9月下旬、先輩達が文化祭の説明をしていた。

「美術部からも展示があってそれは個人でも集団でも自由です」

すると剛が提案した。

「1人で作るのは大変そうだから8人で作ろうぜ」

「いいねそれ」美羽も賛成した。

「そうだな。8人で作れば良いものが作れそうだし」

「そうしようじゃないか」蓮と千も賛成した。

修は思った。

——こいつら…楽しようとしてるな

「じゃ8人で作ろうぜ」

「なんで俺も入れるんだよ」鎧は反論する。

「どんなの作る?」

「そうだな」

「おい無視かよ!」

「ところでどんな絵にするの?」月美は聞く。

「そうだな。実に大人らしい絵が良いものだ」蓮は言う。

「大人って私達よく分からないんだけど」奈美は考える。

「星座はどう?」月美は提案する。

「いいね」全員が納得した。

「じゃ書くもの決まったし今日は帰ろうか」

「そうだね。続きは明日やろう」

修は思った。

——こいつらと来たら

そして蓮達が玄関に出るとそこに間影がやってきた。

「久しぶりだな修。まさかサッカー部を退部した後、こんなぐだらない部活でくだらないをしていたとはな」間影は侮辱する。

「間影…まだくだらない侮辱しに来たのか?」

「別に。ただ羨ましいなと思ってね。俺達は汗水流しながら試合をしている中、お前らと来たらいくら緩いからと言って適当に活動してサボってすぐに帰る。部活動を舐めてるよな」

間影の正論に修と月美以外反論できなかった。

「まだ気が向いたら戻って来いよ」間影は去っていった。

千は修を見る。

「お前いじめられているのか?」

「いじめじゃない。挑発されているだけだ」

「似たような事だろ」

「お前たちに関係ない」

修は行こうとする。

「どうせあいつにもサッカー部で反感かってたんだろ?」

蓮の言葉に修は立ち止る。

「……あの人はサッカー部の時、自分が下に見下ろしていた先輩だ。だから自分が侮辱されても仕方ない」

「でもだからってこのまま侮辱され続ける高校生活を送ってもいいの」美羽は聞く。

「別にいい。事実だし」

そして修は1人で帰って行った。

夜、修は部屋でサッカーのボールを眺めていた。

修は悲しかった。

今まで積み上げてきた努力は全て意味のないものになってしまった事に。

翌日、蓮、剛、美羽が校庭を歩いているとそこに先輩に絡まれている修がいた。

「おい修、聞いたぜ。まさか病気だとはな」

「だったらどうした」

「お前には今までの恨みがあるんだ」

「こんないじめまがいな事している暇あるなら少しぐらい練習したらどうだ? 俺がいなくなった事で全国大会すら行けないかもしれないと聞いたぞ」修は挑発する。

「なんだとお前!」

美羽は助けに行こうとした。

「何やっているのかな」

そこに鎧がやってきた。

「お前…あの馬鹿御曹司」

「こいつは俺の友達さ。近づかないでもらいたい」

「めんどくせぇな」

先輩達は去っていった。

「俺のおかけだな」

「なんか嫌だけどな」

そこに蓮達も駆け付けた。

「しばらく鎧は修の近くにいてあげて」美羽は鎧に頼む。

「断る」修は強く否定する。

「おいおいなんだよそれ」

「気持ちは分からなくない」

「なんだよそれ!」

蓮は修の顔を見る。

「見方を変えればお前もある意味あいつらと同じだ」

「は?」修は機嫌を悪くする。

「蓮の言う通りだよ」剛も意見する。

「お前もサッカー部にいた時には似たような事してたんじゃないのか?」

「余計なお世話だ」

「そんな事言ったって見捨てる事なんて出来ないのよ」美羽は言う。

「別に助けてくれなくてよい。そういう訳分からない正義感が迷惑なんだよ」

美羽は修にビンタした。

「自分が招いた種でも見捨てる事が出来ないのよ。あなたにとっては、迷惑な正義感かもしれない。でもそれでも…」

美羽は思わずその場を去っていった。

「こういう空気苦手なんだよな」鎧は座り込む。

「でもどうするんだ? めちゃくちゃ怒ってるぞ」鎧は聞く。

「まぁそのうち機嫌治すさ」剛は言う

放課後、蓮は美術室で奈美と千、月美に昼休みの出来事を話した。

「だから落ち込んでいたんだ」奈美と月美は理解する。

「なんだが分からないが文化祭まで時間あまりないしやろう」千は言う。

「だが修と美羽は仕方ないが剛と鎧…あいつら何してる?」

しかし4人は作業を始めた。

「しかし美羽がいないと寂しいな」奈美は思わず言った。

「でも美羽と修、大丈夫かな?」

「ちゃんと仲直りするかな」

「心配いらないさ。そんなことで絆が切れる2人じゃあるまいし」

「そうさ。心配はいらない」千も励ます。

「問題は剛と鎧だ…あいつら何してる?」

夜、蓮はお風呂に入っていた。

蓮も美羽と修が心配だった。

何故ならあの出来事のせいで空気が重くなっていたため。

翌日の朝、美羽が美術室に入るとそこでは修が1人で作品作りをしていた

お互い存在に気付いて気まずかった。

「……昨日はごめん」美羽は謝った。

「……俺は夢のため周りが見えていなかったのかもしれない」

美羽は注目する。

「今思うとそれはいじめにも見えるかもしれなかった」

「……美羽、すまなかった」

「修、あなたは自分が傷ついてもいいかもしれないけど私たちは嫌なの、友達が傷ついているのを見るの」

同時に美羽は何か変な感情が沸いた。

そこに6人もやってきた。

「みんな」

「時間がないから来たんだ」

「早く作業を始めよう」

蓮は思った。

——良かった…ちゃんと来て

「それじゃ早速、始めようぜ」

剛は気合を入れた。

そして8人で頑張った結果、文化祭前日に完成させた。

文化祭当日、たくさんの来客が来てにぎわっていた。

蓮達もそれぞれ楽しく過ごしていた。

そして修と美羽は屋上にいた。

「ありがとう」修は照れながらも美羽にお礼を言った。

「別にいいよ」

「もし今度なにかあったら俺が守るから」修はなぜが自然とその言葉が出た。

それを聞いた美羽も嬉しく感じた。

授業が終わり、明日から夏休みだった。

高校が終わり6人で帰っているとそこに鎧が現れた。

「奈美。こんな奴らといるよりこの俺と付き合わないか? 俺はジャネーコーポーレーションの御曹司だから」鎧は話しかけた。

蓮は驚く。

「俺、ジャネーコーポーレーションの社員として働いていたんだけど」

「……何を言っている?」鎧は困惑する。

剛達も同じだった。

「…冗談さ…ちょっと言ってみただけさ」

「面白い冗談だ。でも嫌いだ」

鎧は去っていった。

数日後、美術部で美羽たち5人が集まっているとそこにまだ鎧がやってきた。

「やぁ奈美、これから俺と一緒にデートしよう」

そこに丁度、蓮と剛がやってきた。

まだ重い空気になった。

「まだ来たのか」

「そりゃ奈美のためならどこにでも行くよ」

「お前、本当は好きじゃないんだろ。ただ自分を強く見せたいだけだろ」蓮は言った。

「そんなことないよ」

しかし鎧は動揺していた

修は口を開いた。

「おい御曹司」

「その呼び方やめろ」

「俺も蓮と同じくそう見えるし俺には何となく分かる。好きでもないなら好きと言うな」

しかし鎧には響いていないようだった。

月美は考える。

「御曹司さん」

「さん付けもやめろ」

「ごめんなさい。でも心から好きになれるものはいくらでもあると思う」

「それじゃ駄目なんだよ」

千は思い出していた。

それは中学生の時自分が憧れ尊敬していた先輩の事だった。

千が思い出している中無邪気だった鎧は真面目な態度で言った。

「強く見せて何が悪いのかな?みんな嘘をついて強く見せるような生き物だろ」

「お前の言う通りだな」千はそう言う。

「お前、何言っている」

修は反論するが千は続ける。

「人は嘘をついて自分を強く見せる、お前の言う事は間違っていない」

千は鎧の意見に賛同する。

「なんか調子が狂ったな」

鎧は出て行った。

「お前、どういうつもりだ」修は納得がいかなかった。

千は思い出していた。

千が中学生の時、テニス部に所属していてそこで憧れていた先輩がいた。

その先輩は優しくて頼りになる人だった。そしてその先輩は、自分は喧嘩が強い、家は裕福だ、別学校の番長も自分には頭が上がらないなどとにかくいろんな面で強かった。

千はそれもあってその先輩に憧れていた。

そして先輩と深く関わっていき休みの日は一緒に遊ぶ関係になっていたが後に先輩の話は全て嘘である事が判明した。

それを知った千は騙された事に後悔しこの事がきっかけに先輩とは縁を切った。

千にとって鎧はその先輩と重なって見えた。

翌日千はテニスコートに鎧を呼ぶ。

「何の用だ?」

「テニスで勝負しないか?」

「いいぜ…まぁ俺が勝つけど」

そして千と鎧はテニスで勝負する。

しかし千は経験が豊富だったため鎧を圧倒する。

そこに2人がテニスをしていると聞いて蓮達5人も駆け付けた。

「あいつら何でテニスをやってんだ?」蓮は疑問に思った。

そして圧倒的な実力で千は鎧に勝利した。

蓮達に気付いた鎧は慌てた。

「これは俺に恥をかかせるためのみせじめか」

「お前に恥という概念があるのか」千は挑発する。

「だが笑われていると感じているのはお前ぐらいだ」

鎧は動揺する。

「なんでこんな勝負をする?」

「お前の弱さを晒すためだ」

「結局恥をかかせるためじゃないか」

「最後まで聞け」

千は空を見上げる。

「みんな弱いところはたくさんある。でも強いどころもたくさんある。」

「だから弱いところがあったっていいじゃないか。もしお前の近くに完璧なやつがいたらそれはお前の勘違いだ。でも1つだけ褒められるところがある。お前は強く見せようとはしたがそれを実現しようとした勇気は褒めても良い」

「無理して強いもの凄いものを好きになるな。心から好きなものを好きといえ」

「……ごめん…途中から聞こえなかった」

「台無しだな」千は呆れた。

蓮達もがっかりした。

「でもお前の言う事も分からなくない。俺は俺らしく振る舞えばいいんだ」

蓮達は思った。

——こいつの振る舞いは危ない気がする

数日後、蓮達が美術室に行くとそこには鎧がいた。

「俺、美術部に所属した」

「でもなんで所属したんですか?」月美は聞く。

「心から好きになろうと思ってな」

千は思った。

——なんか違う気もするが…まぁいいか

「俺が友達になってやる。さぁみんな俺と仲良くすると良い」

蓮達は今すぐ殴っても良いんじゃないかと感じた

しかしそんな鎧も受け入れる事とした。

7月の放課後、部活動はなかったが修が美術室に向かっていた。

修は呆れていた

——あいつら…ずっとさぼってるな

しかし美術室に入るとそこには知らない生徒がいた。

それは雪中月美だった。

彼女は奈美以上に暗かった。

修は特に気をかけず作業をする。

休み時間6人で屋上に行くとそこに月美が座っていた。

「ちょっと話しかけてみるか」剛は行こうとする。

「やめた方が良いぞ」千は忠告する。

「大丈夫だよ」

そして剛は月美に声を話しかけた。

「ねぇねぇ君」

「やめて」

月美はそう言い帰ってしまう。

剛はショックを受けた。

「忠告した通りになったな」

放課後、蓮達は美術室に向かうとそこには月美が座っていた。

月美は蓮達に気付いたが気にせず作業を始めた。

しばらくするとまだ剛が興味本位で話しかけようとした。

「やめとけ、さっきも拒否されただろ」

「今度はちゃんとするよ」

蓮の忠告も剛は聞かなかった。

「ねぇ君」

「何で話しかけるの……嫌なんだけど、そういうの」

月美は怒って帰ってしまった

「あなた馬鹿だね」美羽は呆れた。

「お前嫌われるぞ」修も忠告した。

剛は話しかける事をやめる事にした。

翌日の放課後、月美が家に帰ろうとした時家のカギを失くしたことに気付いた。

そこに剛がやってきた。

「どうしたの?」

「………鍵を失くした」月美は嫌々ながら言う。

――早く行ってほしい

「一緒に探すよ」剛はそう言い探し始めた。

「1人で探すから大丈夫」

「でも早く見つかる方がいいだろ」剛は探すのをやめない。

「そうだけど…ねぇ…なんでそうやって人と関わろうとするの?」

「理由なんてない。ただみんなで仲良くできれば良いとだけだ」

そして剛は月美を見る。

「俺は誰だろうが差別しないし平等に接する」

月美は思った。

剛は人が好きで人と仲良くしたいだけの人だと。

ふと見ると他の自転車の下に踏まれていた。

剛はそれを拾い月美に渡した。

「ありがとう」

「じゃまだ明日」

月美は帰るか剛も同じ方向に帰っていく。

翌日、月美は蓮達と一緒にいた。

「昨日はありがとう…」月美は剛を見る。

「良いんだ別に」

「……私は余計な事を考えていたのかもしれない。もっと柔軟に考えればよかった」

「今からでもできるさ」美羽は励ます。

「そうだよ。だからこれから頑張っていけば良い」奈美も応援する。

月美はこれから自分を変えていく事を決意した。

 

 

 

入学してから2か月が経過した。

多くのクラスメイトは打ち解けそれぞれグループが生まれていた。

蓮は4人と屋上にいた。

「そういえば今、部活の体験入部やっているね」

美羽は部活動の体験入部について話した。

蓮は部活動に入った事がなかったが興味もなかった。

「蓮、放課後、サッカー部に行ってみようぜ」剛は誘う。

「サッカーは中学3年生以来だな」蓮は自分の状況を忘れていた。

「中3って1年も経ってないじゃん」

蓮は思い出した。

自分は本当は23歳であり実際は8年でもこの世界ではついこの前の話なのだから。

「ところで3人はどうする?」剛は聞く。

「私は入らない」美羽は断る。

「俺もいいかな」千も拒否した。

「奈美はどうする」

「私もいいや」

剛は残念に感じる。

「せっかくの青春、部活動で汗を流すのもいいのに」

放課後蓮と剛はサッカー部を見て見学する。

そこで周りとは桁違いにサッカーが上手い青年を見つける。

彼は霧島修、蓮と同じ歳だが凄腕のサッカー選手であった。

そのため周りの先輩に対しても上から目線などの失礼な態度をとっていた。

そしてサッカーの試合で修は次久と得点を入れていく。

試合終了後、修が2人の元に歩いてきた。

「お前らサッカー経験あるか?」

「いや、ないけど」

「ならやめた方が良い。今からサッカーをやったところでプロなんかになれない」

「そんなのやってみないと分からないだろ」剛は反論する。

「言っておくけど小学生の頃からサッカーをやっている人間でもプロのサッカー選手になれるのはほんの一握り。それなのに高校生になって初めてサッカーをやるなんて」

「別に俺達はプロになりたいんじゃなくて趣味でやってみたいだけだ」

「だったら迷惑だ」修は声を上げる。

「趣味でやりたいだと? 俺は真剣なんだ」

修は足を引きずりながら立ち去った。

翌日、屋上で2人はその事を奈美たちに話した。

「そりゃ大変だったね」美羽が話している途中、千は修について話した。

「修は3歳の時にサッカーを始め徐々に才能を開花、小学生になると彼の活躍で多くの大会で優勝していった。しかし修は高い実力がゆえ、人を下に見ぐだす性格でもあったらしい」

「実力あるのに勿体ないね」美羽は残念に感じる。

「お前よくそんな事知っているな」蓮は千に感心した。

「人の事を知っておく事も大事なことだ」

放課後、修は病院に行くため部活を休んで帰ろうとしていた。

そこで蓮達とバッタリ会う。

「部活やらないのか」

「別にいいだろう」

修はそう言って立ち去った。。

修は病院に行って診断してもらうと医師は重い口調で話した。

「これ以上サッカーをやるとあなたの体は悪化します。今後は激しい運動は控えてください」

修はショックを受ける。

その日修は人生最大の挫折を味わった。

夜、蓮が家でテレビを見ているとそこにメールが来た。

剛からだった。

内容は明日も体験入部をやろうというものだった。

「めんどくさいがやってみるか」

翌日、蓮と剛は卓球部を見学するために放課後残った。

そして奈美、千、美羽が一緒に帰っていると海神公園に修が椅子に座っていた。

「あいつ蓮達が言っていた奴だ」

「あの人が」

すると美羽が話しかけた。

「どうしたの?」

美羽は話しかけるが修は無視して立ち去ろうとする。

しかしそこにサッカー部の先輩がやってきた。

「修、聞いたぞ。退部したようだな」

「今までよくも好き放題やってくれたな」

先輩たちは今までの仕返しをしようとしていた。

「あなた達なによ」美羽は修を庇う。

「俺達はこいつに今まで見下されてきたんだよ。それで病気だと知ってやり返してやろうと思っているんだよ、だからどけ」

しかし美羽は強かった。

「どかない。誰であろうとも困っている人を見捨てることなんで出来ないわ」

それを見た修は怒る。

「何やってんだよ。女に守ってもらうなんでかっこ悪いだろ」

「やぁ何しているのかな」

そこに鎧がやってきた。

「こいつはあの厄介な……」

「そうか厄介か…厄介って何?」鎧は意味を知らなかった。

「行こうぜ」

先輩は立ち去っていく。。

「なんなんだお前」千は聞く。

「きっと俺が強すぎるから逃げていったんだ」

鎧は去っていった。

美羽は修を見る。

「あなた病気なの?」

「関係ないだろ」

修は去ろうとした。

「待って」美羽は修の手首を握る

「これからどうするつもり? 今日は良くても明日からどうするの?」

「心配される筋合いはない」

修は美羽の手をほどき行ってしまった。

その頃、蓮と剛はテニス部の見学をしていたが剛はセンスがなかった。

結局ここも入らなかった。

「他に良いところないかな」

剛が悩んでいると蓮に電話が掛かってきた。

それは奈美からだった。

翌日の屋上

「聞いたぞ。いろいろ大変なようだな」

修と千、美羽のところに奈美から話を聞いた蓮と剛がやってきた。

「余計なお世話だ」

修は行こうとする。

「無理するなよ。悲しいなら悲しめばいいじゃん。それに助けてほしいなら素直に助けてほしいと言えばいいじゃん」剛は言う。

「ふさげるな」

「今の状況に負けちゃだめだよ」美羽は修に説得する

「何でそこまで俺に構うんだ」

「分からないけどでも放っておけないの」修の問いに美羽が答える。

「ふさげるな。女なんかに」

すると奈美は修にビンタした。

「奈美…」

蓮は思わず小さな声で名前を呼ぶ。

「昨日、美羽は体を張ってあなたを守ってくれたじゃないの。それもきっかけは、ほぼあなたにあるのにそれでも守ってくれたのよ。あなたなんかよりも美羽の方が強いんだから」

奈美の怒る姿を初めて見た蓮は驚く。

剛も側に寄る。

「お前は、サッカー部で全国大会優勝を狙っていたんだろ? だからお荷物になる俺達を差別して入るなと言ったんだよ。でもそれは自分も例外ではない。だから自分が病気であることを知った時、周りに迷惑をかけないように退部したんじゃないのか」

「……そうさ。それだけさ」

落ち着いた奈美は蓮と剛に提案の話をする。

「ねぇサッカー部に変わるものを探すのはどう?」

「それいいね」美羽は賛成する。

「サッカー以外やる気はない」

「いいややってみようぜ」剛は背中を押す。

最初に体に負担がない将棋部を体験する。

しかし修は将棋が弱かった。

なので蓮達5人と戦っても1人にも勝てなかった。

次に書道部を体験するが字が下手だった。

「字下手だな」

「悪かったな」

その後も毎日放課後にいろいろ見学してみたが修はやりたいものがなかった。

「お前、サッカーしか出来ないのかよ」千は呆れた。

「サッカーしかした事ねぇんだ」

「いやそれを含めても」

「そんな事良いじゃない。次行こう」美羽は言う。

修は所属を諦めようかと考えたときある部活動を見学する。

それは美術部であった。

蓮達は美術室に入る。

「やぁ君達体験入部の人達かい?」

そこに先輩が3人笑顔で迎えてくれた。

しかし他に人はいなかった。

「あのう~ここは美術部ですよね?」

「そうだけどでも人数が少ないし緩いからさぼる人も多いからね」

「そうですか…」

しかしそこがこの部活動の魅力であった

「とりあえず何か書いてていいから」

さっそく6人は絵を描いてみることにした。

みんないろいろ書いて見せ合いっこしていた。

「それジャット機?」美羽が聞く。

「鳥だよ」剛が返答した。

「いやジェット機でしょ」

「どこかだ美羽センスないんじゃないのか」

「いいやあなた達が劣っているのよ」

剛と美羽はくだらないやり取りをする。

修が書いた花の絵はうまかった。

それに蓮たちも驚いた。

「修、美術向いているんじゃないの?」奈美は言う。

「いやそんなはず」

しかし修は運命かもしれないと感じた。

「とりあえず入部してみることにする」

夕方、修は先に帰っていたため蓮達5人は一緒に帰っていた。

「修よかったね」奈美は言う。

「そうだな」剛も安心した。

「俺達も入ってみようぜ?」剛は蓮達を誘う。

「まぁいいかもね」美羽は入部する事に決めた

「入ってもいっか」千はそう答えた。

「奈美はどうする?」

「私も入る」

「俺も入る事にしよう」蓮も入部することにした。

それは奈美が入るからという単純なものだった。

蓮と剛そして当初入部する予定はなかった奈美達も入ることにした。

そして修にとっても生きる目的が見つかったようだった。

 

入学してから3週間が経った。

明日は入学旅行であった。

「明日は入学旅行だな」剛が楽しそうに蓮と奈美に話しながら帰っていた。

「ちょっと休もうぜ」3人は海神公園のベンチに座って休む。

蓮は奈美の隣だったためドキドキしていた。

そこに女が3人やってきた。

「海野さん、まだ男から告白されたらしいね」

3人は怖そうに尋ねる。

奈美は思った。

——きっと告白された男の事が好きだったからそれで怒りに来たんだ

それは奈美にとってはよくある事だった。

「ちょっとあなたたち何よ」

そこに上川美羽がやってきた。

美羽は奈美を庇う。

そしてお互い言い争う内に3人は帰っていった。

「ありがとう」

「いいのよ」美羽は笑顔で返す。

蓮も安心した。

もし美羽がいなければ奈美を庇う事が出来ずもしかしたら自分が嫌われたかもしくは剛が助けて奈美が剛の事を好きになっていたかもしれないと。

夜、蓮は入学旅行の準備をする。

蓮は少し楽しみだった。

何故なら久しぶりの旅行だったため。

その頃、奈美も旅行の準備をしていた。

「あなた一緒に行動する人いるの?」母が心配する。

「……いるよ」しかし奈美は不安だった。

当日、生徒達は高校に集まりバスで出発した。

行き先は愛知県であった。

愛知に到着した後、各自自由行動だったため蓮はさっそく奈美と剛と共に行動することにした。

その時1人でいる生徒を見つけた。

それは谷月千だった。

千はいつも1人で行動していた。

周りが誘ってもそれを拒否して1人でいた。

奈美は可哀想だと感じて千を仲間に入れようと誘った。

蓮は思った。

最初の頃と比べると奈美も成長したように感じた。

「よかったら私たちと一緒に周らない?」

「俺は1人で行動するのが好きなものでね。お前たちと行動したくはない」

さらに千は言った。

「俺は完璧な友達を求めている。決して自分の事を裏切らないで一生仲良くできる友達を」。

「そんなこと言うなって」

剛は無理やり手を取る。

「おい、やめろ」

千は嫌がるがほぼ無理やり一緒に行動する事とした。

4人は色んな所を歩くが千はあまり楽しそうじゃないようだった。

蓮はこんな奴を誘った剛を蓮は心の中で恨んだ。

でも奈美は千に対して何が悲しそうに見えた。

剛と奈美は千に話かけたりするが千は必要なことだけ返答するだけであった。

剛は心の中で驚いていた。

奈美に話しかけられていたら普通嬉しいのに彼は特にそういう反応がなかったからだ。

蓮は千と分かり合うのは難しく感じた。

夕方、全員元の部屋に戻るが蓮は剛と千と同じ部屋だった。

蓮は剛と会話するが千はやはり何もしゃべらないため気まずかった。

蓮はフロンドに行きそこで休んでいた。

「どうしたの?」美羽が話してきた。

「君、昨日の」

「何が悩んでいるの?」

蓮は美羽に今の気持ちを話そうとしたがやめた。

「もしかして奈美って人のこと好きなの?」

「そんなわけないだろ」蓮は慌てて否定する。

「まぁ私も恋っていうものが分からないんだけどね」美羽は笑顔で返答する。

「そういえば君、名前は?」

「上川美羽よ」

「そうか。ありがとう」

そして蓮は部屋に戻った。

翌日、3人で行動する予定だったがそこに美羽が来た。

「蓮、私も入れてくれない?」

「いいけどでも君、昨日一緒に行動していた友達と行動しなくていいの?」

「他の人とも関わりたいからいいの」

「分かった」

その時、橋の上で眠そうだった千を見つけた。

剛はいつもの調子で千に一緒に行動しようと誘う。

「お前たちとは行動したくないから」

千は立ち去ろうとする。

しかし剛は千を掴み仲間に入れようとする。

「なぜ人を嫌がるのかな?」

「俺は完璧な友を持ちたいからだ、だから間違った友を持ちたくない」

剛は千に背を向けた。

「完璧な友情なんて最初からないし当たりとかはずれなんてないよ」

千は鼻で笑うがしかし今までの事を振り返った。

信じていた人達に裏切られ人付き合いをする時は人を選ぶようにする事を決めた日の事を。

そして気付けば自分は1人になっていた。

今自分に失うものが何もない。

そんな千に剛はさらに続けた。

「友情なんて最初から良いものなんてそんなない。お互いが一緒に過ごしていくうちに友達になっていくんじゃないのか」

それを見た美羽も話した。

「完璧じゃなくていいじゃん。楽しければ。」

2人の説得に千はさらに気付いた。

今まで完璧な友達を作りたい故に該当する人がいなかったからずっと1人でいる事に我慢していた。

しかしそんな事する必要ないんじゃないかと。

「……どうせ失うものはないんだ。仲間になってやるよ」千は余計な事を考えるのはやめようと考えた。

剛と美羽は喜ぶ。

そして奈美にとっては今日から美羽と千も新しい友達になった。

しかし蓮はまだ友情が分からなかった。

数日後、4人は屋上にいた。

「しかしこれ以上、まだ友達は増えるのだろうか」蓮の何気なくつぶやいた。

「減るよりはいいじゃないか」剛は返答する。

そして蓮にはこれからさらに仲間が増えていく事となる