2024(令和6)年12月28・29日に放送された「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 年末8時間スペシャル」、全てを観終えたうえで、改めて今回のお題の出題ポイントと、感想を述べつつ、出演者の心情にも迫っていきたいと思います。感想なのでほぼ主観で書きますが、あらかじめご了承ください。今回は3区についてみていきます。

 なお、ネタバレ100%ですので必ず本編をご覧の上でこの記事をお読みください。また、ルート検証については今回もタビリスの鎌倉先生が丁寧に考察されているので、そちらをご覧くださいね☆

 

 

 では、まいります。

 

 3区(5・6日目)は再びルイルイこと太川陽介さんが率いるチームにタスキが渡されました。5日目は澤さん・神田さん、6日目は澤さんに代わってザ・マミィの酒井さんが参戦しました。5日目は土曜日、6日目は日曜日です。

 

1.仙台から始めたかった?

 5日目は山形県北部の新庄市からスタート。ですが、一行の発言を聞いていると、「仙台から新庄に進まず、宮城県や岩手県を北上したほうがよかったのでは?」と少なからず思っていたように感じました。

 ただ、鎌倉先生の解説にもあるように、宮城県や岩手県を北上すると苦戦します。かつては仙台から青森まで路線バスだけで移動できましたが、現在はバス空白地帯が複数箇所できているためです。また、龍飛崎を目指すにあたり、盛岡や八戸を経由するのは遠回りなので、新庄へ進むのが正解です。

 新庄でのルート選択の余地は限られている一方、仙台近郊はバス路線・本数も充実しているので、その中でルート選択をしたかったんだろうなと思います。

 

2.バス旅Zは?

 3区で2日間バス旅に挑んだ神田愛花さんは、きってのバス旅ファンで、念願のバス旅登場という言われ方をされていました。しかし、神田さんは既にバス旅Z第17弾「宮古→瀬波温泉」でバス旅を1回経験しているにも関わらず、そのことについては一切言及されず、それについては違和感を覚えました。何かあったのでしょうか??

 

3.新庄からのルート

 新庄からは奥羽本線、陸羽西線、陸羽東線が乗り入れており、東西南北に路線が伸びていますが、このうち陸羽西線(酒田方面)・陸羽東線(鳴子温泉方面)・奥羽本線(院内・湯沢方面)は災害等で列車の運行が行われておらず、列車代行バスが運行されています。

 北を目指せるのは、奥羽本線代行バス(新庄~院内)です。一方で、陸羽西線代行バスで酒田へ出て日本海沿いに北上するという選択肢もあり、この2択でどちらを選ぶかというのが新庄でのポイントでした。結論からいえば、奥羽本線沿いに進むのが正解です。酒田市内は大半のバス路線が廃止になっており、進んでいたら地獄を見たと思います。

 通常、山形・秋田県境は、及位~横堀間でバス路線が途絶え、13.1kmを歩く必要があります。しかし今は、奥羽本線が大雨災害で運休していて、代行バスが走っている関係で、途中の院内駅までバスで向かうことができ、バスで県境を越えることができます。まさに今だけ限定の乗り継ぎです。

 

4.なぜ対立してしまったのか

 しかし、横堀駅から湯沢へ向かうバスは平日のみの運転、ロケ日は土曜日だったので全便運休でした。そのため、院内駅から湯沢まで18kmを歩かざるを得ませんでした。新庄駅を出発する時点でそのことは判明しており、覚悟の行軍でした。

 その中で、神田さんはバス路線が他にないかをずっと探し、「もっと他のバスがないか探さないか?」とルイルイに提案しましたが、ルイルイは当初却下。神田さんは不満げでした。

 神田さんが他のバス路線を探すことにこだわったのは、Z第17弾での経験からだと思います。Z第17弾のお題は「宮古(岩手県)→瀬波温泉(新潟県)」で、どこで奥羽山脈を越え、どこで日本海側へわたるかというのがポイントでした。

 盛岡で大きな判断を迫られた一行は、岩手県交通の案内所で得た情報をもとに、仙台まで南下して48ライナーで新庄まで北上するという決断をしました。しかし、隣の案内所(岩手県北自動車)でも聞き込みをしておけば、恐らく八幡平経由で秋田県方面へ抜けるルートの情報が得られ、そのあとの展開が楽になっていました。(詳細は、タビリスさんの下記記事をご覧ください)

 

 ロケ後の振り返りでそのことを知った神田さんは、かなり悔やんだと思います。「1つの情報だけでなく、複数の情報をもとに判断したほうがいい」と思ったことでしょう。また、「いくら何でも18kmも歩くのは長すぎる。他に手があるのではないか?」という思いもあったでしょう。

 対するルイルイは、クラシック第15弾「米沢→大間崎」で、新庄から湯沢へのルートを経験済みです。湯沢へ北上するバスは1路線しかないことも知っていて、その1路線が土曜運休だと分かった以上、湯沢に向かって先を急いで歩くことを決めていたのだと思います。

 結果的にはルイルイの判断が正しいのですが、まれに新しい路線が設定されたり、路線の経由地が変更になっている場合もあり、調べてみる価値はあったと思うので、最初から却下しなくてもいいのでは…?と思いました。

 基本的に、ルートや移動方法を考えて決断するのは常にルイルイです。ルート選択や移動方法についてここまで意見をまっすぐぶつけてきた人は恐らく今までおらず、ルイルイも少し戸惑ったのかな、と思いました。

 

5.出演者を苦しめる土日運休

 土日運休においては、6日目も苦しめられることとなりました。一行は湯沢から横手、大曲と北上し、苦心しながらルートを見つけ、秋田市へ至りました。しかしその途中には本降りの雪の中を歩くという、厳しいものでした。

 平日であれば、横手から羽後本荘へ向かうバスが走っており、羽後本荘経由でバスだけで秋田市へ行くことができましたが、日曜日だったために本荘ルートは使えなかったのが痛かったです。

 ルイルイはクラシック第15弾で、神田さんは「いい旅夢気分」での経験をもとに、角館・田沢湖を経由して鹿角や盛岡へ向かうルートを考えましたが、角館~田沢湖間のバスが廃止になっていることを知り、断念しました。

 

 

 窮地を打開するきっかけを作ったのは神田さんでした。「秋田空港に行けばバスがあるはず」という、見事な読みでした。

 

 3区については、土日にロケをしたことが問題だったと思います。2日間とも平日であれば、院内から横堀まで4kmほど歩くだけで秋田市まで到達できました。雪も降りしきる時期であることを考えても、そこは何とかならなかったのかと思いました。

 澤さんの立ち回りは素晴らしく、太川さんや神田さんを上手に受け止め、チームをまとめていました。それだけに、バス1本乗車と徒歩18kmだけで終わってしまったのが非常に残念でした。もう少し澤さんにバス旅を味わってほしかったです。酒井さんは「運動神経悪い芸人」でもおなじみで、身体を動かすことが全般的に苦手で、歩きではかなり苦戦しました。ついていくのがしんどそうでしたが、そういう姿もまたバス旅なので、1シーンを担っていたと思います。

 そして神田さんは、バス旅ファンということもあり、様々なアイデアを持っていました。ルイルイに意見できるのはすごいです。6日目の窮地を打開したのも見事でした。

 3区の感想はこんなところです。次記事はラスト4区を取り上げます。