■教育とは後に役立つもの

アルフレッド・アドラー
学校教育は社会適応能力を
高めるもの
、としています。

社会適応能力を具体的に言えば、
学んだ人がその後の生活において
直面する困難の克服の役に立つ力

ことです。

学んでも、
後に直面する困難の克服に
役立たなければ教育とはいえない、
と見ることもできます。

アドラーは、社会適応能力は
国家の理想と一致しないといけない

と指摘しています。

自分が暮らす国家の理想の状態と
自分の状態が違えば、
それは生きずらい生活となります。

一致させることで
生きやすい生活を送ることができる、
と考えられるわけです。

そのため、もしも、
国家の理想と違うことを
教育として受けたなら、
その人のその後の人生は
社会に適応することが
どんどん難しくなってしまうと
考えられます。

また、国家の理想
革命があると突然に変わるし、
革命がなくても徐々に変わるものです。

変わったら、変わったものに
適応できるように教育も
更新されていくべき
、とも
アドラーは指摘しています。

■学校教育の歴史

ヨーロッパの学校教育は
最初は貴族のためのものでした。

その後、学校教育は
教会に引き継がれることで
宗教も含めた学校となりました。

最初は僧侶と牧師
教師を務めていましたが、
教える科目が増えたために
他の人も教師として学校教育に
かかわることとなりました。

アドラーによれば
このころ教師は専業ではなかった
そうです。

革職人や仕立て屋などを本業とする人が
兼業で教師をしていたそうです。

また、当時の教育は
「鞭と罰」を使った教育
主流だったようです。

ひどい話です。

その後、
スイスの教育者である
ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチ
(1746-1827)の登場によって
「鞭と罰」を使わない教育へと
変わっていきます。

■ペスタロッチ

ペスタロッチ
保護者のひどいわがままなどで
当時の学校経営は難しく
学校を起こしては閉校となる
経験を何度かしています。

しかし、
その教育理念
現代の教育者の教育にも登場するほど
大切なものとされています。

例えば、
「王座の上にあっても、
木の葉の屋根に暮らしても
同じ人間である」
として
身分に関係なく教育を受ければ
誰でも読み書きや歌ったり踊ったり
できるようになることや、

「生活が陶冶(とうや)する」として
特別な何かではなく
生活そのものが人を発展させると
著書を通じて提唱しました。

また、教育思想として
知的教育、技術的教育を経て
道徳教育へと完成する
としました。

知識を得て、
身体技能を得て、
最後に人の心の在り方を得て完成、
みたいな感じです。

その後、
教育手法が発達してくると
”日常的に指導する必要のない
全般的に自立した労働者”

社会的に必要となりました。

それはつまり、
一人で読み書きができ、
一人で計算ができる、

ということだったようです。

その頃のスローガンが
すべての子どものための学校を
だったそうです。

現代ではそれが”普通”なので
想像しにくい状況ですが、
逆にその分、今までの教育の成果が
確かに実っていること
を感じられます。

ペスタロッチ先生、
暴力のない教育を提唱くださって
ありがとうございます。

■どんどんよくなる教育

アドラーは現代の学校のことを
子供たちが教師の友達のような学校
と表現しています。

鞭と罰」の時代では
教師とは王様のような絶対的存在
であったために、
教師の言うことには絶対服従を
強いられていたと想像できます。

それをアドラー
手を膝の上に組んで
静かに座っていなければならず、
動くことも許されなような学校

と言っています。

教師の満足を
子どもたち全員で支える、
支えられない子どもは
罰として鞭で打たれる、という
支配者と奴隷のような状況でした。

そこから学校教育は発達してきて
「鞭と罰」の時代が終わり、
「子どもたちと教師が友達のような学校」
の時代となっているわけです。

当時アメリカで活動していたアドラーは
「このような学校が数多くある」
さらには
「学校は国家の理想とともに
発達していく」
として、
希望を感じる言葉で、この学校教育の
歴史の説明を締めくくっています。

こうして学校教育の歴史を
感じてみると、
社会適応能力を高めていく目的
教師だけでなく子どもや親も
さらには社会の人々も
共有していくことで、
うまくいく感じがしてきます。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ10年目、常楽でした。




・関連記事

教育する人と受ける人の関係は「交友」

子育て・教育の目標

厳しい教育には二重の害がある

叱らない教育とは

「遺伝的欠点」とは教育者の言い訳

アドラーの「育児」

























ACE COACHING's Service here