昨年、中古のカードショップへ行ったときのことだ。

目的はポケモンカードだった。

 

 

たくさんのカードがショーケースに並んでいた。それらは透明の保護袋に入れられ、定価値札が貼られていた。

 

 

どのショーケースに入っているかによって、貼られた定価の2割引、半額、7割引などと価格の差別化がなされていた。

 

傷入りのものや売れ行きの悪いカードが随時、割引率の大きなショーケースへと移動されている様子だった。 

 

 
 
 

ここで、 一緒にカードを見にきた、当時小学3年生の息子から質問を受けた。

 

「お母さん、500円の7割引っていくら?」

 

 

彼は割引率の計算をまだ学校で習っていなかった。

ショーケースを見たところで、どのカードが最終いくらなのかサッパリ分からないのだ。

 

そこで私が、割引というものの概念をざっくり説明した。

 

 

10に分けたうちの7つ分が7割。

元の数字から、その7つ分を引いたのが「7割」…。 

 

 

店内で、口頭で、ざっと説明しただけだから絶対分からんだろうと思ったのだが、息子は言った。

 

 「ということは、100円の7割は70円か。7割なら70を引くから、30円。 300円の1割引だと、30円を引くから270円だね」

 

 

おいおいおい。天才か!?

というのがその時の私の率直な感想である。

 

 

 

 

 

 

さて、話はさらに続く。

100円の7割は分かった彼だが、今度は110円の7割が分からなかったのだ。

 

ある技を使えば簡単に計算できるぞと、私はヒントを出してみた。

それでも絶対分からんだろうと思ったのだが、そしたらまた、息子は答えたのだ。 

 

「分かった!110円を、100円と10円とに分けて考えたらいいんだ!110円の7割は、70円と7円で77円だ。なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろう」 

 

 

いやいやいや。天才か!?

 

じゃない。

この瞬間私は思った。

ポケカパワー恐るべしだと。

 

 

なんとしても割引後の値段を知ってやるぞ!と強い意欲を子に掻き立てさせる、ポケカの存在。

 

息子が天才なんじゃなくて、ポケカの威力がすごいんだと分かった私である。

 

 

この日をきっかけに息子は、割引計算を一人でできるようになった。もちろん、スーパーの牛肉の割引後価格だって分かる。

 

 

 

 

 

長々と我が家の経験談を書いたが、つまりは「子が好きなことは、いかに子ども本人を伸ばしてくれるか」という話だ。

 

熱中して遊ぶ子ども、そこでの吸収力というのは異次元である。

ゾーンに入った子のすさまじさというものを、ポケカの値段計算で、私は目の当たりにした…

 

 

さて、これと同じようなことが書かれていたのが、こちらの本だ。

 

 

 
 
「答えがない時代の新しい子育て」
 
教育界の各方面で活躍する10人の専門家と、謎解きクリエイターとして有名な松丸くんとの対談を一冊にまとめたものである。
 
 

ゲームや遊びでゾーンに入った子がいかに強いか。 

宿題したの!?と親が横から口を出さずに、ゲームでも漫画でも、いかに好きなことへの没頭を経験させてやれるか。

 

そういう親の態度が、子の伸びしろをどんどん増やしていく、みたいなことが、いろんな角度から書かれていた。

 

 

 

雑誌プレジデントのおすすめ書籍だかに紹介されていて読んでみたのだが、とてもおもしろかった。

 

ただし、あくまでこの本は、普通の勉強をするなと言っている本ではない。

 

子が伸びる、ゾーンに入るきっかけを潰すなと言っているだけだ。

目先の点数や○×に親が囚われて、子の「好き」を後回しにすることがないように、と。

 

 

ただ、何事にも限度はあろう。

遊びもゲームもいいけれど、親は一体どのラインまで見守って、どのラインを超えたら物申すべきなのか。

 

その境界はどこにある!?

 

ということを親である私たちは知りたいのだが、本書を読めどそこは自分で考えるしかなさそうなのが辛いところであった。

 

 

 

 

 

 

これからの時代、点数や○✕に着目する勉強の仕方によって、受験には勝てたとしても、卒業した後の人生では、もう勝てないらしい。

 

 

昭和生まれ・平成育ちの私は、「受験に勝てばその後の人生もある程度は勝てた」ような、古い時代を生きてきた。

 

だから○✕では測れない時代というのを、頭では分かっていても、実感として理解できていない。

 

受験に勝てば、人生にも勝……てはしないまでも 、思い切り負けるようなことはないんじゃないのと、心の底では思っている気がする。

 

 

 

私と同じような感覚からどうにも抜け出せない方は、一度本書を読んでみたらおもしろいと思う。

 

時代は変わったんだと、その一言に尽きる。

 

 

新しい世界に親としての私はついて行ける気がしないのだが、せめて逆走しないようにだけは気を付けたい。

 

松丸くんがいるところより100万キロ後ろにいるのでも良いから、進むために体を向ける方角だけは、彼らと同じであれるように…。

 

 

 

 

 

 

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(※注)

分かりやすく「勝ち負け」という表現をしたが、人生に勝敗は無いので、「自分の希望の叶えやすさ」みたいな観点に置き換えて読んでいただけるとありがたい。

 

好きな仕事とか、好きな居住地とか、好きな時間の使い方とか、そういうものを自分の希望通りにできるか否か、みたいなところだ。

 

職歴や年収の多少に関わらず、自分の生きたい人生を生きられたら幸せだと思うし、私自身もそういうところを目指したい。(もう四十だけど。)

 

子どもにも、自分の望む人生を生きてほしい。

そのために今必要なものは何か?

それが書いてある本だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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