中山道歩き 和田峠越えシリーズはこちらから↓

 

 

 というわけで、中山道最大の難所・和田峠越えに挑んだウォークについて、3回に分けてお送りしました。実際に歩いてみて、和田峠攻略のポイントや和田峠ウォークの魅力について感じたことをまとめたいと思います。なおここでは、岩村田宿~和田宿についてもあわせて触れます。

 

1.和田峠越えが中山道歩き最大の難所である理由

 和田峠越えは中山道歩きで、いえ五街道を総じてみても最大の難所であると思います。最大の難所である理由をいくつか挙げたいと思います。

 

(1)標高差が大きい

 和田峠の西側に位置する下諏訪宿は標高750mほど、和田宿は800mほどですが、和田峠は標高約1,600mほどあります。標高差800mと大きく、もはや登山です。

(2)峠へのアプローチが長い

 下諏訪宿~和田峠~和田宿~落合橋間の約28kmは、ほぼ上り坂か下り坂になっています。峠付近の急坂だけでなく、坂道自体が延々と続きます。

 また、落合橋~長久保宿~岩村田宿(佐久平駅)についても、高低差200mを上って下る笠取峠を筆頭に、アップダウンが随所にあるため、油断は禁物です。

(3)巨大公共交通空白地帯になっている

 岩村田宿付近にある佐久平駅から、下諏訪宿付近にある下諏訪宿まで、56kmにわたって鉄道が通っていない地域になります。また、路線バスも通っていない場所もあり、路線が通っているところも本数は極めて少ないのが実情です。

(4)休憩施設・宿泊施設も少ない

 飲食店も宿場町以外にはなく、宿場町だったところでも飲食店がないところもあります。また、和田峠を擁する和田宿~下諏訪宿間については、休憩施設はないという認識でいたほうがよいです。

 

2.和田峠の攻略法

 これらを踏まえ、和田峠を攻略するために必要なことを書いておきたいと思います。

 

(1)十分にゆとりある計画を!!

 和田峠越えは正直言って登山です。それも1日30km近く歩いてかつ登山もするという、なかなか過酷な道のりです。登山のときによく言われることですが、「早立ち」ー朝早く出立して、余裕のある計画作りが望ましいです。

 後述しますが、和田峠一帯は交通空白地域なので、途中で立ち往生すると大変なことになります。安全は心と時間のゆとりから、なのです。

 

(2)装備は万全に!!

 和田峠越えの際は、登山グッズを装備していると安心です。下がぬかるんでなければ運動靴でも歩けますが、登山靴をお持ちの方は登山靴着用がおすすめです。クマよけの鈴もあるとよいです。

 

(3)巨大な交通空白地域

 佐久平駅~下諏訪駅間の56kmは、鉄道が通っておらず、バスも少ないです。そのため、佐久平~下諏訪間は1泊2日行程で一気に歩き切ることになります。1日30kmの歩きを2日連続でこなさなければならないというのも、和田峠越えのしんどい点の一つです。

 その中でも、下諏訪町側は下諏訪駅から6kmほど行った「樋橋」というところまでコミュニティバスが来ています。このコミュニティバス「あざみ号」は毎日運行されており、1日6本程度設定されているため、比較的利用しやすいです。

 

 

 

 2日連続で30kmを歩くのは厳しいという場合は、この樋橋バス停で終了(もしくは開始)するというのも一手です。

 

(4)休憩施設があれば早めの休憩を!!

 中山道沿いには飲食店がとても少ないです。見た限り、望月宿に3~4軒あるほかは、各宿場に0~2店舗ほどでした。そのため、休憩できるところで早めの食事や休憩をとること、飲み物の買い出しも自販機があるところで早めに済ませましょう。

 また、和田宿~下諏訪宿は、休憩や食事ができるところがありません。そのため、昼食は持参することをお勧めします。以前紹介した民宿みやでは、おにぎりセットを注文することができるので、江戸から京へ向かう方は民宿みやに宿泊して、おにぎりセットを持って峠に挑むのがよいです。

 

3.和田峠区間の魅力を語る

 ここまで書くと、ただただ歩いてしんどいだけの区間に思えてきますが、苦労する分、歩きがいはひとしおです。

 鉄道や高速道路が別の地域に通ったことで、この区間は150年位前まで日本の幹線道路だったとは思えないくらいひっそりとしています。また、交通の便もお世辞にもよいとはいえません。

 でも、だからこそ、昔の街道の風景や雰囲気が、自然に残されているのも確かです。旧街道沿いも町の変化により、かつての本陣跡など当時を偲ぶものは多くの場所は壊されてしまっていますが、中山道の塩名田や望月、長久保宿などは本陣が現存しています。また土道も多く、江戸時代当時の旅の雰囲気を存分に味わうことができます。

 

〇おわりに

 いかがでしたでしょうか。今回は岩村田宿~下諏訪宿の和田峠越えを含む区間について語らせていただきました。歩ききるのは本当にしんどいですが、「街道歩き旅をやっていてよかった!」と何度も心から思いました。皆様もぜひ、中山道ウォークに挑戦してみてはいかがでしょうか??