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「悪口ってなんだろう」という本を読んだ。
悪口について考える、超シュールなNHK番組を見たのがきっかけである。
(→★)
番組に出演していた、南山大学の和泉悠先生が書かれた本だ。
悪口はどうして悪いのか。
友だち同士の軽口とはなにが違うのか。
悪口を言うことはなぜ面白いのか。
そういう疑問について論理的に、そしてユーモアを交えながら、和泉先生が答えていく。
なぜ人の悪口を言ってはいけないの?
と我が子に聞かれたら、親はなんと答えるだろう。
「人を傷つけることをしてはいけないから」とか、「自分がされて嫌なことは人にもしてはいけないから」とか言いそうなところだ。
しかし、著者の和泉先生によると、悪口を言ってはいけない理由として、この説明では不充分だという。
例えば、
「残念ながら不合格です」とか、
「私たち別れよう」とかいうように、
誰かを深く傷つける言葉は他にもある。
つまり、その言葉が人を傷つけるからといって悪口になるとは限らない。
(=「人を傷つけることは悪口の十分条件ではない」。)
また、人を傷つけない悪口、言われて嬉しい悪口、というものも世の中には存在する。
たとえば、大好きなA君にストーカー行為をしているBさんがいるとしよう。
Bさんのことが鬱陶しいA君は、「お前ウザイ!消えろ!」なんて言葉をBさんに投げるが、Bさんは「A君が声をかけてくれた」とむしろ喜んでいて…。
この場合、A君のヴザイ!はたしかに悪口だが、誰も傷ついていない。
つまり、「人を傷つけることは、悪口の必要条件でもない。」
は〜、たしかになるほどな〜と、 私は最初の数ページを読んだだけで感心してしまった。
こんなこと、考えたこともなかったよ…。
「悪口はどうして悪いのか」の根本的な理由について、 和泉生はこう説明していた。
「悪口とは、
人間同士を比較して優劣を表明し、
人のランクを 下げる行為だから悪い。」
平等なはずの人間に序列を作り、相手を劣った存在として取り扱うのが悪口、ということだ。
オレよりお前のほうがバカだ、アホだ、考えが浅い、ケチでチビで無職で料理がヘタクソだ、(誰のことかな?)というように、 悪口は人に序列を作り、ランキングをつける。
これはつまり、人種や階級により人に序列を作ることと同じ発想であるというのだ。
背が低いという事実は、アジア人であるという事実と同じであって、「人として劣っている」ことを意味するものではない。
それなのに、そこへ自分勝手に「チビ」と優劣を作るのが悪口だ、と。
本書ではもっとちゃんと分かりやすく説明があるので興味のある方はぜひご一読いただきたいのだが、これを読んで私は、悪口への印象というのがちょっと変わった。
※試し読み可能です。
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