やぁ、ドラえもんです。今回は運動と脳の関係性について③の続きっすねぇ。まず、ある研究チームがネガティブな感情等を発生させる扁桃体を猿の脳から摘出し、猿というのは本来は蛇等の有毒生物に恐怖を抱く傾向にあるのですが、扁桃体を摘出された猿は蛇等の有毒生物に対して恐怖を全く感じなくなり、逆に蛇を振り回しておもちゃにして遊んだという実験結果になっています。そしてこの扁桃体と恐怖の関係性について、アメリカのある研究チームがSM-046と論文で呼称されている44歳の女性を対象にした実験をご紹介します。まずこの女性はですね、「ウルバッハ・ヴィーテ病、Urbach-Wiethe disease」という世界でも1908年に初めて観測され、1929年に正式に病気として報告されて以来、400症例程しか確認されていない極めて珍しい遺伝子疾患を患っています。このウルバッハ・ヴィーテ病の症状について確かな原因は不明ですが、何らかの代謝異常が起こる事により側頭葉を中心に石灰化されて破壊され、側頭葉の内部にある扁桃体も破壊されてしまうという奇病です。そしてこの女性も左右1つずつある扁桃体が両方共に損傷していたという報告がありますが、この女性は知能面に関しては殆ど影響が無かったとされています。そしてこの女性は実験への協力に同意し、ペットショップへ同行してもらい、研究者達は女性が蛇と蜘蛛に触れた時の反応を観察するという実験を行いました。ちなみに実験の前に行われたアンケートでは、この女性は蛇や蜘蛛が嫌いだと回答しています。しかし、実際に女性は蛇と蜘蛛を普通に触り始め、女性は噛まれるかもしれないと飼育員に言われたのにも関わらず、平常心を保っていた様子だったらしいです。そして実験終了後に研究者達が女性に対して、どの位恐怖を感じたかを10段階で女性に表してもらったところ、2と回答しています。つまりこの女性は蛇や蜘蛛が事前に嫌いだと研究者達に言ってあるのにも関わらず、実際には普通に蛇と蜘蛛を触り、恐怖の度合いは10段階の内の2と回答したという事です。この結果から、この女性はウルバッハ・ヴィーテ病によって、恐怖や不安等のネガティブな感情を司る扁桃体が損傷しているので、蛇と蜘蛛に恐れを全く感じなかったと研究者達は推測しています。そして次に、先ほどご紹介した実験結果の信憑性を確かめるべく、映画の「シャイニング」、「ザ・リング」、「ブレア・ウィッチ、プロジェクト」等のホラー映画を、先程の実験と同じ女性に見せるという実験を行っています。そして研究者達は比較する為に他の普通の被験者達を用意してホラー映画を見てもらったところ、他の被験者達はホラー映画を見た後の恐怖度は10段階の内の6~7と平均で答えたのですが、ウルバッハ・ヴィーテ病を患っている女性は実際に見たホラー映画の恐怖度は0と回答しています。ちなみに女性は、恐怖は感じなかったけどホラー映画は面白かったと回答したらしいですw まぁ面白かったなら良きかなw この実験は数年の期間で行われましたが、どの様な恐怖体験をしても女性は全く恐怖を感じる様子は無かったという結果になっています。つまりウルバッハ・ヴィーテ病による扁桃体の損傷と、恐怖を全く感じなくなるという症状に高い相関関係があると結論付けられたという事です。しかしですね、女性は恐怖以外の感情は普通に感じられるという事が証明されているので、恐怖だけが失われてしまう病気という事になります。ですが、恐怖という感情はとても重要な役割を果たしているのが皆さんにも分かりますよね? この女性は確かに恐怖や恐怖によるストレスを全く感じない性質があるものの、女性は今までの人生でナイフや銃で脅され金品を奪われたり、恐怖の感情が無いので自ら危険に飛び込む様な行為を何回もしてしまっているらしいです。しかも、恐怖を感じないのでまた危険に飛び込むというループになり、この女性は非常に危険な状態であるとも捉える事が出来ます。要はこの女性はストレスも全く感じなくなるという事です。またアメリカの心理学者であるダニエル・ゴールマン氏が1990年代半ばに造った単語で、「扁桃体ハイジャック」というのがあります。まぁこの単語は簡単に言えば、何らかの危機的な状況に直面すると扁桃体が理性を無視して一瞬で暴走を始め、理性を司る前頭葉に使われていたエネルギーが全て扁桃体に使われる様になってしまい、理性を無視して突発的に怒ったり泣いたりしてしまう等の状態を示唆しています。つまり扁桃体に脳がハイジャックされた状態という訳です。この扁桃体ハイジャックのシステムは脳に根深く刻み込まれているため基本的にコントロールするのは難しいとされています。要はですね、ストレスを完全に回避するのは無理なので、それよりかはストレスへの抵抗力や回避力を高めた方が効果的という事です。まぁお馴染みのレジリエンスですわw ちなみにですが、運動がストレスの解消に効果的なのは何度も以前から言っていますが、運動は皆さんも知っての通りダイエットにも効果的です。まずですね、ストレスホルモンのコルチゾールは筋肉を分解したり脂肪の燃焼を妨げてしまう等の作用があるとされています。つまり、ストレスを溜めると殆ど確実に太りますw コルチゾールは高カロリー食品の摂取欲求を上げて、腹部等に脂肪を蓄積させてしまう作用があり、ストレスと不安は同じ神経回路を通って伝達されるので、ストレスや不安を過剰に感じると体内の炎症ダメージも増やしたりしてしまいます。あるアメリカの研究では、アメリカの大学生達にくじ引きをさせて、ウォーキングかランニングのどちらか片方を選ばせ、一回に付き20分を週に数回程度してもらい、それを2週間に渡って続けたという実験をご紹介します。その結果は、ウォーキングをしたグループもランニングをしたグループも実験が終了してから不安感の減少が1週間続いたらしいです。まぁランニングをしたグループの方が不安感はより多く減少したという結果になったらしいので、不安を感じたらある程度の強度がある運動をするのをお勧めします。人間は不安感が増すと血圧と心拍数が上昇し、脳がファイトオアフライト反応の体制を作ります。要は戦うか逃げるかを不安感によって準備させるという事です。例えばランニングをするとエンドルフィンという幸福&快楽物質が脳の下垂体から分泌され、ドーパミンという期待や達成感や幸福感等を司るホルモンが脳の側坐核という部位から分泌されます。これによって走っている最中や、走り終わった際に気持ちが良いと感じる訳です。所謂ランナーズハイですw しかし運動をすると同様に心拍数や血圧が上昇しますが、脳は心拍数と血圧が上がったという事は何か危険が迫っているのではないかと錯覚してしまう性質があるので、運動をする事で不安やパニックによる血圧や心拍数の増加ではなく、幸福感や達成感等による血圧や心拍数の増加だという事を脳に思い込ませる事で、不安等のネガティブな感情を徐々に抑える事が出来ます。要は幸福感や達成感等による血圧や心拍数の増加だという事を、運動を用いて脳に学習させている訳です。そして、ランニングや水泳等の有酸素運動の方がストレスを解消する効果が高いとされているので、無酸素運動よりも先に有酸素運動をするのがベターとされています。目安は20~45分位の運動を週に2~3回行うのが望ましいとの事です。最後に運動がストレスを解消させるという事を示した実験をご紹介して今回は終わります。まず12名の被験者に事前に実験内容を説明した上で同意を貰い、「CCK-4、胃酸分泌性テトラペプチド、コレシストキニンテトラペプチド(Cholecystokinin tetrapeptide)という成分の含まれた注射を投与したという実験なのですが、このコレシストキニンテトラペプチドは、心拍数がパニック発作が出る位に急激に上昇し、呼吸も荒くなる等の危険な副作用があり、実際に12名の内の6名が投与してからパニック発作の症状が確認されています。そして内容を変えて似たような実験が再度行われました。それは、12名の同じ被験者達にコレシストキニンテトラペプチドを投与する前に、最大酸素摂取量の約70%に到達する様な激しい運動を30分してもらったところ、何もせずにコレシストキニンテトラペプチドを投与された場合は、12名の内の6名がパニック発作を起こしたのが、激しい運動を30分してからコレシストキニンテトラペプチドを投与された場合は、12名の内の1名のみがパニック発作を起こしたという結果になっています。つまりコレシストキニンテトラペプチドによるパニック発作を起こした被験者達を運動によって5名減らし、運動をした事による効果が、不安を増強させる薬物に勝利したという結果になったと捉えて良いと思います。ちなみに運動ならどんな動作でも効果はあるらしいので、皆さんも適度に運動してみる事をお勧めします。はい、今回はこの辺で終わりますw ご視聴ありがとうございましたんご。