■五戒その①「不殺生戒」

仏教には「五戒」という
在家の人向けに
「守るとしあわせになりますよ」
との約束事があります。

五戒だけに5つありますが
今回はその1「不殺生戒」

「ふせっしょうかい」と読み、
殺さない、という意味です。


■殺生の先にしあわせなし

敵を殺すと
自分と対立する者が
いなくなるため、
一見して平和に見えます。

でもそれでは
自分と対立する者がいたら
その者を殺さないと平和を
得ることができなくなります。

「平和=敵を殺す」です。

自分と対立する者
すなわち ”敵” を殺し続けると
その結果、自分の独裁の状況になります。

暴力で他者を支配することになり
平和なのは自分だけで
他の人は自分に殺されないように
恐怖して生きている世界になります。

自分と違ったアイデアがあっても
殺されるのが怖くて出てきません。

他の人々は自分の前では不自由で、
自分が不在の場では自由を感じます。

そのため
自分は他者からは
疎まれる存在となります。

そうして
敵を殺し続ける姿勢は
自分を孤立へと追い込みます。

孤立に追い込まれた自分は
「社会的な死」の状況になり
感じるしあわせが増えることは
ありません。

敵を殺した瞬間に
平和になったと
刹那的なしあわせを
感じるくらいでしょう。

「敵を殺す」姿勢は
他者にも自分にも
感じるしあわせを
増やしてくれることは
ありません。


■現代における殺生は「孤立」

現代では
「相手の命を奪うこと」だけが
相手を殺すことではありません。

相手の生存可能性を
低める行為が
相手を殺すことになります。

刑法にひっかかるような
暴力はもちろんですが、
いじめや虐待なども
相手を殺すことになります。

いじめや虐待は
する側もされる側も
誰のしあわせも増やしません。

アルフレッド・アドラーは
「孤立は社会的な死だ」と
言っています。

命を奪わずとも
相手を孤立に追い込むことに
自分の力を使うことも
相手を殺すことになります。

例えば
自分の子に教えてもらった情報を
自分が見つけた情報として
他者に話して驚かせて
自分の株を上げようとしたら
それは子供を殺すことに
なるかもしれません。

また、家庭や職場で
特定の人を「笑い者」扱いして
その人を孤立に追い込んだら
その人を殺していることに
なるかもしれません。

反対に
子供に教えてもらった情報を
「子供に教えてもらったんだ」と
他者に話して驚かせて
自分より子供の株を上げようとしたら
それは子供を生かすことに
なるかもしれません。

また、家庭や職場で
特定の人の扱いが難しくても
「仲間」として接していこうと
その困難に向き合うことは
その人を生かすことに
なるかもしれません。


■感じるしあわせ増やす鍵は「貢献」

アルフレッド・アドラーは
感じるしあわせを増やすには
「貢献」が鍵だと言っています。

「貢献」つまり
相手の生存可能性を高める行為です。

「貢献」する相手は
自分の仲間ですから、
「貢献」には「敵」というものが
ありません。

「貢献」する自分は
すばらしい自分です。

そんなすばらしい自分は
清々しくて気持ちよくて
うれしくて楽しくて
誇らしい自分です。

そんな自分が増えることは
大歓迎です。

そしてさらに
「貢献」によって
相手の生存可能性が高まったら
それは自分にも生きる力を
与えてくれます。

相手から
「ありがとう、あなたのおかげです」と
感謝されたら自分の心も身体も喜びます。

私の場合は
胸の奥の方からあたたかい
波導なのか振動なのかが
「じわん」と湧いてきます。

それは「湧いてくる」ので
自分の中の何かを使って
作られているものではなく
自分の外から入ってくる感じ、
与えれてるような感覚を感じます。

与えられるので
「生産」ではなく
「補給」な感じです。

つまり、生きる力が自分の中で
分裂して総量変わらないけど
数が増えるのではなく、
外から入ってきて
純粋に総量が増えてる感じです。

そして感謝されると
「あなたはそこに居て良いです」と
居場所をひとつ与えられた感覚も
感じます。

相手に
「またお前かよ」と疎まれるより
「今日も会えてうれしいです」と
歓迎された方が、生きやすいです。

■するのは相手を「生かす」こと

対人関係の中では
「何もしない」はできません。

相手がいるので
必ずやりとりが生じます。

そこで
不殺生戒を守ることは
「ころさず」をすることですが
「ころさず」とは
「殺す」を「しない」ことです。

「しない」ことすることは
できません。

では何をするのか。

それは相手を「生かす」ことです。

相手を「生かす」方向に
やりとりを進めることで
自然と「貢献」となります。

「貢献」は相手の
生存可能性を高めます。

そして「貢献」は
自分の生きる力をも
増やしてくれます。

不殺生戒を守ることは
自分の感じるしあわせを
増やしてくれます。



お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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