JR九州は昨年12月12日、2026年3月14日に実施するダイヤ改正の概要を発表しました。今回は西九州エリアについて、特急「かささぎ」の減便に関することを中心に考察しています。なお、記事中の図はJR九州プレスリリースから、改正前後の比較表については、時刻表とプレスリリースを参考に、当局で作成しています。プレスリリースで言及のない列車については、時刻が変更されている可能性がありますので、ご利用の際には事前確認をお願いいたします。
20251212_Spring_2026_timetable_revision.pdf
0.西九州エリア 運行系統について
西九州エリア(佐賀・長崎)の運行系統図は以下の通りです。
<西九州新幹線 開業前>

<西九州新幹線 開業後>

この運行系統図をもとに、ダイヤ改正の解説をしますので、こちらの図も併せてご覧ください。また、特急「かささぎ」の減便については、前記事を出しておりますのでそちらもご覧ください
1.長崎本線・佐世保線
博多~肥前鹿島間を運行する特急「かささぎ」が、午前時間帯と夕夜間帯でそれぞれ1往復ずつ、合計2往復減便となります。これに伴い、博多~武雄温泉間で特急「みどり」が2往復増発されるほか、江北~肥前鹿島間で普通列車が1往復、肥前鹿島~肥前浜間で下り1本、上り2本が増発となります。
改正により、ダイヤがどう変わるのかをみていきましょう。まずは午前時間帯からです。
(1)午前時間帯 肥前鹿島・長崎方面


赤字:特急「リレーかもめ」 緑字:特急「みどり」 橙字:特急「かささぎ」 水色:新幹線「かもめ」
減便されるのは特急「かささぎ103号」(博多10:18発→肥前鹿島11:21着)であり、新たに増発となるのは、特急「みどり101号」(博多9:10発→武雄温泉10:22着)となります。加えて、博多10:03発の特急「リレーかもめ17号」が、新たに江北駅に停車します。
これにより、江北~肥前鹿島間はどのように変わるのかもみてみましょう。


赤字:特急「リレーかもめ」 緑字:特急「みどり」 橙字:特急「かささぎ」
改正後は博多9:10発の特急「みどり」が増発となり、江北で普通肥前浜行きに乗り継ぐことができるようになります。この普通列車は、現行ダイヤでは肥前鹿島行きですが、肥前浜行きに延長されます。
また、鳥栖10:02発の普通江北行きが、肥前鹿島行きに延長されます。後続の特急「リレーかもめ17号」(博多10:03発)が江北駅に新たに停車することで、この肥前鹿島行き普通列車に乗り継ぐことができるようになります。
現行ダイヤで博多から肥前鹿島へ向かう場合、博多8:54発の特急「リレーかもめ13号」を逃すと、博多10:18発の特急「かささぎ103号」に乗るしかなく、1時間半近く空いてしまいます。改正後のダイヤでは、8:54,9:10,10:03,10:53発の特急に乗れば肥前鹿島へ到達できるようになります。
さらに、江北から肥前鹿島方面へ向かう普通列車は、10:10発の次は11:47発と1時間半以上も間隔が空いていますが、改正後は江北10:12発、10:57発、11:47発が設定され、運転間隔が1時間未満となります。この点も良いポイントと言えます。
(2)午前時間帯 博多方面

減便されるのは特急「かささぎ108号」(肥前鹿島11:54発→博多12:52着)であり、新たに増発となるのは特急「みどり102号」(武雄温泉10:40発→博多11:42着)となります。
午前中に増発される特急「みどり」号は、いずれも多客期には武雄温泉駅で西九州新幹線の臨時「かもめ」に乗り継ぐことができ、その際は「リレーかもめ」として運行されます。実質的には、臨時列車の定期列車化といえます。
続いて、肥前鹿島から博多方面への乗り継ぎもみてみましょう。


肥前鹿島10:41発の普通列車が肥前浜始発に延長され、肥前浜~江北で普通列車1本が増発となります。「かささぎ」が減便されたところに普通列車を増発することで、運転間隔が約1時間20分から40分間隔へ是正されています。博多へ向かう上での乗り継ぎは悪くなりますが、普通列車の増発により有効本数は維持されます。
(3)夕夜間時間帯 肥前鹿島・長崎方面
減便されるのは特急「かささぎ107号」(博多16:34発→肥前鹿島17:43着)であり、新たに増発となるのは、特急「リレーかもめ43号」(博多16:16発→武雄温泉17:19着)となります。どのように変わるのか、早速みてみましょう。

博多~武雄温泉間を結び、西九州新幹線(武雄温泉~長崎)の「かもめ」に接続する特急列車は「リレーかもめ」(赤字)、博多と佐世保を結ぶ特急列車は特急「みどり」と、棲み分けが図られています。しかし、ダイヤの都合で特急「リレーかもめ」を仕立てられない箇所があり、その部分については特急「みどり」がリレーかもめの役割を兼任しています。
現行ダイヤでは、博多16:16発の特急「みどり(リレーかもめ)43号」が、「みどり」「リレーかもめ」の役割を兼任する列車の一つとなっていますが、改正後は博多16:16発の特急「リレーかもめ」が増発され、特急「みどり」は「リレーかもめ」との兼任を解かれることとなります。
「リレーかもめ」を兼任する「みどり」号には、佐世保へ向かう乗客も長崎へ向かう乗客もどちらも乗り込んでくるため、混雑してしまう傾向にあります。その混雑を緩和するために、特急「かささぎ」を「リレーかもめ」に振り替えるというわけです。
また、博多17:00発(現行:17:01発)の特急「リレーかもめ」が新たに江北駅に停車となるほか、17時台の特急「かささぎ」「みどり」の発車順序が入れ替わります。
続いて、肥前鹿島方面への乗り継ぎについてみていきます。


博多17:00発の特急「リレーかもめ」が新たに江北駅に停車となることで、新たに江北17:50発の普通列車に乗り継ぐことができるようになります。これにより、特急「かささぎ」の減便分がカバーされます。
また、博多発17時台の「みどり」「かささぎ」の発車順序が入れ替わりますが、「みどり」からは引き続き肥前鹿島方面への普通列車に乗り継ぐことが可能です。なお、改正前は江北18:16発の普通肥前浜行きでしたが、改正後は18:27発の普通肥前大浦行きとなります。(江北発肥前浜行きと、肥前浜発肥前大浦行きが統合されて直通化)
(4)夕夜間時間帯 博多方面
減便されるのは特急「かささぎ114号」(肥前鹿島19:34発→博多20:37着)であり、新たに増発となるのは特急「みどり104号」(武雄温泉17:36発→博多18:33着)となります。

現行ダイヤでは臨時の「リレーかもめ」が設定されている時間帯に、定期列車として特急「みどり」が設定されます。特急列車に関しては、他に大きな変更はありません。
肥前鹿島方面から博多方面への乗り継ぎもみてみましょう。


変更となる点は、肥前浜17:19発の普通列車から、今回増発される特急「みどり104号」に乗り継ぐことができるという点です。これにより、現行ダイヤより16分早く博多へ到達できるようになります。ここはうまく増発列車を配置したと思います。
2.直通列車増加
現在乗り換えが必要な箇所3か所が直通化されることで、乗り換えが不要となります。

3.早岐駅 乗り継ぎ改善
早岐駅での乗り継ぎが改善され、佐世保から有田・佐賀方面への移動が便利になります。

現行ダイヤの早岐14:14発の普通列車は、佐世保発の列車からスムーズに乗り継げず、普通列車どうしでの乗り継ぎだと早岐駅での乗り継ぎ時分が50分ほどとなっています。その他の列車も、早岐駅で乗り継ぎ時分が20分ほどかかってしまいます。早岐駅での大村方面からの乗り継ぎや、江北駅での乗り継ぎにも影響はないとみられ、うまく改善されているように思います。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。単に特急「かささぎ」を減便したいというよりは、利用が少ない特急「かささぎ」の輸送力を、博多~武雄温泉(長崎)間の特急「みどり」「リレーかもめ」に振り分けたいというのが、改正の趣旨であると考えます。
もしかすると、特急「かささぎ」の減便については、本来であれば単なる減便にしたかったのかもしれませんが、西九州新幹線の整備をめぐり、佐賀県や県内の沿線自治体は在来線特急の減便や廃止に強い反対を示しているため、減便ではなく別の特急への振り替えという形に収めたのかもしれません。(これはさすがに深読みだとは思いますが…)
それはともかくとして、特急が2往復減便となる割には、利便性はそこまで低下しておらず、むしろ場所によっては利便性が上がっているところもあり、沿線の利用者に相当な配慮をしたことがうかがえます。
新たなダイヤで利用がどのように変わるのか、注目です。