■神経症者の優越性の追求

神経症者(心の病を持つ人)は
次の特徴があります。

「自分にしか関心がない」

つまり、
自分の利益・損失だけに注目して、
他者の利益・損失には
まるで無関心ということです。

これは反対も言えます。

他者の利益・損失には
まるで無関心なら、
その人は神経症である可能性が
高い人です。

そのため神経症者がする
優越性の追求は
傍から見ていると
とても自己中心的に見えます。

優越性の追求は
「生き延びること」を目的に
それに役に立つ思考・行動を
することです。

その思考・行動の基礎に
神経症者は「他者に無関心」
あるわけです。

本人が「他者に無関心」に気づけば
意識的に他者への関心を持つように
思考・行動をすることで
神経症をやめることができます。

「他者に無関心」がなくなっても
生き延びることが可能であると
自分で確かめていくことが効果的です。

しかし、本人が気づかねば
神経症をやめることは困難です。

なぜなら、
「他者に無関心」であることで
得ている利益が得られなくなるのは
神経症者の優越性の追求に
反することになります。

それは、
神経症者にとっては
「他者に無関心」を失うと
死へと進むのと同じだからです。

「他者に無関心」
神経症者の生を支えていると
神経症者には感じられるわけです。

■神経症は孤立へと進む

「他者に無関心」とは
他者は自分に関係がない、と
見ることです。

例えば、
自分が苦しい、と感じれば
”自分だけ”が苦しいと思います。

他者が理解しようとしたり
理解を示そうとしても
”自分のことをわかってくれない”
思います。

こんな感じで
他者はすべて「敵」として
扱うことになります。

「敵」がいくら損失を出して
生が減って死へと向かおうとも
「自分でないから構わない」
思ってしまうわけです。

そうして、
「敵」が損失を出すことは
相対的に自分を優位にしますから
「敵」の損失は歓迎すべきこと
となります。

自分の有能を示すより
相手の無能を示す方が
簡単だと信じて
自分のことを理解してくれないと
相手を責め立てることもあります。

自分の状況の改善を
自分でせずに
「誰も助けてくれない」と
不安や悲しみを示して
その改善を他者にさせようと
したりすることもあります。

結局それは
「自分に奉仕する人は善」で
「自分に奉仕しない人は悪」として
自分の支配下に入る人を増やして
支配した人に自分の優位を
増やさせようとしている、
ということです。

これでは周囲の人は
奉仕しないと悪人扱いされるので
たまったものではありません。

結果、周囲の人は
神経症者から離れたくなり
神経症者は孤立していくことになります。

孤立が進み
周囲の人がいなくなることは
自分を優位にする人が
いなくなることでもあるため
こんどは
周囲の人が自分から
離れられないようにする活動に
熱心になります。

そうして、
根源にある
「他者に無関心」がある限り
神経症は続いてしまうわけです。

■やさしく自己変革を起こす

アルフレッド・アドラーは
感じるしあわせを増やすには
「他者への関心」が役に立つ
と言っています。

「他者への関心」がある状態とは
・他者を信頼できる感覚
・他者に貢献できる感覚

を持つということです。

この2つの感覚を感じられると
「こんな自分はOK」
感じられるので、
アドラーを支持する人たちの間では
これらをまとめて
「幸福の3条件」なんて
言ったりしてます。

そしてアドラーは
「他者への関心」
育てるための2つの活動を
勧めています。

「自立する」
「社会と調和する」


そしてこの活動を
心理面から支援するものとして
2つの感覚を挙げています。

「自分にはできる力がある」
「他者は自分の仲間である」


神経症者がいきなり
これらを生活に取り入れるのは
大変なことでしょう。

しかし大変ですが
全部が無理なわけでは
ありません。

1%でも、自分の可能な部分から
始めていくことです。

始めれば困難を感じます。

でもそれは
効果がある道を
進もうとしていることを
示してくれています。

困難を感じないなら
それは今までの日常にあるもの
ばかりですから
その道をいくら歩いても
自分を変革してくれることは
ありません。

困難を感じる、ということは
今までの日常にはないものが
その道にはある、ということです。


その困難に向き合うことで
自分に変革を起こすことが
期待できます。

今の自分には
手に負えない困難を選ぶ
必要はなく、
今の自分でも
手に負える困難を選ぶ
ことが
継続していくために役立ちます。

そして継続する、ということは
単利で変革が進むのではなく
複利で変革が進む、ということです。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ9年目、常楽でした。



教育とは、他者に関心を向けるよう援助すること
自分の性格を嫌うのは、否定だけなら力一杯にできるから
性格が変わることを止めているもの