にゆく その一生の間に
自分自身に穿かされた能力を遣い、育み、また、
そこに用意された“それ”を磨くも古惚けさせるも己次第…
文学や映画の世界に限らず、音楽の世界にも
これまでの人間の歴史上では
自分が生きる場所へ旅立つときに必要な様々な靴が、様々な人間に用意され 、
本来は一人に一足ずつと決められ、
この世に生きるために与えられてきた。
http://ameblo.jp/badlife/entry-10003786151.html September 26, 1987
1950年代にアメリカの地で発祥(スタート)したロックンロール には
カール・パーキンス をはじめ、
エルヴィス・プレスリー に代表される“Blue Suede Shoes ”♪
というオールディーズのスタンダードナンバーがあり、それは、
ファッツ・ドミノ 、ジョニーキャッシュ 、アルバートキング 、ジミ・ヘンドリックス 、ライ・クーダー にも演奏され、
のちに、ブライアン・セッツァー やトイ・ドールズ など、世界中の様々なアーティストがカヴァーしている。
靴をテーマにした歌 としては、これほど世界中に親しまれている歌はないんだけど
このほかにも、スタンダードとして幅広いジャンルのアーティストにカヴァーされている曲としては
The Fixx やディヴィッド・バーンも歌った、“These Boots Are Made For Walkin' ”♪という楽曲もあり、
人類におけるロックンロールの模作が60年代、70年代を走り抜ける中には、
ジョーン・バエズ やボブ・ディランの歌った『スペイン製の皮ブーツ 』という曲や、
リトル・フィートのSailin Shoes 、トム・ウェイツのRed Shoes (Chris Thomas King のカヴァーなのか?)
レゲエではボブ・マーリーの“Dancing Shoes ”♪ というのもあったり、
御気元なところでは、グラハム・パーカーの“Soul Shoes ”! (バラカンビートVol.58-Dec16th,2007 より。)
パンクムーブメントにも、クラッシュのNew Boots And Contracts 、
ニューヨークドールズのPuss 'N Boots だとか
アダム・アント によって歌われた Goody Two Shoes などという曲もあって、
日本でもルースターズというバンドが『ブラック・レザー・ブーツ』という唄を歌っていた80年代もあった。
アメリカの地では、ブーツ を履いてギターを片手にしたカントリー・ミュージック が、
やがて黒人音楽 に魅せられ、
トラッドなフォーク の流れとは別の、そのブーツスタイル が
極めて自然な成り行きで人種を超えたロックンロールに変わっていったわけなんだけど
へヴィ・メタル にも受け継がれたブーツスタイル も含め、
ロックの世界革命を不発に終えたあの The Smiths さえも見落とした部分 、
その ロックンロールという世界へ伝わるエネルギーの象徴のひとつ に
ブーツ とか、靴 をテーマとした“自分自身の今”を歌う歌があった。
そして、Tetsuya Itami の
『女とトンガリブーツ 』。
そういう世界の音楽界の名曲・名演の余興(opening)とはべつに
人間一人の人生に用意される靴をテーマとした曲で
『靴磨きの歌』というのを2006年6月11日のLIVE! で一回だけ聴いた記憶はありますが、
ほとんど、わすれてしまいました。すみません。
いつか…またどこかで、歌って聴かせてください。
そして、Fightingレーベル 、Tetsuya Itami の
『女とトンガリブーツ 』。
そういう世界の音楽界の名曲・名演の即興(ad lib)とはべつに
ここで歌われている“尖ったブーツ”とは、
「アンダーグラウンドにも属さない あやつり人形にもなりはしない 」という、
これまでの自らの音楽人生そのものであり
“女” “恋人” “君”というのは、
ある男が、その生涯を通して愛する“音楽という愛人”そのものであり
“風の中の旅人”とは、歌うこと、歌えることの自由。FREEDOM 。そして形なき壮大な夢…
そう想って聴くと、この曲はなんとも
ブルージーで切ない心境がクールにしたためられた一曲。
かつて、これほどまでに、人ひとりの人生が見事に表現された歌が
この日本にあっただろうか? というほど、
日本の音楽シーンに生きた35年間の歩み…。その、
雨に打たれながらも闘いつづけた日々は今も色褪せることなく
この歌の中にも輝きつづけている。
とくに印象的なのは、
♪赤い傘をさして青い雨の中を いつまでもおれを待っていてくれた君は…君はいない
という一節。ここでは、
「赤い傘」という言葉が、人間の持つ情熱そのものとして、
「青い雨」という言葉が、独りの青春や穢れのない野心や希望を喩えるように
今の時代の人々が忘れかけているモノを蘇らせている。
『You are the Rain 』や、俳優・哀川翔に提供した『RAIN 』
『野ばら 』
『雨を見たかい 』 『蟻と虹 』
『晴天と武器 』 『見上げれば晴天 』
デヴュー以来、雨をテーマに、もしくは、雨にまつわる歌がいくつか発表された中で
『女とトンガリブーツ 』という、
この曲がつくられた当初(2006年11月)は、
HELLO 1%。元気かい?
ただ今、AM1:30を少し回ったところだ。
スタジオから帰ってきた。
今日は一週間前に書き下ろした『女とトンガリブーツ』という曲をレコーディングした。
3時間で少し違う4テイクがある。
これからはこんな風に出来たら一人弾き語りでクリック相手に
スタジオで音をとってゆくことにした。
ホームページにUPするつもりはない。自宅録音じゃないんでね。
2006.11.26 “おれのたわ言”より 。
当時の新作 のレコーディング直後 の際にはそのように伝えられていたものの、
現在では、自身のサイト で、gallery~2007 の7ページ目 に紹介されている。
そしてそこには…
THANK YOU!!!
今尚、俺は思う。
俺って奴は自分が心の底から燃えられるものが必要なんだ。熱中する事が好きなんだな。
好きでいる為には休むしかない。嫌いにならない為にな!贅沢な事さ!
離れればよく見える。離れ過ぎると見えなくなる。
こんな風に歌とは一生付かず離れず付き合ってゆく友であり恋人である。
心に吹く今の風をそのまま詩にし、メロディーにし、声にしてきた。俺も年を重ねてきた。
苦しみとか悲しみとか矛盾とか葛藤とかブルーにこんがらがったものは胸が痛い。
今更ながら若いと言う字は苦しいと言う字に似ている。もう俺には苦しみの歌は思い出であってもらいたい。
ひとり苦しんで来た日々がおかしい。でも俺は若さを懸命に生きたと思う。悔いはない。
これからは王の世界へ導くような歌に囲まれて生きてゆければ幸いである。
最後に俺にとって歌とは辞めるとか辞めないとかそんなレベルじゃないのさ!
投稿者:歌野郎 投稿日:2007年 6月13日(水)01時09分15秒 より。
おそらく、今日という日 を予兆するかのように
♪くたびれちまったトンガリブーツが語りかける
もう旅を終えてしまうのか?
トンガリブーツ。 おまえを脱いで 素足になってはみたけれど
と、歌いだされた『女とトンガリブーツ 』。
あれから、昨年暮れのLIVE December 10, 2006 にて
それまでの闘いに決着をつけることを決意し、
「死ぬか生きるか覚悟を決めろ!」と題された、
今年2月の燃え尽きたLIVE February 04, 2007 の直前には…
個人リハを行う。
『女とトンガリブーツ 』
は歌わないが
その頃の写真をUPした。
週刊プレイボーイの切り抜きだ。
その中に 「プロとは売れなきゃダメだ」と
のたまっている。
あれから26年。
山あり他にありの音楽航路。
週刊プレイボーイが歌詞に
出て来る歌を今回 は歌う。
2007.1.27 “おれのたわ言”より 。
そんな心境も語られていたこともあった。
そして今日。今も、こうしてインターネット上で
便利な real player を利用して簡単にフルトラックを聴くことが
誰にでも許されている、この、
『女とトンガリブーツ 』
それでも、この曲は理想を追いかける現実ということでもなく、
単に、なにかを懐かしむような雰囲気を装う どころか
♪明日この靴 捨て去るまえに…
このひとことによって、
聴く者の未来に秘められた可能性や保証なき旅立ちにまで
自分自身との約束があったことを信じる勇気を与えてくれている。
なお、楽曲の著作権は伊丹哲也さん にあります。
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…いま同じ時代に
このような素晴らしい楽曲をつくって歌える人が生きていて
俺はちっとも寂しいことなんてねぇぞ。
泣いてるヒマなんてねぇだろ。
涙で足元が見えなくなっちまうよ。
そんなに強く生きられる人間なんて少ないかもしれないけど
自分の靴にカビがはえるほど弱すぎる。しかも頑張り過ぎて。
ごめんね。
俺は哲也さんの歌で靴を修理され
毎日磨いてるぜ。今も。
ファンなら当然のことだろ。
そういうヤツ が今この世に、いっぱいいりゃぁ、
またいつでも、いつまでも、目の前で歌ってくれると想うよ。俺はな。
http://scrapbook.ameba.jp/music-trefle_book/entry-10038497375.html