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読書感想文的書評

書評などと言えるものではございませぬ。

壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2/浅田 次郎
¥700
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初めて『壬生義士伝』を読んだのは3年くらい前。


あのときはまだ『燃えよ剣』すら読んだことなくて、新撰組についての興味も知識もゼロ。


もうわけがわからなくてね。




それでも当時のオラはとんでもなく感動しちまってね。


結婚の予定もないくせに、子供ができたら“貫一郎”と名付けると決めたのです。



そして月日は流れ、結婚し、来週には第一子誕生予定。


子供ができる前からずーっと「貫一郎、貫一郎」って言い続けてたから、はじめは「切腹して死んだ人の名前なんてヤダー」なんて言ってたウチの嫁もなんだかんだで貫一郎の他にしっくりくる名前がなくなってしまったようです。



というわけで出産前に本書『壬生義士伝』を再読してみた。


やっぱ名前は貫一郎だな。


うんうん。



かっこいいんだよ。とにかく。


新撰組と言えば近藤、土方、沖田、永倉、斎藤・・・


『壬生義士伝』読んでなければ吉村貫一郎のこと知ってる人なんてなかなかいないだろうな。


簡単に説明すれば、


貧乏のゆえに南部脱藩後、新撰組で鳥羽伏見で敗れ、大阪の南部藩邸に逃げて帰参を願い出たが、断られて切腹。


史実としてはそんなもんでしょう。



でもね、


目立たないけど、貧乏で朴訥な田舎侍なんだけど、強くて、やさしくて、謙虚で、なにより家族思いなんだよな。



どこまでが浅田次郎の創作なのかはわからんけど、この小説のような男になってくれたらいいや。



と、まぁここまで散々語ってきましたが、


実は我が子、まだ男か女かわからないんだけどね。


女の子だったらどうしようか・・・なんてことは考えておりませぬ。


おもさげなござんす。










少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭 一樹
¥1,470
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図書館をフラフラしていたら生徒に勧められてしまったので、無碍にするわけにもいかず借りることとなった一冊。


どうせなら『私の男』が読みたかったのだが。




んー おでは駄目だ。



主人公の語り口が面白くて、いいキャラクターなんだけどね。


結局はおでの苦手な恋愛モノなんでしょうな。



物語をきれいに、美しく描こうとしている感じ。


それはそれでいいんだけど、「美しい」という言葉を使いすぎでしょう。


途中で、コレは女子が書いた話では?と思って調べてみたら、桜庭一樹って女子なんですな。


名前まぎらわしいわ。



うら若き16才の女子には「すごい好き!」な小説なんだろうけど、


うすら三十路の「お兄さん」でも「おっさん」でもない男子にはちょいとウケが悪いようです。





今日生徒と「おっさん」の定義について話していたんだけど、


僕はまだ「おっさん」でもないけど、「お兄さん」とも呼べないそうだ。



「じゃあなんて呼ぶんだ?」



「んー 30代はー えーと んー」


(。。。しばらく考え中)


「先生はセンセイですね」



なんじゃそれ。




高校生もアラサーも難しい年頃のようです。




贖罪 (ミステリ・フロンティア)/湊 かなえ
¥1,470
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夏休みの学校で起きた少女殺人事件。


その当事者5人がそれぞれ一人称で語る中で事件の全容が見えてくる、という『告白』と同じ感じの展開。



それにしても『告白』 ってのはすごい小説でしたな。


みんなが「面白いから読んでみて」っていうから、ものすごい期待を持って読んだのに、それを上回る面白さだった。



その二番煎じですな。


出がらしだ、こりゃ。



4人目の話までは結構のめり込んで読んでいたのだけど、こんなラスト?


彼女のデビュー作を超えるのは難しそう。



とはいえ、作風としてはやっぱり好きなので他のも読んでみよ。




有頂天家族 (幻冬舎文庫)/森見 登美彦
¥720
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久々に森見ヒット。


コレだよ、コレコレ。



『太陽の塔』 以来の、このなんとも阿呆なファンタジー。


いいわ。



ざっくり言えば家族モノなんだけど、登場するのは狸の家族。


同じ森見氏の『きつねのはなし』はわりとしっかりとしたホラーだったんだけど、狐ってなんかシャープな感じがする。


でも狸ってのはなんとも間抜けで丸々とした感じ。



キツネが化けた人間と、タヌキが化けた人間。


どっちが人が良さそうかと言ったらやっぱりタヌキでしょう。



ちょうど良く肩の力が抜けた登場人物たちに、シリアスになりすぎることなく適度に緊張感のあるストーリーがいい塩梅。



『レディ・ジョーカー』を読んだ後にぴったりのデザートとなりました。



レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)/高村 薫
¥740
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レディ・ジョーカー〈中〉 (新潮文庫)/高村 薫
¥780
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レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫)/高村 薫
¥660
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単行本を買う勇気ってのはなかなか出ないもので、ちょっとした有名作品なら少し待って文庫でいいか、で済むのですけどね。


高村氏は違うのですよ。


文庫化にあたって、ものすんごく改稿するのです。


あまりに書き加えるからタイトルまで変わってしまうものまであるほど。



そしてこの『レディ・ジョーカー』。


初版は1997年。


文庫化2010年。


もうこれだけで高村氏のストイックぶりが感じられるのです。



僕は生半可な読者なので、とりあえず売れっ子の作品なんか読んでつまんない思いをしょっちゅうするわけで。


特に最近のミステリーなんか読むと、よくできたストーリーなのに犯行の動機や背景がふやふやだったり、中途半端な終わり方で「あとは読者の想像にお任せします」みたいな感じだったり、がっかりすることが多いんですな。


そこで高村氏の作品のすごいところは妥協を感じることがない徹底的なストイックさ。



まず事件が起こる前に、それぞれの登場人物の徹底的な心理描写、犯人たちの犯行に及ぶ動機、背景などですでに並みの小説1冊分くらい。


ストーリーの元となっているのは誰もが知る凶悪かつ未解決のグリコ・森永事件。(知らん人はウィキペディアで)


ストーリーだけならそんなに長い物語ではないんだけど、そこに事件をめぐる男たちの圧倒的な心理描写がずっしり肉付けされているわけなのです。


犯人たち、被害者たち、それを追う刑事たち、新聞記者たち、検事、、、


さまざまな男たちの思いがこの超大作を作り上げているのです。


そこに女子供の入る隙間は皆無。



この硬派な男汁をすすり、皆で語ろうではないか。


刮目セヨ!