激しく感情を出す人は
それだけ強い劣等感を
持ってる人です。

劣等感、つまり
「こんな自分はダメ」と
強く感じているわけです。

「こんな自分はダメ」と
自分で思っていても、
相手には「ダメと扱わせない」として
そこに強い感情を注いでいるのです。

それは共通感覚(コモンセンス)と
自分の状況にズレが生じていて
その間を埋めようとしていると
見ることができます。

私は幼い頃に
父親に言われました。

「親の言うことを
ちゃんとききなさい」

そして、こうも
言われました。

「親の言うこと聞いてばかりでなくて
自分で考えて行動しなさい」

片方では
親の言う通りにしろ、と言って
もう片方では
親の言う通りにするな、と言っています。

どちらも同時に守ることが
できないので、父親に言いました。

「こないだは言う通りにして、と言って
今は言う通りにするな、と言ってるよ。
一体僕はどうしたらいいの?」

すると父親は
不機嫌な顔つきになり
イライラしながら
こう返してきました。

「そんなこと、言ってない」

私は父親はウソを言ってると思い
「こないだ言ったよ。
今も言ったじゃない。
言ってないなんてウソだよ。」

すると父親はイライラしながら
「おとうさんはウソなんて言わないよ!」と
激しい感情とともに言い放ちました。

私は混乱状態です。

言う通りにしろ、と言ったし、
言う通りにするな、とも言ったし、
そしてどちらも言ってないと言う。

言ったのに、言ってない、とは
おかしい。

明かにウソだけど
父親は自分はウソはつかない、という。

もうごちゃごちゃです。

それ以上責め立てると
父親の十八番「見捨てるぞ」が
出てくるに決まっています。

母親にも告げ口されて
母親からも
「おとうさんの言う通りにしなさい」
「それができなければ見捨てるぞ」
と言われるに決まってます。

幼い私は
見捨てられたら生きていけないと
真剣に信じていたので
それ以上は命にかかわるので
自分を殺して生き延びる道を
選びました。

そうしてやむなく
今後に父親が言うことを
どう扱えば良いのかが謎のまま
やりとりは終わります。

父親は共通感覚として
「言うことが矛盾するのはおかしい」
「ウソをつくのは悪いこと」
ということが
よくわかっていたのでしょう。

その事実を認めると
父親は自分が不利な立場になるわけで、
そうなったらどうしたらいいのか
父親自身わかりません。

父親は
そんな状況になることは
恐怖です。

なので、
そんな状況にさせないために
感情を使って
事実と自分の都合の間の
穴埋めをしているわけです。

その穴が大きい分、
出す感情も大きくなって
激しくなるわけです。

幼い子供を相手に
恐怖する大人たち。

今思うと
おかしくて笑ってしまいます。

その後、自分が不利になることに
恐怖する大人たちばかりでなく
自分が不利になったとしても
対等に向き合ってくれる大人とも
遭遇しました。

「この間は違うこと言ってましたよ」

そう伝えるとその人は
「え?ごめん、そのときは
それが正しいと思ってたんだよ。
でも今思うと、ちょっと違うよね。
ほんと、ごめんね。
教えてくれてありがとうね。」
なんて答えてくれました。

違うと伝えるときは
また「見捨てるぞ」みたいなことを
激しい感情とともに
言ってくるかもしれないと
かなり身構えていましたが、
拍子抜けです。

逆に、自分と対等なやりとりを
してくれるその人に
尊敬の気持ちでいっぱいになりました。

共通感覚と
自分の性格とに
それほど違いがなければ
激しい感情を使う必要がありませんので、
自然と穏やかなやりとりになります。

その人は
以前に自分が正しいと思っていたことが
時間の経過とともに変わることも”ある”と
共通感覚を感じ、
そして自分でもそれはそうだと
心から感じていて
拒絶や否定することが出てこなかったので
激しい感情を使う必要がなかったのですね。

もしその人が、反対に
以前に自分が正しいと思っていたことが
時間の経過とともに変わることは
”いけないこと”と共通感覚を持っていたら、

変わってしまった自分は
「ダメな自分」です。

そこに劣等感が生まれて感情を生み出し、
”いけないこと”をしてしまった自分を
なんとか正しい自分と相手に認めさせて
自分が不利になることを回避しようと
していたでしょう。

その劣等感が大きければ
それだけ大きな感情が必要になるため、
それが「激しい感情」として
表出するわけです。

激しい感情を出す人を見たら
それだけその人の中に
”劣等感という矛盾”を
抱えているんだな、と
思って見てあげると

その感情にのみこまれずに
冷静な自分でいやすくなります。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ9年目、常楽でした。



怒っても大丈夫
弱いほど、よく怒る。そう知ると緊張は減る。
幼稚とは、感情で相手を動かそうとすること
怒りは、支配ではなく平和の起爆剤に使う
相手が怒ったのは「あなた」を主語にしたから
未来をみる、とは