はーいどーうもーぉ。
今回は恒例のディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについてはこちらの記事を参照。
いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実はとても素敵な作品もいくつも世に送り出しています。
まぁ同じディズニーでも運営からスタッフ、アニメーターまで全てが違うわけで、このスタジオが作る続編というのは言ってしまえば公式公認の二次創作なわけで、、
そりゃまぁ難しいと思いますよね色々と。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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グーフィー・ムービー ホリデーは最高!!
(原題:A Goofy Movie)
1995年
監督
ケヴィン・リマ
データ
1992年〜放送され人気を博したテレビシリーズ「パパはグーフィー」の続編として劇場公開された長編アニメーション作品。
トゥーン・スタジオの前身であるディズニー・ムービートゥーンズによって制作されました。
※厳密に言うと今作はトゥーン・スタジオ名義の作品ではありませんが、この時期のトゥーンとテレビジョンアニメーション、そしてフィーチャー・アニメーション(現WDAS)は密接な関係でありクリエイター等も含めて垣根が曖昧な状況だった為【トゥーン・スタジオ】と一纏めで紹介させて頂いています。
あらすじ
難しい年頃となり父親への反発も多くなった。
彼は目下同じ学校のロクサーヌという少女に夢中であり、学校で目立ち彼女に好かれることしか考えていないようだった。
夏休み前のある日、マックスはかねてから計画していたいたずらを友達のPJやボビーの力を借りて実行に移す。
その甲斐もあってロクサーヌとパーティーへ行く約束を取り付けるが、学校から電話を受け息子が非行に走っていると脅されたグーフィーは不安にかられ、友人であるピートの助言もあり、急遽親子2人での旅を決意する。。
ロクサーヌとの約束もあり嫌がるマックスだったが半ば強引に彼を引き連れて車は出発。
こうして前途多難な親子二人旅は始まった…。
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感想

ただまぁ…雰囲気やストーリーがいかにもTHE・90年代といった感じなので今観ると古臭いと思う方も多いでしょうしグーフィーのキャラ変に関しても抵抗ある人はいると思います。
絶妙なトータルバランス

単調ながらも魅力的なストーリー
ロードムービーを基盤としているので派手な展開もなく一本の映画として考えると、ストーリー性という意味では非常に地味で薄いと言わざるを得ません。
流れも大きな驚きなどはなく基本的にはお決まりですしね。
マックスの思春期特有の承認欲求とか目に見えるものが世界の全て的感覚とか…
グーフィーの自身の経験や感覚を子供に押し付けてしまう父親像とか…
この辺が凄く生々しく良く描けていて、この二人のヒリヒリ感を内包したやりとりや交流だけで、筋が薄くても十分魅力的な人間ドラマに余裕で仕上がっちゃってるのが凄いです。
この作品ってピートとかPJとかロクサーヌとか…登場キャラクターは多数いるんですど言ってしまえば完全にサブ扱いで、メインは本当にグーフィーとマックスの二人だけなんですよね。
描きたいことやりたいことが本当に明確な映画で、それ以外の部分は割と必要最小限にしてる所なんかは「ブラザー・ベア」とかにちょっと似てるかなと思いました。
【なんだかんだ言ってもやっぱり親子】…
…言ってしまえばこの一言で片付く物語です。
だけどそんなミニマムなテーマをこんなにもエモーショナルに、魅力的に描けているのがこの作品の本当に凄いところだと感じますね。
思えば…ディズニーがこんなにも直球勝負で父と子の物語だけをクローズアップして描く事ってあんまりないんですよね…。
そしてもう一つ重要なのは…
やはりこの作品があくまでテレビシリーズの続編であるということ。
今作では冒頭から既にマックスが父親を嫌遠しており、2人がどのような親子なのか、本来の関係性はどのようなものなのかはほとんど描かれていません。
ここに関しては、やはり前作であるテレビシリーズの予備知識があるとないとでだいぶ作品全体の感じ方が変わってくるような気がします。
今作のマックスが明確な反抗期・思春期であり本来の彼ではないというところは前作を観ていないと伝わりにくい部分だと思うので。ピートやPJとの関係性もしかりですね。
観ていなくても基本問題ないけれど観ていたほうがより味わい深く作品を楽しむことができる…
この辺のバランス感も良かったですね。
微細な違和感

とはいえやはり前作やグーフィーのファンからすると所々違和感を感じる部分もどうしてもあります。
最も大きいと思うのはグーフィーのキャラクター性です。
これは制作陣でも議論になり意図してこういう形に落ち着いたということですが、、
元々が能天気さが服を着て歩いているようなキャラクターなので…今作の半分以上が悩んでいたりイライラしていたり難しい顔をしているグーフィーは…やはりどうしてもちょっと違和感を感じてしまいます。
彼らしい部分もたくさん残ってはいるんですけど…イラついて車を叩くとか…流石にグーフィーらしくないなとは思っちゃいましたね。
逆に言うと結果的にグーフィーをより深みのあるキャラクターにする事には成功していたとは思います。
ただもともと製作段階では声優を変えるとか話し方をグーフィー流じゃなく全く普通にするとかの構想もあったらしいので、それに比べたらちゃんとグーフィーしてますけどね。
まぁあとは…テレビシリーズとの設定矛盾なども結構ありましたが、ここに関しては脳内補完できるレベルではあるのでそんなに気にはなりませんでした。
ただ…ピートの家族がPJ以外登場しないのはやはりちょっと寂しかったですかね。
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まとめ

あと上では語れませんでしたが音楽とミュージカルシーンも本当に素晴らしいですね今作は。
パワーラインのノリノリなR&B二曲も最高ですが、その他のコミックソング主体の楽曲とミュージカルもとても良くて。
他のディズニー映画よりも子供に染み込みやすいメロディやフレーズが採用されていて、だけどクオリティは激高という…この辺も今作ならではの独特な作品バランスが活きてましたね。
特に終盤の「Nobody Else But You」という楽曲は本当に見事でした。あの短い一曲で…誰もが納得する形の完璧な二人の和解を描けてるのは圧巻でしたね…。
…という事で。
重ねてにはなりますが…決して超大作ではありません。
グーフィーの短編作品やテレビシリーズの延長線上にあるような…そんなちょっとした雰囲気の中で【とある親子の夏の2人旅と心の交流を描いた】ただそれだけの物語です。
普段の彼の作品のようにすべをコメディに変換するのではなく、、他のディズニー映画のように 壮大なアドベンチャーにするのでもなく、、
思春期を迎えた息子とその父親のすれ違いと絆を描く…ただそのことだけにディズニーがガチンコで向き合った…そういう作品になっています。
描きたい事、製作者の想いがしっかりと作品に乗っかっているので例え派手さや目新しさ、驚きのストーリー等が無くても観ている人にしっかりとそれが届くんですよね。
公開から数年経ってその人気に火がついた理由も分かる気がします。
他のディズニー映画や続編作品にはない独特の魅力を持ったまさに【オンリーワン】な立ち位置の作品だと思いますね。
全体雰囲気に90年代的な若干独自のノリがあるので刺さらない人は全く刺さらないかもしれませんが、、前述通りアニメーションも音楽も本当にハイクオリティだし、何より心がちょっとだけ温かくなるような…地味ながらとっても素敵な一本です。
「別によくあるOVAクオリティのあれでしょ〜」とスルーしてる方がいたら、、ぜひとも騙されたと思って一度はお試し頂きたいですね♪
