入学してから2か月が経過した。
多くのクラスメイトは打ち解けそれぞれグループが生まれていた。
蓮は4人と屋上にいた。
「そういえば今、部活の体験入部やっているね」
美羽は部活動の体験入部について話した。
蓮は部活動に入った事がなかったが興味もなかった。
「蓮、放課後、サッカー部に行ってみようぜ」剛は誘う。
「サッカーは中学3年生以来だな」蓮は自分の状況を忘れていた。
「中3って1年も経ってないじゃん」
蓮は思い出した。
自分は本当は23歳であり実際は8年でもこの世界ではついこの前の話なのだから。
「ところで3人はどうする?」剛は聞く。
「私は入らない」美羽は断る。
「俺もいいかな」千も拒否した。
「奈美はどうする」
「私もいいや」
剛は残念に感じる。
「せっかくの青春、部活動で汗を流すのもいいのに」
放課後蓮と剛はサッカー部を見て見学する。
そこで周りとは桁違いにサッカーが上手い青年を見つける。
彼は霧島修、蓮と同じ歳だが凄腕のサッカー選手であった。
そのため周りの先輩に対しても上から目線などの失礼な態度をとっていた。
そしてサッカーの試合で修は次久と得点を入れていく。
試合終了後、修が2人の元に歩いてきた。
「お前らサッカー経験あるか?」
「いや、ないけど」
「ならやめた方が良い。今からサッカーをやったところでプロなんかになれない」
「そんなのやってみないと分からないだろ」剛は反論する。
「言っておくけど小学生の頃からサッカーをやっている人間でもプロのサッカー選手になれるのはほんの一握り。それなのに高校生になって初めてサッカーをやるなんて」
「別に俺達はプロになりたいんじゃなくて趣味でやってみたいだけだ」
「だったら迷惑だ」修は声を上げる。
「趣味でやりたいだと? 俺は真剣なんだ」
修は足を引きずりながら立ち去った。
翌日、屋上で2人はその事を奈美たちに話した。
「そりゃ大変だったね」美羽が話している途中、千は修について話した。
「修は3歳の時にサッカーを始め徐々に才能を開花、小学生になると彼の活躍で多くの大会で優勝していった。しかし修は高い実力がゆえ、人を下に見ぐだす性格でもあったらしい」
「実力あるのに勿体ないね」美羽は残念に感じる。
「お前よくそんな事知っているな」蓮は千に感心した。
「人の事を知っておく事も大事なことだ」
放課後、修は病院に行くため部活を休んで帰ろうとしていた。
そこで蓮達とバッタリ会う。
「部活やらないのか」
「別にいいだろう」
修はそう言って立ち去った。。
修は病院に行って診断してもらうと医師は重い口調で話した。
「これ以上サッカーをやるとあなたの体は悪化します。今後は激しい運動は控えてください」
修はショックを受ける。
その日修は人生最大の挫折を味わった。
夜、蓮が家でテレビを見ているとそこにメールが来た。
剛からだった。
内容は明日も体験入部をやろうというものだった。
「めんどくさいがやってみるか」
翌日、蓮と剛は卓球部を見学するために放課後残った。
そして奈美、千、美羽が一緒に帰っていると海神公園に修が椅子に座っていた。
「あいつ蓮達が言っていた奴だ」
「あの人が」
すると美羽が話しかけた。
「どうしたの?」
美羽は話しかけるが修は無視して立ち去ろうとする。
しかしそこにサッカー部の先輩がやってきた。
「修、聞いたぞ。退部したようだな」
「今までよくも好き放題やってくれたな」
先輩たちは今までの仕返しをしようとしていた。
「あなた達なによ」美羽は修を庇う。
「俺達はこいつに今まで見下されてきたんだよ。それで病気だと知ってやり返してやろうと思っているんだよ、だからどけ」
しかし美羽は強かった。
「どかない。誰であろうとも困っている人を見捨てることなんで出来ないわ」
それを見た修は怒る。
「何やってんだよ。女に守ってもらうなんでかっこ悪いだろ」
「やぁ何しているのかな」
そこに鎧がやってきた。
「こいつはあの厄介な……」
「そうか厄介か…厄介って何?」鎧は意味を知らなかった。
「行こうぜ」
先輩は立ち去っていく。。
「なんなんだお前」千は聞く。
「きっと俺が強すぎるから逃げていったんだ」
鎧は去っていった。
美羽は修を見る。
「あなた病気なの?」
「関係ないだろ」
修は去ろうとした。
「待って」美羽は修の手首を握る
「これからどうするつもり? 今日は良くても明日からどうするの?」
「心配される筋合いはない」
修は美羽の手をほどき行ってしまった。
その頃、蓮と剛はテニス部の見学をしていたが剛はセンスがなかった。
結局ここも入らなかった。
「他に良いところないかな」
剛が悩んでいると蓮に電話が掛かってきた。
それは奈美からだった。
翌日の屋上
「聞いたぞ。いろいろ大変なようだな」
修と千、美羽のところに奈美から話を聞いた蓮と剛がやってきた。
「余計なお世話だ」
修は行こうとする。
「無理するなよ。悲しいなら悲しめばいいじゃん。それに助けてほしいなら素直に助けてほしいと言えばいいじゃん」剛は言う。
「ふさげるな」
「今の状況に負けちゃだめだよ」美羽は修に説得する
「何でそこまで俺に構うんだ」
「分からないけどでも放っておけないの」修の問いに美羽が答える。
「ふさげるな。女なんかに」
すると奈美は修にビンタした。
「奈美…」
蓮は思わず小さな声で名前を呼ぶ。
「昨日、美羽は体を張ってあなたを守ってくれたじゃないの。それもきっかけは、ほぼあなたにあるのにそれでも守ってくれたのよ。あなたなんかよりも美羽の方が強いんだから」
奈美の怒る姿を初めて見た蓮は驚く。
剛も側に寄る。
「お前は、サッカー部で全国大会優勝を狙っていたんだろ? だからお荷物になる俺達を差別して入るなと言ったんだよ。でもそれは自分も例外ではない。だから自分が病気であることを知った時、周りに迷惑をかけないように退部したんじゃないのか」
「……そうさ。それだけさ」
落ち着いた奈美は蓮と剛に提案の話をする。
「ねぇサッカー部に変わるものを探すのはどう?」
「それいいね」美羽は賛成する。
「サッカー以外やる気はない」
「いいややってみようぜ」剛は背中を押す。
最初に体に負担がない将棋部を体験する。
しかし修は将棋が弱かった。
なので蓮達5人と戦っても1人にも勝てなかった。
次に書道部を体験するが字が下手だった。
「字下手だな」
「悪かったな」
その後も毎日放課後にいろいろ見学してみたが修はやりたいものがなかった。
「お前、サッカーしか出来ないのかよ」千は呆れた。
「サッカーしかした事ねぇんだ」
「いやそれを含めても」
「そんな事良いじゃない。次行こう」美羽は言う。
修は所属を諦めようかと考えたときある部活動を見学する。
それは美術部であった。
蓮達は美術室に入る。
「やぁ君達体験入部の人達かい?」
そこに先輩が3人笑顔で迎えてくれた。
しかし他に人はいなかった。
「あのう~ここは美術部ですよね?」
「そうだけどでも人数が少ないし緩いからさぼる人も多いからね」
「そうですか…」
しかしそこがこの部活動の魅力であった
「とりあえず何か書いてていいから」
さっそく6人は絵を描いてみることにした。
みんないろいろ書いて見せ合いっこしていた。
「それジャット機?」美羽が聞く。
「鳥だよ」剛が返答した。
「いやジェット機でしょ」
「どこかだ美羽センスないんじゃないのか」
「いいやあなた達が劣っているのよ」
剛と美羽はくだらないやり取りをする。
修が書いた花の絵はうまかった。
それに蓮たちも驚いた。
「修、美術向いているんじゃないの?」奈美は言う。
「いやそんなはず」
しかし修は運命かもしれないと感じた。
「とりあえず入部してみることにする」
夕方、修は先に帰っていたため蓮達5人は一緒に帰っていた。
「修よかったね」奈美は言う。
「そうだな」剛も安心した。
「俺達も入ってみようぜ?」剛は蓮達を誘う。
「まぁいいかもね」美羽は入部する事に決めた
「入ってもいっか」千はそう答えた。
「奈美はどうする?」
「私も入る」
「俺も入る事にしよう」蓮も入部することにした。
それは奈美が入るからという単純なものだった。
蓮と剛そして当初入部する予定はなかった奈美達も入ることにした。
そして修にとっても生きる目的が見つかったようだった。