なぜ、ふつうの人が悪魔に変わるのか? | 中村幸也オフィシャルブログ「自由に生きるのに遠慮はいらない!」

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2018年6月に大阪から沖縄に移住してきた自由人。心理カウンセラー。「あきらめる勇気」の著者。『元不登校YouTuberゆたぼん』のパパ!

昨日、一昨日と僕の小学生時代の実体験を基に、
疑問を持たない事の恐ろしさについて書いたが、
ブログ読者の方からこんなコメントを頂いた。
 
「学校の中に一歩入ると
何故か思考停止して流れに飲み込まれる
感覚があります」
と。

 
ここで今日は本当にあった
ある実験について紹介したい。
 
 
それは「スタンフォード監獄実験」だ。
 
 
この実験は1971年に
アメリカのスタンフォード大学で行われた
心理学の実験である。
 
当初は2週間の予定だったこの実験は、
あまりにも危険な状況に陥った為、
わずか6日間で中止された。
 
実験の指導者は
現、スタンフォード大学心理学名誉教授の
フィリップ・ジンバルドー氏だ。
 
実験内容は大学の地下に模擬刑務所を作り、
囚人と看守に役割を振り分けた後、
各自の行動にどのような変化が出るか?

というものだった。

 
ちなみにこの実験を基に映画も作られている。
 
僕も10年以上前に初めて観た時、
もの凄い衝撃を受けた。
 
 
es[エス]という映画だ。
 
 
まずは求人広告で実験参加者を募った。
100人くらいの応募があったという。
 
その中から明らかな変わり者や、
過去に逮捕歴がある者、
医学的や精神的に問題を持つ者を
ふるい落とした。
 
そして囚人役と看守役を無作為に振り分け、
本物のパトカーまで使って囚人役を逮捕し、
目隠しされて刑務所に連れて行かれる。
 
囚人役は監獄へシラミを持ち込まないように、
シラミ駆除剤に見立てたパウダーを吹きつけ、
女性用のナイロンストッキングを被らせる。

 


 
足にはクサリがはめられ、
名前ではなく番号で呼ばれた。

 
 
看守役には希望する制服を着させ、
サングラスと警棒が渡された。
 
こうして役割を与えられた囚人役と看守役は、
疑似刑務所で過ごす事になったのだ。
 
看守オリエンテーションの際にジンバルドーは、
「肉体的な拷問は絶対に行ってはならない」と言った。

 
しかし肉体的な拷問や虐待はしてはいけないが、
欲求不満を煽り、恐怖感を植えつけて、
退屈を生みだす事は認められた。
 
 
そして実験は開始される。
 
 
映画を観てもらえばわかるが、
実験が始まった時は、
囚人役と看守役は仲良く話していた。
 
「さっさと実験を終わらせて、
たっぷり給料をもらおうぜ!」

といった感じだ。

 
しかし次第に看守たちは、
囚人たちをいたぶり始めた。
 
点呼の際にジャンピングジャックや腕立て伏せをさせ、
反抗的な態度を取った者は「穴蔵」に放り込んだ。
 
「穴蔵」とは懲罰のための独房として用意した
「穴蔵」と書かれた紙が貼られた小さな物置だ。
 
実験開始からわずか36時間で
1人目の脱落者がでた。

 


 

 
精神的に参ってしまったのだ。
 
 
やがて待遇改善を求めて
囚人役が立てこもり事件を起こす。
 
それをきっかけに看守役が
理不尽な罰を与えるようになる。
 
何度も「穴蔵」に囚人役を監禁し、
素手でトイレ掃除をさせる。
 
囚人仲間の前でバケツへの排便を強制させられたりし、
囚人役の中には精神を錯乱する者まで現れた。
 
しかし責任者のフィリップ・ジンバルドー氏は
実験を中止させるどころか、
ますますリアリティーを追求したという。

 
 
なんと責任者であるジンバルドー自身までが、
実験に呑まれてしまったのである。

 
 
そしてついに禁止されていたはずの
「暴力」まで開始された。
 


恐ろしい事に看守役が「凶暴」になったのと同様に、
囚人役はどんどん「従順」になっていったそうだ。
 
実験開始から5日目。
 
この異常事態をジンバルドー氏に
協力依頼をされていた牧師が気づき、
被験者の家族へと連絡した。
 
家族たちを弁護士を連れて実験中止を訴え、
当初は2週間を予定されていた実験は、
わずか6日で中止される事となったのだった。

 
 
映画では語られていない事実については、
フィリップ・ジンバルドー氏の著書「ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき」鬼澤忍訳(海と月社)に詳しく記されている。
 
 
この本は800ページ以上もあり、
かなりボリュームのある本だが、
心理学を学んでいる人にはぜひ読んでもらいたい。
 
僕の著書「あきらめる勇気」を並べても、
相当分厚いのがお分かり頂けるだろう。
 


自身の著書でフィリップ・ジンバルドー氏は、
実験の結果をこう記している。
 
強い権力を与えられた人間は
元々の性格とは関係なく、
役割を与えられただけで、
次第に理性の歯止めが利かなくなり、
暴走してしまう。
 
人間というのは想像している以上に、
周りの環境に影響されやすい。
 
役割どおり振る舞うと
その役割に心までが支配されるのだ。
と。

 


 
これを聞いてあなたはどう思うだろう。
 
 
「でもそれってただの実験でしょ?」
「異常になるのは一部の人間だけだ!」

 
そう言う人もいるかもしれない。
 
では、今度は本当にあった
ある「事件」について書かせてもらおう。
 
と、思ったがずいぶん長くなったので、
つづきはまた明日!
 
 
あ、それと今日も我が家の長男と娘は、
給食だけ食べに学校に行きました。

 
長男は食べてすぐ帰ってきましたが、
娘は5時間目が図工だったらしく、
急に受けたくなったといい、
図工だけやって帰ってきました。
 
 
それぞれが自由に楽しんでいます(^O^)