皆様は「新幹線に乗る」といえば、どんな移動をイメージしますか?他の地方へ出張に行く、遊びに行く、コンサートを観に行く… 新幹線に乗るというと、「違う地方へ行く」「遠くの場所へ向かう」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
しかし、新幹線は遠距離移動するために使うものではありません。むしろ、1,2区間だけ使うという場合もとても使える場合があります。それはなぜなのかについて説明します。
1.1区間だととても安い!特定特急料金
新幹線の特急料金は、乗車距離によって決められています。指定席を利用する場合は、例え数キロの利用であっても、東海道・山陽新幹線では2,290円、東北新幹線では2,400円の特急料金がかかります。
しかし、自由席利用の場合はがらりと異なり、1区間だけ新幹線の自由席を利用する場合は、特定特急料金という割安な特急料金が適用されます。
例えば、新横浜~小田原間であれば990円、京都~新大阪間であれば870円であり、自由席利用であれば1,000円未満の課金で新幹線に乗れてしまうのです
2.ここがお得だ!新幹線のちょい乗り利用
それでは、特定特急料金が適用される区間で、乗り得と考える区間を4つほど紹介します。
(1)東京・品川~新横浜
まず1つ目は、東京・品川~新横浜間です。同区間の自由席特急料金は870円で、普通列車グリーン車より少し高い程度です。在来線利用の場合、品川~新横浜間は30分程度、東京~新横浜間で40分程度かかりますが、新幹線であれば所要時間はその半分で済むため、とてもコスパが良いです。
実際、新横浜近辺でサッカーの試合やコンサートが行われた場合、新横浜駅から品川・東京へ新幹線で向かう利用者も少なくありません。
(2)三島~静岡、静岡~浜松
次にあげるのは静岡県内のこの区間。両者とも2区間(三島~新富士~静岡、静岡~掛川~浜松)あるにも関わらず、割安な特定特急料金が設定されており、三島~静岡間、静岡~浜松間の自由席特急料金はいずれも990円と1,000円を切っています。
三島~静岡間、静岡~浜松間は、東海道本線の普通列車であれば1時間10分ほどかかりますが、新幹線は「こだま」でも25分程度、「ひかり」であれば20分程度と大きな差があるため、非常にコスパが高いです。
(3)京都~米原
京都~米原間は70km弱と比較的1区間が長くなっていますが、自由席特急料金は990円となっています。在来線屈指のスプリンターである新快速でも50分以上かかるところを、新幹線は20分弱で駆け抜けてしまいます。こうして考えると、いかに新幹線利用がコスパが高いかを感じずにはいられません。
(4)小倉~博多
こちらも、1区間が70km弱と長くなっていますが、自由席特急料金は990円となっています。北九州市~福岡市の都市間移動流動は一定の需要があるため、1区間だけ新幹線利用が従前から多い区間となっています。
同区間は在来線の快速で70分、在来線特急で40~60分、新幹線では15分ほどです。こうして書くと新幹線一択に思えますが、在来線側は「九州ネットきっぷ」を使うことで運賃+380円の価格で特急列車を利用できるため、特急利用も中間選択肢として機能しています。新幹線側と在来線側で運営会社が異なること、利用者が多いことで、新幹線の1区間利用が最も熱く、また高速バスも含めて激しく競合しています。
3.今後の展望とまとめ ~いずれ特定特急料金は廃止される??~
いかがでしたでしょうか。1区間(ところにより2区間)新幹線を自由席で利用する場合、とても割安な特急料金で新幹線に乗れるというのが、この記事のポイントです。実例も4点ほど示しましたが、特急料金と所要時間をみていくとコスパが高いことがお分かりいただけたかと思います。
しかし、この特定特急料金について、中長期的にみて廃止される可能性もなくはないとみています。というのも、JR東日本が「運賃・料金制度の見直し」を要望しているためです。
現在のJRの運賃、そして新幹線の特急料金は「認可制」となっており、上限額が決まっています。上限額を変更する場合は国の認可が必要となり、価格設定に縛りがあります。一方で、寝台料金・グリーン料金・在来線特急料金は「届出制」となっており、国へ届け出すればよいこととなっています。
JR東日本は、柔軟で弾力的な価格設定が行えるようにしたい、インフレにタイムリーに対応できるようにしたいなどの理由から、運賃や新幹線特急料金についても「認可制」から「届出制」にするよう求めていく姿勢を明確にしています。(下記資料4ページ)
2025年3月期第2四半期 決算説明資料
運賃・料金制度の見直しについて明確に要望を出しているのはJR東日本ですが、他社も要望として持っていると思われます。
もし、新幹線の自由席特急料金が届出制になれば、鉄道会社が国の認可なしに特急料金を設定できるようになるため、割安な特定特急料金を廃止し、距離に応じた特急料金を徴収するという方針をとる可能性が高いとみられます。
下の例のように、営業キロが倍以上ありながら特急料金は6割程度になっている区間もあり、こうした現象を是正したいと考えていてもおかしくないとみられます。
小田原~三島 営業キロ36.8km 自由席特急料金:1,760円
静岡 ~浜松 営業キロ76.9km 自由席特急料金: 990円
近年の物価高などの影響や利用者の減少という課題があり、鉄道事業は厳しい環境にあります。特定特急料金制度は乗客にとっては非常にありがたい制度なので、コスパ良く使っていきたいですが、運賃認可の在り方次第で行方は大きく左右されるでしょう。今後の動きに注目です。