・1999年~2014年までの匿名化されたアメリカ人14億件の納税記録から取得したデータでは、死亡率のデータを社会保障局の死亡記録から取得し、世帯収入、性別、地理&地域毎に人種及び民族を調整した40歳時の平均余命を推定し、行われた実験。ちなみに所得の尺度としては、税引き前の世帯収入を対象。

主な成果と対策↓
収入と平均余命の関係。
所得階層別の平均余命の傾向。
平均寿命レベルの地理的差異と所得グループ別の傾向。
地域間の平均寿命の違いに関連する要因。

結果↓
サンプルは、40歳~76歳までの成人1408287218人を15年間追跡調査したという条件で構成。多すぎワロタ。 (平均年齢53.0歳、勤労者の世帯収入の中央値、年間61175ドル)。その結果15年間で男性は4,114,380人が死亡、(死亡率、10万人あたり596.3人)、女性は2,694,808人が死亡。(死亡率、10万人あたり375.1人)。そしてこれらのデータの分析により4つの結果が得られたらしいナリ。先ず1つ目が、収入分布全体を通じて、収入が高いほど長寿と関連していたという事です。最富裕層1%と最貧困層1%の平均余命の差は、男性は14.6年(14.4~14.8年)、女性は10.1年(9.9~10.3年)、15年って言ったら赤ちゃんが高校1年生って事になりますよねぇw いやはや。そして2つ目が、平均余命の不平等は時間の経過とともに拡大したらしいです。2001年~2014年の間に、所得分布の上位5%の男性は平均寿命が2.34年、女性は2.91年延びましたが、下位5%の男性は平均寿命が0.32年、女性で0.04年しか伸びなかったとの事です。そして3つ目が、低所得者の平均余命は地域によって大きく異なるという事です。所得分布の下位4%の地域は、寿命が最も高い地域と最も低い地域の間で平均寿命に約4.5年の差があったらしいです。そして2001年~2014年までの平均寿命の変化は、地域全体で4年以上の増加から2年以上の減少まで多岐に渡っています。そして最後の4つ目が、最低所得地域に属する個人の平均余命の地理的差異は、喫煙等の健康を害する行動と有意な相関がありました。つまり低所得者ほど健康に対する意識が低く、不健康な生活をしている傾向にあるという事です。

結論と関連性↓
2001年~2014年までの米国では、所得の高さは長寿と関連しており、所得グループ間の平均余命の差は時間の経過とともに拡大していましたが、平均余命と収入の関連性は地域によって大きく異なっています。所得グループ間の長寿の差は、一部の地域では減少し、他の地域では増加しました。平均余命の違いは、健康行動や地域の特徴と相関している。まぁこんな感じで報告されていましたねw

また、アルバータ大学のアレクサンダー氏の2009年の論文では、

・社会経済的地位の低さは、高所得国の男性と女性における心血管疾患リスクの大幅な増加に関連している。

・高所得国では、社会経済的地位が低い人は、社会経済的地位が高い人よりも、心血管疾患と関連した後天的な危険因子を持っている確率が高い。

・心理社会的要因、医療サービスの不平等、居住地域の影響により、社会経済的地位と心血管疾患のリスクとの関連が強化される。

・心血管疾患は、低所得国および中所得国において大きな問題であり、中所得国がより豊かになるにつれて、高所得国の社会経済的地位と心血管疾患のパターンが再現される。

こう報告されています。他にも

・先進国では時間の約80%を屋内で費やしている。
(ローレン・ファーガーソン氏ら、
引用2020年)

・アメリカの子供たちの算数と読解の成績に対する収入の因果関係を推定し、1993年~1997年にかけて、世帯収入が20パーセント、つまり約2,100 ドル増加しました。そこから収入と数学&読解能力の成績を分析すると、世帯収入が1,000ドル増加する毎に、数学と読解テストの合計スコアが標準偏差の6パーセント上昇すると報告。
(ゴードン・B・ダール氏ら、引用2012年)

・18~79歳の個人5,918人を対象とした、全国を代表する縦断的な郵便調査であり、合計4,092人 (77.3%) が2009年に再度回答。経済的要因と幸福度の関係は、人口動態的要因、健康状態、及び幸福度の変化と併せて、幸福度の分散と幸福度の変化をどの程度説明できるかを調べるため、重線形回帰を使用して調査された結果、収入と失業率は幸福度と殆ど相関しなかったが、経済的困窮は幸福度と大きな相関がある事が示され、経済が困窮するほど幸福度の低下が検出された。また、何故幸福度と経済的な困窮が相関してるのかは明確にはなっていないが、多くはストレスや不便さ等に起因するものと考えられる。
(アイスランド保健局のドーラ・グドルン・グドゥムンズドッティル氏、
引用2013年)

・カナダと米国のデータを使用したこの研究では、世帯収入と子供の健康の間に正の関係があり、この正の関係は年少の子供よりも年長の子供の方が大きい事が実証されている。[ケース・A氏、ルボツキー・D氏、パクソン・C氏、引用2002年。

・イギリスの健康調査から抽出された13,000人以上の子供 (及びその親) のサンプルを分析し、収入と子供の健康状態に正の相関があるというデータがイギリスにも当てはまるかどうかを調査したところ、イギリスでは世帯収入が子どもの健康の主な決定要因ではないという結果になった。

・児童の健康に関する文献への影響力のある貢献として、2002年にケース氏らが米国国民健康面接調査のデータを使用し、世帯収入と子供の健康との関係の詳細な分析を実施。著者らは、貧しい家庭の子供は裕福な家庭の子供よりも健康状態が著しく悪いとして、所得の有意なプラスの勾配を示す確固たる証拠を提示しました。また、米国では子供の健康における所得勾配が子供の年齢に応じて増加し、収入による保護効果が幼少期に蓄積される事も示しました。具体的には、世帯収入が2倍になると、0~3歳の子どもが健康状態が良好又は非常に良好であると評価される確率が4%増加する事が判明しました。これは、4〜8歳の子供では4.9%、9〜12歳では5.9%、13〜15歳では7.2%に増加しました。
(イスラエルのテルアビブ大学のモーシェ・セミョノフ氏ら、引用2012年)

・カナダの10の州、米国の50の州、カナダの53の都市圏と米国の282の都市圏を対象とした調査の結果、カナダの州及び大都市圏は、一般に米国の州及び大都市圏よりも所得格差が低く、死亡率も低かったとの事です。カナダと米国の大都市圏を組み合わせた年齢別回帰モデルでは、高齢者を除く全ての年齢別グループで所得不平等が重要な説明変数であり、この効果は労働年齢人口で最も大きく、世帯の貧しい割合の収入が1%増加すると仮定すると、死亡率は10万人当たり21人減少する事になったが、カナダ国内では、収入の不平等は死亡率と有意な関連性はなかった。 
(カナダ統計局のナンシー・ロス氏ら、
引用2000年)

ちょっと今回はこの辺でw またなw