セカンドエンディング

 

フレイムアイスシリーズ第2作目

あらすじ

『トゥル―エンディング』の3年後を舞台にした続編。

パラレルワールドからやってきた主人公の水崎海斗が6人の仲間と出会い恋愛や医療を通して成長していく物語である。

 

 

登場人物

 

水崎海人

この作品の主人公。明るく正義感の強い青年で別世界で出会った加奈に片想いをするが同時に心の中にある深い悲しみを背負っている。

 

火高加奈

美人だが暗い少女。当初は暗かったが海斗と出会った事で彼女は変わっていく。

 

電龍人

友好的で無邪気な青年。明るく優しい好青年で海斗が最初に出会う仲間である。

 

草麦胡桃

海斗に恋心を抱く少女だが目的のためなら手段を選ばず人も平気で傷つける性格である。

 

風凪湖南

真面目で心優しい少女。彼女は自分が信じる道を突き進んでいく。

 

光楽人

恋に深く悩む青年で自分の信念を信じる青年である。

 

空川時

暴力的な青年で問題児である。

 

鉄中椿

復讐を医療と称して商売する裏世界の人間である。

 

 

エピローグ

ある夜、光島では人々が悲鳴を上げ島は大混乱となっていた。

「兄貴!!なぜ俺達を裏切った!」

なぜ彼女を傷付けた。兄貴!!」海斗は叫ぶ。

「これは世間に対する復讐だ。俺はこの世間を許さない。これは天罰だ」

男は大笑いしていた。

「彼女は何もしていないじゃないか。むしろ彼女は俺たち家族の味方をしていた。なのに……それなのに」

「味方だろうが俺にとっては悪党だ。彼女を傷付けて世間に見せてやった。お前達社会が一人の女を傷付けた事を」

男はどこかに歩いて去っていった。。

「待てよ、兄貴!!」

そして男は暗闇の中に消えていった。

「兄貴……兄貴……うわぁぁぁあああ!!」

海斗は悔しいあまりその場に倒れこむ。

絶望する海斗の前に見た事もない同世代の少女が現れた。

「あなたは1人じゃないよ。苦しい事があってもきっと誰かが手を差し伸べてくれる」

少女の励ましに海斗は少し心が癒えた。

ふと海斗は目が覚めた。

「夢か……嫌な夢だ」海人は気分を悪くした。

 

 

それから数日後、海斗は家のパソコンから志望大学の合格発表の一覧を検索し自分の番号を探すが結果は不合格だった

海斗は一瞬にして生気が抜けた。

初めからその大学を志望していたため1年間毎日勉強し時に心が折れ、時に逃げたくなってもそれでも負けずに努力した。

しかし落ちてしまった。

そして海斗は考える。

―― 一浪して来年またその大学を受験する…もしくは2次募集を受験してそして志望大学を諦める

海斗は決断を迫られていた。

――きっとあの出来事があったから落とされたんだ

海斗は諦めようと考えた。

夜、海斗は部屋の椅子に座り考えていた

――これからどうしたらいいんだよ。

海斗の中から将来への希望は消えていた。

そこに不敵な笑い声が聞こえた。

振り返るとそこには赤と黒の服を着た男が立っていた。

それは悪魔だった。

「あんたどこから入ってきた!」海斗は驚く。

「お前に良い話を持ってきたぜ。お前にまた最初から高校生活を送らせてやる」悪魔は海斗の耳元で囁く。

「何言っているんだ、あんた、早く出ていけよ、警察呼ぶぞ」海斗は警戒する。

「どうだ、高校生に戻る気はないか」悪魔は再度聞く。

「分かった!戻りたい!だから早く出ていけ」海斗は適当に返事した。

「その願い聞き受けた」

悪魔は手から赤い光線を放ち気が付くと朝になっていた。

ふと見ると悪魔はいなかった。

「夢だったのか」

しかし部屋の中をみると明らかに自分の部屋ではなかった。

「どういう事だ」海斗は混乱する。

そして下に降りてみるとそこは知らない場所だった。

「俺…誘拐されたのか」海斗は怖くなる。

とりあえずテレビをつけると日付が3年前に戻っていた。

海斗はさらに混乱し悪魔の事を思い出した。

そして鏡を見るとある違和感を覚えた。

――俺、若返った?

――こんな非現実的な出来事が起きるなんて。

ふと机の上を見るとそこには花式高校の受験合格の書類などがあった。

「俺の通っている高校じゃないか。でもなんで合格の種類が」

ふと海斗は悪魔の言葉を思い出す。

「まさか…本当にやり直すのか」

海斗は興味本位で花式高校に行くと学校の前に悪魔がいた。

「これはどういう事だ」海斗は悪魔に問い詰める。

「ここは別世界でお前は別世界の今通っている高校に入学しているという設定だ。だからここは高校生活2周目の世界だ」悪魔は説明する。

さらに悪魔は話した。

「お前は気付いていないかもしれないがこの世界でお前は赤ん坊の頃に警察に保護されたものの名前も分からず身元も不明だったためお前をある施設が保護した。そしてお前がいた家は、国がホームレスなどのように帰る場所がないものがその時期だけ利用できるように提供されている家だ。そしてお前は無意識のうちにこの高校を受験し合格、その後は既に入学式から2週間高校生活を送っているという設定だ」

「つまり中途半端なところからスタートするという事だね」海斗は不思議な感覚だった。

それを聞いた海斗は質問する。

「そういや何で悪魔がこのような不思議な事をするんだ? こういうのはだいたい天使とか妖精がする事じゃないか?」。

「悪魔だってやるときはやるんだよ」

「そういや俺の家族や友達は?」。

「この世界にはいるかもしれないがいたとしてもお前の事は知らないだろう、何故ならこの世界はパラレルワールドだから同じ人間でも別の生活を送っている。そしてお前は今、パラレルトラベラーになったんだ」

悪魔はそう言い去っていった。

「パラレルトラベラー?」海斗は何の事が分からなかった。

海斗が過ごす都立花式高等学校はチャレンジスクールの1つでチャレンジスクール初の医療を中心に勉強をする学校でありそして将来の医者を育成するための学校でもあった。

海斗はバックの中に入っていた花式高校のパンフレットを読んで思った。

――俺、医療には興味ないのに…というよりそもそも血や内臓を見るのも苦手なのに。

海斗は入る前からとても不安になったがとりあえず学校の教室に入ってみる。

周りは初めて見る生徒ばかりで海斗は不安だった。

――「お前誰だ?」「不審者?」とか言われないかな。

しかし周りは海斗を見ても気にしていなかった。

「君、初めて見るけどもしかして今日が初登校日かな」

そう話しかけてきたのは電龍人だった。

「前からいるさ。君が気付いていないだけさ」

「そうか…まぁ仲良くしようぜ。同じ医者を目指すかもしれない人間同士」

ふと奥の方を見ると後ろ姿しか見えていない海斗だが何故か彼女に興味を持つ。

そして海斗は彼女の側に行き話しかける。

「ねぇ君、名前は」

その時、初めて加奈の顔を見る。

加奈は美しい顔をしており海斗は一瞬にして加奈に一目惚れした。

海斗にとっては初恋だった。

しかし加奈は警戒し黙って教室から出ていった。

海斗は少しショックを受けた。

休み時間、加奈は屋上で座っていた。

そこに海斗がやってきた。

そしてお互い存在に気付いた。

加奈は嫌がっているように見えたが海斗は声をかけた。

「……しかし今日は朝から色々驚いたな、驚きすぎて疲れた」海斗は不器用ながらも話す。

「何で私に話しかけるの?」加奈は不審に感じていた。

「……別に話しかけていないよ、ただ独り言を言っていただけだよ」海斗はとぼける。

「……俺、別世界からやってきた人間なんだ、だからこの世界ではほどんと生きていない」

「……意味が分からない」加奈は海斗を拒絶しているようだった。

「面白いね、君」

2人が振り返るとそこには龍人がいた。

「別世界からやってくるなんてファンタジ―だね…まぁ冗談だろうけどね」

「信用できなくでも仕方ない。普通に考えてこんな事あるわけないんだし」

龍人は空を見上げる。

「そういえばここは医療の学校だけど2人も医者になりたいのか?」海斗は質問する。

「俺は昔、交通事故に遭ったんだがその時に救急車が来て隊員達が俺を励ましてくれた、そして俺の担当医も俺を毎日励ましてくれた、そんな先生に憧れて俺はドクターになりたいと思った。そして俺は小児科医を目指している」

龍人の話に海斗と加奈は思わず惹かれてしまった。

「…私もたくさんの人を救いたいと思ってこの道に進むことに決めた。私は看護師になりたいと思っている」加奈も初めて言葉を発した。

「いいね2人とも、俺なんて自分の事ばかりで人の事なんてどうでも良いと思っているのにあんたらは偉いよ」

海斗の言葉に加奈と龍人も何故か面白く感じた。

「お前は夢ないのか?」龍人は聞く。

「俺にはないな。夢なんて持っても意味はないと思っているから」

海斗は過去の家族の出来事を思い出す。

「じゃあなんてこの学校入ったんだよ」龍人は笑う。

加奈も笑顔になる。

「いいじゃん。君の笑顔」海斗が言うと加奈は表情を戻す。

しかし3人はそんな会話をして少し打ち解けた。

放課後、海斗が玄関に行くとそこに加奈がいた。

「よぉ、誰が待ってんのか」海斗は話しかける。

「別に……というより友達いないから一緒に帰る人いないんだけど」加奈は悲しそうだった。

「なら一緒に帰ろう」

「いや…それは」加奈は抵抗するが海斗の言われるままに歩き出し一緒に帰る。

加奈は緊張していたが同時に海斗に心を開いても良いのではないかと考えていた。

そしてその日以降、3人は少しずつ距離を縮めていった。

ある日、海斗が屋上に行くとそこに加奈がいた。

「しかし今日は天気が良いな」海斗は笑顔で話しかける。

「……そうだね。とても良い天気だね」加奈が一瞬笑顔で言った。

すぐに表情は戻ったが加奈も少しずつ会話が増えていき海斗も嬉しく感じていた。

 

トゥルーエンディングを読んでいただきありがとうございました

今日から第2作「セカンドエンディング」を連載していきます

今体が悪いので毎日投稿は出来ないかもしれませんがよろしくお願いします

 

卒業式の2日前、修と美羽は美術室にいた。

修は今まで書いた作品を片付けながら美羽と話をしていた。

「修、高校を卒業しても会ってくれる」

美羽は高校卒業と同時に修と別れるのではないかと不安だった。

「会ってやるさ。別に別れる理由もないし」

「修…ありがとう」美羽は思わず笑顔になる。

その頃、屋上に鎧がいた。

鎧は感じていた。

――あの時、別の学校に行かなくて良かったな

するとそこに剛と千、月美がやってきた。

「しかし明後日は卒業式だな」剛はこれまでの事を振り返る。

「……でも卒業と同時に蓮と大我はいなくなっちゃうんだよね」月美は寂しく感じた。

「そうだな」千は空を見上げる。

「俺達はこの日本のどこかにいるけどあの2人はどこを探してもいないし会う事は出来ないからな」千も同じく悲しく感じていた。

一方、蓮と大我は校庭にいた。

「俺は後悔している。憎しみや悲しみを乗り越えやっと分かりあえたのにもうすぐ消えてしまう事を」大我は珍しく本音を漏らす。

「だが別世界とはいえ、まだ奈美に会えた。それに悲しみが消えて前を向けるようになった」

「そうだな」

蓮は何故がいつもと変わらず振る舞っていた。

「2人とも何してんの?」

そこに亜美がやって来た。

「ちょっと話をしていたんだ」蓮が言う。

「大我今度一緒にデートでもしない」亜美は大我を誘う。

「そうだな」

「後、5月に新しい植物園が建設されるんだけど良かったらそこでデートしない?」

「……考えされてくれ」

「分かったわ」

亜美は去っていった。

大我は明後日までに自分が元の世界に帰る事を話さないといけないと分かっていたがしかし話せば亜美が悲しむと思いずっと保留としていた。

夕方、蓮が屋上にいるとそこに奈美がやってきた。

「明後日卒業式だね」奈美は悲しそうに言う。

「そうだな…」

2人はあまり会話が弾まなかった。

その時、奈美は涙を流す。

「もう2度と会えなくなるなんて」奈美はとても辛かった。

「奈美…例え俺がこの世界にいなくなっても心は奈美と繋がっているし奈美だけじゃない、剛や千、美羽に修、月美や鎧、大我とも繋がっている」

その頃、大我も亜美に真実を話した。

「別世界から…」亜美は表情を変えなかった

「ごめん、今まで黙っていて」

「いいよ、私はもう1人じゃないしむしろあなたがこの世界に来たのは私を変えるためだと考えれば…」亜美は強がる。

大我は亜美を抱きしめる。

「ありがとう、亜美」

亜美は涙を堪えていた。

卒業式当日、体育館にはたくさんの卒業生が集まっていた。

式の中、蓮はこれまであった出来事を思い出す。

そして自分の決断は正しかったのか迷いながらも選んだ決断を信じる事とした。

そんな中で蓮は来賓者の話を聞きこれからの将来について想像した。

卒業式が終わり蓮達は外で集まっていた。

「帰るんだな…蓮…大我」

剛達は辛く感じていた。

大我は剛達を見渡す。

「俺には帰らないといけない場所がある…だがまだ会える気がする」

大我は奈美の目を見る。

「奈美…まだ会えて嬉しかった」

「大我……またいつか」

そして大我は光の粒子となって消えていき元の世界に帰っていった。

ふと剛は気付いた。

「……蓮…まだいるのか?」

「……俺は元の世界には帰らない」

「え?」

剛達は驚いた。

「天使に頼んで俺はこの世界で残りの人生を歩んでいく」

「俺はこの世界で残りの人生を歩んでいく」

「だから受験にも合格していた」

「お前…受験していたのか?」奈美は思わず聞く。

「ギリギリ2次を受けた。一応今までみんなと同じぐらい勉強していたから合格できたんだ」

「なんだよ。せっかくの感動が台無しだな」しかし鎧は嬉しそうだった。

「でも良かった。これでまだいつか会えるんんだから」千も同じだった。

「またいつかこうやって集まれたら良いね」月美は言う。

「そうだな。その時は大我も一緒だ」修は希望を抱く。

「でも案外まだ近いうちあったりしてね」美羽は笑顔で言う。

「あり得るな。俺達なら」剛はそう感じた。

蓮は将来何になりたいか決まっていないもののしかしこれから少しずつ探していけば良いと感じた。

卒業式から1か月後、蓮は大学に入学した。

優ヶ丘高校程ではないが仲間も出来て蓮は1人ではなかった。

講義が終わり蓮が帰ろうとすると奈美からメールが来た。

「例の彼女からか?」友人は話しかける。

「まぁな。デートの誘いのようだ」

まだこの選択が正しかったが分からない蓮だがしかし未来には険しくも希望溢れる道があると信じ未来に進んでいく事を誓った。

元いた世界での蓮の人生は終了したがしかしここから先は蓮にとっての真の人生となった。

 

    

                   完                           

1月、3年生の生徒達は受験が近づき不安になっていた。

放課後、蓮と剛は屋上で話していた。

「しかし最近みんなと遊んでいないんだよな」剛は寂しそうだった。

「仕方ないさ。受験シーズンだし今遊んでいる暇なんでないだろう」

蓮は剛を見る。

「そういえばお前はもう受験終わったんだったな」

「まぁね。かなり早いところだったから」

蓮は将来を考える。

「でもお前は卒業と同時にこの世界からいなくなるんだろ?」

「まぁな。でも元の世界に戻ったら再び虚しい社会人生活だけど」

蓮は元の世界に戻ったら大学に行く事も考えたがしかし23歳の自分が5年遅れた大学に入ってもほぼ年下の人とやっていけるが不安だった。

夜、蓮が家に帰ると天使がいた。

「……俺…元の世界に戻ったらこの世界でやって来た事全て無駄になるんだろ?」

「経験などは残りますが状況は以前と同じになります」

蓮はパソコンを立ち上げネットで大学受験を調べる。

「あなたの事ずっと見守っていましたが1年前からずっと勉強を頑張っていましたね」

「大学に興味があってね。元の世界に戻ったら受験しようかと思ったけどでもやっていけるか分からなくて」

「貯金はいくらあるのですか?」

「1000万円」

「よくそんなに」

「使い道がほとんどなかったからね」

蓮は何故がまだ2次で受け付けているところを探してみた。

天使は聞いた。

「なぜこの世界で大学を探しているのですか?」

「分からない…でも何かしていられないから」

蓮は元の世界に戻った際の計画を考える。

2週間後、蓮と奈美が学校に行くと嬉しそうな美羽がいた。

「どうしたんだ?」

「受験合格したのよ」

「そうなんだ…おめでとう」奈美は喜んだ。

すると修もやって来た。

「俺も合格していた。これでやっと受験終わりだよ」修は安心していた。

ふと机を見ると必死に勉強をする月美がいた。

「月美、明日受験らしい」

「じゃそっとしてあげよう」

その頃、大我が屋上に行くと千がいた。

千は落ち込んでいた。

「……落ちたのか?」

「あぁ…2次に持ち越しだ」

大我は敢えて励まさずその場を去った。

「落ち込むなよ」

振り返ると鎧がいた。

「別に落ち込んでいない。まだ2次があるからな」

「俺も落ちたけどでも全然気にしていない」

「お前は能天気なんだよ」

その頃蓮は図書館で勉強をしていた。

蓮はなんのために大学に行き将来何になりたいのか全く定まっていなかったがしかしそれでも何かしらしたいと考えていた。

そして3月になり受験は終わった。

千、月美、鎧も受験に合格し全員無事卒業が決まった。

 

夕方、大我は、花壇にいた。

大我は花壇に花束を置く。

今日は死んだ奈美の命日だったが奈美の母校は存在しないため仕方なくこの場に置く事とした。

「何してるの?」

そこに青井亜美がやってきた。

「この花束は何?」

「別に何でもない」

大我は去ろうとした。

「私、今の病気治りそうなの」

大我は思わず振り返る。

「だから聴力を失う心配はないみたい」

「そうか…良かった」大我は嬉しく感じた。

「私…高校生活残り少ないけどでもこの残り少ない高校生活を楽しもうと思う」

亜美は誰とも関われないで1人でいたがしかし大我との出会いで友達が出来明るくなれたようだった。

そして大我も今は1人じゃなくなった。

「今思うとお前と俺は似ていたな」

「そうだね。そして今の状況も同じだね」

それを遠くから蓮と奈美が見ていた。

「大我楽しそうだね」

「そうだな」

ずっと死んだ彼女をひぎずっていた大我が今では前を向いて生きていると思うと蓮は嬉しく感じた。

この時期、大我の心境に変化があった。

翌日、大我が花壇に行くとそこに蓮と奈美がいた。

「なんでいつもいないお前達がいる」

「昨日、お前が花を見ているのを見て俺たちも見たくなったんだ」

すると亜美もやってきた。

「2人もいたの」

「まぁな」

大我は何故が今蓮と奈美がいる事に対しあまり快く思えなかった。

「そういえば大我君、彼女イルの?」

「…前はいた。別れたけど」

「そうなんだ…でもなんで別れたの?」

大我は思わず声が詰まった。

そして大我は数年前の出来事を思い出した。

別世界の奈美と初めて出会ったのは入学式だった。

別世界の奈美は明るくて笑顔が似合う少女だった。

大我はそんな奈美に惹かれ振り向いてもらうために努力してそして奈美と付き合う事が出来た。

しかし奈美は病気になり学校に来なくなった。

大我は奈美の病気は治ると信じていたが結局奈美は死んでしまった。

奈美は生前花壇によく来ていたがしかし死後、当たり前だが奈美はいないため大我はずっと1人で花壇を悲しく見ていた。

そんな時に天使が現れ大我はこの世界に来た。

ふと大我は気付いた。

――俺はもしかして亜美の事を好きなのか?

奈美の死以来、それを乗り越える事が出来ていなかった大我にとっては亜美は久しぶりに好きになった相手だった。

そしてそのモヤモヤは数日間続いた。

ある日、大我が屋上にいるとそこに亜美がやってきた。

「どうしたの、屋上に呼んで」

大我は緊張していた。

――こんなに早く告白して良いのか

大我は迷っていた。

すると雨が降ってきた。

「雨だわ」

亜美は思い出す。

「……私…ずっと好きだった人がいた」

大我は注目する。

「同じ病院に入院していて好きだったけど雨の日彼は死んじゃった」

「それ以来恋愛をするのはやめようと思った」

「……どうしてそんな」

「失って傷付くぐらいなら付き合わない方が良い。まだ同じ悲劇が起こりそうで」

亜美はトラウマを感じていた。

「……そんなの…ただの逃げる言い訳だろ」

亜美は大我を見る。

「あなたに何が分かるの? 色々失ってまだ失うかもしれない私の気持ちを」

「そんな事したって何も変わらない。余計自分が駄目になっていくだけじゃないか」

大我は気付いた。

――俺もこの世界に逃げたんだ…俺も亜美の事言えない

「…うるさいよ…同じ立場じゃないくせに」

亜美は帰ろうとしたが大我は亜美の手を掴む。

亜美は振り返る。

「俺も形が違くでも大切な人が戻ってくるとずっと信じていた。でも俺は知った。過去を受け入れて未来に歩んでいかないといけない時もあると」

雨の中、2人はずぶ濡れになってしまう。

「あなたに何が分かるの」

亜美は行ってしまった。

大我はショックだった。

同時に前の自分を見ているように感じた。

翌日、蓮たちが屋上にいるとそこに重い表情の亜美がやってきた。

「どうしたの?」奈美は心配する。

「大我君の事だけど…大我君ってどんな人なの?」

「大我ね」鎧は前に出る。

「大我は何を考えているのかよく分からない奴で色々困ってるんだよ」

「お前は黙ってろ」修は鎧を後ろに突き飛ばす。

月美は亜美を見る。

「大我は無表情で最初は威圧的だったけどでも本当は優しくて彼には救われた人もいる。ただちょっと分かり合うのが難しいだけで」

「そうだったんだ」

そして亜美は昨日の事を話した。

「そんな過去が」

「恋愛しようがどうしようが私の勝手だしトラウマなのに大我はそれを拒否する」

「……悪いが俺も大我と同じ意見だ」千は意見した。

全員が千を見る。

「あなたね」美羽は千を睨む。

「トラウマなんか言い訳にならない。それより前に進まないと」

「悪いが俺の同意見だ」修も同じだった。

「俺も夢を失うトラウマを味わったがそれでも前を向いて進んだからここにいる」

「あなた達に何が分かるの?」

「分かるさ」剛は意見する。

「俺にも亡くなった兄がいる。だから大切な人がいなくなる気持ち分かるさ」

蓮は亜美を見る。

「大我の彼女は病気で亡くなっているんだ」

「え?」亜美は驚いた

「大我は彼女を病気で亡くし過去に執着していた。だから似たような人と付き合って心の穴を埋めようとした。大我も君と同じように過去を乗り越えられない人間だった」

「でも大我は過去を受け入れて未来に進む事にしたんだ。もしかしたら大我は君が自分と重ねって見えたのかもしれない」

亜美は大我の過去を知り悲しむ。

夜、亜美は部屋でうつ伏せになって考えていた。

「どうしたら良いの?」

すると電話がかかって来た。

それは奈美だった。

「もしもし」

「青井さん…大丈夫かと思って連絡したの」

「…私はどうしたら良いか分からない。このまま大我君と付き合って良いのか」

「……青井さんは大我の事…好きなの?」

「……好きだよ…でもこの気持ちのまま付き合って良いのか分からなくて」

「人間誰でも不安はあるよ。でもそれでいいと思う。人はみんな不安を抱えたまま未来を歩んでいると思う」

亜美はしばらく考えた末、決意する。

翌日、雨の中、大我が屋上にいるとそこに亜美がやってきた。

「亜美」大我は驚く。

「私、あなたが辛い思いをしていたなんて知らなかった」

「誰かが話したのか」

「…でも私も乗り越えたいと思った。こんな嫌な過去を」

大我は注目する。

「俺も彼女の死を乗り越えたと思っていた。でも今もどこかで彼女の事を引きずっている。だが一つだけ決めている事がある。もう過去には戻らない、未来だけを見ると決めている」「過去は過去のまま受け止めていく」

その言葉を聞いた亜美は大我を見習いたいと思った。

「亜美、もう一度言う。俺は亜美の事が好きだ。俺と付き合ってくれないか?」

「…はい。お願いします」

大我は表情は変えないが内心とても嬉しく感じた。

「ありがとう亜美」

亜美は笑顔だった。

そして雨がさっきよりも弱くなった。

空を見るとそこには虹が架かっていた。

「綺麗だね」亜美は笑顔になった。

「初めて見たな。でもこんなに綺麗だったとは」大我は虹を見て感動した。

大我は奈美の言葉を思い出した。

――大我、もし私が死んでも私ばかり考えないで。他の人を好きになっても私はあなたを恨んだりしないから。

大我は思わず心が温かくなった。

――何でこんな事を忘れてしまったんだ。

――奈美、俺は前に進む。これからまた大事なものを失うかもしれない。でも俺はもう立ち止まらない。俺には仲間がいる。俺を支えてくれる仲間がいる

こうして大我と亜美は付き合う事になった。