世界中で「凄い展示会」をプロデュースする会社社長のブログ

「凄い展示会」をプロデュースする株式会社ゼンシン
ゼンシン代表 前田 雄一が夢、目標、日々の出来事を綴っていきます。
展示会を通じて世界を変えていきます。

■第六章


TMマネキンに国際電話がはいる。

轟が真っ青な顔で、

「緊急会議をする」と皆に伝えた。

本社にいる7人の幹部が集まると同時に

「前田が、、、前田が、、、、死んだ 理由はまだわからない」







 前田が目を覚ましたのは、真っ白い部屋。白い寝間着日本に居た時より随分痩せた腕は、点滴の管に繋がれている。

オフィスで倒れているのを、現地社員が朝みつけてそのまま救急搬送されたと後で聞いた。


そして、命がつきかけている事も・・・




 タイピングも時々おぼつかず、書いては消し、溢れる涙をぬぐいながら

長い時間をかけて、まずはひかるとのぞみに・・ そして轟に 2通の手紙を書き上げる。


ベッド脇の小机にはうず高く書類が積まれていた。

 告げずに勝手を通すぶん、少しでも仕事を進めて、後に残る者が引き継ぎやすいようにしなくてはいけない。


轟と二人で世界を変える、そう決めた。その夢のためにも。

 
いつか轟や軽井、中西たちと知恵を絞って作ったクレドの理念を、海外支社にも残せるように。

目頭を揉む。次第に体力もなくなってきているのがわかった。








 うまく力が入らない手で携帯電話を取り、ひかるの携帯の番号を呼び出した。


 二度目のコール音で、きいちゃん、と呼ぶ声がした。


「ひかる、元気か?」


『ねえ、きいちゃん。具合、ずいぶん悪そうだよ。私、そっちへすぐいくからね……』


どうしたの、とまだ幼い声がした。涙混じりの電話の向こうの声は、はっとしたように、なんでもないよと優しく告げる。


 駄々っ子に諭すように、ひかるに告げる。

「もう会えない、わけじゃないよ。いつだって、どうなったって、おれはひかるとのぞみの側にいるよ。もしかしたら、仕事で忙しい今よりずっと」

 電話の向こう、すん、とすすり上げる音がした。

ややあって、


『うん。……私がしっかりしなきゃ、駄目だよね。きいちゃんを心配させないように』


「ああ。ひかるなら大丈夫だって、おれは思ってるから。のぞみにも替わってくれるか?」


 がさがさとノイズがしたあと、


『パパ! いつ帰ってくるの? 来週? 明日?』


 元気のよい声がした。のぞみにはまだ病気のことは告げていない。


「お母さんの言うこと、よく聞いてるか?」


『パパ、それ、毎回言ってる。でも、のぞみねえ、ちゃんとお手伝いしてるよ。


今日だって、お風呂掃除もしたし、お皿も運んだもの』



「お、偉いな。さすがパパとママの子だ」


『うん! だって、いい子にしてたらパパが早く帰ってきてくれるんでしょう?』


 前田は言葉を詰まらせる。


 のぞみに嘘をつくのだけは、やっぱり上手くない。

だから、なるべく嘘にならないように、


「そうだなあ……もうじき帰るよ。ひかるとのぞみの傍に」


『ほんとう?』


 喜色を声に浮かべるのぞみに、本当だとも、と返す。


『おみやげ、いっぱい持ってきてくれる?』


「どうかなあ、おみやげは難しいかもしれない」


『ううん、でもいい。パパが帰って来てくれるのが一番うれしい。

おみやげはなしでもいいから、早く帰ってきてね』


 うん、と前田は


「なあ、のぞみ。パパがいなくてもいい子にしているんだぞ。ママのことをよろしくな。それから……」


 それから、それから。言いたいことはたくさんあった。


 けれど、今はこれだけでいいような気がした。


「愛してる」


 のぞみは不思議そうに、どうしたの、と尋ねる。


「いいや、どうもしないよ。ただ、何度だって言いたいだけだ。のぞみが怒られるようなことをした
ときだって、どんなに大きくなったって。ずっとずっと、愛してる」


『うん、私も……パパが大好き!』


 電話を切ると、どっと疲れたような気がした。


 前田は眠りに落ちる。永い永い眠りに。




1年後、、、



 カーン——…… カーン——……


 株式会社TMマネキンの役員たちが、ひとりずつ順に鐘を鳴らす。創業メンバーであり社長での轟、社長を慕っていた常務 軽井、社長にヘッドハンティングされて鮮やかな実務手腕を発揮した切れ者の部長。

そして、社を上場に導くために大きく貢献した谷田という男。そして貴田

誰一人欠けても、今日を迎えることはなかったろう。

厳かに五度、それぞれ異なる音色で響き渡る鐘は力強く、澄み渡り、あるいは小さくとも凛とたしかに株式会社TMマネキンの上場を告げた。





-------
轟へ

ありがとう。本当にいいメンバーが揃いいい会社になったな。みんなに感謝する。

立ち上げた時は大変やったな。

それも今じゃ、日本一のマネキンメーカーといえば、誰に聞いても俺らの会社だよな。


軽井も立派な部長になったな。


本当にありがとう。感謝している。


これからも頼む。


「感動価値創造」TMマネキン 前田雄一

-----------



-----------



ひかる

いつもありがとう。

ごめんな。

もっと、家族でいろんなところへ行って、もっと思い出をつくれば良かった。

本当に、ありがとう と ごめんしか言えない。

でも幸せになれよ。

のぞみも頼む。

本当にありがとう。



のぞみ

本当に大きくなったな。


ママの言うことを聞くんだぞ。

パパはのぞみが大好きだよ。


仕事が忙しくて、一緒に遊びに行けなくてごめんな。

二人とも愛してる。

二人のおかげでパパはずっと幸せだったよ。


パパより

ーーーーーーーーーーーー











長い間ありがとうございました。

中身はボチボチブラッシュアップをかけていきます。

皆様のお手元に届くまで少しお時間をいただきますが出版のお話も頂いております。


「凄い展示会」をプロデュースする株式会社ゼンシン 前田雄一 http://zensin.jp




いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)


今日は番外編2

ちょいマについてです。


{080BE00C-4B1B-46CE-A5AA-650A76E3DB81:01}


さて続きです。

以前のストーリーはこちら

------------

サービスは、開発開始からま1ヶ月という異例のスピードでサービスインを迎えた

 発表の晴れの舞台は、毎年マネキン発表で出展しているIFF展示会。

急遽融通してもらいTMマネキンのスペースを拡大、そこで発表することとした。

プロモーションに関しては株式会社凄い展示会に任せてある。

打ち合わせのため久しぶりに会った谷田は、相変わらず不敵な笑みを見せ、
「腕が鳴りますね。轟さんの社長就任祝いも兼ねて、誰もが立ち止まるような展示にしてみせますよ」


 と請け合った。

谷田が言うのだ。

こうなったら宣伝の成功は間違いなし、あとはサービスの完成度次第だ。

しかし、軽井が手がけたサービス内容には轟としても自信があった。

上がってきた報告書、サイトのサンプル、どれをとっても軽井が本気で取り組んだことがよくわかるものだった。


 谷田の言葉には嘘がなく、ひときわ目立つブースは館内のどこよりも人を集めていた。

 インパクトの強いブースといい、揃いのスタッフ用Tシャツといい、ちょいマソングはこれまた最高に耳に残る。

展示会来場者 誰もがChoiMa!のサービス名を覚えて帰るといった具合である。


初回の「『ADEN』のとき以来ですよ、こんなに気合を入れたのは。

時間は短かったですが、それだけ凝縮して作業を行いましたからね。

却って勢いが表現できたかもしれません。

……ヒットしますよ、『ChoiMa!』は」

 自信たっぷりにそれらを届けに来た谷田は、太鼓判を押していった。


 轟自身、PRソングを知らず口ずさんでしまっていたことには思わず苦笑した。

そして「凄い集客」というサービスでの集客手法も華麗としかいいようがない。

出展前からインターネットを使った集客に加え、「凄い展示会」のプレスリリースにより新聞などメディアがこぞって取り上げてくれた。

また会場内でも、会場中の来場者が手に持つ ChoiMa!のロゴの刷られた紙袋を見た客がブースに訪れ、その客が紙袋を持って帰るという具合だ。



またブースへは、多くの新聞記者やテレビが取材に押し寄せた。

担当者である軽井のみならず轟も取材対応に引っ張りだこで、終わったときにはへとへとではあったものの、どこか心地よい充足感に満たされていた。


「今日の展示会、疲れましたけど……でも、すげえ充実してました、オレ」


 帰りの新幹線、シートに体を預けながら軽井がしみじみと言った。


「ああ、……そうだな。
お前の口からそんな言葉が出てくるたぁ、入社したばかりの頃は思わなかったが」


 からかい半分、本音半分。


轟がそう言ってやると、やめてくださいよ、と軽井は慌てた。

あのときのことを笑い話に出来るのも、今が上手くいっているからこそだろう。


「でも、オレ、やめなくてよかった。

それに、真面目に仕事するようになってよかったっす。轟社長のおかげですよ。

いや、これはお世辞とかじゃなくって、本当に。

あのときは、叱ってくれてありがとうございました」


「……ああ」


 混ぜっ返す気も起こらず、それだけ返した。


 うたた寝するふりをしてごろりと窓の方を向いた轟は、目元を拭った。

この歳になると涙腺がもろくなって、本当にいけない。


 サービス初日から、ChoiMa!のサイトへのアクセス数はぐんぐん伸びた。




 中には覗くだけの利用者もいたろうが、会員がどんどん増えるのをみて、うまく予感はさらに高まり、立ち上げてよかったと改めて噛み締める。


 その夜、ちょうど轟は退社する軽井と行き会った。


部下たちを引き連れ、嬉しそうに談笑する彼に声をかけてやる。


「お前のプロジェクト、大成功だな。任せてよかった」


「へへ、今から、プロジェクトの連中に焼き肉を奢りに行くんすよ。
特別高級なやつ! なんならセンパイ……いや、轟社長も一緒に行きます?」


「お前、俺に奢らせようっていうんじゃねえだろうな」


「まさか。もうオレの奢りって言ってありますから」


「あー……いや、俺はいい。まだすることがあるから。皆で楽しんで来いよ」


 そう告げ、轟は彼らの背中を見送って、自分のデスクにつく。


 立ち上げたのはメールクライアントだ。アドレス帳から、前田のアドレスを呼び出した。

「前田。約束通り、ちゃんとやってるぜ。世界一のマネキンメーカーにするってお前の夢、国内から応援してるからな」


 口元に笑みを浮かべながら、轟は前田宛のメールをしたためた。


 なにかあったときには前田にメールで報告するのが轟の日課だ。

ブログは見ているだろうから、別段メールで報告しなくてもよい事項もたくさんあったが、それでも直接真っ先に知らせたかった。

前田も、ChoiMa!の首尾に関しては気にしており、「いい報告を待っている」と前回のメールに書かれていたほどだ。


 返信にはきっといつものように、シンガポールや中国の土産話や順調な取引の報告、それからもしかしたら仕事の相談やら轟への依頼が書かれてくるのだろう。


■第六章



---------


はい、番外編その2 はここまで

「ちょいマ」これから伸ばしていきます!

{6496A286-B6D1-4D0D-B520-D100DF083B42:01}

売るモノ・売る場所 マッチング
ChoiMa! ちょいマ!

続きはこちら

「感動価値創造」
凄い展示会をプロデュースする株式会社ゼンシン 前田雄一 http://zensin.jp
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
本日は 執筆 番外編です。

以前のストーリーはこちら

{2C1EE129-EEEF-4B11-84BA-78B3DB43C2CC:01}

7/22-24 IFF 東京ビッグサイトで

「ChoiMa! ちょいマ!」発表します。


なので、本日はお馴染み執筆にのせてみました。

では↓



-------------



「轟社長、ちょっとアイデアがあるんですけど、今いいですかね?」


 そう言って轟のデスクにやってきたのは、軽井である。


「おう、いいぞ。言ってみろ」


 書類の確認の手を止めぬまま、相槌を打つ。


 轟としても社長という呼び名はまだ慣れない。

一度、轟さんでいいよ、と伝えたことがあるが、

「なに言ってるんすか、轟社長は轟社長っすよ! それとも、造形の魔術師さんのほうがいいなら、それでも……」

などと大真面目な顔で言うものだから、なにも言えなくなってしまった。

どんなに嫌そうな顔をしてもまるで意に介さないタフさは彼のひとつの特技なのではないか。轟は半ば本気でそう考えている。


 軽井が毎日のように積極的に改善案を提案してくるようになったことは、喜ばしいことである。

中には箸にも棒にもかからないような案もあったが、それはそれで聞いていて楽しくはあった。

なにより、アイデアというものはどんな些細なものでも形にしてみるところから始まるのだ。


使えるものかどうかは、形にしてみてから判断すればいい。


芸術を志していた轟だからこそ、それをよく知っている。


「轟社長、ほら、書類よりオレの話聞いてくださいって! 聞いて驚かないでくださいよ……」



 軽井は鼻息も荒く話し始めた。

こういうときは、どうしようもないことを考えているときか、誰も思いつかないような独創的な案を抱えているときだ。



「百貨店で短期のお店を開くお客様は、売れる場所や条件にあった場所を常に探してます。

一方、売り場側も少しでも売れる商品、おもしろい商品、企画に合った商品を探しています。

そして、空きスペースや空き店舗対策に悩んでます」


 どうやら、どうしようもないことのほうではないらしい。轟は手を止め、顔を上げた。


「オレ、そういうお客様に出会ったら、自分の繋がりの中でいつも出来るだけ紹介するようにしてるんです。それで思ったんですけど……」


 軽井はぐ、と拳を握る。


「WEBサービスでプラットフォームを作りたいんです。これが企画書です」



 そう言って、彼は後ろ手に隠していた書類の束を差し出した。

表紙には『ちょいマ開発案』と書かれている。 要は、売りたい品物あるいはサービスを持つ売り手と、新たな商品を置きたい小売店とを無料でマッチングするWEBサービスのようだ。


規模の大小を問わず、気軽に参加できる点が従来のサービスにはないところだ。


 どうです、とでも言いたげな期待をこめた眼差しで、書類に目を通す轟の顔を覗きこんでくる。


「自分なりにまとめました。……開発費用が割とかかるんですが」



 言いさし、軽井は横から書類を数枚めくって見せるとにんまり笑う。



「当然、マネタイズも完璧です」


 そこには、開発のフローから予算までが緻密に計画立てられて記されていた。


 文字を追う轟も、知らず、書類をめくる手が早まる。

「『ちょいマ』という名前だけど、これは?」

「はい、企画書に書いてあるとおりっす!」


 応える軽井の言葉遣いがいっぺんに砕ける。彼の機嫌のいいときの癖だ。


「『ちょい』は、『ちょっと』の『ちょい』

少しの、だとか、簡単に、って意味っす。

『マ』は間とマーケティングのマをかけてます。時間、スペース、マーケティングのトリプルミーニングっすね!」



 トリプルミーニング、と口にする彼は大変自慢げだ。



 だが、まあ、いいか、と轟は思う。自慢したくなるだけの魅力と可能性を持ったプロジェクトだ。


 しゃべり続ける軽井は止まらない。



「登録もマッチングも完全無料がポイントです。売り場やメーカーがたくさん集まって盛り上がれば、うちの仕事も増えますよね。全国、全世界に協力会社を持てれば、誰にとってもウィン・ウィンじゃないかなって」


 どうすか、どうすか、と再び覗きこんでくる軽井に、轟は大きく頷いた。






「……面白い。やろう! 軽井すぐ取り掛かってくれ。お前がプロジェクトリーダーだ」



 軽井をリーダーに任命して立ち上げたプロジェクトは、社内でも話題となった。



 明るい性格と面倒見の良さが部下に好かれているようで、プロジェクト内のモチベーションと作業能率も驚くほど。


「あのひと、なんかほっとけないんですよね」とは、今年の新人の言。


轟としては、新人に心配される軽井もどうかと思わなくはないものの、そうした憎めなさや愛嬌も軽井の取り柄であるのだろう。



 サービスは、開発開始から1ヶ月という異例のスピードでサービスインを迎えた。



-----------------

はい。今日はここまで。

「ちょいマ」については、展示会前日にWEBサイトURLもお伝え致します。

以前のストーリーはこちら




7/22-24 IFF 東京ビッグサイトで

「ChoiMa! ちょいマ!」発表
↑ちょいマの歌を作りました。

欲張ってますが、上手くゾーンを別けて、


革新的マネキン ADEN(エデン)新作マネキン

10分でブランド訴求力がつよい売り場ができるフェニックスというツールも発表!

凄いPOPUPストア 




皆様のご来場を心よりお待ちしております。

「感動価値創造」
凄い展示会をプロデュースする株式会社ゼンシン 前田雄一 http://zensin.jp

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
さて続きです。

以前のストーリーはこちら

■第五章
 理念を軸に、行動指針を評価の大きな軸に。


 そうして、TMマネキンの人事考課は半年という長い時間を費やし出来上がった。


「普通より時間をかけたけど、そこは勘弁してね。それだけ優れたものになっているから」


 それだけの時間をかけたのは、貴田の頼みによるものだったという。

「前田くんとこは大きな会社になる、三百人規模になっても耐えられる人事考課を作ってや」——と。





 「第十期 事業計画発表会」——著名な書道家の手により大書された垂れ幕。


 大きな会場を借りきっての、節目の事業計画発表会を前に、前田は不思議と落ち着いた気持ちだった。


 横倉の持っていたものは、人事考課のノウハウに留まらなかった。


資金調達の協力も申し出てくれたのだ。


おかげで、協力会社、銀行や証券会社といった多くの伝手を得ることができ、資金繰りに困ることもなくなった。


首が回らずやめることも考えたあのころからすれば、信じられないような話だ。


 途中、大手企業やマネキン協会からの嫌がらせがなかった——といえば嘘になる。


しかし、応援してくれる顧客の、そんな妨害はなんのその。TMマネキンは確固たる業界地位を築いていった。



 関係企業の出資者、それに加えて八十名の社員を集め、前田はひとつ咳払いをした。


「皆のおかげでここまで来られた。


ありがとう」


 一度に視線が集まる。

だが、支えてくれた社員に出資者たちだと思えばこそ、緊張することはなかった。



「日本一のマネキンメーカーを目指す、と掲げた目標はもうすぐ達成する」



 のぞみが、ひかるが、「パパは世界一のマネキン屋さん」だと言ってくれなければ、諦めていたかもしれないその夢。


今はもう、あの幼かったのぞみも小学校に通っている。


企業規模は別として、業績や顧客の評価ではすでに、キングマネキンにも負けない自信があった。


「皆にひとつ、頼みがある。——私は世界に出ようと思う」


 そして、深呼吸をひとつ。

「トップは代わって、轟に任せる」


 会場がどよめく。


隣の轟はといえば、ひどく複雑そうな表情をしている。


 なにしろ、発表が遅れたのは轟の説得に随分時間がかかったせいだ。


俺は造形師であって、経営の才覚はない、前田がいなきゃこの会社は始まらない、の一点張りだった轟を説き伏せるのには骨が折れた。


頑固でなかなか折れない彼を世界進出を諦めるべきか、と思ったとき、意外な助け舟を出してくれたのは軽井だった。


部下の面倒見もよく、入社当時と比べて随分頼りがいのある社員になった彼は言った。


前田さんにカリスマ性があるのは勿論っすけど、オレ、轟さんに着いていきますし事務仕事はいくらでも助けますよ——と。



 そうしてようやく、轟は代わって日本でのトップになることに承諾したのだ。


「轟が世界を狙えるマネキンを開発してくれた。


今なら、世界一のマネキンメーカーも夢じゃない。シンガポールに会社を立ち上げようと思うんだ」


 軽く手を挙げて合図する。


すると、けたたましく軽快な音楽が流れた。


 前田の背後、ステージの緞帳が開く。プロジェクションマッピングの、きらびやかな光が溢れる。


 スモークの向こうから、一体のマネキンが現れた。


「ghostマネキン——ッ」


 このために雇ったプロのMCが、よく通る声で商品名を叫んだ。

普通なら、マネキンの紹介にこんなに派手な演出は行わない。


マネキンが演出負けしてしまって、記憶に残らなくては本末転倒だからだ。


 だが今は、マネキンに一斉に視線が集まる。


——否、演出などあってもなくとも、マネキン自体に不思議と人の目を引くような魅力があった。


服も着せていない、ただの素体だというのに。


 社員、協力会社、銀行や証券会社の社員——集まった参加者から再びどよめきが漏れた。


 隣で、轟がハンカチで涙を拭うのを横目で見やる。


「しょうがないやつだな」


 苦笑する前田の視線に、彼は盛大に顔をしかめた。


「煩えな、歳を取ると涙もろくなんだよ。


前田だって、ゆうべ泣いてたくせに」

「泣いてないよ」


「いいや、俺は見た」


「泣いてないってば」


 そのマネキンは、粘土原型で轟が作り上げた斬新な意匠の最高傑作であった。


 なにより、マネキンは支柱もないのに宙に浮き、ゆっくりと回っているのだ。


それこそが、幽霊《ゴースト》と呼ばれる由縁である。


この名前は、轟と前田の二人で徹夜で考えたものだ。

これが二人でする最後の仕事になるのかな。

前田がそう洩らすと、轟は鼻を鳴らした。


シンガポールでの仕事が一段落したら、いくらでもこき使ってやるさ。


「マグネットシステムにより、支柱の一切ない仕組みを実現。スタイリッシュで自由な展示を可能にします」


 MCは、淀みなくゴーストマネキンの売りを並べ立てる。


 呆気に取られたようにマネキンを見つめる者、目を輝かせる者、誇らしげに口元を緩ませる開発に関わった社員たち。


これが社長としての最後の仕事だ。前田は彼らを会場の端から端まで眺めた。


「これなら、世界一のマネキンメーカーにもなれるだろう?」


 前田の言葉に、一瞬、会場中が静まり返る。そして。


 満場の拍手がその言葉に応えた。

---------------

今日はここまで、

様々な困難を乗り越え、多くの方々の支えによりTMマネキンも日本一のマネキンメーカーとなりました。




ところで私たちのNEW ADENマネキンもいよいよ発表です。
2015 7/22-24 東京ビッグサイト IFF展示会
↑実際のお話です。


このブログを読んで頂いている方々から、「どこが実話でどこがフィクションなんですか?」
なんて聞かれることが多々あります。


詳しくは後日談でボチボチ書いていこうかとおもいます。


次回 TMマネキンの海外展開 で大きな事件が!


前田が抜けた日本側の経営は上手く行くのでしょうか?
↑軽井がまたまたやってくれます^ ^
中身はお楽しみに!


お楽しみに。

続きはこちら



「100年変わらない業界に革命を」
凄い展示会をプロデュースする株式会社ゼンシン前田雄一 http://zensin.jp
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)



メンバーが同じ方向を向いて同じ方向へ進むこの原動力は大きなものです。


それを感じられる日々に感謝です。

ストーリーを通じた中小企業の為のノウハウ本をつくることが目的ですが、

クレドづくり、人事考課を含めた組織づくりについては軽く触れる程度で中身については詳しく書いておりません。

しかし、弊社自身が大きく変わった大切な要素なので、ご興味がある方は、詳しくはメッセージやメールまたはお会いした時にできる限りでお伝えできればと思います。


さて続きです↓


以前のストーリーはこちら





 四人の事務所はうまく回り始め、雰囲気も明るくなった。


 このままやっていければ、、、
あとは、ただ事業に打ち込めばそれでいいんじゃないか。


事務所内にもそんなのんびりとした雰囲気が漂い始めたある日のこと。


「前田、手紙が来てるぞ。なんか……英語の」


 轟が持ってきた一通は、ぱりっとしたビジネスメールではなく、ごく私信といった素朴な雰囲気の手書きの封筒であった。

前田は首をひねり、


「……誰から? おれの外国人の知り合いなんて、そう多くないはずだけど」


「ドゥバ……? あー、これで、ドバイか。貴田さんみたいだな、差出人欄は達筆すぎて読めねえわ」


 よくよく見れば、書き慣れているらしき筆記体でTakadaの文字。

郵便切手の代わりにエアメールの判が押してある。封を切り、便箋を開けば、


『皆、元気にしとるか? 』


「あのひと、手紙の文面まで方言なんだなあ 、しかもいろんな地域の方言が混ざった」



 思わず笑う。


大きくて伸び伸びとした書き文字は、いかにも貴田らしい。


『中西と軽井もええ社員や。

ちゃんと評価をしてあげなあかんで。

人事考課ちゅうやつや』



「人事考課……」


「そういうモンも必要なんだな。

今まで、二人だったから考えたことなんてなかったが」


 轟がしみじみと呟いた。


人事考課なるものの存在は知っていても、その必要性に思い当たらなかったのは前田も同様だった。



『それを作ったら、社員募集しよや。


今は四人で足りてたとしても、すぐに足りんくなるで。

そんだけの力を、前田くんとこのマネキンは持ってる』



 ちょうどその部分に目を走らせていた轟が、口元をきゅっと結んだ。



これが笑みを堪えているときの表情であることを、前田は知っている。



前田がのぞみを褒められると嬉しくなるように、轟は自分の作ったマネキンを褒められたときはひどく上機嫌になる


『前田くんとこは伸びるよ。絶対』


 最後の一文は、特に力強い筆跡で書かれていた。


便箋の裏側を触ると、ちょうど浮かび上がっているのがはっきり分かるほどに。その一行はとりわけ心強かった。


 でもさ、と轟はぽつりとこぼす。


「俺も前田も人事関係の仕事はやったことねえんだよな。ノウハウがねえっつうか、なんつうか」



「言われてみれば、そうなんだよね。見よう見まねでやるしかないか。貴田さんが日本にいたら、いろいろ聞けたんだろうけど……」



 溜息をついたときのこと。


「ん……? まだなんか入ってるぜ」


 封筒の方を眺めていた轟が声を上げる。

中西も軽井も居ないせいで、学生の頃と同じくらいに口調は砕けていた。


封筒をひっくり返して、轟はなにかをしげしげと眺める。


「……これ」


 彼が差し出したのは、一枚の名刺だった。


「貴田さんの? ああ、メールアドレスとかかな」


「いや、違う。読んでみろ、ほら」


「『株式会社アシスト』……」


 初めて聞く名前。


そして、記されていた名前も貴田のものではなく、


「横倉さん……?」


「なんだこりゃ。入れ間違い……じゃあないよな」



「いや。貴田さんのことだ、連絡してみろってことなんだろう」



「大丈夫なのか、それ」



「貴田さんは、おれたちの会社を信じてくれた。だから、おれも貴田さんを信じるよ」



 その場でさっそく電話をかけてみる。


「はい、横倉です~」


と気さくそうな男性が電話に出た。



「はい、貴田さんの紹介で……」


 その名前を出すと、電話の向こうで息を呑む気配がした。



「前田さん今どこにいる?  都合さえ良かったら、今からでもいくよー」


 なにやら、ものすごく対応が早い。


 前田は胸が躍るのを感じた。


 一時間後、長い髪に、眼鏡をかけたフォークミュージシャンの様な雰囲気の男性がTMマネキンの事務所にやってきた。


「貴田くんの紹介かあ。懐かしいなあ」


 年齢は五十後半といったところだろうか。目を細め、何度も頷いている。



「実はね、僕はもう引退しているんだけれど」


「そう、なんですか。じゃあ、無理にとは……」


 いくらか落胆しながらも、前田はそう告げた。すると、横倉は首を振る。


「ううん。貴田くんの頼みなら本気でやるよ。ちょっと手荒めに行くからね。ついておいで」


----------------------------
今日はここまで。

ストーリー上の
横倉さんはコンサル屋

貴田の興した「株式会社ゼンシン」後の「株式会社凄い展示会」を大きく伸ばしたサポーターの一人です。

※実在の人物かどうかはご想像にお任せします^ ^

これからTMマネキンはメンバー、外部サポーター、多くの関わりの中で大きく成長していきます。

書きたいことは山ほどありますが、あとこのブログ3回ほどで物語は終了します。

省略している部分が多いですが、私が企業が成長するために必要だと思うことを詰め込んでおります。


もちろんまだまだ自分自身、自社ができていないことがたくさんあり、理想像も含めて書いております。



「どこまでが実話なんですか?」という質問も多い今日この頃
たくさんの方に興味を持って頂き嬉しいです。



では続きは来週早々にあげます。


引き続きよろしくお願いいたします。




続きはこちら





「感動価値創造」

凄い展示会をプロデュースする株式会社ゼンシン 前田雄一 http://zensin.jp
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)