教育する人、
例えば
親、教師、講師、
さらには
スキルコーチ、
カウンセラーなど。

アドラー心理学における
対人関係は3種類で
「仕事」「交友」「愛」です。

これら教育する人と
それを受ける人との関係は
「交友」です。



例えば教師が
「仕事」の関係だけで
生徒に向き合ったら
どうなるでしょう?

教師として決められた
所定のことをすると
仕事をしたことになります。

この関係では
「仕事」をすることが目的なので
「仕事」をすれば成立します。

でもこれでは
生徒が置き去りに
されている感じです。



教育は
自分の役に立ったものを
相手に共有して、
相手に新たな気づきを
促すことです。

気づけるかどうかは
教師ではなく生徒の課題です。

その生徒の課題を
生徒が乗り越えていく支援は
相手によって変わります。

教師の自分次第ではなく
生徒である相手次第です。

つまり
「仕事」の関係では
自分の課題に向き合うことで
関係が成立しますが、

教育になると
相手の課題に
相手と一緒に向き合うことに
なります。

相手によって課題も目的も
異なりますから
それは「交友」の関係です。

「交友」の関係は
友人の関係です。
何かの目的によって
直接つながる関係です。

教育で目的とする
「相手の気づき」を
目的とできる関係は
「仕事」ではなく
「交友」というわけです。



中学生の頃、
不登校の私を
担任教師が訪ねてきました。

そこで教師に言われたことが
印象的でした。

「俺は教師だから
教師の仕事をしてる。
お前は生徒なんだから
生徒の仕事をしろよ。」

お互いが
お互いの役割を果たすことで
関係が成立するのだから、
お前はお前の役割を果たせ、
というわけです。

当時は
アドラー心理学なんて
知りませんでしたが、
「この人は自分に
仕事の関係だけで接する
冷たい人だな」と
思ったことを憶えてます。



DV・虐待する当時の配偶者との
関係に疲れていた私が
事態を改善したいと思って
心療内科に行ったときのこと。

行くと
「まずカウセリングを受けてください」と
言われました。

カウンセリングって
具体的に何をするのかが
わからないので
出てきたカウンセラーに
訊きました。

「カウンセリングって
何をするのでしょうか?」

すると
「まあ、話してください」と
質問に答えてくれません。

配偶者の暴力について話すと
「ああ、そういうことですね」と
淡々と聞いているだけでした。

10分程度話すと
「はい、ありがとうございます。
もういいです。
待合室でお待ちください。」
と言われました。

カウンセリングとはいうものの、
ただ「話をさせられた」だけでした。

3回ほどこんな感じでしたが
そこで言われた一言に
愛想が尽きました。

「話して気が楽になってるでしょ?」

さらに続けて
「そんな感じで利用してくださいよ。
私、自分でもカウンセリングルーム
やってるので、そっちにも来ませんか?」

カウンリングについての
目的の共有もなく、
「お金をもらう代わりに
話をきいてあげる」という
相手の「仕事」につきあわされた
感じです。

私のことは
置き去りにされてる感じです。

「さらに自分がお金をもらえる方法」まで
共有してくださって、大変ご丁寧なことです。
どこまでも「仕事」の関係だけでした。

そこの医師の診察も
2~3分間だけ話を聞いて
抗うつ剤を処方して終わるだけなので
これじゃだめだと思い
これ以上の利用をやめました。



小学校の頃、
絶対に殴らない教師がいました。

すぐ殴る教師ばかりだったので
貴重な存在でした。

その教師は
子供本人が体験することを
大切にしている人でした。

生物か何かの
クラブの担当で
畑づくりか何かの集まりで
講習を受けたときのこと。

「土はこうやっていじるんだよ」
「そうそういいね」
「こんなときはこうしてごらん」
「おもしろいよね」
「うまくなったねぇ」

言われるだけでなく
実際に自分でやる中で
あれこれ支援してくださるので
とてもわかりやすかったです。

この教師の心の姿勢に
教師と生徒、という関係だけでなく
「みんな仲間」という
対等な関係を感じました。

この教師に教えてもらえるなら
するする技術や知識を
身に着けられるだろうな、と
思ってました。

まさに「交友」の関係で
接してくれてました。

当時、接する機会が
あまりなかったので
ちょっと寂しかったですね。



「仕事」の関係だけで接するよりも
「交友」の関係で接する方が
「相手の気づき」を
相手自身が得られやすくなります。

仕事である以上
その制約はありますが
心の姿勢は自分次第です。

教育する人の立場に
立つときは、
「交友」の関係を
心がけたいですね。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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