上田ゆきこのブログ -22ページ目

コロナ前からの上田ゆきこの提案がコロナ対策に役立ちました

2020年に新型コロナウイルス感染症が流行するとわかっていたわけではありませんが、議員として、感染症対策の必要性を認識し、対策を提案してきました。

 

感染症対策に関する提案が他の議員よりコロナ前から多かったのは、1990年のNHKの朝ドラ「凛凛と」で受けた感染症についての強烈な恐怖がきっかけだと思います。

 

このドラマは朝の連続テレビ小説史上初めて30%台を割り込んだ番組だそうで、見てない方も多いかもしれませんが、富山県が舞台になった最初で最後の朝ドラであり、富山県においては局地的な視聴率があったのです。実は小学校の給食の時間に見ていたくらい、富山では大ブームでした。

 

その「凛凛と」の主人公の母親がスペイン風邪に罹り亡くなります。ずっとゴホゴホとせき込みながら臥せっているのに、心配かけまいと無理をする姿は思い出すだけで今でも胸が締め付けられる気がします。

 

そんな感じで感染症への恐怖と関心がありつつ、高校2年生のとき「ペスト(A.カミュ)」という小説を読み、その読書感想文で全国学校図書館協議会長賞という賞を受賞しました。お恥ずかしいですが、総理大臣賞と文部科学大臣賞の次くらいの賞です。

 

「ペスト」を読んで、やはり健康な人が感染症に罹り、志半ばで倒れていくストーリーは衝撃的で、当時は都市封鎖という極限状況における人間のありようなどに注目して感想文を書いた気がしますが、

8年ほど前にインフルエンザに罹り3日間ほど外出禁止になった際に読み返したところ、それよりも街を抜け出そうとする人や感染防止に取り組まない町民などのシーンで「だめ~!」と本に向かって叫ぶくらい、公衆衛生の観点ばかり気になるのは職業病だと笑ってしまいました。

 

そのような心理になった経緯は、やはり、2009-2010年の新型インフルエンザ流行や2011年の東日本大震災等を経て、公衆衛生の重要性をより強く認識したことからだと思います。

 

特に、実践的な公衆衛生を区民の方と学ぶため、2014年には2回にわたり、感染症に注目した区政セミナーを行いました。医療政策の最前線で活躍する講師を迎え、「第6回 後悔しない予防接種・社会を守るワクチン」「第7回 新型インフルエンザ発生!どうする?どうなる?」を通じて、封じ込めやワクチン政策の重要性を理解したことは政策提案にもつながっています。

 

例えば、保健師の増員は、2018年度予算要望(コロナ前)から要望を続けています。

理由は、感染症対策だけではなく、出生数増によるネウボラの需要増、高齢者数増による福祉コーディネート能力の拡充、保育所の医療的ケア児やアレルギー児対応、地域防災等のためですが、おかげで2020年度に3名の保健師の増員が決定していたことで、コロナ初期の感染症対応にも貢献できました。

 

また、2019年11月定例議会には「抗インフルエンザ薬ゾフルーザの慎重な処方を求める意見書(案)」を提出しました。コロナのような新種のウイルスを想定したわけではありませんでしたが、耐性ウイルスなどによるパンデミック対策の必要性を訴えました。

 

さらに、2019年の選挙公約であった「教育用端末1人1台」は、感染症があっても学習機会を確保できるように、という理由で提案していたわけではありませんが、区内モデル校など様々な方のご意見を聞きながら必要性を訴えてきました。結果的に、新型コロナウイルス感染症による休校等を通じて国の支援も決まり、GIGAスクール構想が進展しました。早めに1人1台の試算や課題を聞いておいたことがスムーズな実施につながったと思います。

ちなみに、文京区議会で教育用端末1人1台をコロナ前に提唱していたのは上田ゆきこだけです。

 

これからも、議会活動を通じて学んだ知見を活かし、平常時も非常時にしっかり備えられる文京区政に貢献していきたいと思います。

令和5年2月定例議会の請願の審議結果

令和5年2月定例議会の請願の審議結果です。

上田は、

・小・中学校の学校給食費を無償化することを求める請願
・学校給食費無償化を国に求める請願

の紹介議員になっていました。

会派の宮崎議員は、

・核兵器禁止条約の批准を求める請願

の紹介議員でした。

いずれも不採択になり、残念です。

https://www.city.bunkyo.lg.jp/kugikai/seigan/sinsakekka0502.html

0.「中年の危機」を令和5年2月定例会一般質問のテーマとした理由について(令和5年2月定例議会)

令和5年2月定例議会の一般質問のテーマは「中年の危機!」です。

 

最近、自身の疲れやすさやふとしたときの後ろ向きな思考に気づいてはっとすることがあります。

 

いろいろ考えて、「ああこれは、ミッドライフクライシスとかミドルエイジクライシスと言われる、いわゆる「中年の危機」かな」と思い至りました。

 

私は25歳で初当選してから、4期16年、若者や女性の声を政治の場に伝え、議会が多様になるように、と思い、活動してきました。

 

実現できた政策も多く、行政のしくみを理解し、議会の皆様との合意形成を大切にしながら、政策実現を図る技術があると自負しています。

 

ですが、今日、私が代弁したい“若者”とは誰だろうと内省したとき、それは高齢ではないけれど、もはやものすごく若いわけでもなく、その上、個人差がうんとある世代で、行政への要望も多様な“中年”なのかもしれないと思いました。

 

中年とは、いくつくらいだろうと検索して、40歳前後というのもあれば、40~50代、40歳~65歳という記述もあり、一方で中年の危機とは30代後半からみられるという解説も見つかったので、ここでは幅広くとって30代後半~60代半ばと想定して、質問を作成しました。

 

その世代の多くの方が就労されてある程度の年月が経ち、責任ある立場にいる場合も多いはずです。

 

一方で、私生活では子育てや親の介護でダブルケア状態だったり、私のように独身一人暮らしでコロナ自粛で孤独を感じたり。

 

もしくは、ちょうど就職氷河期世代で就労形態や収入、老後の資金に不安があったり。

 

あるいはバブル世代で大企業に勤めているけれど、最近はやりの“働かないおじさん”扱いされている気がして会社が怖い。

 

などなど、一人ひとり悩みが大きく深く、さらに体力も落ち始めていまいち調子が出ない。

 

でも、働き盛りががんばるのは当たり前だから、弱音を誰にも吐けなかったりする。

 

あるあると思った方、共感します。

 

うん。改めて、やっぱり大人はつらい。

 

そこで、文京区の行政課題を振り返りながら、文京区でなら中年期(ミドルエイジ)も元気に過ごせる、そんなまちづくりを提案をしました。

 

なぜなら、中年が健やかなまちは、中年を親や上司や子どもに持つ高齢者や若者や子どもにも良いまちだと思うからです。中年のご近所さんに親切にしてもらっている方にとっても、快適なはずだからです。

 

私は大学時代、19世紀イギリスの政治哲学者J.S.ミルの「自由論」を研究していましたが、中でも私が最も好きなのは第三章「幸福の諸要素としての個性について」で、そのタイトルの原文は「Of individuality , as one of the elements of well-being」です。

 

ウェルビーイングはよく“幸せ”と訳されますが、HappinessやWelfareとはどう違うのか、なんとなく語感の違いは分かりますが、どちらでも言い換え可能で、以前は、はやりのウェルビーイングという言葉を聞くのも使うのも気恥ずかしく感じていました。

 

ただ、2011年「OECDのウェルビーイング指標の概論」によれば、「ウェルビーイング指標は、“物質的生活状況”と“生活の質”を含む」とされているので、その文脈では、happinessよりは政策的に「social good」や「social service」のニュアンスを含み、またwelfareでは既存の福祉政策に限定されやすいのかな、というのが最近の理解です。

 

ウェルビーイングを政策や事業として取り組んでいる人たちは、共通して、ウェルビーイングの実現のためには、agencyつまり主体性を発揮することが重要だと言います。

 

「個性が幸せの一要素」と言うミルにもつながり、なるほどと思いました。

 

特に、教育政策においては、OECDが「ラーニングコンパス2030」において、ウェルビーイングを究極の目的とし、agencyをウェルビーイングに向かうために「自ら考え、主体的に行動して、責任をもって社会変革を実現していく力」と再定義しています。


そこで、令和5年度2月定例議会の一般質問では、中年期の健康づくり、子育て・教育、親の介護や見守り、働き方、防災、SDGs、文化・芸術、ユニバーサルデザイン、DXなどを通じて、自分らしい暮らし方ができるまちづくりを提案しました。


中年になっても、いつか中年になる人も、中年だった人も、agency(主体性)を発揮し、「それぞれの危機」を乗り越え、自分らしさ(individuality)、自己肯定感を取り戻し、ウェルビーイング(幸せ)が実現する。

 

そんな文の京をめざしていきたいという想いと具体的な政策が区民の皆様に伝わりますように。