昼休み月美が校庭にいると電話がかかって来た。

「月美、お母さんだけど実はさっきお兄ちゃんから電話がかかって来たの?」

「兄が」

「なんかお金を渡せと」

月美は呆れた。

授業が終わり蓮達が玄関に行くとそこには大我がいた。

千はこの間の件もあって大我に怒りを持っていた。

「氷崎大我」蓮は警戒する。

「どうやらこの間の奴ら殴られた事忘れていたな、まぁその方が都合が良いが」

千は大我の胸倉を掴む。

「なぜこんなクズな事を」

「俺はお前達が嫌いなんだよ。いや彼女だけは例外だな」

大我は奈美を見る。

「お前、友達いないだろ?」修は挑発する。

「前はいたさ。だが今はもういない」

「もしお前が奈美と付き合ったら俺は許さない」

大我はそう言い残し帰っていた。

「あいつ…」蓮は混乱する。

帰り道、月美が歩いていると大我が不良気質の男とたむろしていた。

「よぉ月美」

男の声に月美は驚いた。

「兄…でもなんで」

「たまたまこの近くを月美、お金くれないか?」男は月美に要求する。

月美は思わず逃げていく。

夜、月美は戸惑っていた。

——なんで兄が今更私達に関わってくるの?

すると部屋に母親が入って来た。

「お母さん、入る時はノックしてよ」

「ごめん…それはそうと考えたんだけどもしお兄ちゃんがまだ家に戻りたいと言ったら月美はどうする?」

「お断りだよ。なんで今更」

月美は兄の事を快く思っていなかった。

その頃、蓮がコンビニに向かっていると剛と遭遇する。

「剛」

「蓮か、というより家近くだったのか」剛は驚いた。

「どこに行くんだ?」

「コンビニだけど」

「そうか。じゃまだ明日学校でな」

剛は去っていった。

蓮は思った。

剛とはまるで運命的に繋がっていると。

翌日、授業が終わって月美が帰ろうと窓を見たらそこに兄が立っていた。

月美は怖くなる。

「どうした?」

奈美と修、鎧が話しかける。

「私の兄がいる」

修はすぐに察した。

「行くぞ鎧」

「いやいやいやなんで俺まで」

「男だろ?」

「いや俺が本気出すと問題になるし」鎧は怯えていた。

修は鎧を連れてその男の所に行った。

鎧はビビっていた

「何があったのか?」

そこに蓮と剛、千、美羽も来る。

月美は昨日会った事を説明した。

「大我が何故?」

「分からないけれどでもとても仲が良さそうだった」

月美は混乱していた。

「そもそも兄ってどんな人間だったんだ?」千は聞く。

「兄は不良気質な人で両親のお金を盗んだり家で暴れたり、学校でトラブルを起こしたりと問題ばかり起こしていた」

「でもそれでも兄は変わると信じていた。だけど中々変わらずそして自分が中学生の頃に兄は出ていった」

「しばらくして兄から電話があったけどその内容が『母のダイヤの指輪を持ってこい』だった」

「そこで私は諦めた」

月美の過去に蓮達は驚いていた。

そして気が付くと兄はいなくなっていた。

「だったらあいつから色々聞き出そうぜ」修は言う。

「あいつが喋るとは思えないが」千は嫌がった。

「でも色々気になる事も多い」蓮は賛同する。

「珍しいね。蓮が人に興味を持つなんて」剛は意外に感じる。

「興味はない。何となくだ」

しかし蓮は何故が人間に興味を持ち始めていた。

大我が屋上にいると蓮と奈美、修、月美がやって来た。

「お前、月美の兄と関わりがあるようだな」

「あいつとは最近知り合ったばっかだ。なんか喧嘩に加担してやったら仲良くなってな」

「お前、素行が悪いな」修は呆れた。

「でもまさかお前の兄だったとは」

「…兄は今どんな人になってるの?」

大我は表情を変える。

「どうしたの?」奈美は聞く。

「話す気もない」

「やっぱり問題あるんだね」

月美の言葉に大我は動揺する。

「……そうだ。金とかに強い執着するような奴だ」

「じゃ最初から話せば良いだろ」

「話そうと思ったがわざわざ話す必要もないと思ってな」

月美は察した。

「もしかして私の事心配してくれて」

「そんなはずは」

「たぶんそうよ」奈美は言う。

「今の表情、本当は月美が傷付くと思って敢えて言わなかった。そうでしょ?」

大我は下を見る。

月美は側による。

「あなた…本当は優しいんじゃないの?」

「……そういうのが嫌いなんだよ。特に奈美に言われると」

大我はその場を去ろうとした」

「もし本当に性格悪かったら全て普通に話したと思う」月美は言う。

「しつこい。別にお前のためじゃないし」

大我は去っていった。

「あいつ…よく分からない奴だ」

すると月美に電話がかかって来た。

それは兄が逮捕されたというものだった。

夕方、月美は落ち込んでいた。

「私行った方が良いのかな」月美は考える。

「行かなくて良いだろ」千は止める。

「でも兄だって家族だし」

「優しいんだね。月美」美羽は言う。

「それが当たり前じゃ」

「当たり前のようで違うんだと思う」剛は自分の兄と比較する。

「でも大我は実は優しい性格なのは意外だったな」鎧は不思議に感じていた。

一方、村上と佐野は部活が終わり帰ろうとした。

すると目の前に大我が現れた。

「氷崎、どうした?」

大我は菓子を渡す。

「なんだよこれ?」

「お詫びだ」

「お詫び? なんの事だ?」

「とりあえず受け取っておけ」

そして大我は去っていった。

 

 

入学式から1年が経ち蓮達は2年生になった。

そして登校日、蓮が歩いているとある話が聞こえてきた。

それは転校生が来るというものだった。

そして教室でホームルームが始まるとそこに転校生が入ってきた。

名前は氷崎大我だった。

彼はクールで無表情な性格だった。

「なんかイケメンだね」美羽は奈美に話しかける。

「そうだね。いいね」

放課後、大我は屋上にいた。

「君が氷崎大我君だね」

振り返ると剛と美羽、修、月美、鎧がやって来た。

「お前達は?」

「ただのクラスメイトさ。仲良くしようぜ」

「興味ないな。俺の目的はただ1つ」

大我は去っていった。

「なんか気難しそうだね」鎧は言う。

「なんかあったのかな」月美は心配する。

大我が廊下を歩いていると目の前を奈美が横切った。

「奈美!」

大我の言葉に奈美は振り返る。

「いや…なんでもない」

「私の名前…もう覚えていたんだ」

しかし奈美はそれ以上何を話して良いか分からなかった。

「……元気か? 体の方は大丈夫か?」

「特に問題ないけど…どうしたの?」

「いや…なんでもない」

大我は去ろうとした。

「奈美」

そこに蓮がやって来た。

「蓮」

奈美の言葉に大我は振り返った。

「お前が泉蓮か?」

「そうだけど」

大我は怒りを抑えるようにその場を去る。

「なんか嫌な奴だな」蓮は不快に感じる。

それから数日間何も問題も起こらず蓮達は平和に暮らしていた。

ある日、大我が廊下を歩いていると目の前に他の生徒と話す佐野と村上がいた。

大我は怒りがこみ上げた。

蓮達が廊下を歩いていると目の前にはボコボコにされた佐野と村上が倒れていた。

「おい! どうした!」千は駆け寄る。

「あいつが」

村上が指さす方向には大我がいた。

「あなたがこれを」美羽は驚いた。

「やっぱり弱かったな。お前の仲間達」大我は悪びれていなかった。

「何故こんな事を」剛は聞く。

「気に食わないからな。こいつらがのこのこ青春を送っているのが」

千は怒りを覚えた。

「よくも俺の友人を」

「先生に言うぞ」鎧は月美の後ろに隠れながら粋がる。

「良いぜ、別にどうでもいいし」大我は言う。

「お前…随分とクズだったようだな」修は呆れた。

大我は去っていった。

「あいつ…一体何を考えているんだ」蓮は気になった。

「氷崎君…あんな人だったんだ」奈美はショックを受ける。

そして保健室に連れて行こうとした。

「いや~まさか格闘ごっこしてて怪我するなんて」佐野は呑気だった。

「え? 大我に殴られたんじゃ」

「違うよ。格闘ごっこで傷ついたんだ」

蓮は思った。

——大我を恐れているのが頭を打っておかしくなっているのか

そして2人を保健室に連れていき蓮達は校庭に集まる。

「しかしあいつ凶暴だな」剛は言う。

千は壁を殴る。

「千…」

「俺はあいつを許さない。絶対にいずれやり返してやる」千は怒りがこみ上げた。

「お前また」

鎧は意見しようとするが蓮が止める。

「なぜ止めるんだよ」

蓮は分からなかった。

「今回ばかりはしょうがないよ」美羽は千を庇う。

「でも千、だからってやり返しちゃだめだよ」月美は忠告する。

「……分かってる。退学になったら困るからな」

千はその場を去っていった。

「でもあいつと友達になれたら凄いんじゃないのか?」剛は興味を持つ。

「なれるのか? 結構危ない奴だぞ」修は警戒した。

「あなたも大概だけどね」

「俺はあいつとは違う」

しかし蓮は大我に何が深い事情があるよう感じた。

その頃、大我は海神公園にいた。

「泉蓮、奈美…まさかこの世界にいたとは」

2月になり、卒業式も近づいていた。

暴走寸前だった千も落ち着きを取り戻し何事もなかったようにみんなで仲良くしていた。

ある日、蓮と剛、奈美は校庭でキャッチボールをしていた。

「こうやって振り返ると色々あったな」剛は振り返る。

「そうね。色々あった」奈美はそう返す。

「でも友達は出来ても恋人はまだ出来てないね」

奈美の言葉に蓮は思わず緊張が走った。

蓮が奈美にボールを投げたが取り損ね遠くまで転がっていった。

「ごめん」蓮は謝る。

茂みの奥に拾いに行った奈美だったがそこに3年生で美術部の先輩がいた。

「あ…先輩」

「…言いたい事がある…ずっと海野さんの事が好きだったんだ」

その言葉に奈美は動揺する。

その頃、美羽が屋上に行くとそこに修がいた。

「そういえばもうすぐ2年生か」修が何となく話しかける。

「あれ」美羽が指さす。

そこには奈美と先輩の姿があった。

「先輩と何話しているのかな?」美羽は思った。

一方、奈美は言葉が出ないでいた。

「いきなりこんなこと言ってごめん。考えといて」

先輩は去っていった。

奈美は頭が真っ白になっていた。

丁度その姿を千も見ていた。

翌日、奈美は告白の件を7人に話した。

「良いじゃん」

美羽は喜ぶがしかし蓮は何故が悲しく感じた。

「良くないな」千は否定した。

「どういう事だ?」

「奴は女癖が悪くて付き合ってもすぐ別れるか浮気するという噂だ」

しかし奈美は千の言う事を信じられなかった。

「お前、あの人は一応先輩なんだぞ」剛は言う。

「一応じゃなくて先輩だろ」蓮は思わず突っ込んだ。

「関係ないさ。人間それぞれ本質を隠して生きているんだから」千は強気だった。

「それでも一緒に活動した仲間なんだから」剛は説得する。

「やれやれ噂を簡単に鵜呑みにするお前の方が危ないんじゃないのか」修は言う。

「なんだと」

「世の中、全てが正しい情報ばかりじゃない。嘘もたくさんある。いや、もしかすると嘘の方が事実よりも大半だったりしてな」

「お前偉そうに」

「よしなさいよ」美羽は仲裁する。

「千の言う事を否定するわけじゃない。ただ噂に惑わされないで」月美は心配する。

千はその場を去っていった。

「あいつまだ暴走癖が治っていないのか」鎧は呆れた。

「暴走とは関係なさそうだけどでも騙されたり人の裏の顔に対しては敏感だな。あいつ」修はそう感じた。

「でも本当にこれで良いのか」蓮は疑問に思う。

「何が問題あるのか?」

「いやそうじゃないけど」

しかし蓮は何故が悔しく感じていた。

夜、蓮は部屋でテレビを見ながら悩んでいた。

恋愛ドラマを見ていてそのシーンはまさしく今日、自分に重なる出来事だった。

蓮は不吉な予感を感じてしまう。

また奈美が先輩と付き合うかもしれないことに対して快く思っていなかった。

しかし先輩の事を別に嫌っていないのになぜ嫌なのか分からなかった。

翌日の授業中奈美は先輩について考えていた。

その姿を千も後ろから見ていた。

休み時間、千は奈美の側に行く。

「先輩の事考えていたのか?」

「奈美は何も答えなかった。

「どうせまだ考えていたんだよ」

「何て千はそんなにあの人を拒否するの? よく知らないくせに」

「一応は知っているし俺はお前のこと心配してる」

「噂程度で余計なお世話だよ」

「なんだよ。それ」

2人の言い争う。

遠くから月美と鎧は見ていた。

「千、修の次は奈美と喧嘩か」

「どうするの?」

「ほっとけば良いよ。その内、仲直りするだろうし」

放課後、奈美は先輩に返答した。。

「ごめんなさい」奈美は頭を下げた。

「分かった。考えさせてごめんね」先輩は笑顔だった。

「でもよかったよ。ちゃんと告白することが出来て」

そして先輩は立ち去って行った。

翌日、奈美は断った事をみんなに話した。

「まぁいいんじゃない」美羽は言う。

蓮は安心していた。

「とてもじゃないか噂通りだとは思えなかった」奈美は言う。

「それは表向けであって」

「他の奴から聞いたがその先輩は成績が優秀だったらしい。だからそれに嫉妬した奴が悪い噂を流したんじゃないか」修は推測した。

「でもそれは」

「しつこいぞ。結局噂なんだよ」

修はそう話すが千は納得がいかないようだった。

そして下校の時、蓮はみんなが来る前に帰ることにした。

それは奈美に対するもやもやがあったため。

そして奈美について考えていたらある事が頭をよぎった。

「これは恋なのか?」

「俺は恋しているのか?」蓮は気付いたようだった。

「もうすぐ奈美に会える。そして蓮。これ以上お前には…」

そう言いながら1人の男が動き出す。

下校中、蓮は千と修、月美と一緒に帰っていた。

「千」

8人が振り返るとそこにいたのは矢内安がいた。

「あんたは?」千は機嫌を悪くする。

「まだ怒ってるのか? 過去の事だというのに」安は軽々しかった。

「あんたにされた事は忘れていない」

千は去っていった。

「おい待てよ」修は声をかける

「どうやら許されていないようだな」

蓮は安を見る。

「あんた千とどういう関係なんだ?」

安は話すがどうするか考える。

翌日の昼休み剛達7人が屋上にいると蓮がやって来た。

「聞いたよ。先輩から」

「あいつ喋ったのか」千は不快に感じる。

「なんの話だ?」

剛と奈美、美羽、鎧は気になった。

「奴は喧嘩に強い、裕福だ、別の学校の番長も自分には頭が上がらないと自慢していた。でも蓋を開けてみたらただの雑魚だった。そんな奴に俺は時間を使った。奴の事をもっと早く知っていれば本当に良い奴と関われたのに」千は感情的になる。

「でもあなたは気付いたんじゃないの? 修学旅行の時に」美羽は言う。

「それとこれとは別だ。あの先輩への恨みは消えていない」

「でもそれでもあなたの事を思っていたよ?」月美は説得する。

「お前に何がわかる」千は怒りながら教室に戻っていった。

「しかし大丈夫かな」鎧は心配だった。

「確かにな。あいつは暴走すると手に負えられなさそうだな」剛はそう感じた。

放課後、蓮と月美、鎧が海神公園に入るとそこに安がいた。

「待っていたよ」安は嬉しそうだった。

「千はどうだった?」

「機嫌が悪かった。やはり根に持っているようだ」蓮は正直に伝える。

「でも何でそんな嘘をついたんですか?」月美は質問する。

「みんなから尊敬されたかったんだ。だからつい嘘をついてあんな事言っちゃったんだ。でもまさかバレるとは思わなかったから」

そして安は千に対する思いを伝えた

「俺は千の事を騙した。そして裏切った。とても後悔している。休みの日はよく遊んでいて楽しかった。俺にとって千は大事な後輩だったから。でも1つだけ言いたい。俺はあれから変わった。ちゃんと努力して今はとても強くなったしあの時の番長とも仲良くなった」

「分かった。あんたの気持ちを千に伝えてやるよ」蓮は約束した。

ふと蓮は思った。

——なんで俺は千のために

翌日、鎧は千を屋上に呼ぶ。

そこに6人もいた。

「なんで鎧なの?」月美は蓮に聞く。

「あいつが説得したいと言っていたから

「千、先輩が言っていた。千の事を後悔している…よく遊んで…でも1つ言いたい…俺は変わった、番長になったと」

鎧は思いっきり間違った事を伝えてしまった。

「あいつ…」蓮は頭を抱える。

「あいつがそんな事を」千は余計に苛立った。

「違う。鎧が省略しすぎただけだよ」月美は修正する。

「余計なお世話は良い」

千は戻ろうとする。

「待って。確かに千に嘘はついたけどでも今まで一緒にいて楽しかったんじゃないの?」月美は必死に訴える。

「そんなこと」

「ここで縁を切ると後悔するかもしれないよ」

「それが余計なお世話なんだよ」

「千!」修は声を上げる。

「お前を心配してくれている奴らがいるだろ?」

「心配なんで誰でもできるだろ」

「なんだよそれ」

「やめなさい」

感情的になる修を美羽が抑える。

千はその場を去っていった。

「難しいものだね。説得って」奈美は言う。

「千、大丈夫なのだろうか」

千の暴走に蓮達は嫌な予感がした。

12月、街はクリスマスムードとなっていた。

授業が終わり修と月美以外のメンバー達は帰っていた。

「ねぇ今度みんなでクリスマスパーティーやらない」美羽は誘う。

「そんなお子様みたいな事はごめんだ」千は嫌がる。

「いいね。やろうじゃないか」鎧は賛成した。

「ごめん。俺はこの後用があるから」

そして剛は先に帰っていった。

「そういえばあいつ前は自分から誘っていたのに最近は誘っても断っているな」蓮は疑問に思った。

「でも蓮、誘っても来ないじゃん」千は言う

「そうだけどでも気になってな」

千は何かあるのではないかと考えた。

その頃横断歩道付近で剛は別の学校の友人3人と合流していた。

そこを反対方向からたまたま蓮達が目撃する。

「あいつ何しているんだ?」

「きっとあいつら危ない奴らだ」鎧はそう感じた。

「違うよ。でも何があるね」美羽は気になった。

蓮は尾行してみる事とした。

すると修と月美は蓮達を目撃する。

「…何してるのかな?」月美は気になった。

「……他人のふりしよう」修は関わらないようにした。

しばらく尾行していると剛はお墓に入っていった。

「墓参りなのか?」

蓮は考えた。

「…尾行はやめよう」

「え? ここまで来てか」鎧は納得できなかった。

「人には踏み入っちゃいけない事もある」

蓮達は帰ろうとした。

「…何してる?」

振り返ると修と月美がいた。

「2人ともなんで」

「それはこっちのセリフだ。何してる?」

「ちょっと剛が気になって」

修は話すべきがどうするか考える。

「……剛の兄はクリスマスの時に死んだ」

その言葉に全員が重い表情となった。

「知っていたのは俺だけか」

一方、剛はお墓で線香を炊き供えていた。

剛は手を合わせながら過去の事を振り返っていた。

剛には8つ年上の兄、純崎力がいた。

力は優しくて頼もしかったがしかし力は白血病で病院に入院していた。

「兄貴、大丈夫」

「心配するな剛」

「剛もし俺が死んだらちゃんとお母さんの言う事を聞けよ」

「そして困っている人がいたら助けてあげられ人間になるんだぞ」

力のこの言葉は剛の心に染みていて高校生になった今でも心に残っていた。

その時の力はまだ話せるほど元気だったが日がたつことにつれ話す回数も減りついには動かなくなってしまうほど悪化してしまう。

剛は動かない兄をずっと見ていた。

何を話しても力は何の反応もしなかった。

剛は悲しかった。

でもいつか病気が治ってまだ一緒に話せる日が来ると信じ日常を過ごしていた。。

しかしクリスマス直前に兄は亡くなった。

外がイルミネーションで輝いていてみんな歓声を上げる中の悲劇だった。

剛は泣いてしまった。

しかし同時に力の言う通りの人間になると誓った。

そしていつまでも泣いていれば兄が悲しいだけだと思いすぐに立ち直る事とした。

それ以降剛はクリスマスの時以外は嫌な事があっても前向きに考えるように決めた。

修は剛の過去を話していた。

「今の剛が明るく無邪気ながらも優しい性格なのはこの経験があったからなんだね」奈美は納得した。

「あいつはクリスマス時期になると元気がなくなるそうだ」

「それなのに私クリスマスパーティーやろうと言っちゃってなんか悪い事したな」美羽は自分を責めた。

「仕方ないさ。知らなかったんだからな」千は励ます。

「何してるんだ?」

そこに剛がやって来た。

「いやこれは」

「尾行していたんだろ?」剛は察した。

鎧は剛の肩に腕をのせる。

「尾行じゃない。偶然だ」

「偶然で墓まで来るか?」

しかし剛は感じた。

ちゃんと前を向いて進んだからこそ今の仲間達がいる。

そう考えると嬉しくなった。

「そういえばクリスマスパーティーいつなんだ?」剛は聞く。

「お前行くのか?」修は驚いた。

「当たり前だ。クリスマスだし」

なんかよく分からないがしかし剛が元気を取り戻して蓮達は安心した。