ワクチン問題に対する当院の対応 | ゆら小児科クリニック院長のブログ

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神戸市東灘区御影にある小児科・アレルギー科の”ゆら小児科クリニック”です。
アレルギー外来・予防接種外来・乳児健診外来・食物経口負荷試験外来があり、ネットによる予約システムを導入しています。

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昨日は変な天気でしたね

台風並みの風が、JRやルミナリエに被害を出してましたが、大きな事故につながらずよかったですね


今回は、連日報道されている化血研の問題について、心配されている保護者の方に、厚労省の発表等でわかっている範囲で説明したいと思います。


正直、厚労省や製薬メーカーがすべき事だとブログでも取り上げて来なかったのですが、接種した責任として、触れずにはいられなくなりました。


あくまで、厚労省の発表を前提に話している事をご了解下さい。新たな事実が出てくる可能性も否定できず、状況は変わるかもしれません。



まず、これまで接種してきたワクチンは、国家検定という品質検査はパスしており、効果や安全性に問題はありません。


 今回の問題で再度検討されましたが、インフルエンザと4種混合については問題ないとされました。

他のワクチン(日本脳炎とB型肝炎ワクチン)についても調査中のようです。


詳しくは下記の厚労省発表を参照下さい。

インフルエンザワクチン こちらを参照
4種混合ワクチン   こちらを参照


まあ、これを見る限り安全性は問題ないように思います。

新聞で薬学部の先生が『申請さえすれば問題ない事なのに』とコメントされていましたが、そうなのかもしれません。



次に、当クリニックでの対応です。


 4種混合ワクチン(クワトロバック)

  当面は、違うメーカーのワクチンに切り替えます。

  テトラビック(田辺三菱製薬/阪大微研)
  スクエアキッズ(ジャパンワクチン)


この2つのワクチンは、混合されている4種の内の一つであるポリオウイルスワクチンについて、少し製造方法が違います。

同じ1型・2型・3型のポリオに対するワクチンですが、野生株から直接製造したスクエアキッズに対し、野生株を弱毒化したセービン株から製造したのがテトラビックです。  詳しくはこちら


どっちがいいとか議論はありますが、元をたどれば同じタイプのポリオウイルスですから、互換性(バラバラに打ってもよい)はあるのではないかと思いますし、そういう報告がなされています。


 B型肝炎ワクチン(ビームゲン)

  当面は、新規の方は他社のワクチン(ヘプタバックス)に切り替えます。

 ただ、4種混合と違い、B型肝炎ワクチンを製造するのは化血研以外には一社しかなく、シェアが低く、製造量がとても追いついていません。

 新規の方の予約は、現在中止しています。1回目が出来ても2回目以降が接種できる確証がないためです。

 これまでビームゲンを接種されていて、まだ完了していない方に関しては、ビームゲンの接種を継続しています。


 ビームゲンとヘプタバックスの互換性ですが、4種混合と違い、『わからない』としか言いようがありません。4種混合ワクチンに含まれるポリオウイルスは、製法に違いがあるも同じ1型/2型/3型です。

 しかし、B型肝炎ワクチンについては少し違います。


  ビームゲン:B型肝炎 遺伝子C型
  ヘプタバックス:B型肝炎 遺伝子A型


B型肝炎には、日本で古来からみられる遺伝子C型と、欧米で見られる遺伝子A型というタイプが主にあります。

欧米では遺伝子A型がほとんどであるため、これを元に作られたヘプタバックスのタイプのワクチンしか存在しません。

ビームゲンは日本にしかないタイプのワクチンです。


どちらを接種しても遺伝子A型にもC型にも効果があることはわかっています。



ただ、その互換性を証明する研究・報告はありません



つまり、1回目ビームゲン、2回目ヘプタバックスという打ち方でも効果に問題ないという正式な報告はありません。


『たぶん大丈夫』という意見もありますし、『たぶん』大丈夫なんでしょう。

でも、私は常々、『根拠のない治療』『個人の思い込みによる治療』を患者さんに押し付けないことを信条としているので、『たぶん』で子供たちに接種する気になれません。

B型肝炎については当面は最初から最後まで同じワクチンで接種していきたいと思っています。


 日本脳炎ワクチン

  当面は、違うメーカーのワクチンに切り替えます。



早く混乱が収まるのを願うばかりです