腐ったリンゴが原因なのか? | 中村幸也オフィシャルブログ「自由に生きるのに遠慮はいらない!」

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2018年6月に妻と子ども4人を連れて大阪から沖縄に移住してきた自由人。心理カウンセラー。「あきらめる勇気」の著者。『元不登校YouTuberゆたぼん』のパパ!

昨日はフィリップ・ジンバルドー氏が行った
スタンフォード監獄実験について書いたが、
今日はほんとうにあった
「ある事件」について書く事にする。
 
二〇〇四年五月。
 
複数の写真がいっせいに世界中に出回り、
多くの人々を震撼させた。
 
イラクのアブグレイブ刑務所で米軍兵士が、
拘留者に対して信じがたい虐待を行っていたのだ。
 
目を背けたくなるような、
事実がここにある。

 
全裸の男性たちに頭巾をかぶせ、
無理やりピラミッド状に積み重ねた写真。
 


 

男性捕虜に自慰行為やフェラチオの真似を強要し、
そばで女性兵士たちがはやし立てている写真。
 

 

全裸の男性に首輪をはめて引きずっている写真。
 

 

口輪を外した犬で威嚇している写真。
 


 

その中でも象徴的な一枚と言われているのが、
「トライアングル・マン」と呼ばれる写真だ。

 
頭巾で顔を覆われた拘留者が、
箱の上に危なっかしく立たされて、
手の先に電極をつけられている。
 


彼は「箱から落ちたら感電死するぞ」
脅されていた。

 
本当は電線の端には
何もついていなかったそうだが、
耐えがたいストレスにさらされた事は
まちがいないだろう。
 
 
この話を聞いてどう思うだろう?
 
 
「そんなのは性根の腐ったヤツのやる事だ」
「暴走した一部の兵士のやった事だろう」

 
多くの人はそう思うのではないだろうか。
 
しかし昨日も紹介した
スタンフォード大学心理学名誉教授
フィリップ・ジンバルドー氏の見解は違った。
 
ジンバルドー氏はこの事件の裁判にたずさわり、
数百枚の写真に目を通して驚いたという。
 
なぜなら、かつてジンバルドー自身が行った
「スタンフォード監獄実験」と、
あまりにも酷似していたからだ。

 
 
そしてジンバルドー氏はこう言った。
 
 
まるでスタンフォード監獄実験の最悪のシナリオが、
ぞっとするような条件下で数か月にわたって
実行されたかのようだ。と。

 
人間が人間に対して絶対的な権力を持つと、
善良な人間であっても何が起こるか、
彼は実際に見てきた。
 
そして心理学者たちも、
ふだんは人道的な行動をする個人や集団が、
なぜ、特定の状況下では
そうでない行動を取るのかを理解しようとした。

 
しかし軍の司令部は事件を起こした兵士たちに
「暴走した兵士」「一部の腐ったリンゴ」
のレッテルを貼った。
 
非人道的拷問に関与しているのは、
一部の腐ったリンゴにすぎないとする事で、
本質そのものが疑われるのを避けたのである。
 
 
しかしここだけの事件だとは言いきれない。
 
 
なぜなら、イラク、アフガニスタン、キューバなど、
他の刑務所を徹底的に調査してわけではないからだ。
 
アブグレイブ刑務所では上官からの指示や、
看守に対する訓練は何もなかったという。
 
ただ「その調子で頑張れ」
だけ言われたそうだ。

 
つまりこれらの行いは軍の上層部も
知っていながら、黙認していたとも考えられる。
 
 
この写真を見てほしい。
 


 
腐敗を遅らせる為に氷詰めにされた遺体の上で、
にっこりと笑って親指を立てる女性兵士の写真だ。

 
この遺体はCIAにより、
内密に処分されたという。
 
裁判にたずさわったジンバルドー氏によると、
もっと衝撃的な写真がいくつもあったそうだ。
 
しかしそれを公開したら米軍やブッシュ政権の
信用やイメージが低下するとの判断で、
米国政府はそれを伏せたままにしたのだ。
 
 
環境が人を狂わせる。
 
 
人間は誰もが置かれた状況によっては
狂気の人となる可能性がある。
 
誰だってそうなのだ。
理性的な自分を保てるという保証なんかない。
 

「自分だけは大丈夫」と思っている人ほど、

自分も過ちに気づかない恐れもある。

 
もちろん、だからといって
加害者の責任に目をつむるわけではないが、
誰もがそれを心に留めておく必要はあるだろう。
 
この事件はある兵士による内部告発により、
発覚する事ができた。

 
しかし、もし内部告発がなかったら、
この事件が明るみになる事はなかっただろう。
 
 
「おかしい!」と声をあげる勇気!
 
 
おかしいと思う事に「おかしい!」と
声をあげる勇気を持とう。
 
先日書いた僕の過去の事件でも、
誰も「おかしい!」と声をあげなかった。
 
それはほとんどの子たちが
「おかしい!」とも思えなかったのが原因だが、
中には疑問を抱いていた子もいたかもしれない。

 
しかしそれを親に報告する事で、
「チクリ」と呼ばれるかもしれない。
 
「あいつは親にチクリやがった!」と。
 
でも、そんな周囲の戯言など
気にする必要なんてない。
 
 
「おかしい!」と思う事に対しては、
「おかしい!」と声に出して言えばいいのだ。

 
 
多くの人が環境の中で没個性化され、
置かれた環境の奴隷になりがちである。
 
環境に流され、思考まで停止し、
それが「あたりまえ」になってしまうのだ。
 
だから、自分が思考停止していると感じたら、
思いきってその環境から離れてみる事だ。

 
そして客観的にそれを見て、
本質を見極めてみよう。
 
そうすれば学校や会社の中の異常な現状も、
冷静に見れるようになるはずだから。
 
 
 
※今回の写真は
「アブグレイブ刑務所」でググれば、
すぐにヒットしますが、
フィリップ・ジンバルドー氏の著書
「ルシファー・エフェクト」から
参照させて頂きました。
 
色々と考えさせられる一冊です。

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