批判的思考 | 秋山のブログ

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昨年、アマゾンのキンドルという読書用の端末を購入した。定額で読める本もたくさんあるし、お気に入り(最近のお気に入りは行動経済学の本である)の本をいつでも持って歩いて読むこともできる便利なものである。

ところで、読んだ本の中に「批判的思考」に関する本が何冊かあった。以前、合理的思考因果推論大学で学ぶべき方法論などについて書いたことがあったが、簡単な紹介程度の話だったので今回は、もう少し踏み込んで書こうと思う。というのは、読んでいる時に、主流派経済学において批判的思考の視点からすると間違っていることがしばしばおこなわれていることに気付いたからだ。

 

批判的思考を非難とかあら探しをする思考と勘違いしている人がいるという話だが、批判的思考とは、感情やイメージなどで判断するのではなく、それが正しいのかどうか冷静にきちんと検証する論理的な思考のことだ。何事も鵜呑みにせずに、一度は疑って検証することが重要ということである。大学以降の学問では、この批判的思考により吟味し、時には否定して自発的に新たな真実を求めていくことが重要である。

批判的思考は、次のような手順をとる。

①明確化:主張とそれを支える根拠を正しく理解する。
②推論の土台の検討:隠れた前提を明 らかにしたり、信頼できる証拠に基づいているかを検討する。
③推論:演繹・ 帰納・価値判断によって、偏りのない結論を論理的に導く。
④行動決定:意思決定や問題解決をする。
 

さて、批判的思考では、注意すべき誤った思考パターンについて、いろいろ取り上げられている。ここに経済学で見かける誤り、もしくは詭弁の多くが一致するのである。以下、説明する。

a)イメージ思考:具体性や客観性もなく、イメージで判断するもので、例えば、大きい政府だからとか小さい政府だからとか、右寄りの経済政策だからとか左寄りの経済政策だからとかで良し悪しを判断するものなどがそうである。しばしばわざわざレッテルを貼って主張されることもある。

b)権威による思考停止:権威者の意見にその根拠をもとめるもの。例えばノーベル経済学賞受賞者が言っていることだから正しい等の主張である。似たようなものとして、皆が言っているとか、テレビでそう放送されていたといったパターンもある。

c)類否の誤り:人は何か分からないものを見つけた時、似たようなものに置き換えて判断することがしばしばあるが、全く性質の異なるものに置き換えてしまえば、誤った結論しか導けない。国家の会計を、一般家庭の会計に置き換えて考えてしまうというものが典型。

d)多義語の誤謬:語句の定義が曖昧なため、違った意味で用いられている誤り。例えば、設備投資と証券投資は全く別のものだが、単に投資と表現されしばしば混同される。

e)白黒思考:有るか無しかの極端な単純化をおこなう思考法。例えば、経済成長に少子化はマイナスの要因だが、現在の少子化がどの程度影響を与えているか検討せずに、少子化があるだけで、経済成長が上手くいかない理由を少子化のせいだと決めつけたりするのがこれにあたる。

f)合成の誤謬:部分的に正しいことも、全体としては間違っている場合があるということ。例えば、国民全員が節約して貯蓄にはげんだとしても、節約して貯蓄を増やす行動が他者の収入を減らすため全体として貯蓄は全く増えないといった現象がこれにあたるだろう。

g)循環論法:論証されるべきことが論証の根拠になっていてループするもの。例えば、「モノの価格が上がるということは、相対的に人々の貨幣に対する信任が低下するということです。だから貨幣の信任が低下するとインフレが起こります」といった話は循環論法で、何の証明にもなっていない。

h)未知論証:前提が、偽であることがこれまで証明されていないことによって真であると主張するもの。例えば、効率的市場仮説においては、「価格は正しい」仮説が幅をきかせていたが、これは直接観察できないことで正しいこととされてきた。

i)因果関係の誤り:片方が原因であり、もう片方が結果である関係を因果関係と言うが、数値的に相関関係が証明できても、因果関係にはないことはしばしばある。また、因果関係を逆に捉えたりする誤りもしばしばである。例えば物価の上昇が失業率を低下させる因果関係はない。物価を上昇させた原油価格の上昇が、賃金の上昇をもたらさなかったことがそれを証明している。

 

以上のように、誤った思考パターンがお馴染みの間違いで観察される。

今後、新たな間違いを見つける上でも、間違いであることを説明する上でも、批判的思考は役に立つだろう。