0.「中年の危機」を令和5年2月定例会一般質問のテーマとした理由について(令和5年2月定例議会) | 上田ゆきこのブログ

0.「中年の危機」を令和5年2月定例会一般質問のテーマとした理由について(令和5年2月定例議会)

令和5年2月定例議会の一般質問のテーマは「中年の危機!」です。

 

最近、自身の疲れやすさやふとしたときの後ろ向きな思考に気づいてはっとすることがあります。

 

いろいろ考えて、「ああこれは、ミッドライフクライシスとかミドルエイジクライシスと言われる、いわゆる「中年の危機」かな」と思い至りました。

 

私は25歳で初当選してから、4期16年、若者や女性の声を政治の場に伝え、議会が多様になるように、と思い、活動してきました。

 

実現できた政策も多く、行政のしくみを理解し、議会の皆様との合意形成を大切にしながら、政策実現を図る技術があると自負しています。

 

ですが、今日、私が代弁したい“若者”とは誰だろうと内省したとき、それは高齢ではないけれど、もはやものすごく若いわけでもなく、その上、個人差がうんとある世代で、行政への要望も多様な“中年”なのかもしれないと思いました。

 

中年とは、いくつくらいだろうと検索して、40歳前後というのもあれば、40~50代、40歳~65歳という記述もあり、一方で中年の危機とは30代後半からみられるという解説も見つかったので、ここでは幅広くとって30代後半~60代半ばと想定して、質問を作成しました。

 

その世代の多くの方が就労されてある程度の年月が経ち、責任ある立場にいる場合も多いはずです。

 

一方で、私生活では子育てや親の介護でダブルケア状態だったり、私のように独身一人暮らしでコロナ自粛で孤独を感じたり。

 

もしくは、ちょうど就職氷河期世代で就労形態や収入、老後の資金に不安があったり。

 

あるいはバブル世代で大企業に勤めているけれど、最近はやりの“働かないおじさん”扱いされている気がして会社が怖い。

 

などなど、一人ひとり悩みが大きく深く、さらに体力も落ち始めていまいち調子が出ない。

 

でも、働き盛りががんばるのは当たり前だから、弱音を誰にも吐けなかったりする。

 

あるあると思った方、共感します。

 

うん。改めて、やっぱり大人はつらい。

 

そこで、文京区の行政課題を振り返りながら、文京区でなら中年期(ミドルエイジ)も元気に過ごせる、そんなまちづくりを提案をしました。

 

なぜなら、中年が健やかなまちは、中年を親や上司や子どもに持つ高齢者や若者や子どもにも良いまちだと思うからです。中年のご近所さんに親切にしてもらっている方にとっても、快適なはずだからです。

 

私は大学時代、19世紀イギリスの政治哲学者J.S.ミルの「自由論」を研究していましたが、中でも私が最も好きなのは第三章「幸福の諸要素としての個性について」で、そのタイトルの原文は「Of individuality , as one of the elements of well-being」です。

 

ウェルビーイングはよく“幸せ”と訳されますが、HappinessやWelfareとはどう違うのか、なんとなく語感の違いは分かりますが、どちらでも言い換え可能で、以前は、はやりのウェルビーイングという言葉を聞くのも使うのも気恥ずかしく感じていました。

 

ただ、2011年「OECDのウェルビーイング指標の概論」によれば、「ウェルビーイング指標は、“物質的生活状況”と“生活の質”を含む」とされているので、その文脈では、happinessよりは政策的に「social good」や「social service」のニュアンスを含み、またwelfareでは既存の福祉政策に限定されやすいのかな、というのが最近の理解です。

 

ウェルビーイングを政策や事業として取り組んでいる人たちは、共通して、ウェルビーイングの実現のためには、agencyつまり主体性を発揮することが重要だと言います。

 

「個性が幸せの一要素」と言うミルにもつながり、なるほどと思いました。

 

特に、教育政策においては、OECDが「ラーニングコンパス2030」において、ウェルビーイングを究極の目的とし、agencyをウェルビーイングに向かうために「自ら考え、主体的に行動して、責任をもって社会変革を実現していく力」と再定義しています。


そこで、令和5年度2月定例議会の一般質問では、中年期の健康づくり、子育て・教育、親の介護や見守り、働き方、防災、SDGs、文化・芸術、ユニバーサルデザイン、DXなどを通じて、自分らしい暮らし方ができるまちづくりを提案しました。


中年になっても、いつか中年になる人も、中年だった人も、agency(主体性)を発揮し、「それぞれの危機」を乗り越え、自分らしさ(individuality)、自己肯定感を取り戻し、ウェルビーイング(幸せ)が実現する。

 

そんな文の京をめざしていきたいという想いと具体的な政策が区民の皆様に伝わりますように。