識別とは
よく見分けることです。



人生の調和を
崩すひとつに
「一部を全部に見る」が
あります。

みんな私を嘲笑してる。
みんな頭が悪いひとばかり。

いつも失敗してる。
いつも話を聞いてくれない。

すべて悪い方へ進んでいく。
すべてが敵。

そう思いたいとしても
それは事実ではありません。

人生の調和を実現させて
いくなら、
「一部を全部」とせずに
「一部は一部、他は他」と
具体的に区別して
見ていきたいです。



中学生の頃、
髪の長いクラスメイトに
「みんなお前のこと
バカだって言ってるよ」と
言われました。

衝撃でした。
私の解釈では
「クラス全員が
私のことをバカだと
言っている」でした。

そんな...
仲の良い友人が
そんなこと言うはずない。

私のことを
よく知らないような人は
バカと言えるほどの
情報を持っているはずない。

クラスの100%が言ってるなんて...
相手の言うことを鵜呑みにして
かなり落ち込みました。



しかし、その後
クラスメイトと交流する中で
「俺のこと、バカって言った?」なんて
訊けるときに訊いてみると
「ううん、言ってないよ。なんで?」
なんて返ってきます。

そうして
友人と話しているうちに、
その髪の長いクラスメイトは
よく「みんな○○と言ってるよ」と
言ってくることがわかりました。

その髪の長いクラスメイトは
「みんな○○と言ってるよ」と
言ったときの相手の表情が
おもしろくて
それ見たさに
そう言っているとわかりました。

まったく、迷惑な話です。



その後、
その髪の長いクラスメイトは
「みんな○○と言っているよ」と
やりすぎて、クラスの不評を買い
肩身の狭い思いをしてました。

人生の調和を
「みんな」を使って
崩してしまってました。



私が小学生の頃。

父親がステーキ肉を
誰かからもらってきました。

焼いて夕食で
食べようと母親に
渡しました。

母親はステーキ肉を
焼いた経験が乏しく、

インターネットも無く
簡単に調べることもできないので、

自分流で焼いて
夕食の食卓に出しました。



待ってましたと
喜ぶ父親。

いただきます、と言って
一切れ食べると
表情が曇ります。

「なんだ、この焼き方。
せっかくの肉が台無しじゃないか。」

「だって私、
ステーキの焼き方わかりません」

「せっかくもらってきた
イイ肉を、こんな焼き方したら
ダメじゃないか。」

「すみません」

「せっかくもらってきたものを
いっつもまずくまずくして
しまうんだ。」

「そんなこと言うなら
次は自分で焼いてください」

「焼くのは僕の仕事じゃないよ!
ちゃんとやってもらわないと困るよ!」

凍り付く食卓...



私も食べましたが
確かにステーキ屋さんで
出てくるようなステーキでは
なかったけど、
ちゃんと焼けてて
普通に食べられました。

父親はお店で出てくるような
ステーキを期待していたようで
その期待を裏切られた被害者であると
強調したくて
「いつも」とか
「まずく」を2回繰り返すとか
したように見えました。

過去を見てみれば
父親がもらってきたものを
母親が調理して
「おいしいね」と
食べたこともありましたから、

「もらってきたものを
いつもまずくしてしまう」は
事実ではありません。

事実と違うことを言うのは
そこまでしても実現したい何かが
あるからです。

そんなこと
しないとやっていけない人生なんて
調和してるとは思えません。



DV・虐待する元配偶者と
婚姻関係があった頃。

DVや虐待について
口論になると
必ず言われた言葉が

「すべて私が悪いんでしょ!」

です。


いや、すべてだなんて言ってない。

専業主婦なんだから
少しでも家事をやってよ、とか
子への暴力やめて欲しいと
言ってるだけです。
(できれば私への暴力も...)

でも、
「弱者を助けない者は悪」の
構図を作って話題を変えようと
自ら弱者とすべく

「自分は濡れ衣を着せられた被害者」を
懸命に主張してくる。

話し合いが進まず、
自然と人生の調和も
形になっていかない状況です。



人生の調和は
識別から始まります。

具体的には
事実を「事実」と
見たりすることです。

自分を批判する人
自分を嫌悪する人
自分を邪魔しようとする人
そういう人もいます。

反対に
自分を好きな人
自分を大切にしてくれる人
自分を助けてくれる人
そういう人もいます。

また
自分に無関心な人も
います。

みんな
いつも
すべて、と
ひとくくりにして
扱ってしまいたくなるときも
あります。

ありますけど、
それぞれ別のものです。

似ているもので
類型に分けられても
やっぱりそれぞれ別のものです。

そうして
識別することができていくと
人生の調和は
自然と形になっていきます。






お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。


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