【映画評】アウトレイジビヨンド
朝一番で見てきました。ネタバレしないように感想を書きます。
上映中ずっと喋り続ける隣のバカ夫婦に悩まされ、最後はキレて文句を言いました。ほんと、金と時間を投資しているのだから、勘弁してほしいですわ。
それはさておき。まあよくできたというか、まるで因数分解を鮮やかに解いたような映画でありました。前作で生き残った悪人ども(登場人物は全員悪人だけど)は、きっちり落とし前をつけられます。
相変わらずキャスティングと登場人物の配置も絶妙で、隙間無く映画世界にはめこまれています。さすが、たけしは理数系ですね。
だけど。前作のような突き抜けた面白さは正直ないですわな。80点を取りに来た映画という気がします。彼の場合、「ソナチネ」や「Dolls」のようなとんでもない傑作が日本であまり評価されず、海外でのみ評判になってしまうという不幸があります。
映画を作ってお金を取って見せている以上、観客動員数が伸びないのは気にならないわけがありません。だから、時には「座頭市」を撮ってお金を稼いだりします。やればできるのです。どちらかと言うと、今回はその路線をねらっているようです。
Yahoo!のレビューコメントを見ると、相変わらず「いい悪い」と「好き嫌い」を混同したものが多くあります。前者は普遍的なもので、後者は個人によって異なるものです。
この映画の質に関しては絶賛、酷評、両方が間違いと言えるでしょう。私はそのどちらかのコメントを書いた方の批評力を信用しません。もちろん、上に書いた通り、好き嫌いは自由に語っていいのですけれどね。
もし日本映画のレベルが落ちているとしたら、それは作り手だけの問題ではありません。観客のレベル低下も大きな問題です。
たけしの名言。「インターネットが発達して、馬鹿が発言するようになった」
私もその1人なのでしょうけど。
とあるイベントで、たけし本人と会ったことがあります。この世で、あれほど頭がいいなと思った人はいません。別の機会にその話をしますね。
【ここから宣伝】
私が書いた以下の作品が「第1回 誠 ビジネスショートショート大賞」 で一次予選を通過しました。ぜひご覧ください。※事務局にレイアウトを直していただきました。見やすくなっています!
「ストレス」
http://blogs.bizmakoto.jp/makotonovel/entry/5515.html
もし面白かったらで結構ですので、 作品ページ右上の Facebook「いいね!」ボタンをクリックしていただけたり、ツイートしていただけるとたいへん嬉しく存じます。
外資系企業はこんなところだった(4)外資系出身の日本企業社長
(過去ログ)
外資系企業はこんなところだった(1)
外資系企業はこんなところだった(2)選ばれし民
外資系企業はこんなところだった(3)株式会社XX日本支店
●外資系出身の日本企業社長
ちょっと余談になりますが、別の角度から考えてみましょう。
前回でお話した商品企画を例にとると、こういった仕事は楽しい反面、当然ながら責任を伴います。採算や顧客の評価を常に気にしなくてはいけませんし、失敗すれば企画者が責めを負います。大規模な投資を伴うものであれば、その成果は会社の経営すら左右しかねません。
これが経営戦略であれば、その内容はもっと会社の業績に影響を与えます。いかに慎重さが必要かということはご理解いただけると思います。
ところが、外資系企業でしか勤務せずにトップになった人には、こういった経験がありません。つまり、彼らには自分の考えや行いが間違っていたら、会社が傾いたり、つぶれたりするかもしれないというリアリティが欠如しているのです。
外資系企業でそれなりの役職を務めた人が、転職して日本企業のトップに立つと、往々にしてこのへんの問題が露呈してきます。若いうちに担当者としての実務から引き離され、特別の「帝王学」を学んだ彼らです。
すっかり現場感覚を無くしているところにエリート意識から来る妙な全能感があります。さらにビジネスのリアリティ(経営の危機感覚)を全く備えていないのです。
そして彼または彼女は、新しい会社の業務をろくに理解しないうちに(しようともしませんが)、トップダウンで新しいことをいろいろやりたがります。見た目はともかく、やることは田中真紀子なみです。
次々と繰り出すトンデモ施策は、当初その斬新さから社内外の注目を集めますが、そんなに時間がたたないういちに馬脚を現します。
それが元外資系トップの脳内にしか存在し得ない愚策でしかないことが、明らかになってくるのです。会社の業績が彼または彼女の施策によって、目に見えて悪くなることも珍しくありません。
元外資系エグゼクティブは弁舌さわやかで、一見、経営のことを知り尽くしているように見えますから、転職市場では引く手あまたです。ところがいざ、社長に据えてみると、実は何もわかっていないし、わかろうとしない人間であることが多いのです。
その証拠に、こういった人たちは比較的短い間しか同一の日本企業にいられません。私が見たところ、三年持てばいい方でしょう。このままでは会社がつぶされる、と耐えかねた周囲が追い出しにかかるのです。
追われたご当人は会社を追われたことについて社内の無理解、レベルの低さというところに原因を求めます。もちろん、自分の所業について反省とか後悔をすることは、まずありません。
元外資系エグゼクティブには独特のコミュニティがあり、お友達同士で仕事を融通し合ったりしています。そんなわけで、次の職場がすぐ決まることも多く、ご当人は次の転職をステップアップと前向きにとらえているようです。本当におめでたい限りです。
外資系企業から日本企業へまっすぐ来てもらえれば、まだいいのですが、やっかいなのはコンサルティング会社で何年か働いてから来る場合です。
たとえて言えば、これはタリバンをアメリカ海兵隊で訓練するようなものでしょう。狂った頭脳と頑強な肉体を兼ね備えてしまいますから、手がつけられません。国内企業のトップに座ると、宣教師が未開の原住民を指導するようなやり方で、猛スピードであれこれ指図します。当然、やることはでたらめなので、会社は急激にメチャクチャになっていきます。
私自身も甚大な被害を受けた経験があるのですが、このブログの趣旨と異なりますので、このぐらいにしておきましょう。
おわかりかとは思いますが、ここまで述べたのは、あくまでも外資系のトップ、それもたちの悪い連中の話です。すべてのトップ、ましてや一般社員にこのようなことが当てはまるわけではありませんので、念のため。
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私が書いた以下の作品が「第1回 誠 ビジネスショートショート大賞」 で一次予選を通過しました。ぜひご覧ください。※事務局にレイアウトを直していただきました。見やすくなっています!
「ストレス」
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もし面白かったらで結構ですので、 作品ページ右上の Facebook「いいね!」ボタンをクリックしていただけたり、ツイートしていただけるとたいへん嬉しく存じます。
外資系企業はこんなところだった(1)
外資系企業はこんなところだった(2)選ばれし民
外資系企業はこんなところだった(3)株式会社XX日本支店
●外資系出身の日本企業社長
ちょっと余談になりますが、別の角度から考えてみましょう。
前回でお話した商品企画を例にとると、こういった仕事は楽しい反面、当然ながら責任を伴います。採算や顧客の評価を常に気にしなくてはいけませんし、失敗すれば企画者が責めを負います。大規模な投資を伴うものであれば、その成果は会社の経営すら左右しかねません。
これが経営戦略であれば、その内容はもっと会社の業績に影響を与えます。いかに慎重さが必要かということはご理解いただけると思います。
ところが、外資系企業でしか勤務せずにトップになった人には、こういった経験がありません。つまり、彼らには自分の考えや行いが間違っていたら、会社が傾いたり、つぶれたりするかもしれないというリアリティが欠如しているのです。
外資系企業でそれなりの役職を務めた人が、転職して日本企業のトップに立つと、往々にしてこのへんの問題が露呈してきます。若いうちに担当者としての実務から引き離され、特別の「帝王学」を学んだ彼らです。
すっかり現場感覚を無くしているところにエリート意識から来る妙な全能感があります。さらにビジネスのリアリティ(経営の危機感覚)を全く備えていないのです。
そして彼または彼女は、新しい会社の業務をろくに理解しないうちに(しようともしませんが)、トップダウンで新しいことをいろいろやりたがります。見た目はともかく、やることは田中真紀子なみです。
次々と繰り出すトンデモ施策は、当初その斬新さから社内外の注目を集めますが、そんなに時間がたたないういちに馬脚を現します。
それが元外資系トップの脳内にしか存在し得ない愚策でしかないことが、明らかになってくるのです。会社の業績が彼または彼女の施策によって、目に見えて悪くなることも珍しくありません。
元外資系エグゼクティブは弁舌さわやかで、一見、経営のことを知り尽くしているように見えますから、転職市場では引く手あまたです。ところがいざ、社長に据えてみると、実は何もわかっていないし、わかろうとしない人間であることが多いのです。
その証拠に、こういった人たちは比較的短い間しか同一の日本企業にいられません。私が見たところ、三年持てばいい方でしょう。このままでは会社がつぶされる、と耐えかねた周囲が追い出しにかかるのです。
追われたご当人は会社を追われたことについて社内の無理解、レベルの低さというところに原因を求めます。もちろん、自分の所業について反省とか後悔をすることは、まずありません。
元外資系エグゼクティブには独特のコミュニティがあり、お友達同士で仕事を融通し合ったりしています。そんなわけで、次の職場がすぐ決まることも多く、ご当人は次の転職をステップアップと前向きにとらえているようです。本当におめでたい限りです。
外資系企業から日本企業へまっすぐ来てもらえれば、まだいいのですが、やっかいなのはコンサルティング会社で何年か働いてから来る場合です。
たとえて言えば、これはタリバンをアメリカ海兵隊で訓練するようなものでしょう。狂った頭脳と頑強な肉体を兼ね備えてしまいますから、手がつけられません。国内企業のトップに座ると、宣教師が未開の原住民を指導するようなやり方で、猛スピードであれこれ指図します。当然、やることはでたらめなので、会社は急激にメチャクチャになっていきます。
私自身も甚大な被害を受けた経験があるのですが、このブログの趣旨と異なりますので、このぐらいにしておきましょう。
おわかりかとは思いますが、ここまで述べたのは、あくまでも外資系のトップ、それもたちの悪い連中の話です。すべてのトップ、ましてや一般社員にこのようなことが当てはまるわけではありませんので、念のため。
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私が書いた以下の作品が「第1回 誠 ビジネスショートショート大賞」 で一次予選を通過しました。ぜひご覧ください。※事務局にレイアウトを直していただきました。見やすくなっています!
「ストレス」
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外資系企業はこんなところだった(3)株式会社XX日本支店
(過去ログ)
外資系企業はこんなところだった(1)
外資系企業はこんなところだった(2)選ばれし民
●株式会社××日本支店
外資系企業の日本法人は、その企業にとっての『日本支店』です。国内企業の大阪支店や福岡支店と同じですね。当たり前だとおっしゃるかもしれませんが、意外と忘れがちなのです。
まず、外資系に勤めていると言うと、海外出張が多いのでは?とか、海外駐在があるのでは?とよく訊かれます。例外はありますが、一般的には国内企業で海外展開している企業の方が、はるかに海外出張のチャンスは多いはずです。
また、幹部候補生のエリート研修を除けば、海外に駐在する機会はほとんどないと思って間違いないでしょう。
なぜなら、日本法人は『支店』だからです。『本社』から『支店』に出張するケースの方が、はるかに多いのは国内企業と同じですし、支店社員がわざわざ海外に駐在する必要性はあまりないのです。
私が感じている、外資系企業と国内企業のもっとも大きな違いをお話しましょう。
前述の通り、私は十数年の外資系企業勤務を経て、国内企業へ転職したわけですが、そこで担当したのが商品企画でした。自分で商品を考え、値段をつけて営業や顧客にプロモーションする……これは、身震いしたくなるほどの快感でした。
自分の考えが形になり、会社が動くのです。まさにサラリーマンの醍醐味と言えるでしょう。そして、それは外資系企業では絶対にあり得ない職務でもありました。
一般的には、外資系企業が海外現地法人に主力製品の企画をやらせることは、まずありません。自国で考案したものを海外展開するのが普通です。もちろん、多少のマイナーチェンジはあるでしょうが。
サラリーマンも経験を積んでくると、自分のアイデアや考え方を業務に反映したいと思うものです。ところが、『日本支店』にいる限りは、会社全体を動かすことができません。
こんな商品があれば売れるのにとか、この商品はこんなところを修正すべきと思っても、なかなか本社(本国)には伝わらないものです。まれに希望が聞き入れられても、その反映には国内企業の数倍、数十倍の時間がかかってしまいます。
また、経営戦略や営業目標の策定に『支店の声』が影響を与えることもありません。本国から頂戴したものを黙って実行することになります。何回も述べている通り、現地事情を無視した無茶苦茶な本国の指示に困らされたことのない『支店社員』はまれでしょう。
国内企業の社員であれば、必ずしもエグゼクティブではなくても、担当者として計画策定に参加することができます。こういうものは会社の上層部が勝手に決めているのではなく、担当者グループが起案したものを上がチェックし、承認することになるからです。
要は、外資系企業の社員である限り、これらの事柄は考えなくてもいいし、言い換えれば考えることができません。ここが国内企業との大きな違いです。
会社を、単に労働を提供して金銭をもらうところと割り切れたら、外資系企業は何の問題もないでしょう。しかし、会社を動かすことを面白いと感じる社員にとっては、相当ストレスが溜まる環境かもしれません。
【ここから宣伝】
私が書いた以下の作品が「第1回 誠 ビジネスショートショート大賞」 で一次予選を通過しました。ぜひご覧ください。※事務局にレイアウトを直していただきました。見やすくなっています!
「ストレス」
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【ショートショート一次通過】ボツ原稿もご披露
昨日、私が書いた以下の作品が「第1回 誠 ビジネスショートショート大賞」
で一次予選を通過したというお話をさせていただきました。
「ストレス」
http://blogs.bizmakoto.jp/makotonovel/entry/5515.html
※もし面白かったらで結構ですので、 作品ページ右上の Facebook「いいね!」ボタンをクリックしていただけたり、ツイートしていただけるとたいへん嬉しく存じます。
ありがとうございます!
皆さまのおかげで、49作品中でアクセス数はトップ、大賞選考の参考となるFacebookの「いいね!」もトップです。
何がすごいって、このコンテストでは一次予選を通過した作品を9月7日からパラパラとWebにアップしているのですよ。それが10月2日にアップされた「ストレス」がトップですからね!
これもひとえに皆さまの組織票、いやご厚情のおかげです。本当に感謝します。
お礼と言っては何ですが、もう一つ応募して予選落ちした作品をここで公開させていただきます。これは過去の投稿 をリライトしたものです。
作品としてはこちらの方がまとまりがあると思いますが、一人一作品の通過だったのでしょうか?それとも、ただの酔っ払いの話でビジネスと関係ないからかな?(笑) まあ、新しく書いた話の方を評価していただけたのは嬉しいことです。
お時間がございましたら、ちらっと読み飛ばしていただけると幸いです。
【酔っ払い課長の話】
前に勤めていた会社での話。それはぼくがまだ社会人になって間もない頃のこと。
当時の上司はバケモノだった。図体がゴリラのようにでかく、何かしゃべると、その野太い声はフロア中に響き渡った。何より閉口したのは無類の酒好きで、毎日のように飲みに連れて行かれたことである。
楽しい酒ならいい。だが、全く楽しくなかった。居酒屋では、延々とつまらないお説教。オヤジは技術上がりで、生粋の営業ではない。こういう人間に限って「営業とは...」とか講釈をたれたがる。山本七平氏の本に、職業軍人ではない徴兵された兵隊に限って「軍人とは...」と威張りたがるという話があったが、それと同じ。
説教の中身も今思うと本当にくだらなくて、簡単に言ってしまえば「お客ともっと酒を飲め」というものだった。ぼくはその後、営業を十数年やったが、接待だけで商談が取れるほど世の中甘くない。オヤジの言うことが正しければ、世間のトップセールスは全員アル中のはずだ。
必ず行く2件目のバーでは、ひたすらカラオケ。これもボックスで気のあった仲間とやるのは楽しいが、バーで見知らぬおっさんたちの演歌を聞かされるのは地獄だ。それを3時間、4時間もである。
またここでもオヤジはわがままで、俺の曲を先に入れろと言い出しては、ぼくを困らせた。言われたとおりにやろうとすると、当然のことながら、他の客や店の人とトラブルになった。そんな時、オヤジは助けてくれようともせず、知らん顔をしていた。
オヤジはお婆ちゃんと呼びたくなるママとチークダンスを踊ったりもした。嫌がるぼくも無理やりやらされた。まさに恐怖体験。あれは今でも夢に見てうなされたりする。
午前3時から5時の間になって、オヤジはようやく「帰るぞ」と言い出す。それは、ぼくにタクシーを呼べと言っているのだ。
バブル絶頂期の頃である。タクシーチケットは無限に使えたが、とにかく車がつかまらなかった。携帯もない頃である。公衆電話で指が折れそうになるまでプッシュボタンを押し続けた。
ようやく車が来ても、さらに苦難は続く。悪いことにオヤジとぼくの家は方向が同じなのだ。タクシーの中でぬるい缶ビールを飲まされながら、また意味のない説教が延々と続いた。
それだけではない。オヤジは飲んだ翌朝も必ず9時前に会社へ来るのである。睡眠不足でふらふらのぼくが1分でも遅れると、フロア中に響く声で怒鳴りつけられた。
しばらくそんな日が続き、心身共にぼくはボロボロになっていった。あと、財布の中身の方も。今考えても信じがたいことにオヤジはほとんどぼくにおごってくれたことがなかった。割り勘とまではいかなかったが、必ず相応の金を払わされたのだ。
給料の安い新入社員が毎日飲みに連れて行かれたら、あっという間に金がなくなるに決まっている。オヤジに何度かそう訴えたが、馬鹿野郎、営業は飲むのが仕事だと取り合ってくれなかった。
ちょうどそんな時期、オヤジが行く管理者研修のアンケート依頼がきた。部下から見た上司、つまりオヤジの改善すべき点を書けというものだった。アンケートは匿名なので、誰が書いたかわからないということになっていた。
これ幸いと、ぼくは書きまくった。飲みに連れて行かれすぎで健康面、経済面で多大な苦痛を味わっているなどと。
オヤジは研修から帰ってくると、すぐにぼくを呼びつけた。
「悪かった。ちょっと飲み過ぎだな」
と、あやまられてしまった。ぼくが書いたことはバレバレだったのだ。
「俺もいろいろあらためるから、ちょっと話し合おう」
結局、その晩も飲みに連れて行かれてしまった。はじめは神妙に俺も悪かったなどと言っていたが、酒が進むにつれていつものオヤジに戻り、くだらないことアンケートに書きやがって、おまえは生意気だと、めちゃくちゃからまれた。本当にあの夜は最悪だった。
さて、ぼくたちオヤジの部下にはどうしてもわからないことがあった。それは、オヤジがどうやって栄養をとっているのかということだ。
飲み屋ではビールと麦茶みたいに濃い水割りをうわばみのように飲んでいたが、つまみはほとんど口にしない。昼飯も部下や同僚と行かないし、あまり食べている形跡がないのである。
議論の結果、どうもオヤジは普通の人間と異なり、アルコールを分解してエネルギーにできるらしいという結論に達した。
その日から、彼のことを酵母菌オヤジと呼ぶようになった。
当時の飲み屋には、今のような酒のバリエーションはなかった。「ビール」、「日本酒」、「ウイスキー」で終わり。ワインどころか、焼酎もめったになかった。
今はめったに飲まなくなったが、当時の基本であったウイスキーなど、水で割れば何でも同じである。どうせあのメーカーの酒しかなかったし。
つまり、酒の味が好きで、あそこまで飲むとはちょっと考えにくいのである。だが、オヤジが生物として生きるためにアルコールを分解する必要があるのだと考えると、それでしっくりいく。
しばらくすると、オヤジは日当たりのいい窓辺でプハー、プハーと大きな息をするようになった。そしてなぜか緑色のスーツばかりをよく着てきた。それを見た誰かが行った。
「ついに光合成を始めたぞ」
名前がクロレラオヤジに変わった。
時は流れて十数年、つい最近オヤジをふたたび見る機会があった。前いた会社の人が集う立食パーティがあったのだ。
利害関係のない今、人望の有無は如実に現れた。誰もオヤジのところへは行こうとしない。白髪の目立つ彼は、濃い水割りを飲みながら一人ポツンと立っていた。
隣の課長だった人は気さくな性格で皆に好かれていたから、今日も昔の仲間に囲まれていた。そしてぼくも元上司を無視し、そちらのグループに加わった。結局、酵母菌でクロレラだったオヤジには挨拶すらしなかった。
パーティの帰り、現在オヤジと同じ部署にいる人と帰りが一緒になった。自然と話題はオヤジのことになる。
「あいかわらず、濃い水割り飲んでいましたねえ」
ぼくがそう言うと、彼はエッという顔をした。
「知らないんですか?」
「・・・・・・」
「あれはウーロン茶です」
オヤジは数年前に肝臓を患い、大手術をしたらしい。彼は言った。
「あの人は、もう二度とお酒を飲めないのですよ」
「ストレス」
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※もし面白かったらで結構ですので、 作品ページ右上の Facebook「いいね!」ボタンをクリックしていただけたり、ツイートしていただけるとたいへん嬉しく存じます。
ありがとうございます!
皆さまのおかげで、49作品中でアクセス数はトップ、大賞選考の参考となるFacebookの「いいね!」もトップです。
何がすごいって、このコンテストでは一次予選を通過した作品を9月7日からパラパラとWebにアップしているのですよ。それが10月2日にアップされた「ストレス」がトップですからね!
これもひとえに皆さまの組織票、いやご厚情のおかげです。本当に感謝します。
お礼と言っては何ですが、もう一つ応募して予選落ちした作品をここで公開させていただきます。これは過去の投稿 をリライトしたものです。
作品としてはこちらの方がまとまりがあると思いますが、一人一作品の通過だったのでしょうか?それとも、ただの酔っ払いの話でビジネスと関係ないからかな?(笑) まあ、新しく書いた話の方を評価していただけたのは嬉しいことです。
お時間がございましたら、ちらっと読み飛ばしていただけると幸いです。
【酔っ払い課長の話】
前に勤めていた会社での話。それはぼくがまだ社会人になって間もない頃のこと。
当時の上司はバケモノだった。図体がゴリラのようにでかく、何かしゃべると、その野太い声はフロア中に響き渡った。何より閉口したのは無類の酒好きで、毎日のように飲みに連れて行かれたことである。
楽しい酒ならいい。だが、全く楽しくなかった。居酒屋では、延々とつまらないお説教。オヤジは技術上がりで、生粋の営業ではない。こういう人間に限って「営業とは...」とか講釈をたれたがる。山本七平氏の本に、職業軍人ではない徴兵された兵隊に限って「軍人とは...」と威張りたがるという話があったが、それと同じ。
説教の中身も今思うと本当にくだらなくて、簡単に言ってしまえば「お客ともっと酒を飲め」というものだった。ぼくはその後、営業を十数年やったが、接待だけで商談が取れるほど世の中甘くない。オヤジの言うことが正しければ、世間のトップセールスは全員アル中のはずだ。
必ず行く2件目のバーでは、ひたすらカラオケ。これもボックスで気のあった仲間とやるのは楽しいが、バーで見知らぬおっさんたちの演歌を聞かされるのは地獄だ。それを3時間、4時間もである。
またここでもオヤジはわがままで、俺の曲を先に入れろと言い出しては、ぼくを困らせた。言われたとおりにやろうとすると、当然のことながら、他の客や店の人とトラブルになった。そんな時、オヤジは助けてくれようともせず、知らん顔をしていた。
オヤジはお婆ちゃんと呼びたくなるママとチークダンスを踊ったりもした。嫌がるぼくも無理やりやらされた。まさに恐怖体験。あれは今でも夢に見てうなされたりする。
午前3時から5時の間になって、オヤジはようやく「帰るぞ」と言い出す。それは、ぼくにタクシーを呼べと言っているのだ。
バブル絶頂期の頃である。タクシーチケットは無限に使えたが、とにかく車がつかまらなかった。携帯もない頃である。公衆電話で指が折れそうになるまでプッシュボタンを押し続けた。
ようやく車が来ても、さらに苦難は続く。悪いことにオヤジとぼくの家は方向が同じなのだ。タクシーの中でぬるい缶ビールを飲まされながら、また意味のない説教が延々と続いた。
それだけではない。オヤジは飲んだ翌朝も必ず9時前に会社へ来るのである。睡眠不足でふらふらのぼくが1分でも遅れると、フロア中に響く声で怒鳴りつけられた。
しばらくそんな日が続き、心身共にぼくはボロボロになっていった。あと、財布の中身の方も。今考えても信じがたいことにオヤジはほとんどぼくにおごってくれたことがなかった。割り勘とまではいかなかったが、必ず相応の金を払わされたのだ。
給料の安い新入社員が毎日飲みに連れて行かれたら、あっという間に金がなくなるに決まっている。オヤジに何度かそう訴えたが、馬鹿野郎、営業は飲むのが仕事だと取り合ってくれなかった。
ちょうどそんな時期、オヤジが行く管理者研修のアンケート依頼がきた。部下から見た上司、つまりオヤジの改善すべき点を書けというものだった。アンケートは匿名なので、誰が書いたかわからないということになっていた。
これ幸いと、ぼくは書きまくった。飲みに連れて行かれすぎで健康面、経済面で多大な苦痛を味わっているなどと。
オヤジは研修から帰ってくると、すぐにぼくを呼びつけた。
「悪かった。ちょっと飲み過ぎだな」
と、あやまられてしまった。ぼくが書いたことはバレバレだったのだ。
「俺もいろいろあらためるから、ちょっと話し合おう」
結局、その晩も飲みに連れて行かれてしまった。はじめは神妙に俺も悪かったなどと言っていたが、酒が進むにつれていつものオヤジに戻り、くだらないことアンケートに書きやがって、おまえは生意気だと、めちゃくちゃからまれた。本当にあの夜は最悪だった。
さて、ぼくたちオヤジの部下にはどうしてもわからないことがあった。それは、オヤジがどうやって栄養をとっているのかということだ。
飲み屋ではビールと麦茶みたいに濃い水割りをうわばみのように飲んでいたが、つまみはほとんど口にしない。昼飯も部下や同僚と行かないし、あまり食べている形跡がないのである。
議論の結果、どうもオヤジは普通の人間と異なり、アルコールを分解してエネルギーにできるらしいという結論に達した。
その日から、彼のことを酵母菌オヤジと呼ぶようになった。
当時の飲み屋には、今のような酒のバリエーションはなかった。「ビール」、「日本酒」、「ウイスキー」で終わり。ワインどころか、焼酎もめったになかった。
今はめったに飲まなくなったが、当時の基本であったウイスキーなど、水で割れば何でも同じである。どうせあのメーカーの酒しかなかったし。
つまり、酒の味が好きで、あそこまで飲むとはちょっと考えにくいのである。だが、オヤジが生物として生きるためにアルコールを分解する必要があるのだと考えると、それでしっくりいく。
しばらくすると、オヤジは日当たりのいい窓辺でプハー、プハーと大きな息をするようになった。そしてなぜか緑色のスーツばかりをよく着てきた。それを見た誰かが行った。
「ついに光合成を始めたぞ」
名前がクロレラオヤジに変わった。
時は流れて十数年、つい最近オヤジをふたたび見る機会があった。前いた会社の人が集う立食パーティがあったのだ。
利害関係のない今、人望の有無は如実に現れた。誰もオヤジのところへは行こうとしない。白髪の目立つ彼は、濃い水割りを飲みながら一人ポツンと立っていた。
隣の課長だった人は気さくな性格で皆に好かれていたから、今日も昔の仲間に囲まれていた。そしてぼくも元上司を無視し、そちらのグループに加わった。結局、酵母菌でクロレラだったオヤジには挨拶すらしなかった。
パーティの帰り、現在オヤジと同じ部署にいる人と帰りが一緒になった。自然と話題はオヤジのことになる。
「あいかわらず、濃い水割り飲んでいましたねえ」
ぼくがそう言うと、彼はエッという顔をした。
「知らないんですか?」
「・・・・・・」
「あれはウーロン茶です」
オヤジは数年前に肝臓を患い、大手術をしたらしい。彼は言った。
「あの人は、もう二度とお酒を飲めないのですよ」
【ご報告】私のショート・ショート一次予選通過
こんばんは。本日は妙なお知らせです。
Business Media 誠というところが主催している「第1回 誠 ビジネスショートショート大賞」 に作品を応募したところ、一次予選を通過したという連絡がきました。私が書いたのは、こんな話です。
「ストレス」
http://blogs.bizmakoto.jp/makotonovel/entry/5515.html
お金とストレスをテーマにしました。短い話ですので、よかったら読んでやってください。こちらはコンサルタントの小田正嘉さん のお言葉をヒントにさせていただきました。※どんな言葉かを書いてしまうとネタばれになってしまうので、作品をご覧ください。
で、このコンテストが変わっていまして、
公開された作品が、Twitterでツイートされた数や、Facebookで「いいね!」された数も、二次審査の際に考慮します。
というのですよ。もし面白かったらで結構ですので、作品ページ右上の Facebook「いいね!」ボタンをクリックしていただけたり、ツイートしていただけるとたいへん嬉しく存じます。作品ページ下のコメント欄まで何か書いていただけると最高ですが、そこまでは望みません。
あくまでも面白かったらということで、ご協力いただけると幸いです。たいしたことなければスルーしてください。
それにしても、後半たたみかける部分で痛恨の「てにをは」ミスタイプがあったのは、ちと悔やまれます(笑)
本日は変なブログで、たいへん失礼致しました。
外資系企業はこんなところだった(2)選ばれし民
前作はこちら 。
●選ばれし民
実は外資系企業の『支配者グループ』にも日本人がいます。日本法人の経営者層で、本社機構の役職にもつけた場合は『奴隷頭』のような特権が与えられるので す。給料も普通の日本人社員とは別体系です。日本法人で普通に出世したのでは、絶対あり得ない金額を受け取ることになります。
その選別は、わりと早い段階から行われます。二十代後半ぐらいの『選ばれし民』は、一般社員と別の道程を歩み始めます。本社のある国への駐在や営業の要職 を経験した上で、まずは日本法人の重要ポストに就任します。そこからさらに選抜された者が支配者グループの末席へ座ることになるのです。
どのような人物が選ばれるのでしょうか?英語ができることは必須と思われるでしょうが、実は最初の段階ではそれほどではありません。また、信じてもらえないかもしれませんが、会社での業績もそんなに関係ありません。
まず、彼または彼女を推薦できる上司に気に入られるか否かがすべてです。ここでは、いわゆる年長者ウケするタイプが有利となります。
もちろん、その上司が社内的に発言権があることが必要です。したがって、会社の中で傍流と見られる部署からは、なかなか選抜されにくくなってしまいます。 優秀とみなされた若手はいったん中核部署へ異動させてから昇進させるケースもあります。
この場合は、初めから売上成績のいいところへ行くのですが、その売 上は『彼または彼女の』実績となり、昇進にハクがつくことになります。
日本法人で要職についた後は、いよいよ外人による選抜です。ここではもちろん英語力が必須。そして外人ウケするタイプが選ばれるわけです。
『年長者ウケ』して『外人ウケ』するって、どんな人?と思われるでしょうから、お話しましょう。
まず見た目ですが、総じてハキハキしていて押しが強いタイプであることが基本です。地味で控えめな人が選ばれることは、まずありません。
人格的には誰からも好かれる爽やかな場合と、誰からも嫌われるアクの強い場合の両方があります。残念ながら、私が所属していた会社では後者の方がはるかに(というか、ほとんど)多かったようです。
その社内では『出世する奴はロボットか、キチ○イ』と、よく言われていたものでした。外人様のおっしゃる無理無体を『お説ごもっとも』と無条件に受け入れられほど従順か、そもそも頭が狂っているかのどちらかに違いない、という意味です。
しかしながら、人間はそうそう簡単にロボットになれるものではありません。やはり出世組の人たちにも相当なストレスがあったようです。ある程度のポジションに就いた彼らが、無茶苦茶なパワハラやセクハラに走る例をいくつも見てきました。つまり、ロボットではない、人に迷惑をかける後者の方に流れていったのです。
さらに悪いことに、彼らは二十代後半で通常業務から引き離されて、一般社員とは別のエリートコースを歩むため、実務経験や業務知識が決定的に不足してしまいます。このことが後々悲劇をもたらすのですが、これは次の機会にお話しましょう。(続く)
※追記
実はこの「法人営業シリーズ」、3年ぐらい前に書き溜めていたものなのですが、今年起きた事件 をその頃から予告していたかのようですね。わしは予言者か。
実話・ボディコン事件
ちょっといろいろあってくたびれているし(その話はまたします)、外では台風が荒れ狂っているしで、法人営業を語る気になれないので、バカ話します。予想以上に好評だった「外資系企業の真実」続編、すぐまたやります。
【ここから本編】
大学時代の話。
サークルの飲み会が終わり、皆が店の前でウダウダしていた時のこと。ほら、あるでしょ?誰かが次行く人?って仕切らないかなと、みんなでタラタラ待っている時間が。
今では死語になってしまったが、当時はボディコン(写真のイメージ)全盛で一学年上のK子先輩もビシッと決めていた。ぴったりした白い服を幅広の赤いベルトでぎゅっと締めている。当時はお世辞にもスレンダーとは言い難かったため、あれに王冠つけたらチャンピオンベルトだと、陰口たたく奴もいた。
事件が起きた時、ぼくは酔っぱらったK子先輩の隣にいた。なぜか二人だけ、皆から少し離れた場所にいたように思う。
先輩はぼくの軽口にケタケタ笑いながら、何かを拾おうとしたのか、ちょっとかがんだ。その時。
バチン!というすごい音がした。
ベルトが飛んでいる。赤いベルトが。締めつけたベルトは無理な姿勢に絶えきれず、ついにはじけ飛んだのだ。
ベルトは上空1メートルぐらいのところをぐるぐるまわりながら浮いていた。滞空時間はたっぷり2秒はあったと思う。
そしてベルトはふわりと着地した。固まっているK子さん。ぼくはつい、余計なことを言ってしまった。
「先輩、締めすぎるから......」
その瞬間、K子さんは、ギャーッと絶叫した。一斉にこちらを見るサークルの仲間たち。
ぼくは、K子さんの見事な回し蹴りを浴びてしまった。彼女は地面のベルトをつかむと、ものすごいスピードで夜の闇へ走り去った。
それ以来、ぼくはK子さんに会っていない。
卒業してから20年以上がたつが、いまだに繁華街で赤いベルトを持って走るボディコン女を見たという噂を聞く。もし、あなたがそんな女性を目にしたら。
それ、ぼくの先輩ですから。
外資系企業はこんなところだった(1)
国内企業にお勤めの方は「外資系企業で働いてみたい」と思ったことはあるでしょうか?そこは全くの異世界です。ご参考までに私の体験をお話します。
外資系と一口に言っても、いろいろあるでしょうが、私が過去に所属したのはアメリカの大手IT企業です。私が生まれる前から日本に進出していますので、現地法人はかなり『日本化』していましたが、それでもいくつかのポイントでは外資系特有の仕組みや慣行がありました。
●支配する者とされる者
「この会社だけは、まだ戦後が終わってないからなあ……」
在籍中、時々ぼやきまじりにつぶやいたものでした。このたとえは、結構的を射ているのではと、今でも思っています。
一応、日本人の社長はいたのですが、大事なことは何も決められません。すべては、数十人の『進駐軍』こと、外人エグゼクティブ連中のさじ加減でした。まさに敗戦後、占領下の日本を彷彿とさせるものでした。もちろん、私はその頃生まれておりませんが。
ちょっと大きな取引をする時などは、わざわざ英語で資料を作って、外人の承認を得なくてはなりません。そういう場では、彼らから「コミットするか?」と、よく尋ねられます。
この『コミット』という言葉は、日本企業の社員も最近よく使いますが、たいがいの場合はニュアンスを間違っています。この言葉は「頑張ってやります」などという、生やさしい意味ではありません。
本当は「死んでもやります。駄目な時はどうにでもしてください」の意味であり、実際に達成不能な時、本国では解雇・左遷が当たり前です。日本でも外資系企業においては、それに近い目に遭うことは少なくありません。
私は日本企業に転職してから、同僚や上司が気軽に『コミット』を連発するのを聞いて、ヒヤヒヤしたものでした。たいへん恐ろしい言葉ですから、特に外人相手に使う時は十分注意しましょう。
話を戻しますと、外資系企業では『支配する者』と『支配される者』が明確に分かれます。前者が外人、後者が日本人と言い換えてもいいでしょう。
その格差たるや、恐ろしいものがあります。外人は東京で言えば広尾、六本木といった一等地に家賃百万円を超えるマンションを会社から提供されたりします。
もちろん、給料も日本人とは桁違い。十数年前の話ですが、アメリカのフロリダから、週三日だけ日本に飛行機、もちろんビジネスクラスで通って一流ホテルに滞在していた外人もおりました。今はさすがに、そんな馬鹿なことはやっていないでしょうけど。
今や普通に暮らしていれば、日本を発展途上国と感じることはないでしょうが、外資系企業においては、そう思いたくなるような状況があります。
外人連中は日本法人のビジネスを長い目で育てる気など、さらさらありません。とにかく四半期ごとに数字を上げろとしか言わないのです。これぞ、まさに焼き畑農業。後先のことなど考えず、部下の日本人へ想像を絶するプレッシャーをかけてきます。
たとえば、今日が四半期の末日だとします。明日、つまり新しい四半期の初日まで待てば百円で売れるものでも、今日中に十円や二十円で売り払ってしまいます。そうしないと、今四半期に数字が計上できないからです。これは嘘のような本当の話です。
私が在籍していた企業を振り返って思うことがあります。つまらない押し込みをやらずに、普通にビジネスをやっていれば、もっともっとシェアを取れていたのではと。
毎年の営業目標についても、日本の景気が悪いから今年は控えめに……なんてことは絶対言いません。本国が今年は二十パーセント増と決めたら無条件で日本もそうなります。もっとも、給料が同じ割合で増えることは絶対ありませんので、念のため。要は、日本法人は厳しく収奪される植民地以外の何物でもないということです。
今日はここまで。この話題、続きます。
やっぱり営業は「運」だよね?
●営業は「運」だよね?
思いっきり私の主観ですが、商談成否に「営業の実力」が関与する割合は3割程度ではないでしょうか。
7割は運と言い切ってもいいくらいです。そもそもどんな商品を手がけていて、どんな顧客を担当しているかによって条件は異なりますし、ようやく提案にこぎつけても、最後に顧客が買ってくれるかどうかは神のみぞ知るであります。営業が優秀なら絶対に売れますなどとは言えません。
営業本としては、かなり売れていると思われる本の帯にこんな文句がありました。
『デキる営業は、すごいテクよりあたりまえのことに注意を払う!』
ここまでは、まったく異存がありません。まさにその通りです。で、さらに書いてあったのが、これ。
『もっともっと楽しくて、自由で、そしてバツグンに売れる、そんな営業マンになることができます』
それは無理です。たまたま売れまくっている商品を扱うか、何でもどんどん買ってくれる顧客を担当しない限り無理です。営業が頑張っただけでは、その境地へ行けません。
私が本を出すとしたら、帯にはこう書きます。
『もっともっと楽しくて、自由で、そして時々売れる。そんな営業マンになることができます』
こんなので、誰か買ってくれますかね?でも、そんなもんですよ。
気を取り直して、お互い頑張りましょう。
営業マンにプラス思考は必要か?
ほとんどの営業本でプラス思考が礼賛されていますね。私はそれに異議を唱えます。そもそも、人様の内面に立ち入るなど、やってはいけないことです。他人の心は何人たりとも支配できません。
前向きに考えれば、すべてはうまくいくというのは一種の信仰です。うまくいかなかったのはポジティブシンキングが足りなかったから、なんてあり得ないです。
このブログで何度も書いた通り、営業は不可抗力や他責によって、理不尽な目に遭遇しやすい職務です。普通なら絶対取れるはずの商談が、予想外の理由で駄目になった経験のない営業はいないでしょう。
そんなものをいちいち、うまくいかなかったのはプラスの思いが足りなかったからだ、と自分を責めていては、とてもやっていられません。
また、どう考えてもひどい目に遭っているのに、プラス思考で「神様、試練をありがとう」と、無理矢理いい方に思いこもうとするのもよくありません。一時は我慢できても、必ずどこかに反動がきます。
過度なプラス思考はメンタル方面の病にもつながりかねないので、極めて危険です。くれぐれも無理はしないようにしましょう。
営業は表面的には明るさとか、前向きさを前面に出した方がいいことは間違いありません。見るからに陰気な営業を好む顧客や上司・同僚もいません。だから、マイナスオーラはまとわない方が利口です。愚痴とか文句とか、悪口は口にしない方がいいのです。
しかし、それは心の中で思ってはいけないということは意味しません。繰り返しますが、人間として、あまりに不自然です。私が提唱したいのは『思うのは自由だが、口に出さない』ようにすることです。心と行動の間でワンクッションを置いて調整するのです。
いかなる理不尽な目に遭っても負けない『余裕』を持ちましょう。思うことから我慢をすると、この余裕がなくなり、何か重大事件が起きた時にポキッと心が折れかねません。心でこんちくしょうと思うのは全然構わないのです。それを口に出しさえしなければ。※ちょっと、金曜日に書いた「ヨブ」 みたいですね。
プラスを念じればすべてうまくいくとか、すべての出来事をプラスに解釈するなどと、強引なことはやめませんか?それって怪しい宗教じゃないですか。営業なんて、しょせんは仕事です。生き方までねじ曲げる必要はないのです。
自分に起きた事象をいいとか悪いとか考えずに素直に受け入れ、その時点でのベストの対応を取っていけばいいのです。営業活動は、その繰り返ししかないと、私は考えています。
後から振り返って、ああ、あの不幸な出来事が役に立ったなあというのは、もちろんありますよ。だけど、トラブルの渦中にいる時はそんな余裕ないですよね?
ぜひ、このブログでご紹介する営業の「呪文」や「タブー(近日公開予定)」をご参考にしていただき、柔軟にいきましょう。
