いつも当ブログをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。本日は皆様へお知らせが一点あること、そして当ブログをどのような理念で運用しているかについて、この機会にお話できればと思います。

 

1.今後の投稿について

 当ブログについて、今も投稿数はさほど多くはないと思いますが、当面の間は激減する見込みです。理由は、子の出生により今後育児に携わることになるためです。

 これからも公共交通のことについていろいろと発信していきたい気持ちはあるのですが、子の面倒を見ることは私の大切な仕事だと考えておりますので、何卒ご理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 そこまで大規模に展開してはおりませんが、毎回記事を読んでくださり、「いいね」を押していただいている方がいらっしゃることも関知しております。読んでくださる方あってのブログなので、本当に感謝しております。誠にありがとうございます。

 

2.当ブログの理念

 当ブログは、鉄道を中心とした公共交通の話題を取り上げて考察する、いわゆる「解説系ブログ」です。なぜこのようなブログを運営しようと考えたのかについてお話します。

 

 例えば鉄道のダイヤ変更で減便が実施されるという報道が出ると、ダイヤ変更の内容をきちんと吟味しないままに鉄道事業者へ批判の声をあげるような状況が見受けられます。実際は、減便といったマイナスの変更が行われる場合でも、必ずしもマイナスになるとは限らない場合もあるにもかかわらず、です。

 

 

 

 また、ダイヤ改正の内容を伝えるプレスリリースや報道をみていて、

 

「今回のダイヤ変更は、過去に実施した変更を引き続き実施しているのか、または方針を転換した内容なのか」

「その路線について、沿線自治体や鉄道事業者がどう考え、どうしようと思っているのかを根拠資料をもとに考察する」

「今回のダイヤ変更が、どのような狙いを持ち、変更の前後で具体的にどのように変わるのか」

 

 こうした点をもっと掘り下げて考察したほうがいいのではないか?と思うようになり、ならば自分がやろうということで、これまでいろいろと記事を出してきました。

 

3.交通研究の意義

 交通研究において最も大事と考えることは、

 

①その地域で必要とされている移動需要とはどういうものなのか

②そのためにどのような交通が用意されたのか

③社会情勢の変化や人の移動需要の変化などにより交通体系がどのように変化したのか

④その結果どのような変化、影響が生じたのか

 

 この①~④をぐるぐる回しながら、沿線住民や自治体、交通事業者の動向を探り、その地域と交通の実情や、今後の課題について考え、明らかにしていくことだと思います。その積み重ねが、よりよい交通体系を作り上げることにつながると信じています。

 交通は人の移動、ひいては社会情勢の変化をも映し出す鏡のような存在です。だから交通研究は面白いし、意義があると考えます。だからこそ、公共交通に興味関心がない人にとっても、公共交通は面白い、より関心が持てると思ってもらえるように記事を書いてきたつもりですし、今後も細々ながら考察は続けていこうと考えております。

 これからも、引き続きよろしくお願いいたします。

 鉄道路線で定期的に実施されるダイヤ変更ーその内容は、増発やスピードアップといったプラスの内容もあれば、減便や廃止といったマイナスの内容がなされることもあります。

 運転本数見直し(減便)が公表されると、よく沿線自治体から減便の撤回を求める抗議の声が上がります。しかし、その内容についてみると、ダイヤ変更の内容をあまり見ずに、「減便」という言葉じりだけをとらえて声を上げているケースも多々見受けられます。

 しかし、減便は必ずしも悪ではありません。場合によっては、減便しても利便性がほとんど下がらないケース、逆に利便性が上がるともとれるケースすらあります。そこで今回は、利便性を低下させないための減便について考えていきたいと思います。

 なお、ここでいくつかの路線のダイヤを挙げていますが、登場する路線やダイヤは全ての架空のものであり、実在のものとは関係ありませんのでご注意ください。

 

1.なぜ減便は必要なのか?

 鉄道などの公共交通の運営をするうえで、車両も人員も経営資金も限りがあります。その限りある経営資源の中で、輸送需要にこたえ、利用者を確保維持していかなくてはなりません。

 公共交通は、人が利用して初めて価値が生まれます。誰も使わない電車を走らせていても、赤字ばかり嵩んで経営が傾いてしまいますし、本当に需要がある区間や時間帯に資源を振り分けないと、公共交通としての価値が下落してしまいます。

 また、町や社会の情勢や、利用者の需要も常に変化します。その変化にあわせてダイヤを定期的に見直し、輸送力を適正化するさあせるーそうした観点から、時には減便を実施するという経営判断が必要なこともあるのです。

 

2.よくある減便の例

 しかし、やたらに運行本数だけ減らしてしまうと、その路線がますます不便になり、利用者がさらに離れるという悪循環に繋がりかねません。そこで、減便を行う際も、利便性を極力下げないような工夫がなされています。ここではいくつかの例を紹介します。

 

(1)優等列車(特急・急行・快速など)の停車駅追加

 一つ目のよくあるパターンは、優等列車の停車駅を増やすという手法です。次の図をご覧ください。

 

 

 この路線では、ダイヤ変更の際に快速列車の停車駅を追加しています。それまで快速が通過していたNU駅、MY駅、KY駅に快速を停車させる代わりに、SJ駅~OM駅間で運行されていた普通列車6本のうち3本がSJ駅~MU駅間の運行に短縮されていることが分かります。

 このように、急行列車や快速列車の停車駅を増やし、一部の区間(この例ではMU駅~OM駅間)で普通列車の代わりをさせることで、普通列車の運行区間を短縮して減便を図るというパターンです。かつての近鉄大阪線の急行停車駅追加などがこのパターンに該当します。

 この手法のメリットは、快速通過駅・新たに快速停車となった駅の停車本数が維持されるという点です。普通列車が区間短縮で減便となった分を、快速が停まることでカバーするというわけです。また、それまでの快速通過駅(NU駅・MY駅・KY駅)から快速一本でOM駅やSJ駅へアクセスできるようにもなります。

 デメリットは、MU駅~OM駅間の運行本数が減ることと、快速列車の所要時間が増大してしまうことです。速達性を多少犠牲にして停車本数を維持することで、主に優等列車が停車しない駅の利便性低下を防ぐというわけです。

 

(2)優等列車(特急・急行・快速)の格下げ

 (1)と似たパターンとして、優等列車を下位の種別へ置き換えるという手法もよく用いられます。次の例を見てみましょう。

 こちらの路線では、ダイヤ変更により準急が区間準急へと変更になっています。区間準急は準急停車駅に加え、HT駅・HO駅・ND駅に停車し、HH駅~SD駅間は各駅に停車しています。準急に比べ、各駅停車となる区間が長くなっているのが特徴です。これに伴い、普通列車の運行区間がON駅~HI駅間からON駅~HH駅間へ短縮されています。

 これも(1)と同様、優等列車に一部区間で普通の代わりをさせることで、普通列車の運行区間を縮減する形で減便をしています。同様の例は近鉄大阪線(準急→区間準急)、JR宝塚線・学研都市線(快速→区間快速)、名鉄犬山線(急行→準急、2026年3月実施)などがあります。

 

2.必ずしも利便性低下にならない事例

 次に、利便性が下がるとは限らない、むしろ減便により利便性が上がる事例についてみていきます。

 

(1)有料特急列車を削減する場合

 まず一つ目は、有料特急列車を削減する場合です。「え、都市間を結ぶ優等列車がなくなったら不便になるに決まってるだろ」という声が上がりそうですが、実はそうとは言い切れません。次の例をみてみましょう。

 

 

 この例では、特急列車が減便となっています。しかし、普通列車の運行間隔をみると、10~20分間隔だったところが15分間隔に統一されていることが分かります。特急がいなくなったことで、特急が走っていた時間帯に普通列車を設定することができるようになるためです。

 特急列車を利用していた人からすれば、このダイヤ変更は不便きわまりないものになりますが、特急通過駅の利用者からすれば、運行間隔が統一されることで混雑も均等化され、分かりやすいダイヤになるので、利便性はかえって上がるというわけです。特急利用者が少ないのであれば、普通列車を充実させるという施策をとるのがよいでしょう。

 

(2)運行間隔が是正される場合、パターンダイヤ導入

 次の例は、減便後に運行間隔が是正される場合です。

 

 

 

 この路線では、1時間あたりの運行本数が6本から5本に減少しています。しかし、運行間隔については、ダイヤ変更前は7~17分間隔であったものが、ダイヤ変更後は12分間隔に統一されています。運行本数だけに着目すると不便になったという印象を受けますが、運転間隔が統一されることで混雑が均等化されること、毎時決まった時間に一定の間隔で電車が来るので利用者も覚えやすく、分かりやすいダイヤになるため、利便性が低下したとは一概には言えないことが分かります。

 このように、運転間隔を統一し、決まった時間に電車が発着するダイヤのことを「パターンダイヤ」といいます。

 

(3)乗り継ぎが改善される場合

 最後に、乗り継ぎが改善される場合についてみていきます。

 

 

 上図は、架空の路線であるGL線とYH線の乗り継ぎ時刻表を示したものです。両者はNY駅で乗換が可能で、乗り継ぎには最低でも5分かかります。このたびGL線のほうだけダイヤ変更が行われ、毎時8本→6本に減便されたという設定です。

 GL線内だけ利用する人にとっては、単純に本数が減ってしまうので利便性は下がります。しかし、GL線からYH線へ乗り継いで利用する人にとってはどうでしょうか?

 ダイヤ変更前は、GL線が毎時8本(7分半間隔)、YH線が毎時6本(10分間隔)となっており、ダイヤのサイクルが合いません。そのため、NY駅での乗り換え時間が5~10分とばらつきがあるうえ、列車によってはNY駅で乗り継ぐ列車がないというケースもあります(HS駅12:22発、12:52発)。

 ダイヤ変更後は、GL線、YH線とも毎時6本(10分間隔)となり、ダイヤのサイクルが合うため、GL線のどの列車に乗っても、NY駅でYH線の列車に5分で乗り換えることが可能となっています。なのでこの減便は、GL線内だけを利用する人にとっては利便性が下がりますが、GL線からYH線へ乗り継ぐ人にとっては利便性が下がらない、むしろ利便性が上がっているといえます。

 

3.まとめ ~ダイヤ変更を研究する意義とは?~

 いかがでしたでしょうか。いくつかの例をここまで見てきましたが、減便になることで必ずしも利用者全員が利便性が下がるとは限らない、ということがお分かりいただけたかと思います。

 だからこそ、ダイヤ改正の内容を吟味する際は、「減便」という表現に囚われず、しっかりとダイヤ全体を俯瞰し、どのような変更がなされたのか、それにより本当に利用者全員にとって利便性が下がる結果になったのかということをきちんと考える必要があります。

 こうしてダイヤ変更を分析することは、どのように輸送需要を賄うのか、どういったことを重視しているのかという鉄道事業者の戦略がよく表れます。また、鉄道事業者の狙いを理解することで、よりよい交通づくりのために建設的な提案や議論もできるようになると思います。ダイヤ変更を研究する意義は、そうしたところにあるのです。

 2026年3月のダイヤ改正により、博多と肥前鹿島を結ぶ特急「かささぎ」が2往復減便されることになりました。今回はこれに対する佐賀県のスタンスを分析しつつ、沿線自治体が鉄道事業者にどのように関わっていくのがよいのか、その在り方について考えていきたいと思います。なお、記事中の図は、JR九州プレスリリースから引用しています。

20251212_Spring_2026_timetable_revision.pdf

 

0.経緯

 経緯については以前記事を出しておりますので、そちらをご覧ください。

 
 

 

 

1.佐賀県の要望は本質を突いているのか??

 昨年11月、佐賀県はJR九州に対し、特急列車の本数維持を求める申し入れを行いました。

 

 

 しかし、結局は2026年3月のダイヤ改正で特急「かささぎ」2往復は減便となることが正式に決定しました。これに対し佐賀県は、「ダイヤを決めるのはJR。私たちはそのことをしっかりと教訓としなければならない」と、半ば捨て台詞的な発言を残しました。

 

 

 佐賀県に対し、JR九州はプレスリリース発表前の12月11日にダイヤ改正の最終案を提示しており、特急をただ単に減便するだけでなく、乗り継ぎ機会の確保や普通列車の増発といった内容もJR九州は説明しているはずですが、それでも佐賀県は特急「かささぎ」の減便に対して不満であるというスタンスを崩しませんでした。

 しかし実は、今回のダイヤ改正で列車の発着本数が減るのは肥前鹿島駅(特急2往復減、普通1往復増、合計2本減便)のみで、他の駅は停車本数が維持もしくは増加するのです。

 普通列車の増発により、「かささぎ」が通過する白石町の2駅(肥前白石・肥前竜王)は停車本数が1往復増となり、列車の運転間隔が短縮する時間帯があります。また、武雄温泉駅を擁する武雄市は、特急が2往復増発となりました。このように、「かささぎ」減便に伴う変更により、佐賀県内の自治体の中でも武雄市や白石町のようにかえって恩恵を受けるところも存在しています。

 こうしてみると、佐賀県が今回のダイヤ改正の内容をきちんと精査し、把握していたのか?と疑問を思わずにはいられません。ただただ特急「かささぎ」の運行本数維持だけにこだわり、本質を捉えていないように感じます。

 

2.ダイヤ改正の内容とJR九州の説明

 ここでは、それでは、2026年3月ダイヤ改正内容のについて、JR九州がどのように対外的に説明しているのかをみていきましょう。なお、実際の2026年3月ダイヤ改正の内容については、前の記事で解説していますので、下記リンクの記事をご覧ください。

 

 

 確かに特急「かささぎ」2往復は減便されるのですが、単なる減便ではなく、減便した分を博多~武雄温泉間を走る特急「みどり」「リレーかもめ」に振り替えること、普通列車を増発することをセットで行っています。

 特急「かささぎ」が減便となった時間帯も、普通列車の増発や特急の江北駅停車増により乗り継ぎ機会が確保され、利便性が低下しないように丁寧にカバーされており、見方によっては利便性が上がる側面すらあります。

 この点については、JR九州もプレスリリース35ページ中8ページも割いて説明しています。

 

<例1>博多→肥前鹿島 

 

 増発、減便される列車とその前後の列車について、そして博多~肥前鹿島方面の乗り継ぎパターンの例を、改正前のものと改正後のものを双方載せて、どのように変わるのかを明示しています。とても利用者目線で、分かりやすく丁寧な説明を行っています。

 また、ダイヤ改正前後の特急列車の本数比較と、西九州新幹線開業前後の長崎本線の普通列車の運行本数の推移についても、丁寧に図示しています。

 

<例2>特急列車の運行本数比較

 

<例3>長崎本線の普通列車の運行本数比較

 

 一連の図による説明は、「在来線も切り捨てないで、輸送サービス改善に取り組んでいますよ。これでもまだ、JR九州は在来線部分を切り捨てると主張しますか?」という、JR九州から佐賀県や沿線自治体に対する強いメッセージだと感じます。

 

3.佐賀県が特急「かささぎ」本数維持に固執する理由

 それでは、佐賀県が特急「かささぎ」の本数維持に固執する理由はなんなのでしょうか。その背景には、西九州新幹線整備をめぐる問題があります。

 西九州新幹線は現在部分開業にとどまっており、武雄温泉~新鳥栖間が未開業の状態です。未開業区間については、当初は在来線を活用し、新幹線・在来線双方を走行できる車両(フリーゲージトレイン)を開発・投入することとしていました。

 しかし、フリーゲージトレインの開発は困難をきわめ、結局は断念。全区間をフル規格で建設するというように方針が変わりました。これに対して猛反発したのが佐賀県です。

 佐賀県の県都、佐賀駅は在来線特急列車でも博多から40分ほどの距離にあるため、新幹線開業による効果はあまり大きくありません(要は在来線特急列車で十分足りる、ということです)。

 また西九州新幹線を建設する場合、佐賀県も新幹線整備負担金を支払わなくてはなりません。それでいて、開業後は「在来線特急が全廃となる可能性がある」さらには「並行在来線となる長崎本線(江北~諫早)がJR九州から経営分離され、第三セクターとなって県が運営に加担しなければならなくなる可能性がある」というリスクがあります。

 多額の整備負担金を出しても新幹線開業で得られる効果が薄いこと、新幹線開業によるメリットよりデメリットが大きいことから、佐賀県は新幹線の整備にOKを出していない状況です。また、これらの経緯から、在来線特急の動向については、非常にナーバスにもなっているとみられます。

 

4.本当の意味で良いダイヤを考えるために

 これまでの経緯が経緯だけに、佐賀県が新幹線のフル規格整備に対して反対の意を示したり、在来線特急の存続を求めること自体は、何も間違ってはいないと考えます。

 しかし、今回の2026年3月ダイヤ改正では、特急「かささぎ」減便に対して十分な救済策をJR九州は用意していますし、実際丁寧な説明も行っています。しかも、ダイヤ改正により恩恵を受ける自治体もあります。その中で「特急減便はけしからん」とだけ言うのは違うのではないかと思います。特急の運行本数維持に囚われるあまり、ダイヤの現状や問題点、どのようなことを鉄道事業者が課題に感じ、変えようとしているのかーそういった中身を見ることを全てすっ飛ばしてしまっているように感じられてなりません。

 佐賀県に限らず、ダイヤ改正で運行本数の減便や運行形態の見直しという表現があると、その言葉尻だけをとらえて批判するということがしばしば見受けられます。鉄道事業者に対して一言言わねばならぬ、という立場があることは理解しますが、ただただ批判するだけでは、鉄道事業者は「自治体はダイヤの現状に対する理解もせずにただただ要望ばかりしている」「輸送改善を図り、その内容も説明したのに、理解しようとしてくれない」と不信感を抱くでしょう。そうなってしまうと本末転倒です。

 また、自治体が鉄道事業者に寄せる要望も、特急などの優等列車の維持や増発、停車を求めるものが多くみられます。それ自体は悪いとは思いませんが、地域の実情に合った交通体系を作ることよりも、「大都市と優等列車で一本でつながっている」ことを対外的にアピールしたいという意図のほうを強く感じてしまうことがあります。

 鉄道は、そこに住む人、そこに訪れる人が利用して初めて価値が生まれます。いかに地域の実情に合った輸送体系やダイヤを作り上げ、より多くの人が利用する、利便性を享受できる交通を作るかー本来はそれを自治体と鉄道事業者がともに考え、実行することが、第一になすべきことのはずです。地域の実情をしっかり直視し、それに見合った施策や工夫をコツコツ続けていくことが、最も大事なことではないでしょうか。

 JR九州は昨年12月12日、2026年3月14日に実施するダイヤ改正の概要を発表しました。今回は西九州エリアについて、特急「かささぎ」の減便に関することを中心に考察しています。なお、記事中の図はJR九州プレスリリースから、改正前後の比較表については、時刻表とプレスリリースを参考に、当局で作成しています。プレスリリースで言及のない列車については、時刻が変更されている可能性がありますので、ご利用の際には事前確認をお願いいたします。

20251212_Spring_2026_timetable_revision.pdf

 

0.西九州エリア 運行系統について

 西九州エリア(佐賀・長崎)の運行系統図は以下の通りです。

 

<西九州新幹線 開業前>

<西九州新幹線 開業後>

 

 この運行系統図をもとに、ダイヤ改正の解説をしますので、こちらの図も併せてご覧ください。また、特急「かささぎ」の減便については、前記事を出しておりますのでそちらもご覧くださいニコニコ

 

 

1.長崎本線・佐世保線

 博多~肥前鹿島間を運行する特急「かささぎ」が、午前時間帯と夕夜間帯でそれぞれ1往復ずつ、合計2往復減便となります。これに伴い、博多~武雄温泉間で特急「みどり」が2往復増発されるほか、江北~肥前鹿島間で普通列車が1往復、肥前鹿島~肥前浜間で下り1本、上り2本が増発となります。

 改正により、ダイヤがどう変わるのかをみていきましょう。まずは午前時間帯からです。

 

(1)午前時間帯 肥前鹿島・長崎方面

 

赤字:特急「リレーかもめ」 緑字:特急「みどり」 橙字:特急「かささぎ」 水色:新幹線「かもめ」

 

 減便されるのは特急「かささぎ103号」(博多10:18発→肥前鹿島11:21着)であり、新たに増発となるのは、特急「みどり101号」(博多9:10発→武雄温泉10:22着)となります。加えて、博多10:03発の特急「リレーかもめ17号」が、新たに江北駅に停車します。

 これにより、江北~肥前鹿島間はどのように変わるのかもみてみましょう。

 

赤字:特急「リレーかもめ」 緑字:特急「みどり」 橙字:特急「かささぎ」 

 

 改正後は博多9:10発の特急「みどり」が増発となり、江北で普通肥前浜行きに乗り継ぐことができるようになります。この普通列車は、現行ダイヤでは肥前鹿島行きですが、肥前浜行きに延長されます。

 また、鳥栖10:02発の普通江北行きが、肥前鹿島行きに延長されます。後続の特急「リレーかもめ17号」(博多10:03発)が江北駅に新たに停車することで、この肥前鹿島行き普通列車に乗り継ぐことができるようになります。

 現行ダイヤで博多から肥前鹿島へ向かう場合、博多8:54発の特急「リレーかもめ13号」を逃すと、博多10:18発の特急「かささぎ103号」に乗るしかなく、1時間半近く空いてしまいます。改正後のダイヤでは、8:54,9:10,10:03,10:53発の特急に乗れば肥前鹿島へ到達できるようになります。

 さらに、江北から肥前鹿島方面へ向かう普通列車は、10:10発の次は11:47発と1時間半以上も間隔が空いていますが、改正後は江北10:12発、10:57発、11:47発が設定され、運転間隔が1時間未満となります。この点も良いポイントと言えます。

 

(2)午前時間帯 博多方面

 

 減便されるのは特急「かささぎ108号」(肥前鹿島11:54発→博多12:52着)であり、新たに増発となるのは特急「みどり102号」(武雄温泉10:40発→博多11:42着)となります。

 午前中に増発される特急「みどり」号は、いずれも多客期には武雄温泉駅で西九州新幹線の臨時「かもめ」に乗り継ぐことができ、その際は「リレーかもめ」として運行されます。実質的には、臨時列車の定期列車化といえます。

 続いて、肥前鹿島から博多方面への乗り継ぎもみてみましょう。

 

 

 肥前鹿島10:41発の普通列車が肥前浜始発に延長され、肥前浜~江北で普通列車1本が増発となります。「かささぎ」が減便されたところに普通列車を増発することで、運転間隔が約1時間20分から40分間隔へ是正されています。博多へ向かう上での乗り継ぎは悪くなりますが、普通列車の増発により有効本数は維持されます。

 

(3)夕夜間時間帯 肥前鹿島・長崎方面

 減便されるのは特急「かささぎ107号」(博多16:34発→肥前鹿島17:43着)であり、新たに増発となるのは、特急「リレーかもめ43号」(博多16:16発→武雄温泉17:19着)となります。どのように変わるのか、早速みてみましょう。

 

 博多~武雄温泉間を結び、西九州新幹線(武雄温泉~長崎)の「かもめ」に接続する特急列車は「リレーかもめ」(赤字)、博多と佐世保を結ぶ特急列車は特急「みどり」と、棲み分けが図られています。しかし、ダイヤの都合で特急「リレーかもめ」を仕立てられない箇所があり、その部分については特急「みどり」がリレーかもめの役割を兼任しています。

 現行ダイヤでは、博多16:16発の特急「みどり(リレーかもめ)43号」が、「みどり」「リレーかもめ」の役割を兼任する列車の一つとなっていますが、改正後は博多16:16発の特急「リレーかもめ」が増発され、特急「みどり」は「リレーかもめ」との兼任を解かれることとなります。

 「リレーかもめ」を兼任する「みどり」号には、佐世保へ向かう乗客も長崎へ向かう乗客もどちらも乗り込んでくるため、混雑してしまう傾向にあります。その混雑を緩和するために、特急「かささぎ」を「リレーかもめ」に振り替えるというわけです。

 また、博多17:00発(現行:17:01発)の特急「リレーかもめ」が新たに江北駅に停車となるほか、17時台の特急「かささぎ」「みどり」の発車順序が入れ替わります。

 続いて、肥前鹿島方面への乗り継ぎについてみていきます。

 

 

 博多17:00発の特急「リレーかもめ」が新たに江北駅に停車となることで、新たに江北17:50発の普通列車に乗り継ぐことができるようになります。これにより、特急「かささぎ」の減便分がカバーされます。

 また、博多発17時台の「みどり」「かささぎ」の発車順序が入れ替わりますが、「みどり」からは引き続き肥前鹿島方面への普通列車に乗り継ぐことが可能です。なお、改正前は江北18:16発の普通肥前浜行きでしたが、改正後は18:27発の普通肥前大浦行きとなります。(江北発肥前浜行きと、肥前浜発肥前大浦行きが統合されて直通化)

 

(4)夕夜間時間帯 博多方面

 減便されるのは特急「かささぎ114号」(肥前鹿島19:34発→博多20:37着)であり、新たに増発となるのは特急「みどり104号」(武雄温泉17:36発→博多18:33着)となります。

 

 現行ダイヤでは臨時の「リレーかもめ」が設定されている時間帯に、定期列車として特急「みどり」が設定されます。特急列車に関しては、他に大きな変更はありません。

 肥前鹿島方面から博多方面への乗り継ぎもみてみましょう。

 

 

 変更となる点は、肥前浜17:19発の普通列車から、今回増発される特急「みどり104号」に乗り継ぐことができるという点です。これにより、現行ダイヤより16分早く博多へ到達できるようになります。ここはうまく増発列車を配置したと思います。

 

2.直通列車増加

 現在乗り換えが必要な箇所3か所が直通化されることで、乗り換えが不要となります。

 

 

3.早岐駅 乗り継ぎ改善

 早岐駅での乗り継ぎが改善され、佐世保から有田・佐賀方面への移動が便利になります。

 

 現行ダイヤの早岐14:14発の普通列車は、佐世保発の列車からスムーズに乗り継げず、普通列車どうしでの乗り継ぎだと早岐駅での乗り継ぎ時分が50分ほどとなっています。その他の列車も、早岐駅で乗り継ぎ時分が20分ほどかかってしまいます。早岐駅での大村方面からの乗り継ぎや、江北駅での乗り継ぎにも影響はないとみられ、うまく改善されているように思います。

 

4.まとめ

 いかがでしたでしょうか。単に特急「かささぎ」を減便したいというよりは、利用が少ない特急「かささぎ」の輸送力を、博多~武雄温泉(長崎)間の特急「みどり」「リレーかもめ」に振り分けたいというのが、改正の趣旨であると考えます。

 もしかすると、特急「かささぎ」の減便については、本来であれば単なる減便にしたかったのかもしれませんが、西九州新幹線の整備をめぐり、佐賀県や県内の沿線自治体は在来線特急の減便や廃止に強い反対を示しているため、減便ではなく別の特急への振り替えという形に収めたのかもしれません。(これはさすがに深読みだとは思いますが…)

 それはともかくとして、特急が2往復減便となる割には、利便性はそこまで低下しておらず、むしろ場所によっては利便性が上がっているところもあり、沿線の利用者に相当な配慮をしたことがうかがえます。

 新たなダイヤで利用がどのように変わるのか、注目です。

 ハピラインふくいは昨年12月12日、2026年3月14日に実施するダイヤ改正の概要を発表し、1月23日に改正後の詳細なダイヤを公表しました。今回はこれについて考察します。なお、記事中の図は、ハピラインふくいプレスリリースから引用しています。

2026ダイヤ改正プレス.pdf

時刻表(2026年春ダイヤ改正.pdf

 

(1)新駅「しきぶ」駅開業

 武生~王子保間に、新駅「しきぶ」駅が開業します。

 

 

 

 しきぶ駅は、上の地図にある武生商工高校のすぐ東側に設置されます。そのため、武生商工高校への通学や帰宅時間を考慮したダイヤづくりをするとしています。

 

(2)区間快速の新設

 夕夜間に2往復設定されている快速列車が、区間快速に変更となります。

 

 この区間快速は、しきぶ~福井間は各駅に停車するのが特徴です。福井市への通勤通学客の利用が特に多いところについては、速達性より停車本数を優先する狙いがあるとみています。

 なお、快速列車はしきぶ駅を通過する設定になっていますが、朝に1本設定されている福井発敦賀行きの快速については、しきぶ駅に停車します。区間快速もしきぶ駅に停車する点をみても、福井市や鯖江市・武生市から武生商工高校へ通学・下校する客に配慮していることがうかがえます。

 区間快速のもう一つの特徴は、今庄・南条どちらの駅にも停車することです。夕夜間の快速列車は、福井行き2本については南条のみ停車、敦賀行き2本については南条・今庄にそれぞれ1本ずつ停車していますが、改正後は区間快速となり、両駅に停車します。

 今庄駅と南条駅はどちらも南越前町に属していますが、今庄駅は旧今庄町の中心、南条駅は旧南条町の中心であり、元は別の町に属していました。それぞれのかつての町の中心のどちらにも停車させることで、沿線住民に配慮したとみられます。

 

(3)運転本数変更

 区間により、運行本数の増減があります。1月23日公表の詳細ダイヤもあわせてご覧ください。

①敦賀~福井間

 1往復運行されている、臨時快速が廃止となります。詳細は下記記事をご覧ください。

 

 

②武生~福井間

 朝時間帯の1往復が毎日運転から平日のみの運転となります。また、平日は7時台に福井発武生行き1本、夕方時間帯に福井~武生間で1往復増発となります。

 

③福井~芦原温泉間

 23時台に芦原温泉発福井行きが1本増発となる一方、朝6時台で福井→芦原温泉間で1本減便となります。また、朝時間帯に福井→芦原温泉間で1本、芦原温泉→福井間で1本、毎日運転から平日のみ運転となります。

 

(4)新幹線乗継改善

 早朝時間帯及び深夜帯において、福井駅での北陸新幹線への乗り継ぎが改善されます。

 

 

 早朝時間帯の変更は、直通先のIRいしかわ鉄道線内でのダイヤ変更により、金沢発敦賀行きの発車時刻が15分程度繰り上がることによるものです。(現行:芦原温泉6:18発→改正後:芦原温泉6:04発)

 深夜時間帯については、福井から芦原温泉へ向かう最終列車の時刻を30分程度繰り上げることで対応しています。新幹線の最終列車に合わせて、最終列車の発車時刻を設定するということです。

 なお、芦原温泉23:24発の普通福井行きが増発されることで、つるぎ61号から芦原温泉で普通福井行きに乗り継ぐことができます。現行ダイヤでは、つるぎ61号から福井乗り換えで芦原温泉までの各駅へ到達できましたが、改正後は前述の最終列車繰り上げにより福井で乗り継ぐことができなくなるため、一度芦原温泉まで行き過ぎてから戻るという形で到達可能となります。

 

現行 :敦賀22:28→(つるぎ61号)福井22:48、23:30→森田23:35→春江23:38→丸岡23:42→芦原温泉23:46

改正後:敦賀22:28→(つるぎ61号)芦原温泉22:57、23:24→丸岡23:30→春江23:34→森田23:37

 

〇まとめ

 いかがでしたでしょうか。通学需要が見込める場所に新駅を設置し、ダイヤをきちんと対応させることで、鉄道による高校通学の利便性を向上させる意図が明確に表れていると思います。

 土休日はやや減便も見られますが、それでもJR時代に比べれば本数も多く、使い勝手もよいように感じます。プレス発表にはありませんでしたが、平日には増発もあり、また敦賀駅でのパターンダイヤ(30~60分間隔)の時間帯が15時台まで拡大されるなど、良い点は他にもありました。そうした良い点はもっとアピールしてもよいように思います。

 新駅開業と区間快速登場で、利用の在り方がどのように変わるのか、注目です。