■原因論では改善しない

「過去の原因を治療する」
無理です。

現在の自分が
過去の原因の時点に戻って
修正しようとしても、
時間をさかのぼって
やり直すことはできないからです。

そもそも
「原因を治療」という時点で
決定論的な発想になっています。

例えば、
ある人にびっくりさせられて以来、
恐怖心を感じるようになった人が
いる場合に、

同じようにびっくりさせられた人の
すべてが同じように恐怖心
感じるとは限らず、
何も問題なく暮らしている人も
いる
からです。

「びっくりさせられたから
恐怖心を感じるようになった。
それなら、
びっくりさせられたことを
治療しましょう。」などとして、
”びっくりさせられたこと”を
原因
としてどれだけ扱おうとも
状況は変わらないでしょう。

そうして恐怖心を感じることで
得られる利益があると思うから
恐怖心を感じている、
すなわち
自分の身を守るなどの目的があるから
その恐怖心を感じる
のであって、

原因があるから恐怖心を
感じるわけではない
からです。

■神経症や問題行動は手段

「過去の原因を治療する」ことは
そもそも無理なことであり、
いくらやってみても徒労に終わります。

なぜなら、
先の例でいえば、

恐怖心を感じることで
得られている利益
恐怖心を感じること以外でも
得られるために、

恐怖心を感じることを
指摘されたりして
続けることが困難になれば、
とっとと別の方法で
同じ利益を得ようとする
からです。

そうした
神経症(心の病)の症状
問題行動が出てくるのは、
その人が
対人関係を持つにあたって
設定した目的を実現するために必要
と判断したからです。

その根っこには
自分の価値を感じられない人が
他者からの注目を集めて
自分の価値を感じたい
という
思いがあり、

不適切な方法でその注目を
集めようとするときに出てきます。

不適切な方法で、
消極的に注目を集めようとすると
神経症となって現れ、
積極的に注目を集めようとすると
問題行動となって現れるわけです。

その”不適切な方法”とは
「相手より自分優先」な方法
ということです。

この方法を選ぶ限り、
生きづらさが生きづらさを
呼ぶような生き方と
なってしまいます。

■治療は目的論によってのみ

アルフレッド・アドラー
原因論ではなく目的論
勧めています。

「治療は知的な方法による。
それは患者が自身を観察して
誤りに気づくこと、
そして、共同体感覚を
発達させることによってのみ
成し遂げられる。」


誤りに気づく、とは
「不適切な選択」をしている自分
気づくことです。

気づくことができれば
次に同じような状況になったときに
「不適切な選択」以外の選択肢
見出すことができるようになります。

共同体感覚を発達させる、とは
他者への関心を増やす
ということです。

自分の今する選択によって
今後の自分を
希望する状況へ進めていくことが
できるわけです。

一度「不適切な選択」を
したからといって、
その後の人生のすべてが
決まるわけではありません。


今の自分は
自由に選択可能なのです。

「不適切な選択」をしないと
やってこれなかった自分でも、
今後は「適切な選択」
していけるように練習することは
常に今から始めることが可能です。

「適切な選択」
すなわち
「自分より相手優先」な選択
することで神経症や問題行動に
頼らなくても対人関係を
持つことができるようになります。

もちろん、
「自分より相手優先にできる自分」
維持できる範囲で。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ9年目、常楽でした。




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