我孫子市選出・千葉県議会議員の水野ゆうきです。

千葉県議会は明日、現在行われている6月議会の議案等の採決や正副議長選を迎えますが、かなり時間がかかりそうな気配です。

 

さて、昨日、日本中が注目していた東京都知事選の結果が出ました。

 

小池百合子氏 2,918,015票 当選

石丸伸二氏  1,658,363票

蓮舫氏  1,283,262票

田母神俊雄氏 267,699票

 

と続きます。

 

選挙を4回経験している私から見ると、今回の選挙は特に既存政党への不信感は根強く、あらゆる政策を現在進行形で実行できる現職が強いことは言うまでもありません。

 

また、2位争いが熾烈であるという報道を幾度となく目にしましたが、政党色の濃い候補者は厳しいのが首長選です。

1議席を狙うわけですから、国政の政党政治とは選挙の性質が異なり、支持層に広がりはありません。

政党色を薄くした現職、政党と距離を置いた無所属の石丸氏が得票率が高いのは、それだけ国政の政党政治で行っている日本政治への拒否感が現れているのだと感じます。これは今後、他の選挙でも見る光景になるのではないかと思います。

 

また、特に改革派の「新人」というのは期待値も込めて票が入りやすく、現在は既存政党等に不信感を持つ有権者は多いわけですから、新しい風を期待して石丸候補に票が流れたのも、選挙を闘っている我々当事者からすると納得です。

ちなみに地方議員の選挙ですと、同じ選挙区で「2期目」は難しいと言われます。

最初の選挙は期待値でご祝儀票が入っても、2期目は新人でもなく、知名度もさほどない中で、期待の新人やベテラン勢と闘うことになるからです。

本当に働いている信用のある政治家であれば選挙の度に票が増える、ということになります。

 

都知事選と一緒に行われた東京都議補欠選挙を見てみると、自民党は擁立した8選挙区を2勝6敗と負け越しました。

 

 

自民党は派閥の政治資金規正法違反事件で信頼を損ねているのは周知の事実。

SNSが発達した現在、国民は政党や政治家の不祥事を忘れることはなく、既存政党以外の候補者に入れるために投票に足を運ぶ、と、東京在住の友人は口を揃えて言っていました。

 

そもそも論から申し上げると、都議会しかり県議会しかり、国の政党政治とは全く仕組みが異なり、私たちが質問・提案・追及する相手は知事を筆頭とする県行政です(二元代表制)。

 

議会の中には自民党・公明党・立憲民主党・共産党という政党に所属した議員が多くいますが、その中で与野党に分かれて、政党同士が議論しているわけではなく、あくまで私たち議員で構成される議会は行政に対して質疑を行う仕組みです。

 

県政発展・課題解決のために、知事はじめ執行部が議会に提案してきた内容に対して質疑し、その議論や審議の結果、賛成したり反対したりする作業の中に政党は必要なのでしょうか。

地方政治に政党政治は持ち込まない、というのが私の信条です。

 

特定政党に所属をしていると、上から指示されたりということもあるようですが、地域のことを一番よくわかっているのがその地域の政治家であり、私は政党の縛りなく、市民・県民と一緒に考えて行動するために無所属という道を選んでおり、地方政治家をしている限り、一切政党に所属する気はありません。

 

しかし、石丸候補も「特定の宗教団体や政党と関わりがあるなどという噂を流布されているが一切ない」という主旨を伝えていましたが、特定の団体や政党に所属されている方は「無所属候補と言いながら〇〇政党や〇〇宗教団体と関係がある」ということが無所属候補に打撃になると思い、そういったデマを吹聴する敵陣営も残念ながら存在します。

正直言って、こういったデマの流布や誹謗中傷ビラなどをばら撒くひと昔前の手法も、もはやSNSの時代に通用しないことがあらゆる選挙の票を見ても明らかです。

 

実は私は数年前に婦人科の簡単な手術をした際(夏休みに数日間だけお休みしました)に複数の政治家や市民から「水野はもう長くないと言っている人がいる」という話を聞きました。

本人や家族、後援会からすると全くもってあり得ない話ではあっても、信用してしまう市民もいるかもしれません。だったら他の人に投票しようと思う人もいるかもしれませんね。

 

しかし、毎議会、駅頭をして、ハーフマラソン完走して、活発に活動している私の姿を見た市民は「ひどい嘘だ」となるわけです。

 

ひとつ言えるのは、政党に所属していようといまいと、どの政党や団体に所属していようと、最後は『人間性』です。

有権者は見ていないようでよーく見ています。

誰が真剣に働いているか、口だけかを。

 

また、今回の都知事選では56人もの最多の候補者が立候補し、ポスターのあり方についても日本の公職選挙法について議論が噴出し、千葉県議会の私が所属する総務防災常任委員会においても同様の質疑が行われました。総務防災常任委員会は選挙管理委員会も所管しているため、来年の千葉県知事選に向けて、同様の事案が懸念されるわけです。

法整備が急がれるわけですが、法のみならず社会人として当たり前の「コンプライアンス」や「倫理」という観点で判断できるようにすべきだと思います。

 

今回SNSを見ていても「公職選挙法違反」に関する投稿が非常に多く、告示前に選挙運動(事前運動)を行ったという指摘や選挙の際に頒布するビラに証紙が貼られていない(貼っていないものは頒布してはいけない)など、多くの指摘を目にしました。

7月7日午後8時時点、都知事選関連での逮捕者は8人で、候補者のポスターを破ったとする公職選挙法違反(選挙の自由妨害)などが挙げられています。

SNSの発展によりこれだけ多くの人が選挙に関心を持ち、多くの方が公選法違反まで指摘できるのは良い風潮だと思います。

 

しかしながらSNSでは匿名アカウントから相手陣営への攻撃など、見るに堪えない投稿もありました。

「多様性」という言葉が当たり前になってきましたが、どうも言葉だけが独り歩きしているような感覚があります。

 

民主主義というのは、多数決で決まっていくとは言え、少数意見も尊重することが大切です。

県議会でも、交渉会派ではない少数会派や1人会派や無所属の意見も取り入れることは重要である、ということは多くの議員の中で一致していることだと思います。そのため、千葉県議会ではすべての会派・会派に所属しない無所属が討論や一般質問の時間が統一されています。

 

攻撃という手段ではなく、あらゆる考えを持つあらゆる人と協議・対話をし、課題解決や発展に向けて異なる考えの中で折り合いをつけて最適解を模索していくことが重要です。

しかし、「批判」も時には必要です。

例えば今回の裏金問題のように、国民を裏切るような行為を政治家が行った場合はしかるべき対応を有権者も選挙以外でも行うべきです。

 

ここで、私が最近お気に入りの書籍の一節をご紹介します。

 

「民主社会では、政治家は選挙を通じて選出される。政治責任の観点からすれば、選挙はたんなる票の獲得競争の場ではない。政治家たちは、選挙において、市民に対して実現すべき諸課題を提案する。そして市民はそれにもとづいて、だれが政治家にふさわしいかを選択する。すなわち、選挙は情報提供にもとづく政治家と市民の合意形成の過程でもある。そのため、政治家は選挙で口にしたことを実現しなければならない責任がある。そして、政治家は、自らの政治的な活動が市民の信託に合致していることを、議会での議論や各種メディアによる発表などを通じて、明らかにしなければならない。市民もまた、政治家の活動について、それが政治責任に適っているかという観点で、監視や抑制を怠ってはならない。」

 

鵜飼健史 『政治責任~民主主義とのつき合い方~』

岩波新書16~17Pより抜粋

 

選挙が終わったからオールOKではなく、むしろ当選後の活動をしっかりと見ることも全国民の役目です。

 

『選挙公約』というのはそれほど大切なものです。だからこそ、私は議会などあらゆる機会を通じてお約束した選挙公約を基に活動をし、あらゆる媒体を活用して、議会の報告や進捗状況などを行っています。

 

〇〇大会で挨拶した、〇〇祭りに参加した、という内容は確かにSNSのインプレッションがあがるのも事実ですが、私たち政治家の本来の仕事というのは選挙で約束した政策を確実に実現するために現場に足を運び、皆さんの話を聞き、行政と協議し課題を整理し、議会で説得力のある質疑を行いながら、目的を達成すること(そのために努力すること)。

それが何よりも大切です。

 

皆様には、当選後与えられた任期中に政治家がどのような政治活動をし、選挙で約束したことをどのような形で実現に向けて取り組んだか、ということを選挙前の数か月の情報だけではなく、むしろ当選した翌日から見てご判断いただきたいと思います。