2月になり、卒業式も近づいていた。
暴走寸前だった千も落ち着きを取り戻し何事もなかったようにみんなで仲良くしていた。
ある日、蓮と剛、奈美は校庭でキャッチボールをしていた。
「こうやって振り返ると色々あったな」剛は振り返る。
「そうね。色々あった」奈美はそう返す。
「でも友達は出来ても恋人はまだ出来てないね」
奈美の言葉に蓮は思わず緊張が走った。
蓮が奈美にボールを投げたが取り損ね遠くまで転がっていった。
「ごめん」蓮は謝る。
茂みの奥に拾いに行った奈美だったがそこに3年生で美術部の先輩がいた。
「あ…先輩」
「…言いたい事がある…ずっと海野さんの事が好きだったんだ」
その言葉に奈美は動揺する。
その頃、美羽が屋上に行くとそこに修がいた。
「そういえばもうすぐ2年生か」修が何となく話しかける。
「あれ」美羽が指さす。
そこには奈美と先輩の姿があった。
「先輩と何話しているのかな?」美羽は思った。
一方、奈美は言葉が出ないでいた。
「いきなりこんなこと言ってごめん。考えといて」
先輩は去っていった。
奈美は頭が真っ白になっていた。
丁度その姿を千も見ていた。
翌日、奈美は告白の件を7人に話した。
「良いじゃん」
美羽は喜ぶがしかし蓮は何故が悲しく感じた。
「良くないな」千は否定した。
「どういう事だ?」
「奴は女癖が悪くて付き合ってもすぐ別れるか浮気するという噂だ」
しかし奈美は千の言う事を信じられなかった。
「お前、あの人は一応先輩なんだぞ」剛は言う。
「一応じゃなくて先輩だろ」蓮は思わず突っ込んだ。
「関係ないさ。人間それぞれ本質を隠して生きているんだから」千は強気だった。
「それでも一緒に活動した仲間なんだから」剛は説得する。
「やれやれ噂を簡単に鵜呑みにするお前の方が危ないんじゃないのか」修は言う。
「なんだと」
「世の中、全てが正しい情報ばかりじゃない。嘘もたくさんある。いや、もしかすると嘘の方が事実よりも大半だったりしてな」
「お前偉そうに」
「よしなさいよ」美羽は仲裁する。
「千の言う事を否定するわけじゃない。ただ噂に惑わされないで」月美は心配する。
千はその場を去っていった。
「あいつまだ暴走癖が治っていないのか」鎧は呆れた。
「暴走とは関係なさそうだけどでも騙されたり人の裏の顔に対しては敏感だな。あいつ」修はそう感じた。
「でも本当にこれで良いのか」蓮は疑問に思う。
「何が問題あるのか?」
「いやそうじゃないけど」
しかし蓮は何故が悔しく感じていた。
夜、蓮は部屋でテレビを見ながら悩んでいた。
恋愛ドラマを見ていてそのシーンはまさしく今日、自分に重なる出来事だった。
蓮は不吉な予感を感じてしまう。
また奈美が先輩と付き合うかもしれないことに対して快く思っていなかった。
しかし先輩の事を別に嫌っていないのになぜ嫌なのか分からなかった。
翌日の授業中奈美は先輩について考えていた。
その姿を千も後ろから見ていた。
休み時間、千は奈美の側に行く。
「先輩の事考えていたのか?」
「奈美は何も答えなかった。
「どうせまだ考えていたんだよ」
「何て千はそんなにあの人を拒否するの? よく知らないくせに」
「一応は知っているし俺はお前のこと心配してる」
「噂程度で余計なお世話だよ」
「なんだよ。それ」
2人の言い争う。
遠くから月美と鎧は見ていた。
「千、修の次は奈美と喧嘩か」
「どうするの?」
「ほっとけば良いよ。その内、仲直りするだろうし」
放課後、奈美は先輩に返答した。。
「ごめんなさい」奈美は頭を下げた。
「分かった。考えさせてごめんね」先輩は笑顔だった。
「でもよかったよ。ちゃんと告白することが出来て」
そして先輩は立ち去って行った。
翌日、奈美は断った事をみんなに話した。
「まぁいいんじゃない」美羽は言う。
蓮は安心していた。
「とてもじゃないか噂通りだとは思えなかった」奈美は言う。
「それは表向けであって」
「他の奴から聞いたがその先輩は成績が優秀だったらしい。だからそれに嫉妬した奴が悪い噂を流したんじゃないか」修は推測した。
「でもそれは」
「しつこいぞ。結局噂なんだよ」
修はそう話すが千は納得がいかないようだった。
そして下校の時、蓮はみんなが来る前に帰ることにした。
それは奈美に対するもやもやがあったため。
そして奈美について考えていたらある事が頭をよぎった。
「これは恋なのか?」
「俺は恋しているのか?」蓮は気付いたようだった。
「もうすぐ奈美に会える。そして蓮。これ以上お前には…」
そう言いながら1人の男が動き出す。