摂食障害者の食に対するストレスから考察する食の意義と食教育への応用 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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ストレスはその原因となるストレッサーが連鎖的に波及して生体異常をきたし、その状態が継続することによち大きなストレスにつながることが多い。このようなストレスを研究対象とする場合、経時的に変化を追う必要があると考える。そこでストレス性疾患といわれる摂食障害である、ひとりの過食症学生の毛髪中亜鉛濃度とミネラルバランスの変化を2年間にわたり、経時的に放射化分析法により求めた。また、本過食症学生が毎日書いた手記より、ストレストピックスを抽出した。さらにこの手記のなかに毎日の過食・嘔吐回数の記入を求めた。これらの方法で過食症学生の毛髪中亜鉛濃度及びミネラルバランスの経時的変化とストレスとの関連を検討した。放射化分析によりAl,As,Au,Br,Ca,Cl,Cu,Hg,I,K,Mg,Mn,Na,S,Se,V,Znの17元素を測定した。毛髪中亜鉛濃度と本過食症者が書いた手記から抽出したストレストピックス数の関連は負の相関にあった。過食・嘔吐回数も増加している時、毛髪中亜鉛濃度は低値であった。また、毛髪中亜鉛濃度が低値の時のミネラルバランスは亜鉛以外は正常範囲内ではあるが、成人女性の正常値から離れる元素が多くなっていた。毛髪中亜鉛濃度低値及びミネラルバランスが崩れている時期は精神的不安定な日々が続いていたことが、手記をもとにした聞き取り調査により明らかになった。この結果より、毛髪中亜鉛濃度はストレスマーカーのひとつに成り得る事が示唆された。さらに本研究の毛髪中亜鉛濃度及びミネラルバランスの変化とストレスとの関連結果を本過食症学生に提示し、教育的指導を試みた。この指導の結果、毛髪中亜鉛濃度の増加が見られ、ミネラルバランスの崩れが小さくなり、過食症学生への精神的なサポートの効果が示唆された。