ディズニー映画語り グーフィー・ムービー ホリデーは最高!! | すきなものしか語れない

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ディズニー映画を自己満で語るつまらないブログを粛々と書いています。一投稿の文章が兎に角長いです。ごめんなさい。


はーいどーうもーぉ。


今回は恒例のディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについてはこちらの記事を参照。 


いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実はとても素敵な作品もいくつも世に送り出しています。


まぁ同じディズニーでも運営からスタッフアニメーターまで全てが違うわけで、このスタジオが作る続編というのは言ってしまえば公式公認の二次創作なわけで、、

そりゃまぁ難しいと思いますよね色々と。


今回はそんなトゥーンスタジオの作品の中から、あの人気キャラクターが主演を務めたテレビシリーズ劇場用続編作品について語っていきたいと思います。

(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  グーフィー・ムービー ホリデーは最高!!

(原題:A Goofy Movie)

1995年

監督

ケヴィン・リマ


データ


1992年〜放送され人気を博したテレビシリーズ「パパはグーフィー」続編として劇場公開された長編アニメーション作品


トゥーン・スタジオの前身であるディズニー・ムービートゥーンズによって制作されました。


※厳密に言うと今作はトゥーン・スタジオ名義の作品ではありませんが、この時期のトゥーンとテレビジョンアニメーション、そしてフィーチャー・アニメーション(現WDAS)は密接な関係でありクリエイター等も含めて垣根が曖昧な状況だった為【トゥーン・スタジオ】一纏めで紹介させて頂いています。


もともとはテレビスペシャルの検討が進められていましたが、途中から劇場版企画へ変更となり、テレビシリーズ制作にも携わっていたジーマン・メイゴン脚本の執筆の声がかかり制作がスタート。

「パパはグーフィー」から約3年後が舞台とされ、基本設定は引き継ぎながらも、ペグピストルなどピートの家族の一部グーフ家の愛猫ワッフルズ登場しない等の改変点も多く、シットコムギャグコメディ一辺倒だった前作に対して監督をはじめとする制作陣の意向で今作はシリアスなテーマを内包するハートフルコメディーとなっています。

特にグーフィーの性格に関してはこれまでの間抜け一辺倒のイメージから脱却し、感情的な一面を押し出していく試みがなされました。

監督を務めたのは後に「ターザン」「魔法にかけられて」などの人気作を手掛けることになるケヴィン・リマ。今作が初の監督作品となりました。

脚本はテレビシリーズも手掛けたジーマン・メイゴンをはじめ三人のライター共同執筆がなされています。

音楽はカーター・バーウェルコーエン兄弟の映画音楽を多数出かけていることで有名です。
楽曲はトム・スノージャック・フェルドマンを中心に制作されています。


主人公のグーフィー役はビル・ファーマー
言わずと知れたグーフィーの現在の専属声優です。日本語版はこちらも説明不要の島香裕さん。

そしてグーフィーの息子・マックス役は成長し声変わりした設定であること、前任者のダナ・ヒルの体調不良もありジェイソン・マースデン(歌:アーロン・ローア)が後任を務めました。

日本語版は山口勝平さん(歌:渕上祥人さん)。

ピート役はプーさんの二代目専属声優としても有名なレジェンド、ジム・カミングス。ピートの四代目専属声優ですが、彼がピートを演じたのは今作が初めてでした。日本語版は大平透さん。

ピートの息子PJ役はテレビシリーズに引き続きロブ・ポールセン。日本語版も高乃麗さんが続投しています。

マックス以外レギュラーキャラテレビシリーズからのカムバックを果たす形になりました。

又今作で登場する架空のアーティストパワーラインの歌唱する楽曲は著名なR&Bアーティストであるテヴィン・キャンベルにて歌われています。

公開当初からその収益的成功をあまり期待されていなかった今作。プロモーションも同時期のライオン・キングポカホンタスに比べ薄味のものとなりました。

その前評判通り興行収入的には決して大成功とは言えない結果に終わり批判家陣によるレビュー「ディズニー映画にしてはスケールが小さい…」「グーフィー というキャラクターの本来の良さが出ていない…」等あまりパッとしなない物となりました。

しかし一般層からの評価は高く、ホームメディア展開などを経てじわじわとその全体評価を高めていき、結果的に絶大なカルト人気を誇る作品成長
子供にも大人にも刺さる父と子のエモーショナルな物語やその音楽の良質さ多方面から支持を集めます。

さらなる続編も制作され今作の監督を務めたケヴィン・リマ有望作を任される人気監督となりました。

ちなみにピクサー映画の「私ときどきレッサーパンダ」は今作からインスパイアされてストーリーが作られたそうです。他にも…多数のディズニー作品この映画からの影響明言しています。

現在でもファンや同業者からの人気は絶えることなく、ディズニーの隠れた名作として沢山の人々から愛され続ける作品となっています。

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あらすじ



グーフィーの最愛の息子マックスは現在高校生。

難しい年頃となり父親への反発も多くなった。

彼は目下同じ学校のロクサーヌという少女に夢中であり、学校で目立ち彼女に好かれることしか考えていないようだった。


夏休み前のある日、マックスはかねてから計画していたいたずらを友達のPJやボビーの力を借りて実行に移す。


その甲斐もあってロクサーヌとパーティーへ行く約束を取り付けるが、学校から電話を受け息子が非行に走っていると脅されたグーフィーは不安にかられ、友人であるピートの助言もあり、急遽親子2人での旅を決意する。。


ロクサーヌとの約束もあり嫌がるマックスだったが半ば強引に彼を引き連れて車は出発。


こうして前途多難な親子二人旅は始まった…。


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感想



今作は当時のディズニーアニメーション責任者であったジェフリー・カッツェンバーグイチオシ企画(ストーリーがジェフリーの実体験を参考に作られています)であった事もあり、トゥーン・スタジオフィーチャー・アニメーション(現WDAS)テレビジョン・アニメーション共同によって制作が行われました。

当のジェフリーは完成前にディズニーを去ってしまい公開時はあまり良い扱いを受けなかった今作ではありますが…そういう経緯もあって…

トゥーン・スタジオ作品の中ではとかく飛び抜けてトータルクオリティが高い映画です。

…というか…通常のトゥーン作品とは個人的にある意味別物だと思っています。

まさに異なる3つのスタジオ良いとこどりが非常にうまく行えている作品だと思うんですよね。

もちろん他のトゥーン作品のように元ネタ・原作ありきの派生映画ではあるのですが、二番煎じのようなものでは全くなくて、どちらかというと既存の設定認知度利用して全く別の新たなやりたいこと突き詰めた1本となっています。

具体的に言うと…

現代(1990年代当時)のリアルな父子関係を描く事グーフィーの多面的なキャラクター性の創造

この二点ロードムービーというディズニーでは割と珍しいスタイルのレールに乗せて、エンタメとしてもハートフルコメディーとしても細部まで非常にハイクオリティにまとめられたディズニーの隠れた超力作映画である事は間違いありません。

父子関係を描いたディズニー映画の中では間違いなくトップクラスの出来ですし、本家スタジオ作品にはない…カートゥーンの空気感を残したこの独特の緩さが癖になります。


ただまぁ…雰囲気ストーリーがいかにもTHE・90年代といった感じなので今観ると古臭いと思う方も多いでしょうしグーフィーのキャラ変に関しても抵抗ある人はいると思います。

そういう意味でも割と人を選ぶ映画なのかなとも 思いますが…ただやはり…何度観ても間違いなく良い作品ですねこれは…。


絶妙なトータルバランス



ファミリーエンターテイメントとしてホントに全てが【丁度良い】バランスに仕上がっている今作。

実は演出とか対人ドラマ描写とか結構重ため暗めだったりするんですが…グーフィーをはじめとするキャラクター達のユーモアさ楽曲・ミュージカルシーンコミカルな良さがそれをうまく中和してくれていて…子供大人違った目線からそれぞれ楽しめる作品になっています。

そして何より上で語ったように三つのスタジオ関わり合って作られた作品である事が非常に功を奏していて…テレビジョンのカートゥーン味(+チープさw)トゥーンの巧みな二次創作力、そして本家のアニメーション力が一つになったその【良いとこどり感】が非常に魅力的で…これがこの作品を他のどのディズニー映画とも違う独特な輝きを放つ一本にしている大きな要因だと思います。


特にそのアニメーション力の凄さ顕著で、明らかにその他のトゥーン作品とはその滑らかさ動きの柔らかさ明らかに全く違いますからね。

本家クオリティのアニメーションでカートゥーンイズムな作品堪能できるという…なかなか贅沢な作品であるとも言えます。


単調ながらも魅力的なストーリー




ストーリー構成としては決して本家スタジオのような壮大なものではなくて…本当に【とある思春期の息子と父親の交流】のみに焦点を絞ったとてもミニマムなものです。

ロードムービーを基盤としているので派手な展開もなく一本の映画として考えると、ストーリー性という意味では非常に地味で薄いと言わざるを得ません。

流れも大きな驚きなどはなく基本的にはお決まりですしね。


ただその分…グーフィーマックス2人の親子心情・描写キャラクター描写非常に丁寧に行われていてそれがこの作品の味わい深さ面白直結していると思うんですよね。

マックス思春期特有の承認欲求とか目に見えるものが世界の全て的感覚とか…


グーフィーの自身の経験や感覚を子供に押し付けてしまう父親像とか…


この辺が凄く生々しく良く描けていて、この二人ヒリヒリ感を内包したやりとり交流だけで、筋が薄くても十分魅力的な人間ドラマに余裕で仕上がっちゃってるのが凄いです。


この作品ってピートとかPJとかロクサーヌとか…登場キャラクターは多数いるんですど言ってしまえば完全にサブ扱いで、メインは本当にグーフィーマックス二人だけなんですよね。


描きたいことやりたいことが本当に明確な映画で、それ以外の部分は割と必要最小限にしてる所なんかは「ブラザー・ベア」とかにちょっと似てるかなと思いました。


【なんだかんだ言ってもやっぱり親子】…


…言ってしまえばこの一言で片付く物語です。


だけどそんなミニマムなテーマをこんなにもエモーショナルに、魅力的に描けているのがこの作品の本当に凄いところだと感じますね。


思えば…ディズニーがこんなにも直球勝負父と子の物語だけをクローズアップして描く事ってあんまりないんですよね…。




そしてもう一つ重要なのは…

やはりこの作品があくまでテレビシリーズ続編であるということ。


今作では冒頭から既にマックスが父親を嫌遠しており、2人がどのような親子なのか本来の関係性はどのようなものなのかはほとんど描かれていません。


ここに関しては、やはり前作であるテレビシリーズ予備知識があるとないとでだいぶ作品全体の感じ方が変わってくるような気がします。


今作のマックス明確な反抗期・思春期であり本来の彼ではないというところは前作を観ていないと伝わりにくい部分だと思うので。ピートPJとの関係性もしかりですね。


観ていなくても基本問題ないけれど観ていたほうがより味わい深く作品を楽しむことができる…


この辺のバランス感も良かったですね。



微細な違和感




とはいえやはり前作グーフィーのファンからすると所々違和感を感じる部分もどうしてもあります。


最も大きいと思うのはグーフィーのキャラクター性です。


これは制作陣でも議論になり意図してこういう形に落ち着いたということですが、、


元々が能天気さが服を着て歩いているようなキャラクターなので…今作の半分以上悩んでいたりイライラしていたり難しい顔をしているグーフィーは…やはりどうしてもちょっと違和感を感じてしまいます。


彼らしい部分もたくさん残ってはいるんですけど…イラついて車を叩くとか…流石にグーフィーらしくないなとは思っちゃいましたね。


逆に言うと結果的にグーフィーをより深みのあるキャラクターにする事には成功していたとは思います。



ただもともと製作段階では声優を変えるとか話し方をグーフィー流じゃなく全く普通にするとかの構想もあったらしいので、それに比べたらちゃんとグーフィーしてますけどね。


まぁあとは…テレビシリーズとの設定矛盾なども結構ありましたが、ここに関しては脳内補完できるレベルではあるのでそんなに気にはなりませんでした。

ただ…ピートの家族PJ以外登場しないのはやはりちょっと寂しかったですかね。



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まとめ




あと上では語れませんでしたが音楽とミュージカルシーンも本当に素晴らしいですね今作は。


パワーラインのノリノリなR&B二曲最高ですが、その他のコミックソング主体の楽曲とミュージカルもとても良くて

他のディズニー映画よりも子供に染み込みやすいメロディフレーズが採用されていて、だけどクオリティは激高という…この辺も今作ならではの独特な作品バランスが活きてましたね。


特に終盤の「Nobody Else But You」という楽曲は本当に見事でした。あの短い一曲で…誰もが納得する形の完璧二人の和解を描けてるのは圧巻でしたね…。


…という事で。


重ねてにはなりますが…決して超大作ではありません


グーフィー短編作品テレビシリーズ延長線上にあるような…そんなちょっとした雰囲気の中で【とある親子の夏の2人旅と心の交流を描いた】ただそれだけ物語です。


普段の彼の作品のようにすべをコメディに変換するのではなく、、他のディズニー映画のように 壮大なアドベンチャーにするのでもなく、、


思春期を迎えた息子とその父親のすれ違いと絆を描く…ただそのことだけディズニーガチンコで向き合った…そういう作品になっています。


描きたい事製作者の想いがしっかりと作品に乗っかっているので例え派手さ目新しさきのストーリー等が無くても観ている人にしっかりとそれが届くんですよね。


公開から数年経ってその人気に火がついた理由も分かる気がします。


他のディズニー映画や続編作品にはない独特の魅力を持ったまさに【オンリーワン】な立ち位置の作品だと思いますね。


全体雰囲気に90年代的な若干独自のノリがあるので刺さらない人は全く刺さらないかもしれませんが、、前述通りアニメーション音楽も本当にハイクオリティだし、何より心がちょっとだけ温かくなるような…地味ながらとっても素敵な一本です。



「別によくあるOVAクオリティのあれでしょ〜」スルーしてる方がいたら、、ぜひとも騙されたと思って一度はお試し頂きたいですね♪



「グーフィー・ムービー ホリデーは最高!!」は現在ディズニープラスで配信中です♪


はい!

というわけで今回はこの辺で!


今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



また次回。



しーゆーねくすとたぁいむー。




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