JR東日本は12日、2026年3月ダイヤ改正の概要を発表しました。今回は横浜支社・大宮支社管内での改正内容について取り上げます。

 

2026年3月ダイヤ改正について

 

1.東海道本線 東京発平塚行き特急「湘南」増発

 平日に運行されている特急「湘南」について、下り列車1本が増発となります。増発されるのは東京21:30発の特急「湘南17号」平塚行きです。停車駅は品川・大船と大船~平塚間の各駅です。

 現行ダイヤでは東京21:00発の特急「湘南15号」、東京22:00発の特急「湘南17号」と1時間間隔が空いていますが、改正後は17:30~22:00まで約30分間隔での運転となります。なお、東京22:00発の特急「湘南」は、17号から19号に変更となります。

 21時台の利用が回復していることを踏まえた改正とみられます。

 

2.埼京線 川越発新宿行き通勤快速 増発

 平日に、川越発新宿行き通勤快速が1本増発されます。増発されるのは川越6:09発→新宿7:03着の列車です。現行ダイヤの川越発の列車は、6:04(普通)・6:19(通勤快速)・6:36(通勤快速)・6:50(通勤快速)…と概ね15分間隔で運行されていますが、このサイクルをどのように変更するのかは不明で、もしかしたら普通列車を通勤快速へ変更、ということかもしれません。改正後のダイヤに注目です。

 近年、首都圏では快速列車の減便や廃止が目立っていたので、増発は久々のこととなります。利用が堅調であることがうかがえます。

 

3.横浜線 根岸線直通列車増加及びワンマン運転開始

 早朝時間帯の東神奈川発着の列車が、桜木町発着に延長されます。八王子4:53発が東神奈川行きから桜木町行きに延長されるほか、東神奈川5:45発、6:13発の八王子行き列車が桜木町発に延長されます。

 横浜駅・桜木町駅局面でみると、横浜線との直通列車は現行ダイヤでは6時台以降にしか設定されていませんが、本改正で初めて5時台に設定されます。東神奈川6:13発の八王子行きは、八王子で特急「あずさ1号」に乗り継ぐのにちょうどよい列車でもあるので、その点においても利便性が向上するといえます。

 なお、ダイヤ改正日をもって、横浜線ではワンマン運転が開始されます(直通先の根岸線内でもワンマン運転)。

 

4.南武線 ダイヤ見直し

 前回のダイヤ改正からワンマン運転を行っている南武線ですが、停車時間の調整や折り返し時間の拡大などの見直しが行われます。ワンマン運転開始以降、遅延回数が増えているため、1年で早速改善が図られることとなりました。

 

5.まとめ

 いかがでしたでしょうか。大きく変わる点とすれば、横浜線でのワンマン運転開始でしょうか。朝時間帯を中心に激しく混雑することもあるため、そのあたりで停車時間や折り返し時間を考慮したダイヤづくりを行えるかがカギとなりそうです。 前々回、前回と2回連続で縮小された東海道線の沼津直通列車も、今回は動きはないようです。

 快速列車に関しても、埼京線の通勤快速増発以外は変更はないようです。高崎線・宇都宮線の快速、常磐線の特別快速について減便や廃止の動きが出るか?という予測も挙がっていましたが、今回は動きはなさそうです。ただ、次回以降も予断を許さない状況は続いているといってよいでしょう。今後の展開に注目です。

 JR東日本は12日、2026年3月ダイヤ改正の概要を発表しました。今回はJR東日本管轄の新幹線について考察します。なお、記事中の時刻表はプレスリリースをもとに当局が作成、その他の画像はJR東日本プレスリリースから引用しています。

 

2026年3月ダイヤ改正について

 

2026年3月ダイヤ改正について

 

20251212_ni01.pdf

 

1.最終列車繰り上げ

 東北新幹線・上越新幹線の最終列車が20分ほど繰り上がります。現行と改正後のダイヤは以下の通りです。なお、プレスリリースで示された着時刻をもとに、発車時刻を予想している箇所がありますので、1分程度ズレが生じている可能性がありますが、予めご了承ください。

 

<東北新幹線 現行>

 

<東北新幹線 改正後>

 

 現行の盛岡行き最終列車「やまびこ69号」は20:20発となっていますが、改正後は20:08発となり、東京発車が12分、仙台発車が18分早まります。東京駅を「はやぶさ・こまち41号」より先に発車し、宇都宮駅で追い抜かされるダイヤとなります。

 東京・上野・大宮から古川~新花巻間の各駅へ向かう場合、「はやぶさ・こまち41号」に乗車して仙台で「やまびこ69号」に乗り換えれば到達できるため、首都圏~古川以遠への最終列車は実質4分しか繰り上がりません。

 また、仙台行き最終列車「やまびこ223号」は、東京21:44発から21:24発と20分繰り上がります。東京から郡山や福島へ向かう場合は20分ほど繰り上げとなりますが、仙台へ行く分には「はやぶさ43号」に乗れば到達できるので、首都圏~仙台への最終列車は実質8分の繰り上がりとなります。

 なお、最終1本前の「やまびこ221号」は白石蔵王駅を通過に、「やまびこ219号」は白石蔵王駅に停車へと変更されます。

 

<上越新幹線>

 

 上越新幹線では、越後湯沢行き最終列車「たにがわ417号」の時刻が繰り上がります。東京・上野・大宮・熊谷発車は15分程度、高崎・上毛高原の発車は20分ほど繰り下がり、本庄早稲田駅は通過へと変更になります。なお、新たに「とき329号」が本庄早稲田駅に停車となります。

 上毛高原駅は新幹線単独駅なので、在来線への乗り継ぎはありません。越後湯沢駅を通る在来線についても、最終列車は既に出発しているため、在来線への乗り継ぎへの影響もありません。

 全体的に見て、首都圏から新潟・仙台・盛岡方面へ向かううえで支障が極力出ないように配慮して最終列車を繰り上げたといえます。

 

2.東北新幹線「はやぶさ」増発

 東北新幹線の最速達列車「はやぶさ」が、東京~新青森間で1往復増発となります。

 

 

 現在は臨時「はやぶさ57号」「はやぶさ390号」として設定されている列車が、新青森発着となって定期列車化される形です。これにより、東京発の「はやぶさ」が7~11時台は毎時2本となるので、利便性は上がると言えるでしょう。

 

3.山形新幹線「つばさ」車両統一及び速達性向上

 山形新幹線を走る「つばさ」の車両がE8系に統一されることにより、宇都宮~福島間で300km/h運転を行えるようになるため、「つばさ」1往復の所要時間が短縮されます。

 

 

4.東北新幹線「やまびこ」運転区間短縮

 東京17:36発の「やまびこ215号」仙台行きは、郡山行きに短縮となり、列車名も「なすの265号」へ変更になります。

 

 

 現行の「やまびこ215号」と改正後の「なすの265号」を見比べると、郡山到着が十数分早まっていることが分かります。現行の「やまびこ215号」は、「はやぶさ」号のほかに「やまびこ・つばさ153号」にも追い抜かされていますが、改正後の「なすの265号」は郡山まで「やまびこ・つばさ153号」に追い抜かされずに先着し、郡山で「やまびこ・つばさ153号」に乗り継ぐことが可能となります。

 現行ダイヤでは、仙台駅局面で10分ほどの間に「やまびこ」が連続してやってくる形となっているため、減便することとしたとみられます。なお、「やまびこ153号」は白石蔵王駅を通過していますが、改正後は停車することで白石蔵王駅の利用者へも配慮しています。

 

5.北陸新幹線「かがやき」所要時間短縮

 朝夕時間帯の北陸新幹線「かがやき」の所要時間が1~3分短縮されます。

 

 

 現行ダイヤと見比べると、長野~富山間で所要時間が1~3分短縮されています。この区間でスピードアップができるようになったか、余裕時分を見直したとみられます。

 

6.まとめ ~むしろ次回が本番?~

 いかがでしたでしょうか。新幹線の最終列車が20分ほど繰り上がることとなりましたが、作業時間確保と作業環境の改善のためには致し方ないかと思います。夜時間帯で利用者が最も多いと思われる首都圏→新潟・仙台・盛岡方面への利用客へ支障が出ることを避けられる範囲で、繰り上げしたような感があります。

 他の内容についても、改正内容は小幅にとどまりました。東北新幹線と奥羽本線(山形線)を結ぶ、福島駅のアプローチ線が2027年3月から供用開始となる見込みなので、この次のダイヤ改正(2027年3月)で大きな変化が起こると思われます。

今後の動きにも注目です。

 JR東日本は9日、持続可能でより効率的な鉄道メンテナンス体制とするため、主に夜間に行われている保守工事を日中時間帯に行うことを発表しました。今回はこれについて考察します。

 

安全安定輸送の更なる向上とメンテナンス業務変革の両立をめざします

 

1.概要

 鉄道路線の保守工事は、主に夜間ー最終列車運行後から始発列車運行前ーまでの時間に行われることが通例です。しかし、人手不足や作業員の労働環境の改善のため、日中時間帯に保守工事を行う動きを広げることが明言されました。

 現在も、地方のローカル路線では日中時間帯に列車を運休し、保守工事を行っていますが、2026年度以降は首都圏の路線でも日中に保守工事が行われることとなります。

 そのうえで、京浜東北線の田町~田端間と横須賀線の品川~東京間において、日中時間帯の保守工事を先行して実施されることもあわせて発表されました。

 

2.日中に保守工事を実施する路線について

 日中に本格的な保守工事を行う路線として、京浜東北線と横須賀線が挙げられました。順にみていきます。

 

(1)京浜東北線 田町~田端間

 この区間は、山手線と並走している区間にあたります。山手線・京浜東北線いずれも5分間隔ほどで列車の運行があり、京浜東北線は日中時間帯(10~15時)は全列車快速として運行されます。

 この区間が日中に保守工事を行う区間となった理由については、「支障が少ない」という点が挙げられます。保守工事を実施する際は臨時ダイヤが組まれ、並走している山手線の線路を使用して運行が行われる予定となっています。

 保守工事を行う際も、京浜東北線の全列車を運休にする必要がないうえ、並走している山手線や上野東京ライン(東海道線~高崎線・宇都宮線・常磐線)で代替輸送が可能なので、日中に保守工事を行いやすいというわけです。

 京浜東北線では、連続する平日の3日間の日中に保守工事が行われる予定です。

 

(2)横須賀線 品川~東京間

 横須賀線の品川~東京間は、地下トンネル(東京トンネル)となっている区間です。この東京トンネルは、地下水位の上昇による劣化が激しく、修繕・改良工事が長年行われています。

 

土木学会第60回年次学術講演会

 

 2025年3月のダイヤ改正では、同区間での修繕・改良工事の作業時間を捻出するため、最終列車の繰り上げ、始発列車の繰り下げを実施していますが、その程度では足りないということで、日中時間帯にも修繕・改良工事を実施することとなりました。

 

 

 こちらは京浜東北線とは異なり、金曜日の最終列車運行後から日曜日の始発列車運行前まで、およそ丸一日をかけて保守工事が行われる予定です。土曜日に品川~東京間を運休する形となり、横須賀線の列車は品川発着、直通先の総武快速線の列車と成田エクスプレスは東京発着で運行されることになるでしょう。

 

3.日中に保守工事を行う理由

 日中に保守工事を行う理由として、JR東日本は「ホームドア設備等、新たな設備の稼働による作業量の増加」「作業員の減少」「作業環境の改善」を挙げています。

 終電運行後~始発運行前までの時間は、京浜東北線の田町~田端間で約4時間、横須賀線の品川~東京間で約5時間です。そこから線路を閉鎖して機械や作業員を現場に出し入れする時間を差し引けば、3~4時間ほどしか作業はできません。さらに、通電をストップして行う工事となると、さらに作業時間は短くなります。そのため、例えば10時間で終わる工程の作業も、完了までに4~5日かかってしまいます。

 しかし、日中時間帯に作業ができれば、10時間工程の作業も2~3日で完了するうえ、横須賀線のように昼夜連続工事の場合は1回の工事で全て完了する可能性もあります。機械の出し入れや停電の回数も減らせるので、より効率的な保守工事が可能となります。

 また、プレスリリース別表の「作業員の就労意識」アンケートにおいて、工事時間帯の日中へのシフトや、作業員の労働環境への満足度に改善を求める声が多くあがっていることが分かります。ただでさえ作業員が減少している中、夜間中心の保守作業という過酷な労働環境が継続されていると、作業員の離職や担い手の確保が見込めないなどの問題が発生するため、その点を踏まえても労働環境の改善は喫緊の課題なのです。

 以上を踏まえても、日中の保守工事実施については、必要なことであると考えます。

 

4.おわりに

 いかがでしたでしょうか。今後は京浜東北線や横須賀線に限らず、首都圏の他の路線でも日中に保守工事を行う流れが加速するでしょう。他路線での代替が可能な路線ほど、保守工事の日中へのシフトが進む可能性が高いとみています。

 これまでも、橋げたの改良や線路切り替え工事などで、運行本数の多い路線でも長時間運休して工事を行う前例は多々あります。事前にしっかりと告知を行い、振替輸送を手配しておけば、日中に保守工事を行っても大きな支障は出ないのではないかとみています。

 今後、鉄道の保守工事がどのように行われるのか、引き続き注目です。

 

 

参考文献:ちゃんと歩ける中山道六十九次(西) 八木牧夫 著 山と渓谷社

 

中山道歩き 第1話はこちらから↓

 

 

 

2025.11.15(土) ※つづき

 

 

 妻籠から400m弱高低差がある山道を登り、馬籠峠に到着。水分補給をさっと行い一休みしてから出発します。長い長い長野県を抜け、いよいよ岐阜県に突入です!!とはいえもう少しだけ信濃国だったりしますが。

 

馬籠峠12:32→馬籠宿「かっぺ」13:15

 

 県道と分かれ、まっすぐ急坂を下ります。下り坂は上り坂よりはやや楽ですが、急坂の場合は転倒しないよう足を踏ん張らないといけないので、けっこう足に負担がきます。下り坂の割にはペースが上がりませんあせる

 それでも、岐阜県側もとても趣深い風景が広がっているので、あまり苦にはなりません照れ

 

 

 紅葉も色鮮やかで、歩いているだけで幸せを感じます。街道歩きを趣味にしていてよかったと思う瞬間です照れ
 このまま急坂を下って馬籠宿か、もうすぐ馬籠宿に着くぞーと思っていたら…
 
 
 上り坂が待っていました。まぁ、そこまできつい坂ではないはずなのですが、2日間で40km以上歩き、しかも馬籠峠を越えてきた身体には地味に堪える上り坂です…あせる
 それでも、坂を上り切った先には…
 
 
 正面に山々がどんと現れます。中央には恵那山の雄姿も見ることができます。こんなにきれいに山々が見えるなんて、もう最高です!!笑い泣き
 この先が馬籠宿の江戸方の入口で、ここから観光客がどっと増えました。日本人も外国人も多く、とても賑わっていました。
 
 
 さて、いい加減お昼ご飯を食べたいところですが、お蕎麦屋さんには行列ができていたので断念…食べたら絶対美味しかっただろうに…
 どうしようかと悩んでいたところ、「かっぺ」というお店を発見。お土産屋さんですが、軽食やソフトクリームを販売していました。そこまで列もできていなかったので、買い食いすることに。
 するとお店の方から、「奥に食事ができるスペースがある」とのこと。やったー嬉しいーーーー笑い泣き ということで、ここで大休止です。白身魚のサンドイッチ、飛騨牛のコロッケを同行者とシェアし、ソフトクリームも2人とも食べました。とても美味しかったです照れ身も心もすっかりリフレッシュできました音譜
 
馬籠宿「かっぺ」13:52→新茶屋一里塚14:27,14:29→下桁橋付近15:00,15:02→落合宿15:08
 
 馬籠宿は、峠に挟まれた山あいの地にあります。それゆえ水利が悪く、火災で宿場は灰塵に帰してしまいましたが、復元されています。
 
 
 写真をご覧いただくと分かりますが、馬籠宿は宿場全体が峠の登り道の途中にあります。江戸方の入口が標高約650mなのに対し、京都方の入口は標高約575mほどと、なんと75mもの高低差があります。京都から江戸へ向かう人にとっては、宿場なのに上り坂が続くことになり、休憩は必至でしょう。
 県道を横断すると宿場エリアは終わり、さっきまであれだけいた観光客がぱたっといなくなりました。今度は里山の田園風景が広がります。
 
 
 景色が開け、中津川方面を望みます。これから歩き進めようとしているところ、小高い丘がぽつぽつあるようにも見えますが…たぶん気のせいでしょう、たぶん。
 カーブを抜けながら坂を下ると、新茶屋跡と新茶屋一里塚があった場所へ差し掛かります。ここに建てられているのが…
 
 
 島崎藤村が揮毫した「是より北 木曽路」の碑です。この新茶屋までが「木曽路」のエリアであり、ここが信濃国と美濃国の境界でした。碓氷峠からここまでが信濃国だと思うと、信濃国はとても広いですねびっくり 
 2005年までは、ここが岐阜と長野の県境でしたが、長野県山口村が岐阜県中津川市に越県合併された関係で、馬籠峠~馬籠宿~新茶屋までの区間は信濃国ながら岐阜県となりました。
 程なくして、落合の石畳に差し掛かります。
 
 
 江戸時代の石畳道がわずかに残っていたものを生かし、再度整備がなされ、このような石畳道が続いています。ひたすら下り坂を下っていきます。
 
 
 景色が開け、中津川市東部を望むことができます。急坂下りなのでペースが上がりませんあせる 落合の石畳~落合宿までの区間は十曲峠といわれる難所で、かつてはつづら折れの急坂が続いていたそうですが、明和年間に道が付け替えられ、つづら折れの道は廃道となったようです。しかし…
 
 
 付け替えられた道はご覧のような急坂です(江戸方面を向いて撮影)。「この坂は上りたくないなぁ…」と二人して口をつきました。つづら折れの道ではないですが、特に江戸方向へ歩く人にとっては今でも十分難所です。
 
 
 落合川を下桁橋で渡ると、落合宿はもうすぐです。左側を見ると、小さな滝が見えました。なかなかきれいな滝です照れ 橋の少し先で水分補給を行い、坂をくいっと登ると落合宿に到着です。
 
 
中津川まであと4km、あと一息だと思ったのですが…
 
落合宿15:08→与坂立場「越前屋」15:30→子野一里塚15:37→中津川市 新町交差点16:07
 
 落合宿を抜けると、上り坂が待ち受けていました… やっぱり丘登りが待っていたか…あせる
 
 
 木曽高速国道19号線と再会し、跨線橋と地下道で2回横断します。当時は国道がなかったので、うねうねとカーブした上り坂が続いていたのでしょう。
 国道と分かれても、ひたすら上り坂が続きます。この与坂は、わずか500mほどの間に一気に標高が70mも上がる急坂なので、隠れ難所といっても過言ではありません。
 
 
 坂を登りきると、右側には田園風景が広がっていました。
 
 
 少しだけ平坦な道になり、その先に「越前屋」がありました。
 
 
 この与坂の頂上にあり、江戸時代には立場(休憩所)として機能し、三文餅が名物だったようです。この跡地は今、「越前屋」というカフェになっており、三文餅も提供しています。あいにくこの日は定休日だったので入れませんでしたが、立場が現代に復活しているというのはなんだか胸が熱くなりますね照れ
 

 

 

 店頭のメニューやSNSを見ても、外国人観光客の利用も多いようです。中津川から歩いて馬籠や妻籠方面へ向かう人が一定数いることが窺えます。

 越前屋の先で坂を一気に下り、三五沢を渡って子野一里塚を通過します。旧街道の雰囲気が残る道を歩いていきます。

 

 

 

 坂を下ったーと思ったらまた上り坂…与坂ほどきつくはないものの、なかなか道が平坦になりません。すぐにまた下り坂になり、少し歩くと見事な枝垂れ桜の木がありました。

 

 

 右カーブをくぐり、緩やかな上り坂を登ると、国道19号を地下道で横断します。無駄なアップダウン…(泣) もう中津川の中心部は近いはずですが、いっこうに見えてきません。

 中津高校の手前、芭蕉の句碑のところで車道と分かれ、斜め左へヘアピンカーブするように進んで石畳の急坂を下ります。ようやく市街地が見えてきました笑い泣き

 

 

 石畳道はすぐ終わり、歩道橋で道路を渡ります。古めの標識で「多治見44km 恵那11km」とありました。ルーティングとしても旧国道19号ということで間違いなさそうです。

 

 

 歩道橋を渡ると、坂を下ってすぐに斜め左下へ進み、階段を下ります。この階段を下りた先が、中津川宿の江戸方の入口です。やっと中津川に着きました。久々の平坦な道を進みます。

 

 

 ずっと山あいの中を進んできたので、久々に大きな街に着いた感じがします。さすがにもう歩けないので、あとはどこで終わるかを考えていた時、新町交差点に差し掛かりました。

 大きな道と交差してるなぁーと思って、ふと右を見てみると、中津川駅の正面に道が続いていました。ということで今回のウォークはここで終了し、駅へと向かいます。

 中津川の名物は栗!ということで、駅に行く途中にあった和菓子屋さんでお土産を買いました。

 

 

 中津川駅に着くと、次の快速名古屋行きがあと3分ほどで発車するところでした。というわけで、とりあえずICカードをタッチして急いで乗車。次の列車は30分ほど後だったので、すぐ乗れてラッキーでした。あとは名古屋から新幹線に乗って帰りました。

 

今回の歩行距離:28.5km(江戸 日本橋から344.3km)

総歩行時間  :8時間7分(平均3.5km/h)

実歩行時間  :7時間5分(平均4.0km/h)

 

京都・三条大橋まで207.5km  草津・東海道合流点まで182.1km

 

<あとがき>

 今回宿泊した「フォレスパ木曽」さんは、普段は外国人観光客の宿泊のほうが多いそうです。妻籠や馬籠宿だけでなく、阿寺渓谷も非常に人気があるそうです。

 また、南木曽~馬籠宿は特に外国人観光客を筆頭に歩いている人が多く、大変賑わっていました。そのためかカフェもぽつぽつと営業していました。人の往来が増えれば、そこに店が出て、賑わいが出るという事を改めて実感しました。

 オーバーツーリズムやマナー違反など、問題も多々ありますが、外国人は時期を問わず一定数訪れているので、観光地の方にとってはこれほどありがたいお客さんはいないでしょう。英語で書かれたメニューや看板を置いている店が大半だったのも分かります。

 今回見かけた外国人観光客は、マナーも守って観光しているように見えました。「古き良き日本の姿を見たい、知りたい」という気持ちで来ている人が多い印象があります。妻籠や馬籠、そして2点をつなぐ旧中山道は、外国人向けのガイドブックにも大きく紹介されているようで、それもあって訪れる人が多いそうです。

 今回、妻籠や馬籠を歩いてみて、改めてその魅力を実感しましたが、魅力に感じる外国人観光客がこんなにたくさんいることには嬉しさを感じました。もっと旧中山道の良さが国内外問わず知られてほしいなぁと思っています。

参考文献:ちゃんと歩ける中山道六十九次(西) 八木牧夫 著 山と渓谷社

 

中山道歩き 第1話はこちらから↓

 

 

 

2025.11.15(土)
 

 

 目が覚めてしまい眠れない時間もあったものの、9時間半しっかり休んで6時半に起床。朝食は一番早い7時からにしました。鮭・目玉焼き・味噌汁など、健康的なメニューでした。

 温泉もあってリフレッシュできましたし、食事も美味しかったですし、木曽福島~中津川の中間点付近にあるという立地の良さもあり、フォレスパ木曽に宿泊して本当に良かったです。

 フォレスパ木曽からは、中央アルプスの山々も見えます。宝剣岳だけ山体がギザギザしているのでとても分かりやすいですね照れ

 

 

 事前予約すれば、JR野尻駅~フォレスパ木曽間は送迎を仰ぐことも可能です。今回、駅に行く途上まで送迎を仰ごうと思って宿の方に話をしていましたが、ふたを開けてみれば7:50発の送迎利用者は我々のみ。ということで、前日の終了地点まで送ってもらいました。ご厚意に感謝です。

 

旧中山道第3踏切8:00→十二兼駅付近8:34→三留野公衆トイレ9:25,9:27→南木曽駅9:46

 

 旧中山道は森の中へと続いています。朝は寒いですが、ぴりっとした寒さは嫌いじゃないですニコニコ

 

 

 JR中央本線の踏切を渡ろうとしたら、特急「しなの2号」が通過していきました。その後、特急「しなの1号」とすれ違いました。

 

 

 かつては茶屋があった跡地を通過すると、南木曽町へ入ります。

 

 

 この先で国道19号を横断するのですが、信号がない上に車もけっこう飛ばしているので、横断にやや緊張しましたあせる

坂道を登って十二兼の集落を過ぎ、また坂を下ります。ここで国道19号とJR中央本線をトンネル(水路??)でくぐる、とガイドブックに書いてありましたが、「私有地につき立ち入り禁止」の看板があったため断念し、国道19号に戻ります。

 十二兼駅を過ぎたあたりで、両方向に距離標識がありました。

 

 

 中段に「多治見」が登場したほか、名古屋までの距離も100kmを切りました。でも中津川まではまだ30km近くもある…
 
 
 気づけば塩尻からもけっこう歩いてきました。こうして少しずつ、景色が変わって気が付いたら遠くに来ていたというこの時間、空間の感じ方も、街道歩きの魅力です(伝われ)
 しばらく国道歩きが続くと、山と谷が織りなす景色が広がります。
 
 
 前を見ても後ろを見ても、ただひたすら谷が続いています。島崎藤村の「夜明け前」にある通り、「木曽路はただただ山の中にある」という一説をずばり表しています。
 
 
 ちょうど、昨日乗った特急「しなの3号」が通過していきました。徒歩で2日を費す中津川~木曽福島間を、わずか35分で駆け抜けてしまうのだから、恐ろしいですねびっくり
 景色が開けてくると、三留野宿や南木曽町の中心地は近いです。国道19号から斜め左にそれていきます。三留野宿へ向かって上り坂を上がっていきます。集落や宿場が川から山側寄りの小高い場所にあるのは木曽路あるあるですねニコニコ それだけ、木曽川の流れが激しく、また谷も深く険しかったのだと思います。
 三留野宿に入ったところでさっとお手洗いを済ませ、さらに歩き進めます。
 
 
 木曽路全体に言えることですが、どこか日本の中でありそうでない風景、失われつつある風景が残っているように感じます照れ
 旧中山道は、中央本線の線路の東側を進んでいきますが、南木曽駅に寄って休憩したくなったので、道を外れて線路の西側を歩きます。このへんはまぁ、誤差の範囲という事で(^^;;;
 西側の道は旧街道ではないですが、それでも味のある風景でした。
 
 
 想定よりも早く出発できたため、順調に南木曽駅に到着。温かくなってきたので上着を脱ぎ、水分補給も行います。南木曽駅近くに来てから、外国人観光客の姿が増えてきて、客を待つタクシーも数台停車していました。
 
南木曽駅9:51→上久保一里塚10:17→妻籠宿本陣お休み処10:45
 
 南木曽駅の少し先にあるこ線橋を渡り、旧中山道へ復帰します。JR中央本線と国道19号と分かれ、山間部へと進んでいきます。中央本線の線路を越えると上り坂が始まり、合戸集落まで一気に登ります。
 
 
 戦沢を渡るためにいったん坂を下り、再び上りとなります。石畳道も残っていました。
 
 
 南木曽駅を過ぎてからは、歩いている人が格段に増え、沿道の案内も充実しています。大半が外国人観光客で、多くの人とすれ違いました。
 
 
 上久保一里塚を過ぎて少しすると、前を歩いていた外国人観光客が何かを見つけたようなそぶりをしていました。まさかクマか…と思ったら、そこにいたのはニホンザルでした。顔の赤いサルは日本人にはなじみ深いですが、外国の方にはとても珍しいようで、サルの写真を撮った後、「Amazing!!」と嬉しそうでした。私はサルの写真は撮れず…
 
 

 車道と土道を行ったり来たりしながら、最後に坂を下ると妻籠宿へ至ります。南木曽駅から3キロ半ほどですが、アップダウンが多く、歩きごたえがありました。

 

 

 妻籠宿に着くと、外国人だけでなく日本人観光客の姿も一気に増えました。それでも11時前という事もあり、そこまで混雑はしていませんでした。

 

 

 妻籠は明治以降、主要交通網から外れてしまい宿場は衰退していきましたが、それゆえにかつての宿場町の雰囲気を色濃く残し、その景観を保全する条例も制定されたことで、今や観光名所となっています。

 

 妻籠宿本陣お休み処10:52→大妻籠11:18→馬籠峠入口バス停11:58→一石栃茶屋跡12:11→馬籠峠12:27

 

 お手洗いと水分補給のため本陣のお休み処で少し休憩して、先へ進みます。妻籠宿の雰囲気を存分に楽しみながら歩きます。

 

 

 このように、旧街道を歩いているという実感を強く持つことができ、歩いていて幸せがやってくる。そんな風景です照れそそして妻籠宿を抜けると、馬籠峠へ向かって上っていきます。歩いている人は多く、半数以上は外国人観光客でした。

 蘭川に沿って歩いていくと、神明集落・大妻籠集落の順に通過していきます。こちらも旧街道の趣をとても感じられる場所です。

 

 大妻籠を抜けた先は、県道を渡って山の中へ分け入り、石畳の険しい急坂を登ります。ヘアピンカーブで一気に高度を稼ぎ、上った先からは大妻籠集落がかなり下の方に見えます。

 

(↑少し前に、写真下に写っている横断歩道を渡っています)

 

 急坂を登りきっても、上り坂は続きますが、江戸から京都方面へ向かう場合はここが一番の急坂ポイントです。その先で色鮮やかな紅葉に出迎えられました音譜

 

 

 この日程にしたのはたまたまだったのですが、こんなに紅葉がピークな時期に歩くことができて本当によかったです照れ

 大妻籠から先は、土や石畳の道が峠までひたすら続きます。

 

 

 一石栃茶屋跡までくると、馬籠峠はもうすぐです。かつては本当に跡地でしたが、外国人観光客を中心に通行する人が増えたということもあり、「妻籠を愛する会」がこの跡地を無料の休憩所として活用しています。私が訪れたときも、少なからぬ方が一休みしていましたニコニコ峠までもうすぐなので、我々は引き続き峠を目指します。

 

 

 最後は一気に坂を登りきる形となり、県道に合流するその場所が標高790mの馬籠峠です。

 

 

 三留野宿や妻籠が標高400mあまりなので、高低差が400m弱ほどあります。そらしんどいわ…あせる 1日目スタートの木曽福島駅が標高772mなので、1日半かけて下ってきたところを一気に登りなおした形ですね(^^;;;

 

 

 峠の茶屋がありましたが、たまたまこの日は閉まっていました。そしてこの馬籠峠が、岐阜と長野の県境です!!

 

 

 碓氷峠の頂上からここまでが長野県なので、本当に長野県の広さを実感しました。ようやく長野県を脱出し、岐阜県に入ります。でも、この先ももうしばらく信濃国のエリアになります。

 長くなったので、続きは次記事で書くこととします☆

 

参考文献:「ちゃんと歩ける中山道六十九次」五街道ウォーク・八木牧夫著 山と渓谷社