授業が終わり、明日から夏休みだった。
高校が終わり6人で帰っているとそこに鎧が現れた。
「奈美。こんな奴らといるよりこの俺と付き合わないか? 俺はジャネーコーポーレーションの御曹司だから」鎧は話しかけた。
蓮は驚く。
「俺、ジャネーコーポーレーションの社員として働いていたんだけど」
「……何を言っている?」鎧は困惑する。
剛達も同じだった。
「…冗談さ…ちょっと言ってみただけさ」
「面白い冗談だ。でも嫌いだ」
鎧は去っていった。
数日後、美術部で美羽たち5人が集まっているとそこにまだ鎧がやってきた。
「やぁ奈美、これから俺と一緒にデートしよう」
そこに丁度、蓮と剛がやってきた。
まだ重い空気になった。
「まだ来たのか」
「そりゃ奈美のためならどこにでも行くよ」
「お前、本当は好きじゃないんだろ。ただ自分を強く見せたいだけだろ」蓮は言った。
「そんなことないよ」
しかし鎧は動揺していた
修は口を開いた。
「おい御曹司」
「その呼び方やめろ」
「俺も蓮と同じくそう見えるし俺には何となく分かる。好きでもないなら好きと言うな」
しかし鎧には響いていないようだった。
月美は考える。
「御曹司さん」
「さん付けもやめろ」
「ごめんなさい。でも心から好きになれるものはいくらでもあると思う」
「それじゃ駄目なんだよ」
千は思い出していた。
それは中学生の時自分が憧れ尊敬していた先輩の事だった。
千が思い出している中無邪気だった鎧は真面目な態度で言った。
「強く見せて何が悪いのかな?みんな嘘をついて強く見せるような生き物だろ」
「お前の言う通りだな」千はそう言う。
「お前、何言っている」
修は反論するが千は続ける。
「人は嘘をついて自分を強く見せる、お前の言う事は間違っていない」
千は鎧の意見に賛同する。
「なんか調子が狂ったな」
鎧は出て行った。
「お前、どういうつもりだ」修は納得がいかなかった。
千は思い出していた。
千が中学生の時、テニス部に所属していてそこで憧れていた先輩がいた。
その先輩は優しくて頼りになる人だった。そしてその先輩は、自分は喧嘩が強い、家は裕福だ、別学校の番長も自分には頭が上がらないなどとにかくいろんな面で強かった。
千はそれもあってその先輩に憧れていた。
そして先輩と深く関わっていき休みの日は一緒に遊ぶ関係になっていたが後に先輩の話は全て嘘である事が判明した。
それを知った千は騙された事に後悔しこの事がきっかけに先輩とは縁を切った。
千にとって鎧はその先輩と重なって見えた。
翌日千はテニスコートに鎧を呼ぶ。
「何の用だ?」
「テニスで勝負しないか?」
「いいぜ…まぁ俺が勝つけど」
そして千と鎧はテニスで勝負する。
しかし千は経験が豊富だったため鎧を圧倒する。
そこに2人がテニスをしていると聞いて蓮達5人も駆け付けた。
「あいつら何でテニスをやってんだ?」蓮は疑問に思った。
そして圧倒的な実力で千は鎧に勝利した。
蓮達に気付いた鎧は慌てた。
「これは俺に恥をかかせるためのみせじめか」
「お前に恥という概念があるのか」千は挑発する。
「だが笑われていると感じているのはお前ぐらいだ」
鎧は動揺する。
「なんでこんな勝負をする?」
「お前の弱さを晒すためだ」
「結局恥をかかせるためじゃないか」
「最後まで聞け」
千は空を見上げる。
「みんな弱いところはたくさんある。でも強いどころもたくさんある。」
「だから弱いところがあったっていいじゃないか。もしお前の近くに完璧なやつがいたらそれはお前の勘違いだ。でも1つだけ褒められるところがある。お前は強く見せようとはしたがそれを実現しようとした勇気は褒めても良い」
「無理して強いもの凄いものを好きになるな。心から好きなものを好きといえ」
「……ごめん…途中から聞こえなかった」
「台無しだな」千は呆れた。
蓮達もがっかりした。
「でもお前の言う事も分からなくない。俺は俺らしく振る舞えばいいんだ」
蓮達は思った。
——こいつの振る舞いは危ない気がする
数日後、蓮達が美術室に行くとそこには鎧がいた。
「俺、美術部に所属した」
「でもなんで所属したんですか?」月美は聞く。
「心から好きになろうと思ってな」
千は思った。
——なんか違う気もするが…まぁいいか
「俺が友達になってやる。さぁみんな俺と仲良くすると良い」
蓮達は今すぐ殴っても良いんじゃないかと感じた
しかしそんな鎧も受け入れる事とした。