①貨幣発行の原資は物価

 

 マネーストックを増やす方法は、財政政策によって政府支出を増やすか、金融政策によって金融機関から民間への融資を増やすかです。マネーストックを増やせば大体においてインフレへの圧力になります。少なすぎるときはインフレまでは行きません。

 そして、マネーストックが十分に増え続け、GDPが増えるようになると、物価が上昇するようになります。

 そのインフレの程度が2~3%くらいであれば、賃金の上昇がインフレに追いつけるようになり、経済は良い方向に向かうと言われています。

 貨幣はどこからやって来るかを考えた時、貨幣を発行するメカニズムに注意するならば、中央銀行制度の下に、日銀が貨幣を印刷するのですが、これは、もともと国家主権によって、中央政府が持っていた権限を、立法によって、中央銀行に委託しているにすぎないもので、あくまで、中央政府が貨幣の発行者です。

 日銀は株式会社だから、所有者は株主であり、ユダヤ資本が牛耳っているとかの冗談話もありますが、株主が誰であろうと、すべての権限は法律の下に存在するのであって、株主が貨幣発行に関与出来るものではありません。

 日銀が貨幣を発行するときは、日銀の帳簿には、一旦、負債の部に「発行銀行券」という勘定が立ち、資産の部に「現金」が立ちますが、負債ではなく、「発行銀行券」は貨幣を発行したという記録に過ぎません。たまたま、記録帳が企業会計の書式を利用していることから起こる錯覚です。

 民間企業なら、株主が自己資金を出すか、他人から借りてくるしかないのですから、負債という表現が正しいのですが、日銀は無から有を作り出すことが出来、株主が自己資金を出したわけでもなく、誰からも借りていないのですから、負債と呼ぶのは間違いです。

 紙切れに1万円と書いて、貨幣という道具を作る行為に、貸し借りなど生まれるはずがありません。

 このようにして作った貨幣を市場に出す方法は、金融政策と財政政策という2つの手段があります。

 財政政策による場合は、政府が国債を発行して、金融機関を迂回して(現在の法律では直接日銀に買い取らせることは出来ない)、日銀に買い取らせる方法、つまり、国債という借用書を発行して、日銀から日銀が作った貨幣を借り受ける方法を採ります。しかし、この場合、日銀も政府の機関の一つに過ぎませんから、自分が自分に借用書を出すという陳腐なことが起こります。これは、実際の貸借ではなく、記録にすぎません。貸主や借主という仕分けもどうでも良いものです。そして、政府は財政政策によって貨幣を市場に供給します。

 金融政策による場合は、金融機関が預金を資金にして買った国債を、日銀が買い取ることで、金融機関に貨幣を手渡します。これは金融緩和と呼ばれます。金融機関は、企業や個人に貨幣を貸し付け、金融機関が主体となって、貨幣を市場に供給します。

 このようにして、政府(日銀)は貨幣を作り出し、市場に供給します。貨幣は無制限に作り出すことが出来、無制限に市場に供給することが出来ます。

 基本的に、貨幣の発行の原資などというものはありません。

 しかし、貨幣を発行しすぎると、良くないことが起こります。それはインフレです。インフレは、生産を刺激し、生産部門は賃金の上昇を行いながら生産を増大させるのですが、インフレのスピードが比較的ゆっくりならば、賃金の上昇が物価の上昇に追いつける良いインフレになります。

 賃金の上昇が物価の上昇に追いつけないほどインフレのスピードが早ければスタグフレーションと呼ばれる悪いインフレになります。

 この制約が、貨幣発行に関する唯一の制約です。よって、あえて、貨幣の発行の原資と呼ぶものがあるとすれば、この制約が貨幣の発行の原資となります。

 

 

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