JR四国とJR西日本は19日、一部特急列車の全車指定席化について公表しました。今回はこれについて考察します。
1.対象列車
全車指定席化される特急列車は、岡山と松山を結ぶ特急「しおかぜ」と、岡山と高知を結ぶ特急「南風」の2種類で、2027年春から全車指定席化されます。瀬戸大橋を渡って本州と四国を結んでおり、岡山~児島間はJR西日本の管轄、児島~四国方面はJR四国の管轄となっています。
2.考察
今回の「しおかぜ」「南風」全車指定席化について、JR西日本・JR四国それぞれの状況や経緯から考察していきます。
(1)JR西日本
かねてからJR西日本は、在来線特急列車の全車指定席化を進めており、今回の「しおかぜ」「南風」の全車指定席化もその一環と言えます。全車指定席化を進める理由としては、ネット予約への移行を促して窓口業務や車内検札業務の簡素化を図ること、自動改札機等の機会の維持費用の削減などが挙げられます。JR東日本も、信越地区の一部特急以外は全て全車指定席となったほか、JR北海道も今年3月から全特急列車が全車指定席となるなど、特急の全車指定席化の動きが進んでいます。
これにより、JR西日本管内の在来線特急で自由席が設定されるのは、関空特急「はるか」・1日1往復大阪駅へ乗り入れる特急「ひだ」・山陰地区の特急「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」のみとなります。これらの特急も全車指定席化するのかどうかが注目されます。
(2)JR四国
現在、JR四国管内を走る特急列車は、寝台特急「サンライズ瀬戸」を除いて全て自由席が設定されていますが、来年度からは「しおかぜ」「南風」が全車指定席化されます。
全車指定席化される2つの特急の共通点は、「本州(岡山)と四国を結ぶ特急である」ということです。逆に、四国内で完結する特急「いしづち」「宇和海」「しまんと」「あしずり」「うずしお」「剣山」については、これまで通り自由席が設定されます。
本来、50kmまでの自由席特急料金は760円ですが、JR四国では25kmまでの利用の場合、自由席特急料金が450円と格安に設定されています。JR四国の路線は、区間によっては普通列車がとても少なく、短い距離でも特急列車を使わざるを得ないケースがあり、その救済策が用意されているというわけです。
このように、「普通列車がないためにやむなく特急を使う」という場合、わざわざ特急の指定席を事前予約するという動きにはなりづらいでしょう。その点で、ネットで指定席特急券を事前予約をするという方式が果たして利用者に定着するのか?という点が懸念されます。
また、自由席特急料金は450円もしくは760円なのに対し、50kmまでの指定席特急料金は1,290円(通常期)と割高です。特急「しおかぜ」については、大半の列車が自由席を連結している「いしづち」と併結運転を行うので、自由席利用の需要は「いしづち」である程度カバーできますが、「南風」は大半が単独運転なのでそうはいきません。そんな中で単純に全車指定席化してしまった場合、ただただ値上げして利用者が離れる、という結果になりかねません。
こうした問題への救済措置なのか、同日JR四国はおトクなチケットレス特急券をネット販売することもあわせて公表しています。
25kmまでの区間は300円、50kmまでの区間は500円という、非常に格安な特急券となっています。ただ、このおトクなチケットレス特急券は、販売期間・利用期間が令和9年3月31日までとなっています。来年4月以降、ここまで低価格ではないにせよ、おトクなチケットレス特急券の販売を継続するか、もしくは首都圏のように通常よりも割安な特急料金体系を導入するかしないと厳しいと考えます。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。ついにJR四国にも全車指定席化の波が押し寄せるという見方もできますが、全車指定席化は本州四国連絡特急のみであること、また「ごく短い距離を特急の自由席で移動する」という需要があり、それに応じた料金をJR四国は設定しています。そうした点を考えると、JR四国が全車指定席化を強く推進しているというよりは、JR西日本の意向による動きとみるほうが自然だと考えます。
今後、JR西日本の特急が全て指定席化されるのか、四国内で完結する特急列車にも全車指定席化されるのか、引き続き注目です。








