ミックス離乳食(スプーンフルワン®)の注意喚起 | ゆら小児科クリニック院長のブログ

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先日、日本小児アレルギー学会を中心としたアレルギー関連学会から乳幼児用のミックス離乳食(スプーンフルワン®)に関して、注意喚起がなされました。

 

 

スプーンフルワン®は生後6ヵ月以降の乳幼児を対象とした16種類の食物のタンパク質30mgずつを含む市販の食品です。

 

米国で販売が開始され、最近日本でも販売が開始されました。

 

 

販売された背景について少し解説します。

 

 

2000年頃までの離乳食のガイドラインは、離乳食は遅らせた方が良いし、卵、牛乳、ピーナッツなどは除去が望ましいと記載されていました。

 

 しかし、2008年に離乳食には食べる最適な時期(4~7カ月)があり、そこから外れて(早くても遅くても)離乳食を開始するとアレルギーなどの疾患を増やすと報告されました。

 

現在では、離乳食を遅らせるメリットはなく4~7カ月という最適な時期に離乳食を始めることがアレルギー疾患の発症を抑える可能性があると考えられています。

 

ちなみに母乳は最低4カ月間続けることと離乳食後も続けることがアレルギー疾患のリスクを低下させると言われています。

 

 

例えば鶏卵摂取について、2016年の日本の国立成育医療研究センターからの報告。

 

生後6か月から少量の卵成分を食べ始めた児の1歳時点の卵アレルギー発症率は、食べなかった児の8割も少なかった、との結果から、「離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防」する、逆に卵成分の摂取が遅いと、アレルギーのリスクが高まると結論付けられました。

 

(すでに鶏卵アレルギーと診断されている乳児の鶏卵摂取については専門医に指導を仰いでください。また、卵の加熱が不十分だと抗原性が高くなり危険ですので、必ず専門医に相談してください)

 

 

現在の離乳食の方針は、「離乳食を早期から(5か月ごろ)」、「様々な食品を」、「ちょっとずつ」、開始するです。

 

 

 

以上の背景から、スプーンフルワン®は米国では乳幼児の食物アレルギーの発症予防を期待して販売されたわけです。

 

 

何だかすごくいい食品に思えますよねえっ

 

 

学会が注意喚起しているのは以下の点です。

 

 

注意日本においては離乳食とだけ記載され販売されている

 

右差し『手軽な』とか『ミックス離乳食』という表記は問題だと思います。

 

 

注意摂取によりアレルギー症状が出る可能性がある

 

右差しこの製品は「様々な食品を」「ちょっとずつ」という点では理にかなっているのですが、「新しい食品は1種類ずつ」という点で問題です。

 

アレルギー症状が出たときに何が原因かわかりません。

 

 

注意製品説明の「摂取上の注意」の表記の問題点

 

・食物アレルギーがある小児には使用できないと記載されているが、16種類全てに対する食物アレルギーの有無を判定することは困難

・湿疹がある場合や、使用について心配な場合には医師に相談するよう記載されているが、摂取の可否を医師が判断することは困難。

 

右差しそりゃそうだガーン

 

 

時代は変わるかもしれませんが、とりあえずは『手軽に』使わない方が良いと思います。

 

 

日本小児アレルギー学会

 

乳幼児用のミックス離乳食(Spoonfulone スプーンフルワン®)に関する注意喚起

 

 

 

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